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4月, 2012の投稿を表示しています

犬と馬

『テイカーズ (原題: "Takers")』を観た。 追う者 (警察) と追われる者 (犯罪者) の攻防を描いた、いわゆるクライムアクション。後半、カーチェイスじゃなくてフリーランニングで追いつ追われるのシーンが見応えがあった。 それと、どちらの陣営も内に爆弾を抱えているところが面白い。 余談だけれど、テーマ曲がKasabianの"Underdog"。負け犬 (=Underdog) は誰だったんだろうな、と。

不可能は不可能?

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル (原題: "Mission: Impossible – Ghost Protocol")』を観た。 このあたりが落としどころという人が多いのかもしれないけれど、自分にはリアリティを持たせようとして失敗しているような印象。 ところどころのアクションは面白かったけれど、グローブとかスーツとかあれで上手くいくとは思えなくて、ちょっと覚めてしまった。特にスーツ。素人目にも、重心がずれたら回転するだろうに、と思う。 このあたりの匙加減は、人によって相当バラツキが大きいだろうから目くじらを立てるものではない。そう、頭では理解していも、気分はついてこないわけで。

ビバノンノン

「 『テルマエ・ロマエ』 を観てきたよ」 「阿部寛さんが出ている?」 「うん。あの顔で「顔が平たい」とか言われると、「そりゃ、あなたに比べれば」と思うよね」 「掘りが深いですからね」 「ガタイもいいし」 「で、どうでした?」 「面白かったよ。特に序盤から中盤にかけてのコミカルなシーンが良かった。後半は恋愛要素が前に出てきて割とありきたりな雰囲気になってしまったのが残念」 「映画化されると大なり小なり出てきますよね」 「そうした方がやっぱり人入るんだろうね。しかし、好みじゃないのが辛いところ。フロッグマンみたいに投げっぱなしでいいのに」 「あれはあれでカオスだったような」 「蛙男商会なので。そういう意味では、原作の『テルマエ・ロマエ』らしさが面白かったのは、映画の方だった」 「あれ、マンガも読んでたんでしたっけ?」 「2巻までは。今、Amazonで4巻のレビュー見て複雑な気分になっているところ」

青白黒

Jack Whiteの"Blunderbuss"を聴いている。 The White StripesとThe Raconteursでは主にボーカルとギター、The Dead Weatherでは主にドラムのJack Whiteのソロアルバム。 大雑把にこれらのバンドでやっている曲と比べると、テンションが緩くてのびのびとやっている印象。 ところで、The White Stripesでこだわっていた赤白黒と対照的な、青白黒のジャケットがクール。

五感の語感

『最新脳科学でわかった 五感の驚異』を読んだ。 『錯覚の科学』 や統計に関する読み物を読んでいると、人間の感覚のあまりのあてにならなさに疑心暗鬼に陥るけれども、本書を読むと少なからず自信を取り戻せる。 本書では五感全てに加えて多感覚を扱っているけれど、聴覚に限って言えば 『音楽の科学』 に通じるものがある。 この手の本だと、 『ぼくには数字が風景に見える』 で描かれる共感覚やサヴァン症候群の話が全面に出ることが多く、実際、本書にもそうした例がいくつも挙げられるけれど、本書の主眼はそこではない。 本書の主題は、多くの人がそれと気づかないで、でも実はしっかり五感を活用しているということだと思う。それは、単に目でものを見ているとか、耳で音を聴いているとか、鼻で匂いを嗅いでいるとか、舌で食べ物を味わっているとか、手触りで触感を楽しんでいるというだけのことではない。 対象を知覚する際に、これらの感覚が複雑に絡み合っている(クロスモーダル)と言っている。分かりやすいのが、料理の味だと思う。舌で感じる味だけでなく、見た目にも香りにも食感にも音にも影響されている。こうした作用が、実は色んな感覚で働いているらしい。 もう少し感覚を信じてみよう、と思った。たとえ上手く説明できなくても。

