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9月, 2011の投稿を表示しています

本当の本

『ザ・ウォーカー (原題: "The Book Of Eli")』 を観た。 『ザ・ロード』( 感想 )と同じく、荒廃した世界を舞台にしたロード・ムービー。 彩度は低め、コントラストは高めの、陰影のくっきりしたモノトーン調の映像が美しい。 そういえば、『ザ・ロード』も彩度が低めだった。ディストピアは灰色のイメージなんだろうか。 原題から想像できるように、物語は、Eli (イーライ) が持つ1冊の本を中心に巡る。 同じく本がキーアイテムになっている小説『古書の来歴』( 感想 )、『ダンタリアンの書架』( 感想 )、『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』( 感想 )はミステリだったりファンタジーだったりするけれど、本作はアクション。 主人公イーライの刀捌きが鋭くて、いい感じ。 シナリオも、単純過ぎず、複雑過ぎず、良かったと思う。 エンディングまで観たところで、伏線だったと気がつくシーンがちらほら。 自分の場合、これくらいがちょうど良い。

とととと

『ヤギと男と男と壁と (原題: "The Men Who Stare at Goats")』を観た。 アメリカに実在した超能力部隊を題材にしたノンフィクション 『実録・アメリカ超能力部隊』 が原作。 コメディに分類されているけれど、笑えるような笑えないような。 笑えるとしても、ブラックあるいはシニカルな笑い。 奇想天外兵器で紹介されるような兵器もそうだけれど、実行に至った意思決定プロセスが気になる。

アフター・プレデターズ

『プレデターズ (原題: "Predetors")』 を観た。 クリーチャーとして見ると怖さが足りないし、戦士として見ると矜恃が足りないように感じた。 トラップを仕掛けたり、猟犬相当のクリーチャーを放ったり、と遠回しで、地球外知性体の割には発想が人間臭い。 それだけ武装した人間を警戒しているということなのかもしれないけれど、そんな警戒しているならわざわざ集めるなよ、とも思う。と、なんかもやもやした印象。 そんなこと気にせずB級ホラーとして観るなら楽しめるように思う。 そういう意味では、ヤクザとの対決が一番面白かった。

ヴェロシラプトォ!!

Kasabian の4枚目のスタジオアルバム "Velociraptor!" を聴いている。 これまでで一番聴きやすい印象。 1曲目 "Let's Roll Just Like We Used To " が抑え目だからか、すんなり入っていける。 アルバム発売前から公開されていた、"Days Are Forgotten", "Switchblade Smiles", "Velociraptor!" のようなこれまでの路線を踏襲した曲もあれば、3曲目 "Goodbye Kiss " のような普通過ぎて逆に驚く曲もあったり、と相変わらず引き出しが多くて聴きがいがある。

Data is Beautiful

『ビューティフルデータ』 を読んだ。 本書は次の20章からなる。「データ」という一応のテーマはあるけれど、テーマ自体が広いから、各章の内容はバラエティに富んでいる。 1章 データの中に生活を見る 2章 ビューティフル・ピープル─ユーザの存在を忘れることなくデータ収集の手段をデザインする 3章 火星上での組み込み画像処理 4章 PNUTShellにおけるクラウドストレージの設計 5章 情報プラットフォームと データサイエンティストの登場 6章 写真アーカイブの地理学的な美 7章 データの自己発見 8章 リアルタイムのポータブルデータ 9章 ディープウェブを活用する 10章 Radiohead「House of Cards」の プロモーションビデオができるまで 11章 都市データの視覚化 12章 sense.usの設計 13章 データでできないこと 14章 自然言語のコーパスデータ 15章 データの中の生命:DNA物語 16章 実世界のデータをビューティフルにする 17章 外見のデータ解析:数百万人の社会的ステロタイプ調査 18章 ベイエリア・ブルース:住宅市場崩壊の影響 19章 政治に関するビューティフルデータ 20章 データをつなぐ 自分が面白いと思ったのは、2章、3章、7章、10章、20章の5章。 2章は、データそのものではなくデータを集めるプロセスについての話。 ここがしっかりしていないと、汚れたデータしか集まらなくて、分析しようと思った時に泣かされる。 3章は、火星探査機とのデータの授受に関する話。 制約が普通では考えられないくらい厳しいときに、どう考えていたのかが垣間見えて新鮮。 7章は、データが追加された時に、既存のデータが反応するような系を考えている。 研究のベースとなるアイディアを説明している印象。 10章は、データを使った死角化の話。 センシングの話が面白い。実世界からデータが自動的に取れるって楽しそう。 20章は、異なるスキーマを持つデータベースをどうつなげるか、という話。 異なるスキーマで記録されているけれど、同一の実態を指すレコードをどう同定するか? について考えている。 基本的なアイディアは、色んな情報が一致していたら、多少違っても同じだとみなそう、というもの。

