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5月, 2018の投稿を表示しています

言葉の波止場 - 感情ことば選び辞典、ことばの結びつき辞典、しおりシール

このブログを書くのに、「ことば選び辞典」シリーズの『感情ことば選び辞典』と『ことばの結びつき辞典』を使い始めた。その感触と使いやすくするための一手間の話。 簡単に言うと、 どちらもコンパクトで使いやすい。 欲を言えばもう少し薄い紙を使って、サイズを保ちつつ収録語数を増やして、なおかつ見開きで置けるようにして欲しかった。 見開きで置けないのは、 無印良品のしおりシール で解消できた。 ということをつらつらと。 ■ 『感情ことば選び』は、タイトルから想像できるとおり、感情を表す言葉の辞典。たとえば、「おもしろい」という見出しを引くとする。該当箇所を見ると「関心」や「興味」のような熟語とその意味が並んでいる。そのあとに、カタカナ表現とやわらかな表現の一覧もある。ただし、こちらは語句だけ。あと、見出し語によってはこのあと相互参照もついている。 10年くらいブログを書いているのでとうに貧しい語彙を使い果たしているだろうし、たとえ言葉が出てきても「以前にこの言葉を使ったときはもうちょっと違った気分だったような」と思うことがあるので、ここはひとつ辞典を引こうと思った次第。自分でも、ようやくか、と思う。オンラインの類語辞典に物足りなさを感じていたところに本屋でこれを見かけて、買って帰ってきた。 ところで、感情を表す言葉を眺めていると「感情の方が言葉に引きずられることもありそうだ」とか「ひとつの言葉にいろいろな感情を託していると言葉の輪郭が曖昧になりながら広がるのだろうか」とか、「その侵攻から逃れるために『とうとみ』や『わかりみ』のような新しい使い方が生み出されるのだろうか」とか、文脈とちっとも関係のない思考が浮かんでは消えていく。 今もこうして辞典そのものの話から逸れ続けているわけで。 ■ 無理矢理にでも話を戻すために2冊目へ。 ■ 『ことばの結びつき辞典』はコロケーション辞典。「的」は「得る」じゃなくて「射る」もの、みたいな定型句の確認に、と思って。あと、逆引き索引が巻末に付されているのも便利。「理に適う」だか「道理に適う」だったかみたいな疑問にも答えてくれる(どちらもあった)。 だいたい検索すると解説が見つかるし、それ以前に検索語としてサジェストされているのを見て思い出したりするのだけれど、解説は長過ぎることが多いしサジェストは誤用が

本だらけ本棚だらけ - 本棚の本

『本棚の本』(同タイトルの本がもう1冊ある。著者がAlex Johnsonの方)を読んだ。どちらかと言うと「眺めた」か。メインコンテンツは写真だから。でも、文章もキャプションまで一つ残らず目を通したから、「読んだ」もありか。 『本棚の歴史』が、本棚の過去を振り返っているのとは対照的に、こちらは未来を向いている。 電子書籍が普及したら、「収納する本が減って本棚がトロフィーのキャビネットのようになるにつれ、読書家たちは、単なる棚を超えたエキサイティングな蔵書収納法を求める始めるだろう。 ※引用時注「求めるはじめるだろう」はタイポではなくて引用元の通り。 という推測はハズレはしなさそう。そういう人が現れるのを想像するのは難しくない。 ほんとうにさまざまな形の本棚が掲載されていて、目を楽しませてくれる。これまでほとんど背景として無意識に処理してきたし、選ぶときもサイズにばかり気を取られていたけれど、この本ではいろいろな表情を見せてくれる。J型に曲がっていて、最下段はマガジンラックとして使えるのなんか、形のおもしろさと機能を両立していて憧れてしまう。 ところで、本書には本棚だけじゃなく、本棚をテーマにしたアート作品なども掲載されている。 以前に本棚を印刷したリメイクシートが気に食わない と書いたけれど、エスプレッソ・バーD’Espressoの横転した本棚をテーマにした内装はおもしろかった。壁だけでなく天井と床にまで本棚の写真を使っている。これには本物は使えない (厳密には何らかの手段で固定すれば可能だけれどやって欲しくない)。 あ、要らないことを思い出してしまった。負の感情が膨らむだけなのに、よせばいいのに、思い出してしまった。やりどころがないので書いておく。「おしゃれな背表紙印刷ブックカバーで見せる収納をしよう!」という記事を見つけてしまって、背表紙が見えて何がダメなのだ、と忌々しさを感じてしまう。『本棚の歴史』のおかげでかつて背表紙は隠すものだったと知ってはいるけれど、今は背表紙もちゃんとデザインされているのに。 うん? でも本が増えすぎて、来客を入れる部屋にまで溢れているけれど、どうにか目立たないようにしたいという思いからの工夫かも。それならしょうがない。好きだけれど、人には勧めづらい作品もあるだろうし。 お、対立(というか独り相撲)にケリが着

