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7月, 2009の投稿を表示しています

技巧の講義

『小説の技巧』 を読んだ。 消化不良の感が否めない。 タイトルから期待したことが、内容とずれていたからだと思う。 『技巧』という言葉から形式的な内容を期待していたけれど、本書に書かれているのは暗黙知だ。 原題の"art"を意識して読んだらまた違ったかも知れない。 ところで、著者の書いた小説がちょっと気になる。

会議は踊る

『問題解決ファシリテーター』 を読んだ。 同じ著者の 『ファシリテーション入門』 と比べると、本書の方がこなれていないように感じた。 『ファシリテーション入門』の方が後に書かれているのと、新書形式なので読みやすい。 本書はビジネス以外でのファシリテーションにも触れられているので、用途次第ではある。

ほくほくハック

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』 を読んだので、何か行動に移せることがないかと考えてみた。 これだ!!と思ったのは、これ。 これはかなり幸運な人の場合だが、職場で人にわずらわされない自分の空間があり、平日だけ働いているのであれば、金曜の就業時間を2時間早めてレビューするといいだろう。この方法が望ましい理由は3つある。 その週のことをまだ覚えているのでレビューをスムーズに行うことができ、「彼女にあれを確認しておかないと」といったことに気づきやすい。 職場の人に関連した行動が見つかったとき(必ず見つかる)、週明けまで待たずに行動することができる。 金曜日にすっかりレビューできていれば、すべてを忘れて週末を存分に楽しむことができる。 自分の空間はないけれど、今のところ土日は休みだ。 早速、明日職場でプロジェクトのレビューを予定に組み入れてみよう。 特に三つ目の理由が素晴らしい。

プラン譚

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』 を読んだ。 GTDでは、徹頭徹尾、頭の中から余計なことを取り出すことを勧めている。 端的な例が、次の一文だ。 こうしたプランニングは、どこまで細かく詰め、どの程度まで具体化すべきだろうか。答えは簡単だ。気になるプロジェクトが「気にならなくなるまで」である。 気になることが頭の中にある限り、能率は低下するという思想らしい。確かに、普段の生活でもそう感じることは多い。 今まで中途半端に取り入れてきたのだけれど、改めて本格的に「収集」してみようかな。

Self Reliance, Reliable System

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』 を読んでいる。現在の進行は、約20%。 本書では、『GTD (Getting Things Done)』という仕事の進め方を、開発者自ら紹介している。 GTDについては、多くのブログがTIPSを紹介していて、その一部を自分も取り入れている。 ただ、行き詰まりを感じ始めたので、基本を押さえるために、本書を読むことにした。 まだ読み始めたばかりだけれど、早速収穫があった。 収穫は、基本原則の一つに付いていた、以下の解説だ。 終わっていないと感じているすべてのことを、頭の外の信頼できるシステムに預ける必要がある。 自分が行き詰まりを感じている一つの理由は、預け先のシステムを信頼できていないところだ。 そのため、頭の中からなくならないばかりか「預けてあるか確認する」という仕事が増えている。 システムを改善する必要がある。 改善指針が本書に書かれているといいな、と期待している。

確率・統計の調理法

『運は数学にまかせなさい―確率・統計に学ぶ処世術』 を読んだ。 確率・統計に関する本を何冊(ここ1年で20冊くらい)か読んでいると、トピックが重複していることに気がつく(例えば誕生日問題)。 だからと言って、本書が詰まらないということにはならない。 同じトピックを扱っていても、語り口によって印象は全く異なる。 本書のユーモアを交えたカジュアルな語り口は、確率・統計という敬遠されがちなテーマにも、関心を引き起こしてくれる。 ほとんどのトピックが既知でも、確率・統計をこんな風に調理できるのか、と楽しめた。

Over Power

『HANCOCK』 を観た。 前半~中盤までは面白かったけれど、最後の展開はちょっと唐突に感じ、興が醒めてしまった。 ヴィラン(仇敵)がいなかったからだろうか。 ウィル・スミス演じるハンコックは、魅力的だったのでもう一押しあれば、すごく気に入ったんじゃないか、と思う。 そして、そう思うだけに、何だか勿体ない印象が残る。