不完全熱唱

Serj Tankian の "Imperfect Harmonies" を聴いている。 本作は、System Of A Down (SOAD) が休止して、ソロ活動を始めた Serj Tankian の2枚目のアルバム。 前作 "Elect The Dead" が SOAD らしい曲も残るロックアルバムだったのに対して、今回は打ち込みやバイオリンが目立つ不思議な作分。 エレクトロ・オーケストラル・ジャズ・ロックの秘密|Warner Music Japan によると、本人曰く「エレクトロ・オーケストラル・ジャズ・ロック」とのこと。 ジャンルは何だかよく分からないけれど、、声もメロディーも独特だからか、すぐに Serj Tankian だと分かるところが面白い。

終わればこそ

Rhymster の 『フラッシュバック、夏。』 を聴いている。 全9曲だけれど、『サマー・アンセム』がリミックス等で5曲を占めるので、フルアルバムと考えると物足りない。 でも、この5曲が、アッパーだったり、ほろ苦かったり、男臭かったり、とバリエーション豊かで聴いていて飽きない。 夏というテーマのおかげか、前作『POP LIFE』( 感想 )より気軽に聴けるように思う。

リズムリズムリズム

Perfume の 『⊿ (トライアングル)』 や 『GAME』 を聴いている。 Summer Sonic 2011 1日目 でライブを観てみたら、楽しかったのでアルバムにも手を出してみた。 ライブではアップテンポな曲が多かったけれど、アルバムにはしっとりとした曲もあって、緩急がついて良い感じ。

一本角・プラモデル

HFUC のユニコーンガンダム (ユニコーンモード) を衝動買い。 久し振りにガンプラを作ったら、特に塗装も何もしなくてもかなりいい感じに仕上がって、技術の進歩を感じた。 人っぽいガンダム顔よりモノアイなどの方が好きなので、ユニコーンガンダムはデストロイモードより、ユニコーンモードの方が好き。 クシャトリヤも欲しいけれど、置き場がない。

銃弾は貫く

映画 『トゥルー・グリット (原題 "True Grit")』 を観た。 そう言えば、西部劇らしい西部劇を観るのは初めてかもしれない。 登場人物が魅力的。 主人公マティがタフ。とても14歳とは思えない。 でも、やっていることは、復讐。 それから、保安官コグバーンが、酒飲みな点も含めて、良い意味で男臭い。 マティには優しさを見せるけれど、居住区の子供を蹴散らしたり、と結構いやかなり酷い。 この辺りの複雑さも含めて、みんな面白い。

幽霊からのテキスト

映画『ゴーストライター (原題: The Ghost)』を観た。 中盤から、加速度的に面白くなってくる。 謎が明かされ始めると、どんどん引き込まれていいく。 一方で、序盤は全容が掴めないし、ゆったりと始まるので、少し眠たくなってしまった。 けれど、しっかり伏線が張られていたので、もう少しっかり観ておけばよかった、と思う。 ドライなエンディングも良い。

