『イカロスの誕生日』を読んだ。
人類の一部が翼を持って生まれるようになった世界の日本が舞台。彼/彼女らはイカロスと呼ばれている。そのイカロスへの抑圧が始まるところから、物語が転がり始める。
読むのがもう1、2年早かったら、こんなに露骨な抑圧が実際に起こることはさすがにないだろう、と高を括っていただろう。それが今では現実味を帯びてきたと思うようになっている。
差別感情を剥き出しにする人がいて、それに同調する人が後を絶たないように見える。見えるだけで、錯覚なのだろうけれど。Yahoo!ニュースのコメントを分析したところ、ヘイトコメントを大量に残しているのは閲覧者の0.01%に過ぎないらしい[1]。
この事実には勇気づけられはするものの、たった一人のしがない一言で深く傷つくことがあるのも、また事実。
という暗い話はさておき、小説の世界に視点を戻すと、逆境に負けないイカロスのタフが頼もしい。中でも、主人公はるかがクライマックスで見せる可能性には心が躍る。
本作のような終わり方をすると、自分は不安が先に立つことが多いのだけれど、彼女達に限って言えば安心して見送れる。それどころか、追いかけられないものかとさえ思ってしまう。
余談あるいは蛇足。イカロスの特長は〈天冥の標〉シリーズの〈海の一統 (アンチョークス)〉に受け継がれているように思える。さすがに世界観は共有していないだろうけれど、もし出合ったら意気投合しそうで、妄想が膨らむ。
人類の一部が翼を持って生まれるようになった世界の日本が舞台。彼/彼女らはイカロスと呼ばれている。そのイカロスへの抑圧が始まるところから、物語が転がり始める。
読むのがもう1、2年早かったら、こんなに露骨な抑圧が実際に起こることはさすがにないだろう、と高を括っていただろう。それが今では現実味を帯びてきたと思うようになっている。
差別感情を剥き出しにする人がいて、それに同調する人が後を絶たないように見える。見えるだけで、錯覚なのだろうけれど。Yahoo!ニュースのコメントを分析したところ、ヘイトコメントを大量に残しているのは閲覧者の0.01%に過ぎないらしい[1]。
この事実には勇気づけられはするものの、たった一人のしがない一言で深く傷つくことがあるのも、また事実。
という暗い話はさておき、小説の世界に視点を戻すと、逆境に負けないイカロスのタフが頼もしい。中でも、主人公はるかがクライマックスで見せる可能性には心が躍る。
本作のような終わり方をすると、自分は不安が先に立つことが多いのだけれど、彼女達に限って言えば安心して見送れる。それどころか、追いかけられないものかとさえ思ってしまう。
余談あるいは蛇足。イカロスの特長は〈天冥の標〉シリーズの〈海の一統 (アンチョークス)〉に受け継がれているように思える。さすがに世界観は共有していないだろうけれど、もし出合ったら意気投合しそうで、妄想が膨らむ。