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1月, 2018の投稿を表示しています

都市トーシロ - 都市計画の世界史

『都市計画の世界史』を読んだ。 町の作りを形作る経緯に興味が湧いてきたので、概観できる入門書になるかなと思って読んでみた。 しかし、残念ながら全然頭に入ってこない。そう言えばそもそも世界史からして苦手だった。 違う本にもあたってみよう。 『勉強の哲学』 でも、入門書は何冊か読もうという話だったし。そうしないと、バランス感覚を持てない。数打てば当たるだろうし(雑)。

プラネットゴジラ - GODZILLA 怪獣惑星

『GODZILLA 怪獣惑星』を観た。 三部作と知らずに観たので、いまいち展開が遅いと思ってしまった。さすがに半分を過ぎたあたりで察せられたけれど。 そんなわけで、本作単体では良いとも悪いとも言えない。次が気になるという点では、いい感じの滑り出しだ。 次の『決戦機動増殖都市』(とタイトル未定の完結篇)に期待。

五都物語 - BLAME! THE ANTHOLOGY

『BLAME! THE ANTHOLOGY』を読んだ。 映画ではなく原作漫画からの中短篇集。収録されているのは次の5篇。 九岡 望「はぐれ者のブルー」 小川一水「破綻円盤 ―Disc Crash―」 野崎まど「乱暴な安全装置 -涙の接続者支援箱-」 酉島伝法「堕天の塔」 飛 浩隆「射線」 内容紹介では次のようにノベライズとなっている。 無限に増殖する巨大階層都市を舞台に、探索者・霧亥(キリイ)の孤独な旅路を描いたSFコミックの金字塔、弐瓶勉『BLAME!』を、日本SFを牽引する作家陣がノベライズ。 引用元: BLAME! THE ANTHOLOGY (ハヤカワ文庫JA) | 九岡望, 小川一水, 野崎まど, 酉島伝法, 飛浩隆, 弐瓶勉 |本 | 通販 | Amazon けれど、実態はスピンアウトに近い。早川書房編集部による「まえがき」にも、次の但し書きが付いている。 ※小説で描かれている内容のすべてが公式設定というわけではありません。 引用元: 『BLAME! THE ANTHOLOGY』「まえがき」 自分は映画は観たけれど原作漫画はほとんど読んでいないので、原作と映画の違いなのか原作と小説の違いなのか、ハッキリしないことがしばしば。それが幸か不幸かは難しい。原作への思い入れが強いと、違いが気になってスピンアウトが受け入れにくくなったりする。 ではそれぞれ簡単に感想を。 ■ 「はぐれ者のブルー」は、描写を映画に寄せてくれているとのことで、自分のような読者にはありがたかった。階層都市の一風景が、丁寧に切り取られている印象。映画のような大きな事件は起きないけれど、でも平穏な日常というには環境は厳しくて、でも生きるためだけに生きていない男の物語。切ない。 ■ 「破綻円盤 ―Disc Crash―」は、「検温者」の物語(これは小説独自の設定かな?)。作中の物理的な視点は、基本的に一定なんだけれど、俯瞰的なイメージを喚起させてくれるのが楽しい。さらに、その俯瞰視点をダイナミックに揺さぶってくる。短さが濃さにつながっていて、ジェットコースターのよう。 ■ 「乱暴な安全装置 -涙の接続者支援箱-」は、「著者の言葉」(言葉?)が真の目的では? という疑惑に包まれる。著者が著者なので。短篇集の一作品として短篇集が出てくるくらいの覚

