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3月, 2017の投稿を表示しています

二の句 - 2

『2』を読んだ。 これで、一連の作品を読み終えたことになる。 『[映] アムリタ』 『死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~』 『舞面真面とお面の女』 『小説家の作り方』 『パーフェクトフレンド』 『2』 Amazonのレビューにあるとおり、本作を読む前に他作品を読んでおいてよかった。『[映] アムリタ』と『パーフェクトフレンド』のわずかなつながりを除くと、てんでバラバラだったこれらの作品が本作で見事につながる。まさにオールスター。 語り手は途中で誰だか気がついた (正確には消去法で他にいるとは思えなかった) 。つもりだったのだけれど、もう一捻りあったうえに、『[映] アムリタ』のラストを思い出すとまたよく分からなくなった。 ともあれ、見えたと思ったらそれが二転三転させて翻弄してくれる愉快な作品群だった。

reading life goes on - ビブリア古書堂の事件手帖 (7)

『ビブリア古書堂の事件手帖 (7) ~栞子さんと果てない舞台~』を読んだ。 6巻あとがきに次巻か次々巻で完結とあったけれど、果たして本巻で完結。 本編「は」。 番外編やスピンオフという形で『ビブリア』はまだ続きます。 と本巻あとがきにある。 さっそく 『ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』 が3月10日に発売されている。ビブリアファイトはビブリオバトル [1] のことだろう。本も書評も好きだけれど、ビブリオバトルには関心がないから静観中 [2] 。栞子さんも出るようだから、気にはなっているのだけれど。 話を本編に戻すと、五浦が活躍したのが嬉しい。栞子の母・智恵子は最後までよくわからない人だった。そして改めて考えると、やっぱり栞子さんもよくわからなくなってきた。 五浦と栞子さんは、この後どんな生活を送っていくのかなあ。 [1] 複数人が書評を述べて、一番その本を読みたくさせた人が勝ちというゲーム。詳しくは 知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト を参照。 [2] ビブリオバトルを題材にした小説と言えば 〈BISビブリオバトル部〉 シリーズもある。同じ理由で未読。

unbrave graveyard - 人類遺産

This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「シアター・イメージフォーラムへ行って『人類遺産(原題 "homo sapiense")』を観てきたよ」 「シネコンではやってない映画は久しぶりですね」 「廃墟の映像で構成されていると聞いてな」 「それでどうでした?」 「ごめん、何回か寝落ちした」 「うわ……」 「定点カメラでの映像が続くとな。人類には早過ぎたんじゃなかろうか……」 「人類(Homo Sapiens) 」ってタイトルなのに?」 「人っ子一人出演しないし、して欲しいとは思わないけれど、それでも定点カメラの映像が続くだけだと集中を保てない」 「カメラが動くことさえないってことですか?」 「そうそう。でも、ずっと退屈だったというわけじゃないよ。ハッとする映像もあった」 「どのシーンですか?」 「データセンタらしき一室が水浸しになっているシーン。そんなに古い建物なはずはないのに、と思うとね。LANケーブルが水没するがままにされていたのが切ない」 「La La LANですねー」 「それ違う映画や」 「アカデミー賞で名前を呼ばれたと思ったら手違いだったなんて、想像できないくらいショックだったでしょうね。もうこんなことが起こらないといいのですが」 「そうしたら、アカデミー賞において手違いでタイトルを呼ばれた〈唯一の〉映画であり続けられるもんね!!」 「なぜそんなムダにポジティブなのですか……」