一本角・三本目

『機動戦士ガンダムUC 3』 を観た。 こんどはロンド・ベル、エコーズのおっさんが格好良い。 最初は小物に見えたネェル・アーガマしかり、ダグザしかり。 それから、マリーダの出生の秘密が意外だった。 これも過去作品から繋がっている。

一本角・二本目

『機動戦士ガンダムUC 2』 を観た。 『機動戦士ガンダムUC 1』 ( 感想 ) はほとんど状況説明に終始していたけれど、そのおかげで今回から動き始めた話にすんなり入っていけた。 袖付きのキャラクタの方が、今のところ魅力的。 ヒロイン・オードリーが素敵で、仮面の男フルフロンタルが紳士。マリーダも忠義に厚い。 ところで、フルフロンタルのMSシナンジュがサザビーっぽいな、と思っていたら、アナハイム・エレクトロニクス社製。 クイン・マンサをダウンサイジングしたのがクシャトリヤなど、こういう繋がりが用意されているのは嬉しい。

無駄のない装飾

『ブラック・スワン (原題: Black Swan)』 を観た。 ブラック・スワンと聞いて自分が想像するのは、ナシーム・ニコラス・タレブの著書。 こちらのタイトルも 『ブラック・スワン』 ( [上]感想 、 [下]感想 )で、「予測不可能な不確実性」を象徴している。 一方、本作のブラック・スワンは、 バレエ『白鳥の湖』に出てくる黒鳥を表している。 自分は『白鳥の湖』に黒鳥が出てくることも知らなければ、そもそもあらすじさえ知らないくらいバレエには疎いけれど、そんなことは関係なく本作は楽しめた。 楽しめると言っても、楽しい映画ではないけれど。 形容するなら、美しくて、醜くて、危うい。 そして、研ぎ澄まされている。 無駄がないから、想像の余地が生まれる。

ウォール・ストリートの壁

『ウォール街 (原題: Wall Street)』 を見た。 2ヶ月ほど前に観た 『ウォール・ストリート』 ( 感想 ) は、本作の続編にあたる。 いかんせん、時代が古い。 アメリカで公開されたのが、1987年。 慌ただしく電話をかけて株を売り買いしたりしている。 何だか牧歌的にさえ見える。 でも、確かに、安いメロドラマがなくて、物語としては好み。 やはり、特にゲッコー。 続編を先に観たのでどうなるか分かっていたけれど、それを差し引いても印象的。 主人公バドを食ってしまっている。 だからと言って、証券会社に入りたいとは思わない。 統計を囓って、ナシーム・ニコラス・タレブの 『まぐれ』 ( 感想 )や 『ブラック・スワン』 ( [上]感想 、 [下]感想 )を読んで、株価は予測できないと思うようになった。

ブレード両断

特撮リボルテック オプティマス・プライム を買った。 タカラトミーのフィギュアと違って変形はできないけれど、こちらの方が可動範囲がずっと広い。 色々とポーズをつけられて楽しい。 公式サイトのカタログ みたいに上手く出来たら、もっと嬉しいのだけれど。 それはさておき、上の写真には使っていないけれど、マシンガンが5つも付属している。 繋げてバズーカみたいにしたり、手に持たせるだけでなく、肩に装着させたりと、遊び甲斐がある。 ただ、可動範囲の広さ・可動箇所の多さが裏目に出て、自重や武器の重さに耐えられないことがしばしば。 特に、5のマシンガンを1つに組み立てて大型火器に出来るのだけれど、これはまず持ちきれない。 ちょっと残念。 でも、フォルムに違和感はないし、ディティールも作り込まれていて、見栄えは良好。

