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7月, 2019の投稿を表示しています

メルトリリスを描く参考にバレエ関連書籍2冊

Fate/Grand Order (初出はFate/EXTRA CCC)のメルトリリスのモチーフの1つがバレエということで、描くにあたって参考になるかと思って読んでみた。 『ビジュアル版バレエ・ヒストリー』 は雑学としておもしろかった。太陽王ルイ14世が基礎の確立に大きな役割を果たしたとか、踊る王とも呼ばれていて、バレエで太陽の役を踊ったのが太陽王と呼ばれる由来とか。 バレエも時代ごとに分類されていて、メルトリリスはシルエットが釣り鐘型なのでロマンティック・バレエのイメージが近いように見える。これが確立されたのが1800年代の『ラ・シルフィード』。主演のマリー・タリオーニがまとっていたのがトゥ・シューズとロマンティック・チュチュ。今よりも丈が長く釣り鐘型でボディ部分はコルセット状とのこと。 ところで、バレエ・ダンサーと言えばドガの描いた『踊り子』を思い出すけれど、舞台袖視点なのはパリ・オペラ座が1831年に私企業になって年パスにバックヤードに入れる特典を付け始めたりしたかららしい。このころはお気に入りのダンサーに宝石送ったり、それつけて踊ってもらえたとか(アイドル商法とダブって見える)。 「控え室の子たち」を見た時に感じた窃視感 は、バックヤードからの視点だったか。 もう1冊 『ダンサーなら知っておきたい「からだ」のこと』 もざっと眺めた。姿勢がよくわかる写真があったので。 それで描けたのが これ 。彼女の攻撃モーションなので、美しくて切れがある感じにしたかったのだけれど、そんなふうに仕上げられる気がまったくしなくてラフ止まり。

クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime@国立新美術館

国立新美術館で『クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime』を見てきたが、どうもおもしろくなかった。前半でわかったつもりになって、思考が収束モードになってしまったのもいけなかったかもしれない。 場所と作品の相性が悪かったようにも思う。みどころに「日本で過去最大規模の回顧展」とあるが、それでも狭過ぎたのでは。例えばCat.41〈黄昏〉の作品リスト掲載の写真と実際の展示形態は大きく異なる。そのため、視覚的にも聴覚的にも複数作品からの情報が混ざるため気が散る。3~4の作品の視覚情報+1作品の聴覚情報が入ってきたりする。ただ、作家の意に沿わない形ではない。概要に「作家自身が、展覧会場に合わせたインスタレーションを手がけます」とある。 というのも後付けの理屈で、ものの信じ方が違ううえに好みではなかった、というのが本当のところなのかもしれない(そんなところがあるとして)。 まずネオンサインの "DEPART"が目に入るわかりやすさ (Cat.39)。最初に映像作品で足を止めさせて動揺を誘うわざとらしさ(Cat.1, 2)。 時系列に並べられたある一家族のアルバム (Cat.6)、シャッフルされた「匿名の人々」の写真(Cat.30)、自分の記憶の復元 (Cat.3, 4)。自分の過去のポートレイトのモンタージュ(Cat.33)、自分の仕事場の映像ログ(Cat.34)。 礼拝堂 (Cat.27)、隣接する死後の世界 (Cat.8)、自分の心臓音Cat.31、Cat.30の変型ともいえるモーフィングする自分の顔(Cat.35)、その向こうには天国からの死者Cat.7。その周囲に展開されるのは、死者の写真をイコンのように配したCat.9-20, 22, 23, 26, 29。聖骸布と聖母を重ね合わせたようなCat.25。 作者は、他者の記憶と交わらず、自分の過去と交わりながら、その心臓はいつまでも鼓動を続け、心象風景の中で神聖視する死者に祈りを捧げつづける。こんなイメージを抱いてしまい、その他者の入り込む余地のなさに、軽く言えば白けてしまい、重く言えば拒絶反応が出た。 自我なんて曖昧なもので、やがて死者になるもので、そこに信心もさしてないと思っているので、まったく重ならない。 以下はここまでに参照した作品のタイトル。 Ca

世界報道写真展2019@東京都写真美術館

昨年に引き続き、東京都写真美術館で世界報道写真展を見てきた。十分大きな解像度の画像を、World Press Photo FoundationのWebサイト ( 2019 Photo Contest | World Press Photo ) で見ることもできるけれど、足を運んで立ち止まって見ないと流し見してしまうので。 「世界報道写真渾天スト」の応募者数・受賞者数が書いてあるパネルに、女性が10%台から30%台になったというような記載があってひっかかる。女性問題だけでなく、男性の性的ハラスメント被害者 ( Mary F. Calvert CI | World Press Photo ) 、男性性労働者 ( Heba Heba Khamis PO | World Press Photo )、トランスジェンダー ( Jessica Dimmock POS-AJ | World Press Photo ) を扱っている写真もある場なんだから。 複雑で、微妙で、困難な問題だけれど、もしそういう問題を報道機関(本展の主催=朝日新聞)が自ら避けてしまっているのなら、その存在意義を疑ってしまう。