lots of plots - バーフバリ 伝説誕生

『バーフバリ 伝説誕生』(原題: "Baahubali: The Beginning") を観た。 後編『バーフバリ 王の凱旋』の好評が聞こえてきたので観てみたけれど、どうも自分はのめり込めなかった。後編まで観てなんぼなんだろうか。 別に王道展開は嫌いじゃないし、外連味の効いた演出にいたってはむしろ好物。なのに、どうも入り込めない。 というわけで、〈王道展開〉を、手持ちの道具―― 『ベストセラーコード』 に載っていた7+1のプロットで噛み砕いてみて、『バーフバリ』がどれにあたるか考えてみた。これらのは小説を分析して出てきたものだけれど、プロットのレベルなら映画にも使えるだろう。 一番近いのは、プロット7――クリストファー・ブッカーの分類では「モンスター退治」と呼ばれている――だ。乱暴に説明すると、幸せな状態のヒーローが機器に陥るけれど乗り越える、というプロット。おそらくこれだ。前編の『伝説誕生』ではちょうど危機に陥ったところで終わっているように思う。 『バーフバリ』が神話・叙事詩的な性格をしているので、もう少し具体的な類型を、他から探してみると、 貴種流離譚 - Wikipedia が見つかった。これだ。 主人公が生まれつき選ばれている物語は、あまり好みではない。そういうことなんだと思う。

hope and dreams - 生賴範義展

上野の森美術館に行って、 『生賴範義展』 を観てきた。 最も有名な作品は、きっと映画『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』のポスターだろう。自分にとって身近だったのは、ゴジラ映画のポスターやSF小説〈レンズマン〉シリーズの表紙。最近だと『日本沈没』の表紙もそう。 その他にも多様なジャンル・業界での仕事が展示されていて、十二分の見応えがあった。洋画・邦画のポスター、SF小説・雑誌の表紙、戦国武将、三国志武将、プロゴルファー、軍艦、戦闘機などなど。多くの人が、それとは気付かないにしろ、観たことがある作品があるんじゃないだろうか。 特に印象的だったのは、タバコのHOPEのポスター。大きさと緻密さが相まって、モノトーンにも関わらず強烈な存在感だった。にも関わらず、息抜きだった [1] というのだから凄まじい。 最後のエリアに展示されていたのは、オリジナル作品。仕事ではない作品も展示されている。そして、本当に最後に展示されているのは、未完の絶筆。 改めてご冥福をお祈りします。 [1] 世界的イラストレーター「生賴範義(おおらい・のりよし)」の凄さに迫る! の35分あたり。

左手にうちわ - 掟上今日子の家計簿

『掟上今日子の家計簿』を読んだ。今回は短篇集で、次の4篇が収録されている。タイトルにある家計簿は、直接登場こそしなかったもものの、1篇目を意識してのタイトルかな。 「掟上今日子の 誰がために ( クイボノ ) 」 「掟上今日子の叙述トリック」 「掟上今日子の心理実験」 「掟上今日子の筆跡鑑定」 2篇目のタイトルがおもしろい。叙述トリックは、叙述トリックものだと知った時点で結構なネタバレになる。なのに、タイトルで宣言しちゃうなんて。しかし、これの解決が一意に定まらないように思えて、どうにも歯がゆい。 あと本シリーズ通してずっと疑問なのだけれど、今日子さんが実は何も忘れていないってことないのかね。なんか最後の最後でそういうちゃぶ台返しがありそうな、嫌な予感がしてならない。