エディット・マーフィー

『はじめての編集』を読んだ。キッカケは、『津田大介の「メディア」の現場』vol. 28。次のように紹介されていて、存在を知った。 『情報の呼吸法』は、最近出した『はじめての編集』が話題になっている有名な編集者・菅付雅信さんが僕に10時間くらいインタビューする形式で内容を作り、そこで作られた構成原稿に僕が大幅に赤を入れて形にしました。 本書における「編集」は、「企画を立て、人を集めて、モノをつくる」で、その活動対象は「言葉、イメージ、デザイン」で構成される。漠然と思っていたより、ずっと広かったけれど、「編集」の雰囲気が感じられて新鮮だった。 編集の話も面白かったけれど、「ファーストハンド」の話が短いながら示唆的だっった。平たく言うと、「一次情報」の話。リブログ、リツイート、Togetter、NAVERまとめ、などなど二次情報が溢れていて、それはそれで面白いのだけれど、それらができるのは、一次情報があってこそ。 ゼロからでないにしろ、最初に何かを作るって、とてもエネルギーがいると思う。楽書きしていて、二次創作で既存のキャラクタ描くのと、自分でキャラクタ考えながら描くのとでは、必要なエネルギーが全然違う。後者の方が必要なエネルギーが圧倒的に大きい。 それを踏まえると、次の言葉が改めて面白い。 「編集者は、何にもできない人、何でもできる人」

一本でも折れない

「『アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風』を読んだよ」 「 『神林長平トリビュート』 を読んだ時に、読みたくなったって言っていた本ですね」 「うん。前々作『戦闘妖精・雪風〈改〉』、前作『グッドラック―戦闘妖精・雪風』より面白かった。って言っても、前々作と前作を読んだのはもう何年も前だから、内容をほとんど覚えていないし、今とは面白がるポイントが変わっているから、比較しても意味ないか」 「そもそも、これだけ読んで面白いものなんですか?」 「言われてみれば。これだけ読んでも意味が分からない部分が多いだろうなぁ」 「じゃあ比べる意味全くないじゃないですか。あと、内容をほとんど覚えていないのによく読めましたね」 「読み始めると思い出してくるもんだよ。記憶って不思議だよね。能動的には思い出せないことも、ふとしたキッカケで、こんなことも覚えていたのか、って記憶が浮かんでくる」 「プルースト効果ですね」 「それに作話もあるかもしれない。あ、そういう形での二次創作も面白いかも」 「オリジナルを上書きしようとするのは、リスペクトに欠きますよ」 「それもそうか」 「作中で過去が明示されていない場合は、考察や批評の形になるんじゃないでしょうか」 「二次創作とするなら、オリジナルと同じ結末に収束したパラレルワールドということにすればいいのかな」 「それはそれでSFらしいですね」

俺より強いヤツに

「『スラムオンライン』を読んだよ」 「 『神林長平トリビュート』で『狐と踊れ』が面白かった 、と言っていた作家さんのですね」 「うん、この小説の題材は格闘ゲームだった。キャラクタに胃がいたらどうしようかと思ったけれど、そんなことはなかった」 「そんなことがあってたまりますか」 「格ゲー繋がりで 『ソリッドファイター』 を思い出すよ」 「ちなみに双司君は、格ゲーやってたんですか?」 「そんなに強くはないけれど、2D時代はそこそこ。ストIIから始まって、KOF95~97、サムスピ、月華の剣士、Vampire Savorってところかなぁ。3Dは軸がずれるのがストレスで。あと、当時は、何かポリゴンのキャラクタが好きになれなかったというのもある気が」 「結構やってますね」 「というわけで、練習モードでひたすら動かない相手にコンボを練習するシーンに納得してしまった」 「CPU相手ですらなくて?」 「うん、ですらなくて」 「対戦ゲームなのに?」 「うん」 「よく分かりませんねぇ。それ、面白いんですか?」 「面白くはないかなぁ。ま、スポーツの基礎練習のようなもの」 「そこまでするんですね」 「というような話が書かれていて面白かった」