売り物ではありません - 非売品ゲームソフトガイドブック

『非売品ゲームソフトガイドブック』を読んだ。非売品ゲームコレクターの著者が贈る「眺めて楽しい」(「はじめに」より)1冊。ゲームを遊ぶのは好きだけれど、コレクションとして眺めたことはないので新鮮。 ロックマン4が懐かしい。ゴールドカートリッジ、欲しかったなあ。モノとして今欲しいのではなくて、当時ボスキャラとして採用されたかったなあという意味だけれど。 記憶に新しいところだと、今年頭に映画を見た 『planetarian』 ってイベント専売のPSPソフトから始まったのね。まだVRアニメ化プロジェクトも動いているし、本当に息が長い。ゲーム未プレイだけれど……。 こうして眺めていると、やっぱり遊んだゲームに目が留まる。思い出は色褪せないというけれど、モノが喚び起こす記憶・感情もあるわけで、ちょっといいな、と思った。実際に手を出すには至ってないけれど。 あと、まだ一般に知られていないソフトが眠っている可能性や出自不明のソフトの来歴を探ったりするのはきっと楽しいだろうな。

地響き・雷槍・火蓋・巨人 - 進撃の巨人 25

『進撃の巨人 25』を読んだ。 前巻 ラストでマーレ編が本編と合流したかと思ったら、一気に加速して激流のような速さに。再会あり、立体機動あり、巨人どうしの戦いありと見所だらけ。 それにしても第104期訓練兵だったころが遠い昔のようだ。 いやあ、おもしろい。次巻まだかなあ。いやいや、その前にやはり読み返すか。

沖田さん図 / 沖田総司 from Fate/Grand Order

Fate/Grand Orderから沖田さん。 ネタ絵 を描いて終わりというのもなんなので、凛々しい姿も描いてみた。下調べしていたら、沖田さん (1842-1868) と北斎 (1760-1849)やお栄 (1800-1866) が同時代を生きていたことに気がついたので、浮世絵風にしてみた。 以下、下調べやら描いたりしているときのメモ。 というわけで縦横比を長大判の判型に。最初は掛け軸と同じにしようとしたけれど、PCのワイドディスプレイで見辛すぎるので止めに。 構図は、沖田さんのポーズ『夜鷹図』や『春夜美人図』、桜の散り方は『冨嶽三十六景 駿州江尻』、桜自体は「桜花と鷹図」を参考に。 塗りは武者画の色味を参考にしつつ、ベロ藍もそれらしく。 刀も描きたくて試行錯誤した結果、気がついたらメイド・オルタの第三再臨みたいに。恐るべしアルトリア顔。 めんどうくさ――もとい手足のラインが隠れるので、防具は省略。 めんどうくさ――もといマフラーに違和感ないようにまだ寒さが残る初春で、桜も二分咲もしていないくらいのイメージ。なんか梅っぽくなってしまった。 一番下の桜の花びらが二つに分かれているのは、沖田さんが稚気で斬った。 作中だと刀は菊一文字則宗だけれど、ちょっと調べたら諸説あるようなので、ゲーム画像を参考にしつつ軽く反りを。いい機会なので刀の作りも調べてみたら時間が溶けた。 落款は見よう見まね+ジョーク。お栄の落款「應ゐ栄女筆 (栄は旧字体かも)」の「ゐ」に人偏追加。 「ゐ」には「為」の字があてられるので「偽」の意。 『江戸文字』 で調べたら、「為」の御家流のようだった。 今思えば押印代わりにネタ絵を沖田さんスタンプとして使ってもおもしろかったか(自分が)。 なお、もちろん喚べていない。6月に入ったら在庫が補充される呼符と、もうすぐもらえる通算ログボに望みを繋ぐマスターの運命やいかに。呼べたら誠――ではなく御の字。2018/05/30追記:と考えていたら、1300万DLキャンペーンで呼符が! 石が!