2nd second - キングスマン:ゴールデン・サークル

『キングスマン』 の続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』(原題 "Kingsman: The Golden Circle")を観てきた。 前作で作風はバレているので、ああいう衝撃はない。代わりに、今回は開幕直後からフルスロットル。エグジーがオープニングから派手なカーアクションを繰り広げる。他にも見せ場はいくつかあるけれど、ハリーとの共闘が一際感慨深い。 ハリーの復帰はもちろん、前作では完璧紳士だった彼が、韜晦や茶目っ気も見せてくれるのがうれしい。エグジーがキングスマンの規則に反して女性と付き合っているのを容認したり、エルトン・ジョンにライブチケットをおねだりしたり。 そのエルトン・ジョン、登場シーンが悪の親玉ポピー・アダムスに監禁されていたところだったから、ちょっとしたサプライズ出演かと思ったらアクションシーンでまでキッチリ活躍する始末。ハリーといい、高齢者が強い。 一方、アメリカの扱いは相変わらず。悪の親玉ポピー・アダムスはもちろん、彼女との交渉に立つ大統領も嫌なヤツ。そのうえ、エグジーとマーリンが助けを求めて訪れたステイツマンも後半の印象が……(テキーラが主役のスピンオフが企画されているらしいので、そちらに期待か。ジンジャーも登場して欲しいところ)。 アメリカと言えば、今回もハンバーガーが印象的なシーンで登場する (好印象とは言っていない)。しかし、 ハードロックカフェがまさかのコラボメニュー提供 。ようやる。 さて、スピンオフだけでなく続編も企画されているということだけれど、このあとどうするんだろう。世界のなんちゃらマンが大集合するくらいはっちゃけたりして。 以下は覚書。インタビュー記事やレビューのリスト。 まずインタビュー記事。 「ハリー抜きの『キングスマン』は考えられなかった」 マシュー・ヴォーン監督インタビュー|Real Sound|リアルサウンド 映画部 「『キングスマン』シリーズはいい意味での“逃避”」 コリン・ファース インタビュー|Real Sound|リアルサウンド 映画部 過激に議論を巻き起こす!『キングスマン2』制作秘話~コリン・ファース&監督インタビュー - シネマトゥデイ 以下はレビュー。 『キングスマン:ゴールデン・サークル』 アメリカなんて大嫌い!? :映画のブログ

adept adapt - 映画原作派のためのアダプテーション入門 フィッツジェラルドからピンチョンまで

『映画原作派のためのアダプテーション入門 フィッツジェラルドからピンチョンまで』を読んだ。 キッカケはラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』で紹介されていたこと。映画原作派というわけではないけれど、裏表紙の質問 Q. 映画化作品を観ながら、その場で原作を確認したくなったことがある→YES/NO への回答がYESだったというのもある。比べるの楽しい。 📖 ここでいうアダプテーションは、あるメディアで発表された作品を別のメディアに適応させること。具体的には、映画化、アニメ化、ノベライズ、コミカライズ、ゲーム化など。映画のリブート・リメイクはどうなんだろ。メディアこそ同じだけれど、異なる時代に適応させるために変更しているから、かなり近い意けれど。ともあれ、本書はフォーカスを合わせているのは、その中の一つ小説の映画化。だから「映画原作派のための」というタイトルということだろう。 なんだけれど、本書で紹介されている映画/原作小説をほとんど読んだことがなかったり、比率的には映画化以外のアダプテーションに触れる機会の方が多かったりするせいで、どうしても思考が発散してしまう。 というわけで、感想を書いてみたらとっ散らかった長文が出来上がってしまった。 🎬 本書は、まず〈映画化〉されて、はじめて〈ただの小説〉が〈原作小説〉になるという話から始まる。この対比は、ジャック・デリダの思想〈脱構築〉を思い出す。〈脱構築〉では、〈パロール(話し言葉)〉と〈エクリチュール(書き言葉)〉の関係を問題にしているけれど、本書がいう〈小説〉と〈映画〉の関係はこれによく似ているように思う。 単純に考えると、小説があって初めてそれをアダプテーションして〈映画〉にできるのだから、〈映画〉が〈小説〉に依存しているのであって、その逆ではない。しかし、映画化されているかどうかで小説に対する評価は、変わる。つまり、ひとたび映画化されてしまうと〈小説〉は、〈映画〉から独立した存在として捉えられなくなる。 これが〈ただの小説〉から〈原作小説〉になるという話なんだろう、と理解した。とくに次の一節なんかは、とても脱構築的な気がする。 映画鑑賞後に手に取った原作は、確かに映画では語られなかった何かを教えてくれはするけれど、それは決して「本当は何が語られていたか」を語