弱さわさわさ

『思想地図β vol.2』 を読んだ。 津田大介氏のルポルタージュ『ソーシャルメディアは東北を再生可能か』の読み応えが抜群。 特に避難所側の問題についての言及は、自分に欠けていた視点だったので、何度も読み返した。 それから、この種の問題があまりマスメディアで報じられない理由が『「弱者は善良である」という前提』にあるという指摘は、その通りだと思う。 この前提を覆すと、酷い目に遭う。 ヒルバーグは、(1)ユダヤ人の絶滅は「国策」であり、ドイツ全体が国を挙げて荷担した事業である、(2)ドイツ人が行政面で通達に従順にしたがうユダヤ人に頼り、ユダヤ人は自らの絶滅の共謀者になった、という2つの重大な指摘を行い、特に後者の結論を譲らなかったことで論争を招く。 ラウル・ヒルバーグ - Wikipedia 「論争を招く」と書かれているけれど、自伝 『記憶―ホロコーストの真実を求めて』 では、そんな生易しいものではなかったように書かれいてた記憶がある。 10年以上も前に読んだ本なので、当てにならないかもしれないけれど。 それはさておき、この前提は、そうとう根深くて、日常レベルでも染みついているとと思う。 例えば、慣用句「強きを挫き弱きを助く」に違和感を感じないのは、この前提が内面化してしまっているからじゃないだろうか。 ただ、一度疑問に思って考え直してみると、全然前提じゃない。 弱いけれど助けて貰える仕組みがあるのは、助けて貰えない弱者がそういう仕組みを勝ち取ったからであって、むしろその前は迫害されていることがある。 そう言えば、先日観た映画 『ミルク』 ( 感想 )では、ゲイというマイノリティ(= 選挙における弱者) の権利回復のために戦ったハーヴィー・ミルクが描かれていた。 自分で道をつける人とその周りでその人を後押しする人を見ると、〈物語〉シリーズの忍野メメのモットー「自分は助けない、相手が自分で勝手に助かるだけ」を思い出す。 スタート地点によって、手助けとか後押しとか支援とか援助とか呼ばれる類が必要かも知れないけれど、少なくとも最後はそうだよな、と思う。 そうでなければ、助かったとは言えないと思う。助けられた側はそう思うことがあるかもしれないけれど、少なくとも、助ける側はいつまでも助け続けられはしない。

Dear Rhodia,

ロディア (メモパッド) がなくなりかけていたので買いに行ったら、1000円未満でかわいカバーがあったので買ってしまった。 商品名はロディア11インカラー by ボブファンデーション。3種類あったけれど、ジッパーを選んだ。 ちなみに、残り2種類のバリエーションは、ボタンとネクタイ。 3種類とも オンラインショップ で写真を確認できるけれど、実物は写真より赤が抑えめな印象。 これくらいの方が、目が痛くならなくて良い。 ともあれ、これで切り取ったメモを入れる場所ができた。

ホラ、あなたのすぐ側に

『境界線上のホライゾン4〈上〉』 を読んだ。 表紙は、本巻から登場の伊達・成美。 本巻は、次巻以降に向けて色々と溜めている印象。 電撃文庫&電撃文庫MAGAZINE の来月の新刊に、『境界線上のホライゾンIV〈中〉』があって、来月はまだ結末が分からないのか、と残念に思う一方で、安心もした。 本巻で600ページ以上に渡り溜めに溜めているので、上下構成ではまとまりそうにない。 色々と気になることだらけだけれど、自分は本多・二代がどう成長してくのかが楽しみ。 武蔵内で圧倒的に強い上に、性格も飄々としていたせいか、迷いとは無縁に見えていたのが、本巻では違った面が見えてきて、俄然気になる。 来月は、次巻発売に加えて、アニメも始まる。楽しみ。 

もしもの灯火

映画『グリーンランタン (原題: Green Lantern)』を観てきた。 リングに選ばれたり、実は沢山いたり、宇宙を守っていたり、と何となくレンズマンを思い出す。 初出の年代が1940年あたりと近いのだけれど、この時期はこういう設定が流行だったんだろうか。

