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11月, 2012の投稿を表示しています

クラスがないパターン

「『JavaScriptパターン』を読んだよ」 「『JavaScript 第6版』はまだ読み終わってないですよね?」 「主な読書時間が電車内の俺にとって、あの厚さは辛い」 「境界線上のホライゾンシリーズもそんなに変わらないような」 「え、境界線上のホライゾンは文庫だよ?」 「…………。ま、そろそろ本題に戻りましょうか」 「そうだね。この本は、良い書き方を中心にしているのが嬉しい。『JavaScript 第6版』は解説が中心なので、色んな書き方が網羅されているから、読んでいる分には面白いけれど、いざ書こうとしたときは手が止まりがち」 「これでコードを読みやすくできそうですか?」 「多少は。変数の宣言から始まって、デザインパターンまで一気にいくので、中盤からついていけないこともしばしば」 「できるところから、取り入れていったらいいんじゃないですか?」 「そうだね。前から書いているJavaでさえ、デザインパターンを多少は使えると思えるようになったの、最近だし」 「どこから始めます?」 「まずはグローバル変数を消すことから始めよう。いつか衝突させてしまいそう」

銀杏と紅葉とせせらぎと

「広徳寺のイチョウを観てきたよ」 「手前の建物よりも高いんですね」 「近くで見るとこんな感じ。近付くと、全然収まらない」 「2本あったんですね」 「落ち葉の密度もコレ!」 「掃除が終わりそうにありませんね」 「大変やろうね……」 「奥には池。そのほとりには紅葉。枝の紅葉とその映り込みと落ち葉」 「池でも紅葉筏と言うのかな?」 「どうなんでしょうね。流れはありませんけれど」 「え、モリアオガエルいるの。さがさなきゃ!!と思ったけれど、落ち着いて考えたらきっと冬眠している」 「ええ、気がついてよかったですね。ってどれだけカエル好きなんですか」 「最後におまけ。最後の方にさえずりが拾えていたのは、嬉しい誤算」

蔵書を殺さないで

「『死の蔵書』を読んだよ」 「どうでした?」 「波乱に富んだ展開で、小説としては面白かったよ」 「じゃあ何としては面白くなかったんですか?」 「稀覯本を狙った古本屋――この物語でいう掘り出し屋には感情移入できないところ」 「 『せどり男爵数奇譚』の感想 でも、そんなことを言っていましたね」 読んだ本は読んでない本よりずっと価値が下がる。蔵書は、懐と住宅ローンの金利と不動産市況が許す限り、自分の知らないことを詰め込んでおくべきだ。 「 『ブラック・スワン[上]』 より」 「読んだ本は汚れるから価値が落ちる、という話ではありませんね」 「確かに市場価値は落ちるだろうけれど、そうじゃなくて知らないことを知ることができるという話じゃないかな」 「そういう話なら、もう少し正確に言うと、まだ読んでないけれどこれから読む本を詰め込んでおくのがいいんでしょうね」 「死蔵している本が一番もったいないというわけか。そう言えば、『実験的経験』まだ読んでないなぁ。『JavaScript 第6版』はじめ読みかけの技術書も何冊かあるや。この作品もシリーズ化しているから続きも読みたいし、どうしたものか」 「何だかんだいいながら、楽しんでるじゃないですか」 「感情移入できないからって楽しめないわけじゃないよ?」

世界の終わり

「 CAPCOM FIGURE BUILDER Monster Hunter vol.5 のリオレウス希少種」 「原種・亜種と同じく飛び回ったり走り回ったりして追うのが大変なのに、希少種ときたら頭も硬いのが厄介ですよね」 「切れ味が白でも弾かれちゃうもんなぁ」 「ガンランスには砲撃があるから、壊しやすいのが救いですね」 「でも、尻尾も硬いよね」 「そうなんですよ。しかも当てるチャンスが少ないので、他の部位への攻撃を控えめにしないと、切る前に死んでしまうんですよね」 「そう言えば体力少ないんだっけ」 「ええ、ほんとロクなモンスターじゃないです」 「でも、装備が強いんだよね。だから何匹も狩り続けることに。尻尾を剥ぎ取ったときに鱗が出たときの怒りはどこにぶつければいいんだろう」 「嫌がらせかと思ってしまいます」 「とまぁゲーム中ではさんざん嫌な目に遭わされたわけだけど、竜の王道を行くフォルムはやっぱり良いなぁ」