裸・裸・ランド - Naked

Netflixのオリジナル映画『ネイキッド』(原題 "Naked")を観た。 タイムループものと言えばそうなのだけれど、SF要素はない。タイムループする理由が明かされたりはしない。 SFよりシチュエーションコメディの色が濃い。タイムループを導入することで、同じシチュエーションでいろいろなことができている。自分の知っているループ物(『Steins;Gate』とか) はシリアス色が濃いので、この見せ方は新鮮だった。 そのシチュエーション=ループ起点の無茶振りがひどい。日時は結婚式前日。場所はホテルのエレベータ。持ち物はなし。全くなし。全裸。なんとか服を手に入れると、「服を着た全裸だ」とか思ってしまう。〈境界線上のホライゾン〉シリーズの読者なので……。 主人公ロブはなんとか結婚式を成功させようと試行錯誤するのだけれど、その失敗が(本人にはもうしわけないけれど)おもしろかったり。そのうち全裸慣れしちゃって、慣れって恐い。 終盤は若干ヒューマンドラマ色が出てくる。ループを繰り返すうちにロブが周囲のみんなの気持ちに知って、最後にはそれに応えてくれるので、非常に気持ちよく幸せな気分でエンディングを迎えられる。 ループされる理由こそ明かされないけれど、ひどいシチュエーションに陥った理由はちゃんと明かされるし、その落とし前もきっちり着くし。 というわけで、気軽に笑えて、すっきり終わってくれる。家でのんびり観るのにちょうどよかった(映画館だと声出して笑うのためらうし)。

護衛を誰が護るのか - ヒットマンズ・ボディガード

『ヒットマンズ・ボディガード』(原題: The Hitman's Bodyguard)を観た。これもNetflix配信。日本では劇場公開されなかったみたい。サミュエル・L・ジャクソンという大御所が出ているのに。 本作は、そのサミュエル・L・ジャクソン演じる殺し屋と、彼を守るボディガードのバディもの。ボディガードを演じるのは、ライアン・レイノルズ。見覚えがあると思ったら、 『デッドプール』 だった。 2人のやりとりが、時に大笑いせてくれて、時にニヤリとさせてくれる。安心して観られるエンタメ・アクション映画だった。あまり深く考えずさっぱり楽しい。こういうのもいいよね。

悪魔と悪魔 - DEVILMAN craybaby

『DEVILMAN crybaby』( 公式サイト )を観た。『BLAME!』がNetflix独占配信だったので、せっかく登録したのだから他にも独占配信のを、と思い。 『デビルマン』といえば超がつくほどの有名作品だけれど、昔のアニメ版デビルマンを見た記憶があるくらい。内容をちっとも覚えていないのだけれど。あとスーファミの『CBキャラウォーズ』の主人公だったのも覚えている。あとは実写映画が悪い意味で評判になったときの間接的な印象くらい。 ちなみに、 永井豪先生 ✕ 湯浅政明監督『DEVILMAN crybaby(デビルマンクライベイビー)』対談 | アニメイトタイムズ を読むとかなりアレンジされているみたい。 1話20分×10話で合計200分つまり3時間強、一気に観てしまった。長いと言えば長いけれど、一気に観られない長さでもない。先日、映画館で観た『ブレード・ランナー2049』も、拘束時間は3時間くらいだった(本編2時間44分に加えて予告編があるので)。何より、引き込まれる。特に終盤は目が離せない。最後はまさに黙示録。 エログロ描写がきつめなので、地上波での放送がないのに納得。こんなの地上波でやったら、謎の光で溢れてしまう。でも、それらが目的では無かったのだろうなと思う。それらが添え物に見えてくるくらい、終盤のインパクトが凄まじかった。

あざなえる綱 - おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱

『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』を読んだ。 作者は 『波の手紙が響くとき』 や 『筺底のエルピス』 シリーズと同じ方。 一見、ホラー小説だけれど、単なるホラー小説に収まらない。『波の手紙が響くとき』を彷彿とさせる急展開が、終盤に待ち受けている。だから、(自分のように)ホラー小説だからという理由で敬遠している人はぜひ手に取って欲しい。 それにしても、こんなに気持ちがあっちこっち振り回される小説も珍しい。ホラー小説としての安心と緊張は当然として、まさかこんな読後感を抱くことになるとは。