なにが存在するのか - なぜ世界は存在しないのか

『なぜ世界は存在しないのか』を読んだ。 刺激的だった。いろいろと思考を促される。タイトルだけでなく本文もしばしば挑発的で、別の意味でも刺激的。こちらの刺激は避けたいので斜め読み。ちなみにタイトルは原題 "Warum Es Die Welt Nicht Gibt" (独) の直訳 (Google翻訳調べ)。邦訳の際にこうなったわけではないみたい。 タイトルに付された疑問に対する答えは、おそらく本書のメインテーマではない。それは「〈世界〉が存在しないなら、何がどう存在しているのか?」についてだと思う。 ■ でも引っかかりをなくすため、まず世界が存在しない理由を粗い理解なりに粗く説明する。一言で表すと、背景がないと何も認識できないから。 何かを設計するときには、常にもうひとまわり大きなコンテキストの中で考えること。椅子ならば部屋の中にあることを考える。部屋なら家の中、家なら環境の中、環境なら都市計画の中。 エリエル・サーリネン という建築家の言葉を連想する。背景をどんどん広げていくと、やがて〈世界〉に辿り着く。〈世界〉には背景がない。だから認識できず存在もしない、という話らしい。 ここで存在しないとしている〈世界〉は「唯一絶対の真の世界」みたいなニュアンス。宗教はそんな〈世界〉とは縁遠いよ、とか、科学の非対象もちゃんと存在しているよ、みたいな話がされる(もっと強い言葉が使われているけれど。特に科学への当たりが強いのは、ニセ科学の広がりに危機を覚えているからか?)。 それで結論としては、 もの・こと(本文中ではさらに一般化して〈現象〉)はちゃんと存在している。認識されなければ存在しないなんてことはない。 ただし、その存在の現れ方は文脈(〈意味の場〉)によって、さまざまである。 であり、タイトルや言葉の端々から受ける印象とは裏腹に、いたって穏当で寛容な着地で締め括られる。 ■ 空想上の生き物も〈存在〉するという話に抵抗を覚えないではなかったけれど、たとえば河童なんか「河童の川流れ」のように比喩として通用するくらいの共通認識が日本語話者にはあるので、それを〈存在〉というならそれでもいいかと思うくらい。こう思い直すと 『河童に選挙権を!』 に通じるものがある。 ここまでの説明だと、〈意味の場〉を広げ続けると〈世界〉にな

提灯 / 庇 / 木陰 / 雷門通り - 浅草三社祭

「浅草三社祭を遠目に眺めてきたよ。」 「Twitterやinstagramに投稿していましたね」 「それをまとめとこうと思って。ついでに改めて見返した中から1枚追加」 「まずは雷門の提灯ですね」 「祭のときは畳まれるんだね」 「神輿が通るからじゃないですか?」 「底の金具に龍の意匠が施されているの、初めて気がついた」 「何回かくぐっているのに」 「庇と雲が並行だなーっと思って。あと雲が風とは違う向きにも伸びているところがあったのが気になる」 「飛行機でも通過したのかもしれませんね」 「影絵みたい」 「あ、そっちがメインなんですか」 「んー、なんとも。後付けで影絵みたいだと思ったので、見たいように見てくれというか見たいようにしか見えないというか、いやそもそも見たくないなら見ないでも」 「見るも見ないも自由ですし、どう見るかもコントロールできるわけじゃないですからね」 「そうそう、そういう話。ちょっと投げやり気味ではあるけれど」 「歩行者天国になっていたので、道路の真ん中から撮ってみたら、アビイ・ロードっぽくなった」 「これが追加した1枚ですか。もうちょっとこうお祭りの雰囲気が出ている写真はないんですか……」 「人混み得意でなくてなー」 (でも祭の日に出かけるんだ)