スーサイド・バイ・スーサイド

「『またまた自殺うさぎの本―まだまだ死にたいうさぎたち』と『たぶん最期の自殺うさぎの本』を読んだよ」 「 『自殺うさぎの本』 の続編ですね」 「うん。『またまた~』の方を買いに行って初めて知ったんだけれど、3冊目出ていたんだね」 「Amazonのページで発売月を見ると、今月発売されたばかりのようです」 「そうだったんだ。いいタイミングだったんだね」 「表紙からだけでも相変わらず謎の執念が感じられますね」 「中身も相変わらずで安心。いや、うさぎが自殺しているのを見て安心するというのも変な話だけれど」

どれもペンです

『これはペンです』を読んだ。 『神林長平トリビュート』( 感想 ) を読んだら、色んな長篇を読みたくなってきたけれど、その中でも前々から読みたいと思っていた円城塔の作品の1冊。 本書は、『これはペンです』と『良い夜を持っている』の2つの中篇で構成されている。『これはペンです』まで読んだ時点では、雰囲気だけを味わっていたのだけれど、『良い夜を持っている』を読み始めたら、急にその雰囲気が明確に像を結び始めた。 面白い構造。こんなに明確に読み進めながら既に読んだことへの理解が作り替えられていく経験はなかなかない。叙述トリックを用いたミステリィにも似ているけれど、最後にどんでん返しがあるわけではない。徐々に、だけれど、最後にはほとんど完全に再構築される。 読んでよかった。

底本のない訳本

『道化師の蝶』を読んだ。『これはペンです』( 感想 )に引き続き、円城塔の作品。 本作は、『道化師の蝶』と『松の枝の記』の2中篇からなる。『これはペンです』と違って、両者に直接的な関連はない。 芥川賞を取った『道化師の蝶』より『松の枝の記』の方が好み。単行本単位では、『これはペンです』の方が好み。 自分にとっては、中短篇は、独立しているより連作になっている方が面白い。 あと自分のステータスと読んだ場所が本書を読むのに適していなかったようにも思う。帰り道、集中力を保てないような状態で読んでいたから余計に楽しめなかったのかもしれない。 本作に限らず、円城塔作品はワーキングメモリを確保した状態で読んだ方が面白いと思う。 ところで、最初に「両者に直接的な関連はない」と書いたけれど、全く関連がないわけでない。二つの作品は「翻訳」で繋がっている。 まず読者がいない言語で書かれた本。底本がなくて翻訳が先にある本。 本だとおかしな感じがするけれど、もう少し抽象的に考えると、あり得ない話ではない。誰に聞いて欲しいわけでも、下手をしたら誰にも聞かれたくないけれど、発したい言葉だってあるだろうし、相手が言葉に詰まったときに助け船を出すことだってある。 そう言えば「もしもモノマネ」なんか、底本のない翻訳のようなもののような。 一種のシミュレーションとして捉えればいいのかな。

特異点のてってってー

「『南極点のピアピア動画』を読んだよ」 「表紙の子は初音ミクさん?」 「このサイズで見るとそうも見えるけれど、違う。小隅レイって名前」 「モデルにしているっていうことですね。ということは、ピアピア動画はニコニコ動画ですか?」 「うん。しかも、本書の解説は、ニワンゴ会長。捻りがあって面白かった。他にもコンビニのハミマ(ハミングマート)が出てきたり、とニコニコ動画のネタが満載。そんな中、なぜか津田大介さんだけ本名で出てきて驚いた」 「ハミマはやっぱり 【ニコニコ動画】【ファミマ入店音】ファミマに入ったらテンションがあがった【Remix】 からですか」 「うん、これこれ。これ聴いてた時期は、ファミマに入る度に頭の中で再生されていた。あと 【初音ミク】般若心経ポップ【PVつき】 から始まった般若心経アレンジもかなり聴いていたなぁ」 「それはそれとして、本の話に戻りませんか?」 「そうそう、こんなネタだらけではあるけれど、内容は完全にSF。Steins;Gateにも通じるノリ。軽さとハードさが同居している。先日読んだ『一般意志2.0』もタイトルだけ出てきていた」 「ボカロとSFと思想ですか。不思議な取り合わせですね」 「てってってー」

「本」屋? 「本屋」?