終焉の終演

『食の終焉』を読んだ。 アグリカルチャーとアグリビジネスの間「食の終焉」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる で紹介されていたのがキッカケ。 結論だけ拾うと、「持続可能な食品にお金を払おう」と言っている。本書が描き出しているのはアメリカの事情だけれど、日本でも事情は変わらなさそう。 『津田大介の「メディアの現場」vol.12』 で農作物流通ジャーナリストの山本謙治さんは 「今の農産物価格は、それ自体の収入で農業者が食っていける(再生産できる)価格には達していない」 と言っている。 そんなことを言うのは、現在の食料生産は持続不可能だと考えているから。その原因は、下記にあると言う。カバーする範囲がとても広いけれど、最終消費者が変わらないことには、変わらないだろうということらしい。余談だけれど、切り口がファイブフォース分析に近いのは偶然なんだろうか。 安いものが売れるという消費の傾向 外食産業とのシェアの奪い合い 小売店との力関係 食品メーカ間での価格競争 食料生産のビジネス化(アグリビジネス化) この考え方は『文明崩壊 (上) 、 (下) 』の主張とよく似ている。『文明崩壊』も、環境問題という大きな問題に、色んな切り口から切り込んで、その解決の糸口として持続不可能な企業に消費者が目を光らせる必要があると主張していた。こちらは、どこに目を向けるべきかなど、もう少し詳しい話まで書かれていたと記憶している。 ここまでの大まかな構造で言いたいことはおおよそ分かるのだけれど、さらに具体的に内容を吟味しようとするととても辛い。まずきちんと読むのが辛い。「確か」とか「明らか」とか「事実である」とか、目にしたら警戒するようにしている言い回しがずらりと並んでいる。こんな言い回しをするにあたって、大量の事例を挙げている。けれど、それらは論理的に緊密に繋がっているわけではないし、うまくデータとしてビジュアライズされているわけでもない。と言うか、グラフはおろか表にさえしてくれていない。 というわけで、問題意識は分かるし、結論も少なくともそうした方がマシになるだろうと思える。けれど、一冊の本としては、あまり信が置けなかった。事例の多さが論理構造の弱さと相まって質より量で押すための弾幕に、断定口調の文体が疑問を抱かせず不安を引き起こすための煽り文句に

カエルの歌が

「ネイチャーテクニカラーMONOヤドクガエル マグネット×ストラップのコバルトヤドクガエル」 「リアルですね。ちょっとビックリしました」 「よくできているよねぇ」 「こちらはグラヌリフェラヌスヤドクガエル」 「名前が長いです。でもこちらの方がかわいいですね」 「ファンタスティックヤドクガエルなんて名前のもいるよ」 「4匹でヒーローやってたりしないですよね」 「カメじゃないんだから」

地味も紅葉

「京都の南禅寺で紅葉狩りをしてきたよ」 「モミジなんてモンスターいましたっけ?」 「モンハンじゃねえよ」 「双司君が『狩り』って言ったらもっぱらモンハンだったものでつい。ところで葉っぱが濡れていますね」 「雨だったんよ。でも鮮やかで綺麗だったよ」 「雨男の本領発揮ですね」 「いや、沢山の人が来ていたから俺とは限らないんじゃ」 「 東武動物公園 もニアミスでしたし、 江ノ島と鎌倉 に行った時も降りましたし、 この時 も雨でしたよね?」 「落ち葉も綺麗だなぁ」 「話を逸らしましたね」 「いや、逸らしたのは目だ。現実からな」 「自信満々に言うことですか」 「黄色と赤のグラデーションが面白い」 「銀杏もあったんですね」 「うん。銀杏(ぎんなん)は落ちていなかったのが不思議。お寺の人がこまめに拾っているのかな」 「茶碗蒸し美味しいですよね」 「煎ったのも好き。塩だけで十分うまい。いい酒のつまみになる」 「それから庭にも」 「角の向こうには池」 「よく降っていたんですね。池に波紋が」 「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!!」 「静かにして下さい」 「はい」 「というわけで、最後はライトアップ。こちらは南禅寺じゃなくて永観堂。時間があればしばらく眺めていたかったなぁ」