直截の才 - Straight Outta Compton

"Straight Outta Compton"を見た。 ヒップホップ・グループN.W.A.の結成と、ギャングスタ・ラップというジャンルを確立した彼らが起こした社会現象、そして解散とメンバの1人EASY-Eの早逝までが描かれる。 時期としては1980年代の出来事。当時のアメリカにおいて、黒人が受けていた扱いも映し出されるのだけれど、トランプ大統領誕生以降にアメリカで起きた事件や日本でも起こるヘイトクライム関連のニュースを見ると、ズッシリと重たい気分になる。 最後はメンバの1人Dr. Dreが、レーベルAftermathの立ち上げを決めたところで終わる。その後、 EMINEM をデビューさせてフックアップしたので歴史を感じたり。そのEMINEMも今は自分のレーベルShady Recordsを立ち上げたのだけれども。 Netflixのオリジナル・ドキュメンタリー 『ヒップホップ・エボリューション』 が、エピソード4「ギャングスタ・ラップの登場」でインタビュー中心に同時期の出来事を振り返っているので、合わせて見ると「あのシーンはこのことを映像化していたのか」と結び付けられて、印象が深まっておもしろい。 こういうのを見ていると"8 Mile"を見返したくなるし、"All Eyes on Me"も見たくなる。前者は2002念に公開されたEMINEM主演の自伝的映画で、後者は昨年末に公開された2PACの伝記的映画。見に行きたかったのだけれど、機を逸してしまったので。

サキエさんは愉快だな - 亜人ちゃんは語りたい (6)

「『亜人ちゃんは語りたい (6)』を読んだよ」 「今回の表紙は陽子さんとざしこちゃんですね」 「ざしこちゃん、ぼさっとした髪の毛とかはんてんとかかわいいよね。座敷童と言えばおかっぱに着物で日本人形というイメージとは違うけれど」 「一子ちゃん、二子ちゃんが羨ましがりそうですね」 「ちゃいまんがな。そりゃ別のマンガな」 「雪さんでも笑いませんよ」 「はい……」 「この巻も佐藤先生がたくさん登場していましたね、」 「今回もエピソード盛りだくさんだった。あかん、思い出し笑いしそ。いや、愉快な話だけじゃなかったんだけど、いろいろと衝撃が」 「高橋先生の嗜好も少なからず原因では……」 「染みいるような話は、一息ついてから読み返すことにしよう。笑いのせいで入ってこない」 「そうしてください」

タイマーにアイロンビーズ

ポモドーロ・タイマーとして使おうと思って、ニトリでキッチン・タイマーを買ってきた。気になるところにちょっと手を加えてみたので、メモも兼ねてポスト。 気になったのは2つ。まず音がデカい。本来の用途なら、作業音のなかで聞こえないと困まるから必要だけれど、静かな環境で鳴らすと少なからずうるさい。それから「分」、「秒」の点滅が煩わしい。視界の端でチカチカするので気が散る。これも基本的には目を向けないキッチンでの利用なら問題ないのだけれど。 素人ながらに試行錯誤してみた結果、音は圧電ブザーの音自体は小さいけれど、本体の中で響いて大きくなっているようだった。というわけで、無理矢理ひっぺがして本体裏に。裏のマグネットでどこかに貼り付けなくなったけれど、スタンドで立てて使うからと割り切り。開口部を埋めようとした苦労は報われなかった……。 「分」、「秒」の表示ははミニフューズビーズで小物を作って隠蔽。モチーフは砂時計を見つめるカエル。砂時計は選択肢から外したけれど、せめて形だけでもと思い。カエルは趣味。『MOTHER 3』のドットを参考に手持ちの色で。ついでにボタンもお化粧。スタート・ストップ記号がわかりにくいけれど、自分さえわかればいいので、まあまあ。 行き当たりばったりで作ったにしてはよい感じ (手前味噌)。