『「本屋」は死なない』を読んだ。本書はエッセイ。著者が各地の本屋を巡りながら、考えたこと感じたこと思い浮かんだことが描き連ねられている。 ここでいう「本屋」はベストセラーが並ぶ大型書店ではなく、こだわりを持って本を選んでいる「本屋」さん。 タイトルとは裏腹に、内容はメランコリック。ノスタルジーさえ感じてしまって、かえって「本屋」は死に体だというメッセージを強調したいんじゃないか、と思ったほど。 読んでいて気がついたのだけれど、自分は「本」は大好きだけれど、「本屋」へのこだわりは弱い。ほとんどない。少なくとも今のところは。 購入はもっぱらAmazonだ。理由は色々ある。欲しい本が近場の書店にないことが多かったり、買いに行くのが面倒だったり、持ち帰るのが大変だったり、とか。でも、最大の理由は、すでに読みたい本を大量にリストアップしていることだと思う。さらに薦められると煩く感じてしまうことがある。 ところで、大型書店も、手をこまねいているわけではない。たとえば、松岡正剛と丸善が共同プロデュースした松丸本舗は。一度行ったけれど、書店であまり見かけない本も多く、確かに面白かった。それから、代官山蔦屋書店。こちらも一風変わっているらしくて気になっている。 その上、もし電子出版やオンデマンド出版が広まったら、さらに「本屋」の役割は減ることになる。 本書で紹介されている「本屋」は、どうなっていくんだろう? と思うけれど、利用者ではないので詮ない。

湧き上がる読欲

『神林長平トリビュート』を読んだ。本書は下記8篇からなる短篇集。 『狐と踊れ』 『七胴落とし』 『完璧な涙』 『死して咲く花、実のある夢』 『魂の駆動体』 『敵は海賊』 『我語りて世界あり』 『言葉使い師』 色んな作家が神林長平作品から着想を得て短篇を寄せている。タイトルはいずれも元とした神林長平作品のものと同じ。 ここに上がっている作品は一つも読んだことがないけれど、作者に円城塔(『死して咲く花、実のある夢』)と虚淵玄(『敵は海賊』)の名前を見つけたので、衝動買いしてしまった。 ちなみに読んだことがある神林長平の作品は『戦闘妖精・雪風(改)』と『グッドラック―戦闘妖精・雪風』の2作品。 それでも先に挙げた二作品をはじめ、それぞれ楽しめた。でも、食い足りなさを感じて、色々と長編を読みたくなってくる。 虚淵玄が選んだ『敵は海賊』シリーズ、それから今アニメが放送中の『Fate/Zero』、円城塔の作品(『道化師の蝶』はまだ読んでいない。他に何をまだ読んでいなかったっけ?)、それから神林長平の『アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風』。 今まで知らなかった人では、桜坂洋(『狐と踊れ』)が面白かった。『よく分かる現代魔法』は、検索して表紙を見て思い出したけれど、アニメ化されていた。でも、読むなら、まずは1冊で完結している『All You Need is Kill』か『スラムオンライン』からにしよう。

てーっ

「映画『バトルシップ(原題: "Battleship")』を観てきたよ」 「どうでした?」 「面白かったよ。主人公がよくできた兄に半ば強制的に海軍に入らされたロクデナシの弟だったり、活躍するのが両足を失った退役軍人だったり、良いところでOBが颯爽と登場してきたりしてたのが良かった。英雄然としたマッチョが活躍するより、こういう癖があるのが活躍する方が盛り上がるよね」 「意外性という意味ではそうかもしれませんね」 「OBが現れたときは、避難してなかったのかそれからいつ呼んだんだ、とは思ったけれど、ま、あんまり細かいこと気にしてたら楽しめないよね」 「限度はあると思いますが」 「ハデにドンパチやってくれたら、それだけで限度が下がるので」 「結局はそこですか」 「ところで、この手の映画を観ていると、ミリタリィに詳しいとまた違った楽しみがあるんだろうなぁ、と思う」 「地上波でやると、twitterで解説をツイートされている方もいますね」 「『戦艦』と『駆逐艦』の違いも分からなかったので調べてみたら、Wikipediaにこんな記述が」 2012年現在では、戦艦を保有する国はない。 戦艦 - Wikipedia 「その前段によると今の主力は『航空母艦』なんですね」 「そう言えば『大艦巨砲主義』って表現は、否定的なニュアンスだ」