一気加勢

『ブラッド・スクーパ』を読んだ。 『ヴォイド・シェイパ』 に続くシリーズ2作品目。 前作で山を下り旅に出た主人公ゼンは、立ち寄った村である事件に巻き込まれ、その中で強さについて考える。諍いが金で収められるところを見たり、そもそも戦わなければ死者を出さなくても済む状況に直面したりして、彼が考える強さと侍としての強さ――すなわち剣の腕とのギャップについて考える。 ゼンを見ていて、『境界線上のホライゾン』シリーズの本田・二代を思い出した。かつての師(ゼンはカシュウ、二代は本田・忠勝)を目指していて、ずっと強さについて考えていて、世間知らずで、感情に疎くて、侍。作品の雰囲気は全然異なるけれど、個人の特徴を拾い上げると共通点が多い。 共通点が多いけれど、大きな違いもある。それは、個人として動いているか組織として動いているか、の違い。ゼンはずっと山でカシュウと過ごしていたため、他者との接点が少なく、本巻でも一個人として放浪している。一方で、二代はホライゾン・アリアダストを君主と仰ぎ、武蔵アリアダスト教導院副長を務めていて、軍師役のネシンバラ・トゥーサンが考えで要所に配置されることが多い。 本巻で、ゼンの名を知る者が接触してきた。この先、ゼンも、組織あるいはしがらみに巻き込まれていくのだろうか。同著者のスカイ・クロラシリーズに出来てきた、キルドレ達のように。

Giallo Finale

「『魔法少女まどか☆マギカ ~The different story~ (下)』を読んだよ」 「 (上) 、 (中) と続いてきたスピンオフが、これで完結ですね」 「うん。本編の結末がある以上、ハッピーエンドに着地しないことは覚悟していたけれど、やるせない展開だった……」 「まあ、そうなりますよね……」 「でも、読んでよかったよ。本編では描かれなかった、マミさんと杏子の関係が掘り下げられていて。お互いこんな風に思っていたんだなぁ、って」 「本編だとマミさん、早期に退場してしまいますもんね」 「言ってくれるな。それまでにどういう選択をするかが、大事なんだよ」 「でも、この選択もなかったことになってしまうんですよね」 「この世界もどこかで誰かが巻き戻してたりして」 「例えばシミュレーション仮説が真で、そんなことが起こっているとしても、そんなことは誰にも分かりませんよ」 「それもそうか。だったら、この物語のマミさんは、本編のマミさんが知り得なかったことを知ったのかもなぁ」 ■2012/11/13追記 Mirror House Annex: Rosso Fantasma : 上の感想 Mirror House Annex: Blu Risuscitare : 中の感想

IMEのABC

「『日本語入力を支える技術』を読んだよ」 「IMEでも作るつもりですか?」 「本書の内容をきちんとかみ砕けたら、アルゴリズムは実装できそう。そこまで読み込めなかったけれど」 「挫折しました、って顔をしていますね」 「これまで読んだWEB+DB Plusシリーズが 『Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST』 と 『パターン、Wiki、XP』 だったから、本書も読み物寄りかと思っていたら、こんなに実装寄りだったとは」 「確かに疑似コードも沢山載っていますね」 「データ構造から説明してくれているし、参考書や会議、論文誌、学会の情報もまとまっていて、親切だなぁと思う。でも、軽い気持ちで興味本位で読み始めたので、ちょっと重かった」 「それでも読むあたり、活字中毒者ですね」 「視点を変えて、機械学習の応用例として読んだら面白くなってきて。SVMとか出てくるし」