血を分かつ - BLACK BLOOD BROTHERS 1~11

『BLACK BLOOD BROTHERS 1』~『〃 11』を読んだ。これにて本編完結。全17巻合本版なので短篇集『〃 (S)』6冊もすぐに読めるけれど、そちらは追々。 物語の中心は、吸血鬼の兄弟ジローとコタロウ、それから 調停員 ( コンプロマイザー ) を務める人間のミミコ。調停員というのは、吸血鬼どうしや吸血鬼と人間との間で起こるトラブルの仲裁を仕事とする人のこと。 この3人に限らず、魅力的な人物がこれでもかと登場する。なかでも、ジローとの因縁が深いカーサ。それから後半の活躍が目覚ましいサヤカ。この2人には肩入れしてしまった。〈東の龍王〉ことセイもシリーズを通して働き詰めで、なんというかお疲れ様でした。年経た 古血 ( オールド・ブラッド ) とはいえ、歯がゆい思いもしたんじゃないだろうか。人間の大人も負けていない。ミミコの上司として登場する尾根崎や陣内も渋い。 魅力的なのは登場人物だけじゃない。スケールの大きな物語にも引き込まれる。吸血鬼社会と人間社会の関係を真正面から描いている。吸血鬼社会に放り込まれた人間や人間社会に紛れる吸血鬼ではなく、両者の社会・政治的側面をここまで押し出した物語は、稀少だと思う。作中世界の歴史に深く刻まれる事件まで起こる。そして当事者として事を構える。 このシリーズは、大事件を解決して平和を取り戻す物語ではない。大事件は解決されて平和にはなるが、その平和はもとの形をしていない。まだ確たる形はない。これから形作られていくことだろう。この世界に生きる人間・吸血鬼の大半にとって、本当に大変なのはこれから。きっと少なくない混乱が起こる。 それでも読み終えた今、とても明るい気持ち。あれだけ複雑な事情があり単純な大団円でこそない。けれど、活気のある未来が、騒々しい生活が、ありありと想像できる。 と感想を描いていたら、本編で描かれていない日常がますます気になってきたので、短篇集も少しずつ味わっていこう。

ポニーテールとシュシュとエルフ耳 / メディア〔リリィ〕 from Fate/Grand Order

メディア〔リリィ〕。先日のキャスター・ピックアップで来てくれたので描いてみた。

浮かばない泡 - ブギーポップ・ビューティフル パニックキュート帝王学

『ブギーポップ・ビューティフル パニックキュート帝王学』を読んだ。 主な登場人物は末真和子。それから、カレイドスコープやオキシジェ帝王=エンペラーと言えば、『螺旋のエンペロイダー』を連想するけれど、〈エンペロイダー〉というキーワードが出てくるくらい。才牙兄妹が登場したりはしない。ンのセリフが多いのも珍しい気がする。 ◆ 『螺旋のエンペロイダー』ほど明確ではないにしろ、帝王あるいは王の話題はたびたび出てきているように思う。本書には末真和子を評するこんなセリフがあるけれど、王と民衆について『殺竜事件』でも似たような話があった。 「なあ末真博士――君は他人のことをわからないというが、しかしその他人の方は君のことをまったくわかろうとしないだろう? 割合で言ったら、君の方があきらかに、彼らのことを理解していて、そしてかなりの確率で、彼らは君が把握しているよりも、彼ら自身のことを知らないんだ。(以下略)」 言われてみればそんな気がしつつも、「自分のことは自分が一番よくわかっている」と思うことも、「自分を客観的に理解できると考えられない」とか「○○(自分以外のだれか)のことは自分が一番よくわかっている」とも思っていたりもするわけで、言葉遊びの感がなくもない。 自分の内面は自分にしか知る由がないのだけれど、同時に自分が他人からどう思われているかを知る由もないわけで、そこは本人の言動や周りの評判から推し量るしかない。まあ、そのあたりは、AからBはXに見えているけれど、Bの言動からはB自身はYと思われたいとAには見て取れるので、ほどほどに合わせたりとかする(逆も同様)のがお互いのためだろう。 自己一貫性があると信じられる。少なくとも四六時中自己矛盾に悩むことがない。それくらいは安定していないと、心が千々に乱れたままになってしまう。 ◆ 『殺竜事件』では自分と他人ではなくて、王と民衆という形で、支配者が被支配者を知っているほどには、被支配者は支配者を知らないみたいな話だったと記憶している。これは王に限らない気もする。民主主義でも、選挙対策はどんどん高度化している=投票者は細かく分析されているけれど、投票者は立候補者の情報を知らされるばかりで自分が何を知ればよいのかさえ考えたり考えなかったりだよなあ、と。ああ、でも直接民主性だとまたちょっと違うか。