武器を奏でる

Lostprophetsの5thアルバム"Weapons"を聴いている。 前作"The Betrayed"とは打って変わって、明るい雰囲気になった。2nd "Start Something"や3rd "Liberation Transmission"に近い。どちらかと言うと、3rdに近いかな? 聴きやすい曲が多いように思う。 でも、6曲目の"Better off Dead"はラップだし、隠しトラックの"Weapon"はスクリームだし、と油断ならない。 下の動画は1曲目の"Bring 'Em Down"。テンション高めでいい感じ。

Let's ニャー!!

『這いよれ!ニャル子さん 9』を読んだ。今回は真尋が頑張っていて新鮮。ついにデレ始めるか。 今回も相変わらずネタ満載。ハス太が『ЯМИДОКОКУ (やみどうこく)』を使っていたけれど、あれ体力ごっそり持っていかれるから、トラウマ級。 ネタっぽいけれど元ネタが分からないところも多いけれど、その分、元ネタwikiで発見があって面白い。 しかし、発売日当日の4月15日時点で既に 這いよれ! ニャル子さん 元ネタwiki - 9巻 がかなり充実しているって、なんて仕事の速さ。

フライ揚がれ

フライ揚がれ 「懲りずにまたエンドカードに投稿してみた」 「今度は「生ける炎」ことクトゥグアのクー子さんですね」 「ハス太が『ЁНОКАЗЭ (よのかぜ)』を使えるようなので、クー子は裏百八式・大蛇薙くらい使えそうだな、と」 「『Анкоку Орочинаги (あんこくおろちなぎ)』ではないのは、炎の色ですか?」 「うん、クー子の炎は赤いので。ちなみに、元ネタのストーリー上では、よのかぜの使い手に大蛇薙は通用しなない」 「ニャル子さんとのケンカをハス太君に止められているので、ちょうどいいんじゃないでしょうか」

ハウダニット?ホワイダニット?

『政治家の殺し方』を読んだ。 本書はスキャンダルに晒された元横浜市長・中田宏による先に結果を述べておくと、関連する裁判4件およびについては、全て著者が勝訴しているとのこと。 でも、筆者の勝訴は、スキャンダルを起こした側にとってどうでもいいことだ、という。筆者の評判は十分に貶められた。今のところの日本では、選挙戦で対立候補を非難するネガティブ・キャンペーンは貼られないと聞くけれど、あからさまじゃないだけじゃないか、と思う。『戦争広告代理店』( 感想 ) で紹介されていたPRのプロの言葉を思い出す。 「どんな人間であっても、その人の評判を落とすのは簡単なんです。根拠があろうとなかろうと、悪い評判をひたすら繰り返せばよいのです。ですから、この種の攻撃は大きなダメージにつながることがあります。たとえ事実でなくとも、詳しい事情を知らないテレビの視聴者や新聞の読者は信じてしまいますからね。攻撃への対応策は綿密に練る必要がありました」 余談だけれど、この手の訴訟をSLAP (Strategic Lawsuit Against Public Participation) というらしい。 筆者への攻撃はこのような派手なスキャンダルに留まらず、市庁舎への押しかけや職員からの嫌がらせメールもあったそうだ。中には脅迫まがいのものもあったらしい。 ここまでがハウダニット。それから、ホワイダニットすなわち攻撃者が現れる理由についても、著者の考えが述べられている。最も端的に書かれているのは、次の一文。 それは利権構造にメスを入れ、甘い汁を吸ってきた人間を追い詰めてしまったことによる。 「甘い汁」と表現されているけれどそれは端から見た話で、本人から見たら生活レベルを下げられかねないわけで、簡単には許容できないだろう。生活レベルが下がるだけならまだしも、職を失い兼ねないというところまで想像が及んだら、極端な反撃に出る人の出現に大きな違和感を覚えない。 職を失いかねないという想像は、人を恐慌に陥らせられると思う。安定していると認識されている市職員は特にそうだと思う。それは議員(含む候補)も変わらないんじゃないかな。選挙活動を就職活動と形容した箇所があって、オールオアナッシングの世界なんだろうな、と創造する。 この徹底抗戦の様相で、『一般意志2.0』( 感想 ) 第4章で紹介され