不断の普段

「言っていることとやっていることは、しばしば食い違うよね」 「有言実行は言うほど簡単ではないですね」 「目の前の誘惑に簡単に流されちゃうんだよね」 「 『誘惑される意志』 では〈双曲割引〉、 『貧乏人の経済学』 では〈時間の不整合〉として紹介されていましたね」 「うん、すぐ手に入る目の前のメリットを過大評価するバイアスがある。でも、それはまだ良いと思うんだ」 「もっと悪いことがあると?」 「誘惑に負けたことが記憶に残る分、少しマシじゃないかと。負け癖が付くというデメリットこそあるけれど。それより、言っていることとやっていることが食い違っていても、気にしない方がどうしようもないかなぁ、と」 「表明選好と顕示選好の話ですね」 「それもある。案外、自分で自分が何が好き分かっていないものらしいね。それから、もう一つある」 「何ですか?」 「選択が、目的に適っているとは限らないことがあるよなぁ、と。 『となりの車線はなぜスイスイ進むのか?』 で読んだ話なんだけれど、自動車の数をコントロールすることで渋滞を減らすために、高速への入り口で制限をかけたんだって」 「失敗したんですか?」 「いや、それで実際に到着時間は短くなったらしいよ」 「良かったじゃないですか」 「でも、止めちゃったんだって。待たされる人からのクレームが絶えなくて」 「確かに待たされるのは嫌ですけれど、それで到着が遅くなるなら本末転倒かと」 「頭では理解できるけれど、優雅な気分で待てるかと言うと」 「うーん、難しそうですね」 「そう考えると、言っていることにどれだけの意味があるのかなぁ、と。その上、個人レベルでこれなんだから、みんなが申し合わせた合意にどれだけ意味があるのかなぁ、と」 「そういう大きな答えを探すよりも、より良い主張で合意するためにはどうしたらいいか考える方が、建設的じゃないですか?」 「そうか、そうだね。それが 『正義のアイディア』 や『貧乏人の経済学』のスタンスだった、言われてみると」

アップアップ

「『貧乏人の経済学』を読んだよ」 「貧困に関する経済学ですか?」 「うん。主に、貧困層の人がどう振る舞うか、ランダム化対照試行で説明している。たとえば、マラリアを防ぐために蚊帳を配ろうとするとき、無料で配るのと割引券を配るのとで、それぞれどう結果が変わるか、とか」 「聞き覚えのある話だと思ったら、2人の著者のうち一人は、 エスター・デュフロ: 貧困に立ち向かう社会的実験 | Video on TED.com でプレゼンテーションをしている人ですね」 「あ、本当だ。気がつかなかった」 「消化しきれていない様子ですね」 「うん、話題が多くて。 『最底辺の10億人』 で述べられている〈貧困の罠〉にも、 『貧困のない世界を創る』 で紹介されているマイクロ・クレジットにも、それから 『地球全体を幸福にする経済学』 や、 『正義のアイディア』 で出てきたケイパビリティにも言及している」 「それで何を言わんとしているんですか?」 「すごい端折って言うと――貧困に銀の弾丸はないけれど、どうすると効果がよく現れるかは分かりつつある。大文字の制度(政策とか)にも効果はあるけれど、それだけでは貧乏人は動かない。もっと細かいところにまで気を配る必要がある――という感じだと理解した」 「インセンティブ設計ですか?」 「それも一つの手段。でもそれだけじゃない。もっと泥臭い。IDEOがよく参照される意味でのデザインが近いような気がする」 「具体的な問題に落とし込むと、解決が個別最適になりませんか?」 「うーん、それ以前の問題。大文字の制度は、検証されていないから解決に寄与しているかどうかさえみんなよく分かっていない、というのが現状じゃないかな。『正義のアイディア』に出てきた議論とよく似ている。全体最適の解があるとしてもそれが分かっていないんだから、少しの工夫で今より少しでもよくなる改善を積み重ねていくことが、かえって近道なんじゃないか、と」 「銀の弾丸を欲しがるのは、人の常なんですかね」 「ね。貧困問題に限らない。ソフトウェア開発でも、『人月の神話』の時代から銀の弾丸はないと言われているし、だから 『アジャイルサムライ』 の志が必要なんだろうな、と」 「ところで、効果が出るのはどんな時なんですか?」 「細かい障壁を取り除くことが大事なんだけれど、とくに次の5つが〈