粘菌飢饉 - 粘菌生活のススメ

『粘菌生活のススメ』を読んだり眺めたり。 『変形菌 (Graphic voyage)』 に引き続き変形菌(=粘菌)関連もう一冊。著者は粘菌という言葉の方が好きとのことなので、この記事では粘菌で。 こちらは雑誌的な作りで軟らかめな印象。文章あり図解あり写真ありで、章の合間には数ページのレポートが挟まったりもする。レポートと言っても、大学で課されるようなそれではなくて、研究者や学者の方を尋ねた訪問記のようなイメージ。 ちなみに訪問先の一人、川上新一さんが本書の監修であり、『変形菌 (Graphic voyage)』の著者でもある(あとで気がついた)。 『粘菌 その驚くべき知性』 を書いた粘菌研究者・中垣俊之さんのところも訪問している。 話を戻して、ざっと本書の構成を概観すると、第1章が基礎知識。「「粘菌」と「変形菌」」からはじまり、生態や各部位の名前などが紹介される。第2章は写真が主役。ページ一杯に粘菌の姿を楽しめる。第3章が粘菌探し体験記。各地での粘菌探しの様子や、粘菌撮影のコツなんかが語られる。 まずます自分で見てみたくなる。粘菌に飢えている。つまり粘菌飢饉だ(粘菌ジョーク)。 というわけで今年頭に出版された 『変形菌入門』 の内容紹介に「変形菌観察の事始め」とあるので、こちらにも手を出してみようかな。執筆者が、川上新一さん、本書の著者・新井文彦さん、『変形菌 (Graphic voyage)』の編集・髙野丈さんということだし。 最後に覚書。順に、本書の新井文彦さんのほぼ日短期連載、『変形菌 (Graphic voyage)』の写真を撮影した佐藤岳彦さんのナショナルジオグラフィック記事、お二人を含む写真家の写真展の開催案内。 粘菌のはなし。- ほぼ日刊イトイ新聞 変形菌 美しくも不思議な生き物 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト 6月8日(金) ~6月13日(水) 「生き物の決定的瞬間を撮る」発売記念写真展|オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール|ショールーム・ギャラリー&サービスステーション|オリンパス

生まれる、食べる、育つ - ライフ 生命という奇跡

『ライフ 生命という奇跡』(BBC制作の"Earth")を隙間時間に少しずつ見ていたら、1シーズン10エピソードが終わってしまった。 脅威のサバイバル 爬虫類と両生類 しなやかな繁栄 哺乳類 つながり合う力 魚類 水の支配者 鳥類 翼を託された特権 昆虫 限りない多様性 命の攻防戦 弱肉強食を超えて 深海 生命の故郷 植物 動かぬ勝利者 霊長類 創造と共感 毎回、映像に見入って、よくこんなところをこんな風に撮れるものだと、素人ながらに思ってしまう。「爬虫類と両生類」なんかでカエルの映像があるのもうれしい。いつだったかTwitterで見かけた、坂道をボールのように転がり落ちる映像もあった。ここが出典だったのね。他にもいろいろなカエル映像があるので、カエル好きにはたまらない。かわいいなあ、カエル。 ただ、かわいい映像だけでなく、毎回のように生々しい捕食シーンがあるので、苦手な人は要注意。一瞬のできごともスロー映像でじっくり見せられる。自分はわりと大丈夫な方で再生中にご飯食べたりもしてたけれど、アザラシがペンギンを捕食するシーンはショックだった。アザラシショーなんかでは魚を食べていたけれど、ペンギンも食べるのか……。間にあるのは水族館の人気争いくらいだと思っていたら、食物連鎖のうえで直結していたとは……。 食虫植物は例外として、一見動きのなさそうな植物もハイスピード撮影されると、わずかな変化が蓄積して大きく動いているのが見て取れる。最近、アスパラガス・スマイラックスを育て始めて、日に日にツタが伸びていくのを目にしているのと相まって、感慨もひとしお。「いつの間にか」育ったりはしないと実感する。