熱力学第二法則

『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』 を観た。 新キャラであるエクトプラズムのブライアン・クラウスが良い味を出していた。 毎回ちょっとずつ拡散していっているように見えたけれど、大丈夫なんだろうか。 もちろん他の面々もみんな活躍している。

忠犬か走狗か

『ダニー・ザ・ドッグ』 を観た。 さすがに主人公ダニー(ジェット・リー)のアクションシーンは素晴らしい。 それだけでなく、新旧の家族――盲目のピアニスト(モーガン・フリーマン)、マフィアのボス(ボブ・ホスキンス)とのやりとりにも、思わず引き込まれた。 首輪を外すと凶暴化するというダニーの設定はマンガみたいで少し気になったけれど、シナリオは分かり易い。 アクションにも演技にも力が入っているからこそ、このシナリオが活きてくるんだろう、と思う。

申し子

『ヘルボーイ』 を観た。 理由は二つ。 一つは、 『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』 を観る前の予習。 もう一つは、 『パンズ・ラビリンス』 と同じデル・トロ監督作品だから。 本作は2004年に制作されたので、特殊効果に違和感を感じる箇所はあったものの、ヘルボーイをはじめうまく映像化されていたと思う。 ヘルボーイは、あんななりで猫が好きだったり、子どもにアドバイスされたり、いいキャラクタだ。 次は、『ゴールデン・アーミー』だけれど、デル・トロがプロデュースしている 『永遠のこどもたち』 も気になる。

PMF

『戦争請負会社』 を読んだ。 『子ども兵の戦争』 と同じ著者の作品で、『子ども兵の戦争』の前著にあたる。 『外注される戦争』 で言及されていることもあって、読んでみた。 本書のテーマは『外注される戦争』と同じ戦争請負会社(本書ではPMC――Private Military Firm)だ。 本書は学術的な色が濃いと思う。 戦争の外注化が抱える問題に光を当てた意味は大きいと思うけれど、読み物としては硬い。 だから、問題意識が明確な『子ども兵の戦争』の方が読みやすいし、筆者の体験談を含む『外注される戦争』の方が読んでいて飽きない。 しかしながら、PMCを客観的・網羅的に俯瞰するには良い本だと思う。

ち○ちち

『あずまんが大王1年生』 、 『あずまんが大王 2年生』 を買った。 補修(『ゲッサン』で書き下ろされたエピソード)に加え、旧版のエピソードにも色々と修正が入っているという事前情報は把握していたけれど、あまり期待しないでいたら、それ以上に修正が入っていて、「そう来たか」と思うことも何度かあった。 2年生では修正も少しは減るかと思っていたら、甘かった。ばしばし修正が入っている。 しかしながら、最後の補修が全て持っていっているような気が。

ニガハッカキャンディ

『Horehound』 を買った。 The White Stripes, The RaconteursのJack Whiteが参加しているということで、期待値が高過ぎたのかも知れない。 The White Stripesの各アルバムや 『Consolers of the Lonely』 (The Raconteursの2ndアルバム)のような聴いた瞬間の衝撃はなかった。 でも、聴いているとこれはこれで良いなぁと思えてくるから不思議だ(お金出して買ったからら?) 他のバンドよりコーラスが多くて楽しげな雰囲気。 あと、ときどきチープというかエキセントリックというか、自分の貧弱な語彙では表現しがたい音が鳴って面白い。 他のバンドと同じベクトル上で比較可能なら、The Dead Weatherである必要はないのだから、聴き比べずにこれはこれで楽しんだ方が勝ちかもしれない。 The Dead WeatherじゃJackはギターじゃなくてドラムだし。

そろえ

『7日間でマスターするレイアウト基礎講座 』 を読んだ。 本書はタイトル通り、限られたスペースの中に要素をどう配置するかを問題としている。 初心者にも分かるようにかみ砕いた説明もあるし、練習問題もある。 同じ情報でも、レイアウトによって印象が変わるさまを実感できて楽しい。 本書を読んで、自分は全体を俯瞰する配置を捉えるのが苦手だということが分かった。 つい要素に注目してしまう。木を見て森を見ない嫌いがあるようだ。 それから、多くの人はまず全体の印象から情報を受け取ることを認識できた点も大きい。 確かにそれなら、レイアウトで全体の印象をコントロールすることで、より意図に沿った情報を与えることができる。