武士道とは

「リファクタリングやデザインパターンが、どういう時に使えばいいのか、ちょっとずつ飲み込めてきたような気がする」 「おー」 「昔、『Java言語で学ぶリファクタリング入門』や『増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門』で読んだもののうち、生かせるものが少しずつ増えてきた感じ」 「メラしか使えなかったのが、メラミまで覚えたような感じ?」 「メラよりバギがいいなぁ。僧侶ならホイミも使えるし」 「そこはどうでもいいような」 「でも、IDEにユニットテストフレームワーク、それに構成管理の力があってこそ。IDEの支援のおかげで素早く変更できるし、予めユニットテストフレームワークでテストを書いておけば動作が変わっていないことが簡単に確かめられるし、仮に間違えても構成管理で前のヴァージョンに復旧できる」 「リファクタリングとユニットテストの組み合わせはテスト駆動開発の考え方ですね」 「そうそう。『アジャイルサムライ』をキッカケにいろいろと学ぶことが出来た。ありがとう、マスターセンセイ」 「 『アジャイル・サムライ』を読んだときのエントリィ で、継続的インテグレーションが欠けていると言っていましたけれど、どうなりました? その後、 『継続的インテグレーション入門』 や 『Jenkins入門』 も読んだようですけれど」 「うん、Jenkinsは使い始められたよ。これで開発でやりたいと思っていたことは手を着けられた。svnじゃなくてgitを使ってみたいとか、antよりmavenの方が便利なのかな? とか技術的な興味はまだまだ尽きないけれど」 「でも技術だけじゃないですよね、必要なのは」 「そうなんだよねー。要件定義やインタフェース・デザインなんかのユーザ寄りの話とか、ファシリテーションやコーチングなんかのメンバ寄りの話が、ご無沙汰気味。こっちの方がネックになっている気がする」 「どこから攻めますかねー」 「短期的な目の前の問題と、次の一手のために解決したい課題とのバランスが難しいなー」

音を下げろと音を上げる

「雨の音は落ち着くね」 「もう止んでいますけれど?」 「そんな時には RainyMood.com 」 「あ、雨音が流れてきました」 「こういうノイズは何だか落ち着くよね」 「音と気分って、密接に結びついていますよね」 「ね、反対に集中力を大きく損なう音もある。着地点が見えない議論が聞こえてくる中でのプログラミングは、忍耐力を試されているとしか思えん」 「何かあったんですか?」 「『Making Software』の19章『共同作業場か、閉じるドアか?』でそんな議論があったような、とふと思い出して」 「絶対何かありましたよね、さっきの断言振りから察するに」 「環境から聞こえてくる音と言えば、『津田大介のメディアの現場 vol.49』の『2.メディア/イベントプレイバック』に、緊急地震速報をデザインした小久保隆さんという音環境デザイナーの話が載っていて――」 「露骨に話を変えましたね」 「――日本やアジア圏は、無秩序な音で溢れているんだって」 どんどん刺激を求めるというか、情報を加えたがるというか。たとえば繁華街に目を向けると、自分たちの情報を流したいお店が競いあうように音を出しあっている。 「哲学者の中島義道さんも、よくそんなことを書いていますよね」 「うん。でも、多くの人はあまり気にしていないのかな? 例えば、人混みの中で大きな音がしても、反応する人は少ない。自分は気になって、音が鳴った方を見るのだけれど、同じ方向を向いている人があまりいないような」 「あるいは、気になっているけれど、誰も言い出さないのかも」 「誰に何をどう言えば改善されるかよく分からないしね。でも、自分ももう少し静かな方がいいな。思考がまとまらない」 「やっぱり何かありましたね……」

1ポモドーロで書いてみた

今回のエントリィは、 イタリア語でトマト の続き。ポモドーロ・テクニックについての話。 "The Pomodoro Technique"の、残っていた"3 Result"、"4 Conclusion"を読み終えた。テクニックについての新しい話はない。3は、ポモドーロ・テクニックの適用結果についてで、4は全体のまとめ。 全体を通して、休憩の重要さを繰り返し説いていたのが強く印象に残っている。自分は、仕事で趣味でもともすれば何時間でもぶっ続けてしまうから、新鮮だった。 実際に意識的に休憩を挟むようにしてみて、前回の発見に加えてもう1つ気がついたことがある。意図的な休憩は、外部からの割り込み ("External Interruption") とはもちろん、気が散ってしまうこと ("Internal Interruption") とも違う。すんなりと問題に戻れる。 とても意外。集中が高まった状態(いわゆるフロー状態)に入るには、15分くらいかかると言われている。だから、25分集中して5分休むというスパンでは、集中できた頃には残り10分しかないから効率悪いんじゃないかと思っていた。 これはどういう仕組みなんだろう。何だか不思議な気分。