Agile Will

『一般意志2.0』を読んだ。 著者は、本書で民主主義に関する夢を語っている。エッセイであって、学術書ではない。このスタンスは、 『正義のアイディア』 と近い。また、扱っているテーマも近く、ハーバーマスやロールズなど、共通して登場する固有名詞も多い。 著者の主張の自分なりの理解を乱暴にまとめると次のようになる。 まず、理性的に話し合うのは非現実的。代わりに、みんなの感情とか行動履歴を集めて、何らかのアルゴリズムにかければ、一般意志を可視化できる。最後に、その一般意志を議論に対してリアルタイムにフィードバックさせ制約として機能させると、民主主義の形が変わる。 このスタート地点は、理性の重要性を説き続けた『正義のアイディア』と対照的。一般意志算出アルゴリズムのインプットは良いな、と思う。表明選好と顕示選好は個人の中で往々にしてずれているけれど、投票制度では表明選好しか汲み取れない。そこから先に関しては、具体的なイメージが湧かないので、何とも言えない。 既存の実装例として、ニコ生のコメント機能やTwitterが挙げられているけれど、これらはせいぜいが一部の声を集めているに過ぎず、一般意志を可視化まではできていない。雰囲気としては感じられるかもしれない。 そこで、少し可視化アルゴリズムの実装について考えてみた。けれど、 アローの不可能性定理 の存在がひっかかる。この定理は、個人の選好の集合をその集団の選好に変換するための、4つの民主的だと思われる条件を全て満たすなアルゴリズムは存在しない、と言っている。 これは数学の問題なので、民主的な条件がどのようなものか定義は明らかだし、アルゴリズムが存在する近似的な条件についても知られている。どのような条件でのアルゴリズムなら一般意志として許容できるだろうか。 ここまであまり肯定的な書きっぷりじゃないけれど、抽象的な話を全部うっちゃって考えると、とりあえずありものでやってみると良さそうだと思う。一般意志が何かも、インプットとなるデータ収集手段についても、それを算出するためのアルゴリズムについても、全く考えないで、その上で、ニコ生のコメントが政治に反映され得るという状態が反映され得ない状態よりベターかそうじゃないか考えてみると、反映され得る方がずっと政治への参加コストが下がっている分、ベターだと思う。

進め!

『進撃の巨人(7)』を読んだ。 今回は、前巻で登場した女型巨人との戦いがメイン。面白かった。読み始めたら止まらなくなるくらい。リヴァイ兵士長、格好良かったなぁ。 次巻は8月らしい。楽しみ。

ワンタッチレタッチ

「今日も桜を撮ってきたよ」 「今日はカラーですね。 昨日 と違って腫れていたからですか?」 「うん。冷静に見ると、桜って白いよなぁ」 「ですね」 「というわけで、今回は素直に赤みを足してみた」 「こちらの方が桜らしいと言えば、そうですね」 「『本物になろうという意思があるだけ偽物のほうが本物よりも本物だ』というわけだな」 「詐欺師の言葉ですよ、それは」

回転という静止

「 これ と これ の2ツイートで知って、衝動買いしてしまったSEIMITSU COMA。本当によく回る。そして軸がぶれない」 「回転中にマクロで撮れてしまいますね」 「人として軸がぶれている自分としては、尊敬の念を抱かせるを得ない。ところで、コマと言えば、 映画『インセプション』 を思い出すね」 「夢の中だとコマが倒れないんですよね」 「SEIMITSU COMAだと知らずに回したら、あまりにも回り続けるので現実なのに夢の中と錯覚しそう。しかし、最後は結局どうなったんだろうね」 「それは『言わぬが花』だと思いますよ」 「答えがない中で空想を広げる、というのも楽しいしね。特定の説に入れ込むと苦しくなるけれど」 「そうやってグルグルと考え続けているのも、またコマのようですね」 「確かに。進んではいないけれど、止まってもいないもんなぁ」