特に意味は無い

iPad版『Steins;Gate』( 公式サイト ) のエンディングをコンプリートした。 睡眠時間は犠牲になったのだ。 アニメが面白かったので、ゲームにも手を出したら、この始末。 SFとしての設定も巧みだけれど、主人公・岡部 倫太郎のキャラクタが良い。 最初、「狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院 凶真」と名乗りだした時は、痛い人にしか見えなかった。「狂気の」と「マッド」が、重複しているのも気になった。 けれど、物語が進むにつれてだんだんと違った側面が見えてきて、「狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院  凶真」も悪くないな、と思うようになっていた。 それから、「助手」あるいは「クリスティーナ」こと牧瀬 紅莉栖も裏表があって素敵。 17歳にしてアメリカで大学を卒業している天才のはずなのに、 しばしば脇が甘い発言をしては慌てているところが可愛らしい。 対照的に、「まゆしぃ☆」こと椎名 まゆりと、「ダル」こと橋田 至は、ブレない。 特に、ダル。徹頭徹尾、変態という名の紳士。 あそこまでいくと、最早清々しささえ感じるような。 エル・プサイ・コングルゥ。

残暑の火

『ダンタリアンの書架6』 を読み終えた。 7巻 ( 感想 )、 8巻 ( 感想 )を先に読んでしまうというトラブルもあったけれど、これで既読を読み終えたことになる。 何だか、もの寂しいような。

古書の書庫

『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』 を読んだ。 本書は短篇連作形式の作品で、次の4話+プロローグ、エピローグから構成されている。 夏目漱石 『漱石全集・新書版』 (岩波書店) 小山清 『落穂拾ひ・聖アンデルセン』 (新潮文庫) ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫) 太宰治 『晩年』 (砂子屋書房) とても丁寧に書かれて、安心して楽しめた。 自分は物としての本にそんなに執着はないけれど、それでも古書にまつわるウンチクが面白い。 ただ、丁寧な分、アクロバットはないので、ミステリィとして読むと少し物足りない。 ミステリィ方向に突き詰めると一見さんお断りになるので、広く読んで貰おうとしたらこれくらいの方がいいのかも。 ところで、サブタイトルが、 『しずるさんと偏屈な死者たち』 を思い出させる。 「○○さんと△△な□□たち」という構文が共通。 ヒロインの役割が安楽椅子探偵という点も共通している。

エリのために

『ぼくのエリ (原題: Låt den rätte komma in)』 を観た。 いい雰囲気。 静かで、恐ろしくて、美しくて、切なくて、危うい。 エリが動き出してからが特に。 言い換えると、それまでは少し静か過ぎるかも。 ハリウッドリメイク版『モールス』( 公式サイト ) も気になる。 こちらは、エリを『キック・アス (原題 "Kick-Ass")』 ( 感想 ) でヒット・ガールを演じた女の子が演じている。 こちらも観てみたいな。

ルカラン "I'm with you" - Red Hot Chili Peppers

Red Hot Chili Peppers の "I'm With You" を聴いている。 本作は、前作 "Stadium Arcadium" から5年振り10作目のスタジオアルバム。ギタリストが、ジョン・フルシアンテから、ジョシュ・キリングホッファーに代わって、最初のアルバムでもある。 ジョンの、咽び泣くような演奏に比べれば、さすがに控え目。 何よりまず驚いたのは、色んな楽器が使われていること。8. Did I Let You Knowではトランペットが、12. Even You Brutus? ではピアノが使われている。8. が爽やかで、心地良い。 一方で、もっとギターが前に出て欲しいと思った曲もある。9. Goodbye Hoorayがそれ。せっかく格好良いのに。でも、これは、ギターじゃなくて、プロダクションのせいかもしれない。少なくとも、 Summer Sonic 2011 2日目 で観たライブでは、全くそう思わなかった。 ともあれ、2枚組とボリュームがある上に、全編を通して掻き毟るようなギターが響く前作よりずっと聴きやすい。メロディーが素敵で癖になりそう。

