スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(知念実希人)が付いた投稿を表示しています

社会と病 - 天久鷹央の推理カルテIV

『天久鷹央の推理カルテIV―悲恋のシンドローム―』を読んだ。 収録内容は次の通り。 プロローグ 迷い込んだ呪い ゴミに眠る宝 瞬間移動した女 エピローグ 「瞬間移動した女」がほろ苦さが染みる。社会と病とアイデンティティーの問題は、殺人事件と違って真相が解き明かされて犯人が逮捕されるようなことがない。 という真面目なことも考えつつ、天久先生が小鳥遊先生を頼り始めたのも気になるところ。天久先生は、どんな気持ちで小鳥遊先生に託したんだろうなぁ。

prost! - 神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶

『神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶』を読んだ。 サブタイトルにあるとおり、今回の鍵は〈記憶〉。記憶喪失患者を巡る物語。 キーパーソンが記憶喪失患者なのは、神酒クリニックには天久翼がいるからだろう。相手の考えを読み取れてしまうから、こうでもしないと隠し事が成立しない。 そう考えると、天久翼のこの能力、依頼者は犯人ではないというメタ推理の材料になっているよなぁ。うーん、自分の嘘を事実と信じ切っているパターンもあるか。 何はともあれ、今回も神酒が楽しそうでなによりだ。

白衣強気の博覧強記 - 天久鷹央の事件カルテ

『天久鷹央の事件カルテ―スフィアの死天使』を読んだ。 短篇集の『推理カルテ』と違ってこちらは長篇。長篇らしく明かされる謎が派手派手しい。ちょっと派手派手し過ぎて、現実味が薄れてしまった印象。自分には、短篇集で繰り広げられるくらいの事件の方がすんなり入ってくる。 『神酒クリニックで乾杯を』だったら、これもありな気がするけれど( 続編『淡雪の記憶 神酒クリニックで乾杯を』が4/23に発売予定。 こちらも楽しみ)。 でも、続きが出たら長篇も読むと思う ( 今夏発売予定 )。「事件カルテ」では「推理カルテ」ではほとんど触れられない天久先生や小鳥先生のバックグラウンドが描かれている。 その前に『天久鷹央の推理カルテIV―悲恋のシンドローム』のKindle化を待たねば。

偏執edition - 天久鷹央の推理カルテIII

『天久鷹央の推理カルテIII―密室のパラノイア―』を読んだ。 ざっくりいうと、天久先生と小鳥遊先生と関係に雨が降って地が固まった。天久先生は、他人との遣り取りに免疫がついただろうか。彼女は(天才医師を相手におこがましい話だ)かわらしく見えるけれど、小鳥遊先生を媒介に周囲とやっていけるようになる前は、相当に生き辛かっただろうなぁ。 そうそう 『神酒クリニックで乾杯を』 に出ていた桜井刑事がこちらにも登場していた。そのうちクロスオーバーするのか、それともこういう薄い接点だけに留まるのか。 次は長篇『スフィアの死天使―天久鷹央の事件カルテ―』。ナンバリングを止めたのか思ったけれど、さらにその次の短篇集『天久鷹央の推理カルテIV―悲恋のシンドローム―』が出ている。タイトルや長篇/短篇集の形式の差異を鑑みるに、短篇集は「推理カルテ」で長篇は「事件カルテ」で、それぞれナンバリングされていくのかな。

Cheers! - 神酒クリニックで乾杯を

『神酒クリニックで乾杯を』を読んだ。 「天久鷹央の推理カルテ」 シリーズや 『改貌屋』 と同じ作者の作品。 タイトルに「クリニック」とあるし、主要な登場人物は医者なんだけれど、医療要素は薄め。鷹央や柊を超える天才というかもはや超人も出てきて、何でもあり感が否めない。「陽気なギャングが地球を回す」シリーズを連想したのは、先日たまたま数年振りの続編が出ているのは見かけたからだろうか。 正直な感想としては、本作を単品で見ると「天久鷹央の推理カルテ」シリーズや『改貌屋』に比べると魅力に欠ける。一応ミステリィと言えばミステリィなんだけれど、みんな超人医師だから緊迫感をなくて、どうにも盛り上がれない。普通のミステリィならダイイングメッセージを残すのがやっとの瀕死の被害者も、この面々ならその医療技術で救って犯人を聞き出しかねない。それはそれでアンチミステリィとして痛快な気もするが。 でも、本作は位置づけがおもしろいので、今後に期待。本作は、作品間をつなぐハブの位置にある。「天久鷹央の推理カルテ」シリーズと舞台が同じなのは明らかだし、『改貌屋』とのつながりも示唆されている。『改貌屋』も本作もシリーズ化して、つなげていくための布石だと思うと楽しみ。

masked - 改貌屋

『改貌屋』を読んだ。 シリーズの 『I』 、 『II』 が面白かったので、同作者のこちらも。 こちらも医療ミステリィの範疇。こちらの主人公は、サブタイトル「天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ」に書いてあるとおり、美容外科医。作中では、柊は「形成」外科医と名乗っている。「整形」外科医ではない。 こちらの方が〈天久鷹央の推理カルテ〉シリーズより好みだった。一番の理由は、柊というキャラクタの面白さ。(形成外科は自由診療だから規制する法はないのだけれど)法外な手術費をふっかけるけれど、腕は最高。まるでブラックジャックだ。 診療科が美容形成と、自分にとっては新鮮だったのもよかったのかもしれない。作中の蘊蓄も知らないことばかりだった。形成外科と整形外科の違いとか。 こちらも続いてシリーズ化するといいな。

鷹央の別の顔- 天久鷹央の推理カルテ II

『天久鷹央の推理カルテII―ファントムの病棟―』を読んだ。 前巻 と同じく短篇連作形式。収録されているのは次の3篇。 甘い毒 吸血鬼症候群 天使の舞い降りる夜 さらっと読める割には、最後にはずしりと重いからズルい。鷹央先生の脆さが描かれていたのが印象的。その天才ぶりで小鳥先生を振り回している普段の姿からは、想像もつかない姿だった。 この後は『III』、『スフィアの死天使』と続く。些細だけれど、『VI』相当から通し番号がなくなったのが、タイトルを忘れがちな自分には地味に辛い。

めくるめく天久 - 天久鷹央の推理カルテ

『天久鷹央の推理カルテ』を読んだ。 とても読みやすかった。キャラクタの関係がライトノベルでよく見る構図――童顔の天才女医・天久に振り回される小鳥遊――だし、ミステリィでよく見る配役――ホームズ役=天久でワトソン役=小鳥遊――だからだと思う。加えて、小鳥遊視線固定の短篇連作だから、すんなり入れて短時間でキリがつく手軽さ。 表面上はテンプレを利用しているから読みやすいけれど、内容は普遍的な問題――医療に関する倫理や社会問題が扱われていて、読後感は割り切りがたい。特にKarte.03には胸に迫るものがあった(ネタバレしたくないので詳細は書かない)。 内容に直接触れないために「何でないか」書いてみる。まず、総合病院が舞台なだけあって、人の死なない日常系ミステリィではない。反対に、何人も記号的に死んでいく本格ミステリィでもない(見立て殺人とか見立て殺人にミスリードするための死体損壊とか、交換殺人とか木を隠す森を作るための連続殺人とか)。 強いて言えば、周囲を振り回す天才医師の活躍が描かれているという雑な括りで、『Dr. House』が近い。医療を題材にした作品をそんなに知らない中での連想だけれど 。 ともあれ、よかったので、続刊も読もう。