グレーブロッサム

gray blossom by SO_C is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License . 「桜って思っているより白いよね」 「記憶色と実際の色の違いですね」 「大抵の場合はそこで鮮やかに調整するところだけれど、空も曇りだったこともあって、逆に引いてモノクロにしてみた」 「こうやって見ると、枝の方が目立ちますね」 「うん。枝に花が咲いているんじゃなくて、花のテクスチャの上に枝が線を引いているようにも見える」

アザト(い)ホ(゜)ース(゛) ※完全版

『這いよれ!ニャル子さん』からニャル子。タイトルの割には、這っている印象がないので、描いてみた。 トリミング・縦横比調整の上、 ニャルラト邪星打法 に引き続き、エンドカードにも投稿。 スカートのフリルを描き忘れたのと、靴の形を間違えたのが、心残り。しかし、気がついた時には後の祭り。 ところで、タイトルの元ネタ、どう表記するとよかったんだろう。原作には出てきてないようなので、一番差分が小さい表記にしてしまった。

エビデンスのセンス

『Making Software』を読んだ。 本書は、下記の30章から構成される。公式ページでは「エッセイ集」と紹介されているけれど、「論文集」の色の方が濃かった。 1章 有力なエビデンスを求めて 2章 信頼性〜なぜ確信できなくてはいけないか? 3章 システマチックレビューから学べるもの 4章 ソフトウェア工学を質的手法で理解する 5章 NASAのアプリケーションを通じて学んだこと:品質改善パラダイムの成熟 6章 性格・知能・専門性がソフトウェア開発に及ぼす影響 7章 プログラミングを学ぶことはなぜそんなに困難か? 8章 コード行数を超えて:さらなる複雑度メトリクスは必要か? 9章 欠陥数予測の自動化 10章 アーキテクティング:いつ、どれだけ? 11章 コンウェイの法則の系 12章 テスト駆動開発はどれくらい効果的か? 13章 コンピュータサイエンスに女性が増えない理由 14章 プログラミング言語の比較 2通り 15章 品質戦争:オープンソース対有償ソフト 16章 コードを語る人 17章 ペアプログラミング 18章 近年のコードレビュー 19章 共同作業場か、閉じるドアか? 20章 グローバルなソフトウェア開発における依存関係の認識と管理 21章 モジュール化はどれくらい効果的か? 22章 デザインパターンのエビデンス 23章 エビデンスに基づくエラー予測 24章 バグレポート収集の技芸 25章 ソフトウェアの大半の欠陥はどこから生じる? 26章 若葉マークのプロ:最近の卒業生、はじめてのソフトウェア工学のお仕事 27章 自力でのエビデンスマイニング 28章 工学ツールとしてのコピーペースト主義 29章 あなたの APIはどれくらい使いやすいか? 30章 10倍が意味するものは?プログラマの生産性のばらつき測定 通読したけれど、逐一感想を書くと膨大になるから、関連する章をまとめて。 『1~8章(第Ⅰ部エビデンスの探究と利用に関する一般的原理)』 ソフトウェア工学のデータってあてにならないよね? じゃあ、どうやっていけばより信頼できるものになるだろうか? という話。ソフトウェア開発は、その方法がガンガン変わっている上に、作っているものも様々だから、比較可能な形で定量化するのは難しい。だから、尺度(

パンチ力

『Black★Rock Shooter』からストレングス。 ゴツイ腕が面白い。どういう構造になっているかよく分からないから、だいぶんゴマカシが入っているけれど。 ところで、アニメで指先から銃撃したのを観て以来、ストレングスからサイコガンダムを連想してしまう。あと、最近『境界線上のホライゾン』を読んでいるので、義腕つながりで、直政や誾も。 ブラック★ロック・シューターはアニメ版デザインのfigmaが発売されたけれど、ストレングスも出ないかな。