目/網/網目 - 草間彌生「わが永遠の魂」

国立新美術館に行って、草間彌生の個展「わが永遠の魂」を観てきた。 入って2つ目の部屋が圧巻だった。大部屋の四方の壁が作品で敷き詰められている。中央にも立体の造形物が配置されている。もう、この部屋だけで情報量過多。黄緑色と橙色、水色と桃色、紫色と黒。目眩を催す色彩。 水玉がかわいい。そんな牧歌的な印象が雲散霧消した。この表現の起点は、もっとずっと強迫観念めいているに違いない(違ったとしても一度そう感じてしまったことは否定できないので、その印象に基づいて思いを巡らせてみる)。 水玉はソフィストケイトされてパターンに見える。無限の〈網〉と形容されている作品群もある。けれど、「水玉」は「目玉」であり、「無限の網」は「無限の網〈目〉」じゃないんだろうか。 一度そう考えてしまうと、無数の目がシマウマのシマに見えてくる。一見、派手に見えるのだけれど、世界が目玉で埋め尽くされてるなら、自らを目玉で覆えばカムフラージュとして機能する。これらの作品群は隠れるための逃避なのかもしれない。 でも、それにしては目力に満ち満ちている。あるいは、視線を跳ね返すための反撃なのかもしれない。 そんな益体もないことを考える。

自製の辞世 - 自生の夢

『グラン・ヴァカンス』 や 『ラギッド・ガール』 の作者・飛浩隆の短篇集。 全6篇のうち2篇―― 『現代詩手帖2015年5月号』 掲載の『野生の詩藻』(本書掲載時に『La Poésie sauvage』から改題)、 『Visions』 掲載の『海の指』――は初出を読んでいた。 『海の指』は先月読んだばかりなので飛ばしてしまったけれど、『野生の詩藻』は新鮮な気持ちで読めた。当時は描かれている世界をイメージしにくかったのだけれど、『#銀の匙』と『曠野にて』を読んでこの世界の成り立ちを知った後なら、ずっと大きく想像を膨らませられる。 一連となっているこれら3篇は〈 忌字禍 ( イマジカ ) 〉シリーズとでも呼べばいいんだろうか。文字が躍り驚異とすらなる世界が、恐ろしくも魅惑的(なお『海の指』も別レイヤーの世界として参照されている)。 最後に掲載されている『はるかな響き』も印象的だった。感傷的だったとも言える。スケールの振れ幅がダイナミックで、心が揺さぶられる。宇宙の広大さと日常の哀愁がオーバーラップする不思議な感覚に包まれて、伝染してくる物悲しさへの抵抗が落ちる。

UShi Ga jacket - Unison Square Garden/Dr. Izzy

Unison Square Gardenの『Dr. Izzy』を聴いている。 アニメ『血界戦線』のエンディング曲『シュガーソングとビターステップ』がよかったので、収録されているアルバムが出たらそれも聴こうと思っていたのをふと思い出して。 いつの間にかアルバムが発売されて半年近く経っていた。不思議 (でもないか。珍しくない程度にはこういうことがある)。 『シュガーソングとビターステップ』だけじゃなくて、他のどの曲もよかった。言い換えると、当時あれだけシングルで1曲リピートしていた『シュガーソングとビターステップ』が浮いておらず、アルバムとして馴染んでいる。 でも単調というわけではない。アルバムの展開も各曲の展開と同じようにうまくハズしてきてくれる。あ、そっち行くんだ!? みたいな。 アルバムというパッケージングの良さが改めて感じられる一枚。

still moves - それでも町は廻っている (16)

『それでも町は廻っている (16)』を読んだ。 単行本派だけれど、連載誌『ヤングキングアワーズ』に掲載された最終話が悪い意味で話題になっていたようなのは、Twitterのタイムラインで何となく察していた。 そんなわけで、期待半分不安半分だったのだけれど、これはこれで『それ町』っぽいよなっと思ったり。 そんなことよりエピローグがよかった。じわっと来る。 のだけれど、そう言えばこの作品は時系列がシャッフルされていたことを、あとがきで思い出す。遅ればせながらタイムテーブルが載っているという 『それでも町は廻っている 公式ガイドブック廻覧板』 を買おうとしたら、既に売り切れ。これだけKindle版を買うのも抵抗があるけれど、速く読みたい気持ちもあり、増刷を待つか逡巡中(している間に増刷されないかな)。