電動家族 - フルチャージ!! 家電ちゃん 5

『フルチャージ!! 家電ちゃん 5』を読んだ。これにて完結。連載お疲れ様でした。 ミリーやお静と登場人物が追加されて話が広がるのかな、と思ったらここで完結。もったいないという気持ちもあるけれど、これくらいがちょうどよかったようにも思う。特徴である家電関係のネタも尽きてくるだろうし。 そして最終巻にいたってもケイちゃんがかわいい。髪の毛がお団子にした姿とか、バトルタイプの成長した姿とか。それに引き換え正ヒロインであるはずアイちゃんはすぐボケるから……(スマートハウスの回のブットビっぷりはよかった)。 でも、最終回ではなんだかんだいっていい雰囲気。ただ役に立てばいいというものでもないということか。 (ところで、このエントリィを書くにあたって、過去の感想を読み返したら、4巻の感想を書き忘れていることに気がついてしまった……)

積もり積もる - BLAME! (映画)

『BLAME!』を観た。 深く深く(高く高く?)縦方向に連なる階層都市の光景が、荒廃しているにも関わらず魅惑的。廃墟好きには堪らない。そこで繰り広げられる人間とセーフガード (都市の防衛機構。ネット端末遺伝子を持たない人間を駆除する) のバトルも、スピード感と緊張感があってよい。 あと、科学者シボの義体のシルエットにも惹かれる。身長はおそらく2メートル以上。その半分以上をスラリと長い足が占めている。対照的に、腕は残された資材を掻き集めて作ったかのように、左右非対称かつメカニカル。溜め息が出る美しさ。 ● ところで、観ていて 『横浜駅SF』 を思い出したのだけれど、着想は原作漫画の『BLAME!』だったのね。 Twitter版はほとんど弐瓶勉の「BLAME!」パロディのつもりで書いてます。 引用元: 横浜駅SFのこと - 1400字制限 ストーリーは全然違うけれど、舞台装置がよく似ているもんなあ。増殖する積層都市は横浜駅に、統治局はJRに、セーフガードは自動改札に、ネット端末遺伝子はSUICAに対応している。

ラダー・ラバー・ダバー - シルトの梯子

『シルトの梯子』を読んだ。 (例のごとく)わからないことだらけだったけれど、グレッグ・イーガン作品の醍醐味に満ち溢れていたんじゃないだろうか。 まず、一文目からぶっ飛んでいる。 はじめにグラフありき、グラファイトよりはダイヤモンドに似たものが。 ここでいう〈グラフ〉は、棒グラフや折線グラフのグラフではない。宇宙を構成する素粒子だ (と思う)。真空さえも、無数のグラフの重ね合わせでできているそうなので。 恒星間空間のほぼ真空の領域でさえ、それがほぼユークリッド的な幾何学であるのは、その領域が無数のグラフ――各々が仮想粒子で満ちている――の精巧な重ね合わせであるという事実に依存している。 その〈真空〉がこの物語の鍵。はじまりは、作中の物理法則〈サルンペト則〉に基づいた実験。内容は、異なる時空を構成するグラフ――新真空を作り出すというもの。新真空の生成には成功するものの、六兆分の一秒で消滅するはずのそれは、逆に真空を侵食しながら光速度の半分の速さで広がり始めてしまう(と書いてはみたものの、どんな感じなんだろう。反物質で世界が置き換わっていくみたいなイメージ?)。 物語は、この新真空にどう対処するかを巡って繰り広げられる。こうやって整理すると、大筋では災害パニックものみたいだ。けれど、新真空をどうにかしようという防御派だけでなく、人類が新真空に適応しようという譲渡派も出てくるのは、さすがグレッグ・イーガンだと思う。特にその理由。 今、さらっと〈人類〉と書いたけれど、これもまた曲者。この世界では、実体化せず情報生命体として生きている人類は珍しくない。もちろん、宇宙を移動するためなど必要に応じて非実体化するけれど、基本的には実体化して生きる人類もいる。それから、それらの技術を受け入れない 古代宇宙飛行士 ( アナクロノート ) と呼ばれる人もいるけれど、物語で大きな役割を果たすのは最初の2つの人類。 譲渡派と防御派に分かれた主人公とその幼なじみとか、抽象的にとらえると王道的なのだけれど、人類の在り方が今と違い過ぎるので会話についていくだけでも、非常にハードでスリリング。そこで議論が交わされる、生とか死とか性とか知とか自己同一性も、グレッグ・イーガン作品に通底するテーマだ。 導入だけでお腹一杯どころではないのだけれど、物語が進み、新真空への対処の糸