塔 / 高架 / 水管橋 /...

「というわけで無機物編」 「 植物編 、 動物編 と続いた春先に撮った写真もこれで整理完了ですね」 「自分で分けといてなんだが括り大きいな。ともあれさっそく」 📷 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「スラムからてっぺんに悪い金持ちが住んでいるタワーを見上げているの図」 「ディストピアSFの読み過ぎでは」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「長宗我部もとち――もとい高架と壁」 「言うほど似ていない」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「水管橋。4本の円柱に正方形を乗せた形の支持台がかわいい」 「ちょっとモザイク模様になっているのはどうしてでしょうね」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「うち捨てられて苔むした原付」 「どうしてこんなところに。不法投棄?」 「岩と一緒にレイアウトされた可能性も」 「水槽じゃないんですから……」 📷 「以上ですね。お疲れ様でした」 「やっと終わったー。撮りためも過ぎると、整理の腰が重たくなっていかんな」 「でも数を撮らないと当たりませんよ」 「そうだよねー。静物を同じ構図で何枚か撮ったときでさえ、気に入るのとそうでないの出てくるもんなー」

カモメ / ムクドリ / コサギ / ...

「というわけで春先に撮った写真のお焚き上げ第2弾。動物編」 「 前回 は植物編だったというわけですか。それはそれとして燃やさないでください」 「データだから燃やせないけれどね。とは言え、せっかく撮ったんだからどんな写りかチェックしないと、と引っかかり続けていた気持ちの整理にはなる」 「ではサクサク行きましょうか」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「カモメ」 「はい、次」 「素っ気な」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「ムクドリ。電線なんかにウジャウジャいるときは黒い点にしか見えないけれど、意外と鮮やかなクチバシしてんね」 「今は一羽ですか」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「四羽いた」 「横一列」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「からの方陣」 「統率されてる?」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「歩道を悠々と歩くコサギ。ずっと歩いていたので、思わずついていってしまった」 「尾行捜査?」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「カモメ再び。飛んでいるところを撮るのは難しいね」 「速いですからね」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「ムクドリはピント合った」 「これは飛んでいるところではなく、跳んでいるところでは」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「コサギもテイクオフ!」 「やっぱりついていったんですか」 「いけるか」 「情けない」 「それはそれとして逆関節かっこいいなあ」 「なってみます?」 「折れる折

サクラ/サクラ/サクラ/……

「 あれ からおよそ一月半。ようやく桜の写真を整理したよ」 「やっと」 「では在りし日の桜を忍んで」 「花は散りましたが枯れていませんから。青々としていますから」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「ピンク」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「ホワイト」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「グリーン」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「三色団子」 「花が団子」 「二度、いや三度美味しい!」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「 血色の五芒星 ( ブラッドカラード・ペンタグラム ) 」 「普通に喋ってください」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「…………」 「喋ってください」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「真下から」 「もう少し」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「斜め下からちょっと引いて」 「桜以外にもいろいろな木が入っていますね」 「この写真は、影の密度の違いが――」 「では次の写真をどうぞ」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「月に向かって」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「伸びる枝々」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「散る花弁」 🍡 「というわけで桜の写真でした」 「もうゴールデンウィークも終わったというのに。あ、でも北海道は今くらいが見頃なんでしたっけ?」 「え