可不可

『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』 を読んだ。 本書は、現代科学では不可能とされているSF的概念(例えば、テレポーテーション)について、その実現可能性と実現に向けた目論見を描いている。 最近読んだ本の中では、 『マインド・ウォーズ 操作される脳』 ( Mirror House Annex: My Mind で言及)に近い。よりメジャーなところでは、 『空想科学読本』シリーズ にも同じテーマが通底している。 自分が読んだ類書の中では、本書は最も真摯で謙虚で科学的な本だと思う。 そう思ったのは、できる/できないだけでなく、実現可能性を評価しているからだ。 本書では、実現可能性に基づいて、不可能なことを3カテゴリ「不可能レベルI~III」に分けている。 レベルが高いほど、実現可能性が低い。 例えば、不可能レベルレベルIIIには永久機関が含まれる。 通常は一笑に付される永久機関ににさえページを割き、 つまり、そんなものはまったく不可能であるか、あるいは可能だとしても、基礎物理学についての宇宙論的なスケールでの理解を根本的に変えなければならない と締め括っている。 どこまでできるのか? 何はできないのか? どうすればできるのか? できるかできないかさえ分からないことは何なのか? こういう問いに答えられる科学は素敵だと思う。

ネンバラシ

『境界線上のホライゾン2〈下〉』 を読んだ。 今回も盛り上がる盛り上がる。 特にネシンバラとシェイクスピアの相対は、良い感じに悪ノリしている。 それはさておき、79ページに盛大な間違いがある。 カバー裏で気を遣っている場合ではないと思う。 面白いからそれで良いのだけれど、一度気になると余計に気になるという悪循環が。

市場の広がり

『外注される戦争』 を読んだ。 本書は、戦争の外注先――PMC (Private Military Company=民間軍事会社)を描いている。 戦争の外注先と言っても、現在のPMCのほとんどは戦闘を請け負わない(自衛目的の戦闘は除く)。 請け負うのは後方支援活動がほとんどだ。 とは言え、こんなところまで私企業が出てくること、つまり市場原理が働いていることに驚いた。 市場原理は自分が思っていたよりずっと強力なようだ。 そう言えば、正規軍およびPMCが相手取る反政府組織も、市場原理で(合理的に)動いている。 例えば、 『子ども兵の戦争』 によれば、こども兵を使う理由は損得勘定だ。 また、その目的もダイヤモンドなどの天然資源だったりする。 ※天然資源が民主主義にもたらすリスクについては、 『最底辺の10億人』 が詳しい。

均衡の動き

『もっとも美しい数学 ゲーム理論』 を読んだ。 ゲーム理論に関する研究を俯瞰するには、良い本だと思う。 参考文献も充実している。 特に印象が残ったのは、次の一文。 内側の人間にとっては、最良かどうかが問題になるかもしれないが、外から見ている科学者にとっては、何が起こるかが予言できればそれでよい(ゲームに勝とうとする必要はないのだ)。 何人が勝って何人が負けるかが、精度良く予測できても、自分に限らず、個人に何が起こるかは分からない。 それを忘れがちなので、戒めとして覚えておきたい。

Countable, Accountablity

『犬は勘定に入れません』 を読んだ。 エンターテインメント性が高くて、ついつい一気読みしてしまった。 正直、後悔している。 タイトルだけで借りて、何の期待もしていなかったのが良かったのかもしれない。 本書は大きく二つの謎が物語を引っ張るのだけれど、そのうち一つは全体の5分の4あたりを読んだあたりで気がついた。 一気読みしてしまったのは、その答え合わせがしたかったという理由もある。 キャラも立っているし、楽しい小説だった。

D4C

『STEEL BALL RUN vol.18』 を読んだ。 最初、大統領がいきなり前線に出てくることに不自然さを感じた。 けれど、展開の勢いがその違和感を吹き飛ばしている。 ところでだんだんジャイロの影が薄くなっている気が。

自分には何が見える?