星を継ぐロボ - Planetarian

劇場版『planetarian 〜星の人〜』を観た。 原作ゲームの制作が『Kanon』や 『Air』を制作したKeyなので、恋愛がシナリオのメインかと思っていたら全然違った。ポストアポカリプスSFだった。 これはずるい(褒め言葉)。ロボットがロボットとして行動しているのに、とてもいじらしく見える。自分の仕事をまっとうし、人間を守ろうとしているだけなのに。 特別版が制作されてプラネタリウムで上映されているのを、彼女がプラネタリウムで役目を果たせているのだと思うと感無量の思いが湧く。 落ち着いて振り返るといくつか疑問に思うところがあるけれど、原作をプレイすると解消するのかな。尺の都合でカットされたシーンとかありそうだし。あるいは、小説のサイドストーリーで補間されているのかな。 と、気になってしょうがないので、 小説『Planetarian』 を買ってしまった。読み終えたら、原作もプレイしようかな。アプリ版なら500円もあれば買えてしまうし、プレイ時間も数時間レベルみたいなので。

大福/イチョウ/イチョウ/路地/花筏

「特にまとまりはないけれど、ここ数ヶ月で撮った写真からピックアップ」 「年末に1年分の写真を振り返ろうとして挫折しましたね?」 (視線を逸らしながら)「じゃあ早速一枚目から」 「低い」 「低いですね」 「うん。地面から数十センチしかない」 「顔ハメするの辛くないですか?」 「多分」 「えー、そこはやってきてくださいよ」 「テトリスっぽい」 「揃ったら消えるんです?」 「イチョウの色が好き。わずかに黄緑色が残っているのも悪くない」 「そう言えばさきほどから黄色いものが写っていますね」 「イチョウの色が好き。わずかに黄緑色が残っているのも悪くない」 「そう言えばさきほどから黄色いものが写っていますね」 「これは黄色じゃ無いけれど、色がおもしろかったので」 「鳥居と手すり。やったね、これで誰も真ん中を通れない」 「神様は通れるんでしょうか……」 「神様なんだから大丈夫なんじゃない?」 「 内海聖史- mimic paintings - | 六本木ヒルズ ミュージアム・展望台 - ROPPONGI HILLS MUSEUM / OBSERVATORY が写真撮影OKだったので。絵が壁にかかっていないのが新鮮」 「色合いも花筏のようで素敵ですね」

できたらいいな - THE ドラえもん展 TOKYO 2017

森アーツセンターギャラリーに行って 『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』 を観てきた。開催期間が1/8 (月) までなので、その前に。 いろいろなアーティストのドラえもんを題材にした作品が展示されている。印象的だった作品をいくつか挙げてみる。 まず、町田久美さんの絵『星霜』。ドラえもんの形がシンプルで美しい。かといって、無機質でもない。やわらかさやかわいらしさも兼ね備えている。こうして改めてじっと眺めてみると、絶妙なバランスをしていることに改めて気付かされる。 次にしりあがり寿さんのアニメ『万事解決!劣化防止スプレーの巻』。作画崩壊(作風を考えると逆作画崩壊か?)が話とリンクしているのがうまい。ギャップが大きすぎてちょっと恐いが。 立体ものだと、後藤映則さんの『超時空間』が不思議な作品だった。網でできたオブジェに光が当たると、ドラえもんたちが浮かび上がってくる。光の当たり方で動いたり歪んだりするのがおもしろくて、しばらく眺め続けてしまった。 ところで、本展に限らず映像作品の音漏れってあまり対策されないよね。配置によっては、別の作品の音が聞こえてきたりして、気になってしょうがない。 だんぼっち のような組み立てられる防音部屋があるから、作って作れないことはないと思うのだけれど。