No 才能

雑誌 『COURRiER Japon 2011年 10月号』 を読んだ。 今月号の特集『すべては「心理」が決めていた』は前から関心があった分野だから、面白く読めた。 特に面白かったのは、『成功する人に共通する「才能」よりも重要な「心理的な特徴」とは』。 「才能」は、過大評価されている。 先日読んだ 『錯覚の科学』 ( 感想 )では、「可能性の錯覚」と表現している。 より重要だというその特徴は、「根性 (grit)」だそうだ。 最初、この単語から精神論を想像したけれど、もちろんそうではない。 重要なのは、長期間に渡る継続的な努力だ。 「1万時間の法則」を思い出す。 これは。プロフェッショナルになるには、1万時間に渡る方向性を持った練習が必要だという主張だ。 1年365日毎日4時間練習しても、1万時間に達するには2500日≒8年かかる。 これだけの継続は、「やればできる」類のものではない。 実際、この法則を広めたマルコム・グラッドウェルはインタビュー 成功は、1万時間の努力がもたらす:日経ビジネスオンライン でこんな風に答えている。 一つは、「集中して1万時間練習する必要がある」と知ることと、実際に実行することは別であること。1万時間の核心は、それが非常に長いことだ。1万時間の練習を積むためには、10年間はかかるだろう。excellence(卓越)に達するために10年間自分をコミットさせるのは、非常に気が遠くなるようなことである。 これはこれで一つの才能だと思う。

アーカイヴとイヴ - アーカイヴの病

『アーカイヴの病』を読んだ。 本書は、ロンドン・フロイト博物館などが開催した『記憶――アーカイヴの問い』という国際会議で行われた講演。 ほとんど分からなかった。本書の外にある文脈が、今の自分には大き過ぎる印象。さすがにフロイトの名前は知っていたけれど、何度も言及されるイェルシャルミは初めて聞いた。 でも、次の箇所は面白かった。 私はここで、概念の厳密さを、曖昧さや開かれた不正確さに、そのような想念 [notion] の総体的な非決定性に対置している。「アーカイヴ」は単に想念であり、或る語に連合した印象であり、それに対してフロイトもわれわれも、何ら概念を有していない。 最初は「じゃあ、何について語っているんだよ」と思ったけれど、今は、ほとんどの会話はそんなものだよな、と思い直している。 日常言語を使っての議論はどこまで厳密にできるんだろう。

虎になった

アニメ『Tiger & Bunny』の鏑木・T・虎徹を描いてみた。 情けない面もあり、心強い面もあり、いいキャラクタ。 残念ながらデッサン崩れている感が否めない。 あと、もっとオッサン臭さを描けると良いのだけれど。 そう言えば、いくつなんだろうか。 30代前半位のイメージで描いていたけれど、娘の楓の年齢を考えると、もう少し上か?

他者の意味

「ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む」 を読んだ。 本書は 『はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 』 ( 感想 )と同じ著者の作品。 本書の方が堅いし、難い。 本書のテーマは、ウィトゲンシュタインの 『論理哲学論考 (以降、『論考』)』 。 『論考』を次のように捉える著者とともに、『論考』を読んでいく本。 『論考』は、この現実とこの言語を引き受けた私がどれほどのことを考えうるのかを確定しようとした著作である。 『論考』を読んだことがないので、本書を読んだ体験との比較はできない。 でも、少なくとも、『論考』を読んでなくても、本書は面白いと思う。 特に、著者がときどき『論考』の一部に反論して、全体の整合性を高めようとしている所。 最後の第14章に至っては、「『論考』の向こう」と題して、その先を目指そうとしている。 自分にとって最も印象的だったのは、「意味の他者」に関する次の一文。 この主張は、第14章でなされており、『論考』から引き出されるものではなく、著者自身の主張。 いまは理解できないが、きっと理解できるようになるはずだという希望、その誘惑の力、これが他者なのである。 乱暴に自分の理解をまとめると、言語・文化・分野・文脈・習慣などが異なれば、最初はコミュニケーションがままならないだろうけれど、遣り取りを続けていく内にスムーズになっていくはず、という希望。 この楽観が、心強い。