『ぼくには数字が風景に見える』 を読んだ。 自閉症スペクトラムに属する筆者が、本を書いたという事実に驚く。 そして驚く自分は偏見を持っているのだろう、と反省する。 ところでニュースなどを見ていると、スペクトラムを持つ問題をそうとは捉えずに議論していることが多いように思う。 つまり、程度問題にも関わらず、二元論的に議論していることが多く見受けられる。 そうすることの、メリットは分かる。 分かり易い物語ができる。 程度問題――特に連続値を取り得る程度問題は、容易に認知限界を超える。 そうすると分かりにくくなる。 確かに、問題を分かりやすい形で捉えることで、解決の糸口が見えることもあるだろう。 けれど、過剰に単純化していないだろうか? 間違った問題に対する正確な解決より、正しい問題に対するほどほどの解決の方が事態を改善する。 もっと問題を正確に理解することに、コストを費やしてもいいように思う。

ウェブ

『シャーロットのおくりもの』 を観た。 パッケージでは子ブタと少女が前面に出ているけれど、本当の主役は彼らではない。 あくまで主役はシャーロットだと思う。 それとテンプルトンが良い味を出していた。 自分が素直じゃないせいか子ブタや少女のような真っ直ぐなキャラクタには、感情移入しがたい。

カラシニコフに請うII

『カラシニコフII』 を読んだ。 本書は 『カラシニコフ』 ( Mirror House Annex: カラシニコフに請う で言及)の続編。 どんなに冷静な筆致で描いていても、バイアスがかかっているのではないか? という疑いをぬぐい去れない。 自分が本当に信用するのはデータと自身の経験だけなんだな、と実感した。

ひらひらふわふわ

『雪のひとひら』 を読んだ。 図書館の本棚でふと目に留まったからだ。 目に留まったのは、 『スカイ・イクリプス』 ( Mirror House Annex: Miniature Garden で言及)で引用されていたことが、記憶のどこかに残っていたからだろう。 このように外部刺激が喚起する記憶は、普段は意識していない。 一体どこに仕舞われているのだろか。

思考と統計

『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』 を読んだ。 定性的に考えることも重要だけれど、その結論が事実と即していなければ、その結論に基づいた判断がかえって害をもたらすことがある。 結論が事実に即しているかどうか確かめるには、データ(統計)に当たるしかない。 ただし、データにも様々な偏りがあるから、全幅の信頼を置くことはできない。 だから、偏りを意識した上でデータを丁寧に見ることが、事実に即した判断に必要だろう。

運動と思考

『空中ブランコ』 を読んだ。 本書は以下の5篇からなる短篇集だ。 空中ブランコ ハリネズミ 義父のヅラ ホットコーナー 女流作家 中でも4篇目の『ホットコーナー』が面白かった。 本篇は、イップスに悩むプロ野球選手が主人公である神経科医伊良部のところにやってくるところから始まる。 イップスとは、精神的な原因などで、体の動きを精密にコントロールできなくなる運動障害のことだ。 両者は密接に関係しているのだろう。 確かに、病気に罹れば気が重くなる。 治療されていることに疑いを持たなければ、偽薬も効果を示す(プラシーボ効果)。

カラシニコフに請う

『カラシニコフ』 を読んだ。 タイトルのカラシニコフとは、 『子ども兵の戦争』 ( 『Mirror House Annex: 問答歌』 で言及)で出てきた子どもを兵士たらしめた自動小銃の名前だ。 『子ども兵の戦争』が比較的マクロな視点で、子ども兵の増加原因に焦点を当てていた(原因の一つがカラシニコフ)のに対して、ルポルタージュである本書はミクロな視点でカラシニコフが引き起こす問題に焦点をあてている(問題の一つが子ども兵)。 併せて読むと、本書の言う失敗国家では、多くの問題が複雑に絡み合っていることが分かる。 解決の糸口が見えず、途方に暮れる。

引っかかり

『スプーク・カントリー』 を読んだ。 読みにくかった。固有名詞や謎めいた言い回しが多いため、頻繁に引っかかる。 固有名詞になじみがあればまた違っただろう、と思う。 あと、訳でも二箇所引っかかった。 「グーグルしてみよう」と「パワーブックを眠らせた」だ。 これだけ引っかかるところがあったので、さすがに楽しめなかった。 残念。