おーれたーちゃ

『モーレツ宇宙海賊』から主人公の茉莉香(まりか)。 宇宙戦艦の艦長つながりで『機動戦艦ナデシコ』のミスマル・ユリカを、海賊の女船長ということでFinal Fantasy Vのファリスを思い出す。 船長のような仕事、つまり、素早く状況に応じた決断をすること、って難しいよなぁ、と思う。情報が不十分な中で決断を下すと、心理的な負荷が大きいから、つい決断しないことを選んでしまいがち。不確定な状況下で判断しないといけないから、理屈っぽい自分は本当に苦手だろうと想像する。 それから、描いていて気がついたけれど、目つきこそ違うけれど、癖っ毛っぷりは母親ゆずりなんだろうな。描かなくても気がつけ、という話だけれど。あと、首にチョーカー+コートの高い襟+スカーフ、と首回りの派手なこと。

サプライズのプライズ

『ヒューゴの不思議な発明 (原題 "Hugo")』を観てきた。邦題が微妙に内容と食い違っていた。 それはさておき、ぜんまい仕掛けや歯車や時計や汽車や手品や映画に対する愛情に溢れていて、とても素敵だった。 当然主人公はヒューゴなんだけれど、ジョルジュ・メリエスの方にむしろ思い入れを感じたので、調べてみたら実在の人物だった。 本映画の原作は『ユゴーの不思議な発明 (原題 "The Invention of Hugo Cabret")』だけれど、 Wikipedia によると「話自体は創作だが、メリエスの生涯についてはほぼ史実に基づいている」とのこと。 原作は原題からして「不思議な発明」と付いているのが不思議。映画ではヒューゴは発明らしい発明をしていなかったのだけれど、原作では何か発明するのかな? 原作は原作で変わった形態をしていて面白そうなので、読んでみようかな。

アルファにして

『Alphas Zetman Another Story』を読んだ。 『NINJAMASTER ガラ外伝』 に引き続き、古橋秀之さんによる、マンガのノベライズ。 今度の原作は、『Zetman』。作者は、『Tiger & Bunny』のキャラクターをデザインした桂正和さん。読んだことがないけれど、本書を読む限りヒーロー物。と言っても、単純な勧善懲悪ではないし、『Tiger & Bunny』と違ってコミカルな要素も少なそう。面白そうなので、この春から始まるアニメも観てみよう。 本書に話を戻すと、まだ原作が続いている作品の、それも主人公アルファスが出てくる作品ということで、あくまでサイドストーリーという印象。扱われる事件自体は、きちんと収まるところに収まるけれど、主人公にとっては重要な転機ではあるけれど、数ある事件の一つで結末ではない。 自分の読んだ限り、序章で投げかけられた次の言葉に対して、アルファスは応えられていないと思う。 悪が悪を為すに先立ち、これを討つ。 最速の暴力のみが正義たり得るのだ――と。 一方で、先日読んだ『正義のアイディア』の影響で、「何が正義たり得るか?」は問題じゃないかもしれないという思いもある。「正義とは何か?」に対する答えを持ち合わせていなくても、「目の前の悪を放っておけない」という気持ちは、持っているもんじゃないだろうか? 大概の人は。

扉を叩く音

The Mars Voltaの"Noctourniquet"を聴いている。 1曲目の"The Whip Hand"から変則的なリズムが面白い。変則的なのに、リズムと感じられるのが不思議。 下の動画は5曲目の"The Malkin Jewel"。爆発するボーカルに引き込まれる。

ニャルラト邪星打法

ニャルラト邪星打法 ニコニコ動画で放送する 名状しがたいアニメがエンドカードを募集 していたので、応募がてら描いてみた。 既にもっと素敵なのが投稿されているけれど、まぁ、エンドカード応募するくらい好きな人がいるということが、伝わればいいかな、と。 題材は、「名状しがたいバールのようなもの」。 『ニャル子は友達が少ない』 に引き続き、懲りずに描いてみた。今度は動きをつけてみたので、描くのは大変だったけれど面白かった。 ちなみにタイトルの元ネタは、アストロ球団のジャコビニ流星打法。よい子はマネしてはいけない。