ワンダフル・ライフ - 虚ろなる十月の夜に

『虚ろなる十月の夜に』を読んだ。 濃い作品だった。原著が出版されたのが1993年とは信じられない (邦訳が出たのは去年だけれど)。 作中では明言されないけれど、切り裂きジャックやドラキュラ、ホームズなど多くの有名キャラクタが登場する。古くは2003年の映画『リーグオブレジェンド/時空を超えた戦い』、最近だと〈Fate〉シリーズを彷彿とさせる。 彼らが二つの陣営――〈 閉じる物 ( クローザー ) 〉と〈 開く物 ( オープナー ) 〉に分かれて、クトゥルフ神話の旧神にまつわるゲームで争う様子が描かれる。しかも、誰がどちらの陣営かはおろか、そもそもゲームの参加者なのかどうかすら分からないというスリリングなシチュエーション。 そして、主役を張るのは切り裂きジャック――ではなくてその 使い魔 ( コンパニオン ) の犬。コミュニケーション相手も基本的に他のプレイヤーの使い魔。つまり動物。 最後の語り手が動物というのが効いていた。これらの有名キャラクタに言及しなかったり、人間とは違って恐怖しなくても、違和感がない。

Happy New Year 2018 - ニトクリス from Fate/Grand Order

「あけましておめでとうございます」 「Happy new yaer!!」 「今年は戌年。というわけで、宝具で犬の頭を持つの冥界の神アヌビスを召喚するニトクリスさん。『おめでとうございます……具体的にどこがと言われれば困りますが、おめでとうございます』といった感じで。ヒエログリフのフォントは NewGardiner font for hieroglyphs を使わせてもらいました」 「ヒエログリフのフォントなんてあるんですね」 「アルファベットを置き換えるだけだから、簡単簡単と思っていたらえらい目に遭ったよ……」 「ところで、年内にレベルマックスにできたって言っていましたね」 「うん。宝具がとても使いやすくて、活躍してくれている。というわけで記念にもう1枚」 「ところで、この記事は大晦日に予約投稿しているのだけれど、福袋ガチャどうしようかなあ」 「3騎士じゃないんですか? 双司君のカルデアにはまだ星5いないですよね?」 「そうなんだけれど、欲しいサーヴァントが多いのは4騎士の方なんよ。悩む」 「それなら4騎士でいきましょうよ」 「まだ星5は3人しかいないから、被らない確率のが方が高いけれど、それでもドキドキするなあ。重なっても宝具レベル上がるからいいといえばいいのだけれど。ただ、不夜城のキャスターが重なると辛い。まだ育てていないので……」 「早く育てて使えという縁ですよ、それも」 「そうね、ミドラーシュのキャスター、ニトクリス、不夜城のキャスターと並べてみたい気持ちもあるし」 「褐色肌の美人さんせいぞろいですねー」 「静謐のハサンもいるよ? クラス相性的に並べにくいけれど」 「ちなみに、4騎士ガチャだと、どなたがお目当てなんですか?」 「一番欲しいのは玉藻の前。戦力的にもヴラド三世と編成すると強力だし、キャラクター的にはタマモキャットと一緒に使うのも楽しそうだし」 「モーションも改修されるそうですしね」 「あとはベタだけれどマーリン。性能はいうまでもないけれど、ああいう胡散臭いお兄さんおもしろい。あと、クトゥルフ好きとしてはアビゲイルもやっぱりいて欲しいし、それから……」 「そろそろ物欲センサーにひっかかったころでしょうか。さあ、爆死報告に乞うご期待!!」 「えー」