踊る狂人

「『きみとあさまで II〈上・下〉』を読んだよ」 「ついにバンド結成が決まりましたね!!」 「そして意外なことに怪異との派手な戦闘が」 「隠竜との戦いですね」 「〈隠竜〉に関しては、アサマチの次の解説が面白い」 いや、鬼竜が本当なんですけど、それだと強そうな名の加護を得ちゃうからやめようね的な、そんな感じだったと思います 「〈鬼〉が〈隠〉に由来しているという説とは、逆転しているよなぁ、と」 「流体として隠れていると考えると、相応しい名前にも思えますね」 「で、それを鎮めるための祭が近付きつつあるわけで、続きが楽しみだなぁ」

イタリア語でトマト

"The Pomodoro Technique ( The Pomodoro Technique – Vintage Edition — からダウンロードできるPDFファイル)"を読んでいる。 『ポモドーロテクニック入門』 という日本語書籍もあるけれど、英語の勉強も兼ねて。 今、"1 The Context", "2 Material and Method"まで読んだところ。使ってみたいだけならチャプター2までで何とかなる。ここまでで、どんな目的でどんな道具を使ってどうやって行うかが分かる。残る"3 Result"と"4 Conclusions"は、それぞれこのテクニックを適用した結果と全体のまとめ。 肝は、「1ポモドーロ(=25分)とにかく集中して、5分休む」。これだけ。あとはこれをどう徹底するか、という工夫がまとめられている。例えば、ポモドーロの間に割り込んできたインタラプトは、簡単にメモだけして実行は以降のポモドーロにする。逆に、あと3分で作業が終わると思っていても、ポモドーロが終了したら、休みに入って、頭を使わない。シンプルでとても分かりやすい。 さらに深く適用(あ、ポモドーロが終わった)。 (5分後) さらに深く適用することもできる。Webで日本語の情報を検索してみた限りだと余りまとまった情報がなくて、「1ポモドーロ(=25分)とにかく集中して、5分休む」くらいしか知らなかったけれど、こうして読んでみると、思っていたよりずっとシステマチックだ。毎日TODOリストの各タスクについて何ポモドーロ必要か見積もって、実際にかかったポモドーロと比較しながら、効率改善を図ったり、過少見積もりを防いだりしようというセルフマネジメントの方法まで書かれている。 あと、こういうテクニックが生まれた理由が、キチンと書かれているのもいい。天下りに感じていたルールに、ずっと納得がいくようになる。納得すると、守ってみようという気になれる。たとえば、ポモドーロが終わったら作業を終えるのを徹底しようとするのは、ポモドーロが終わっても作業を続けてしまうと、短期的には多くの作業ができるけれど、長期的にはその後のポモドーロの効率を低下させるかららしい。 というわけで、

斬れぬものなし

「『ONE PIECE 68』を読んだよ。シーザーがSlimeを解放したり、暗躍している人物が明かされたり、とテンポよく進んでいて気持ちいい」 「パンクハザード編は短めに終わりそうな雰囲気ですね」 「うん。でも、テンポが速い上に登場人物が多いから、話を追うのが大変。視点もコロコロと変わるし。ここ数巻よりは読みやすい気がするけれど」 「そう言えば錦えもんさん、ようやく復活しましたね」 「錦えもんは、サンジとの関係が面白い。でも、仲間にはならないだろうなぁ。既に剣士が二人いるし」

G線上のアサマ

「『きみとあさまで I〈上・下〉』を読んだよ」 「『境界線上のホライゾン』アニメ1期の特典小説ですね」 「うん。本編の1年前の話。タイトルは喜美、ミト、浅間が組むバンドの名前。でも、Iではまだ結成に至っていない」 「バンド名は本編で既に出てきていますよね」 「II, IIIと続いていくけれど、どこまで書かれるのかな。結成までかな。それともその先までやってくれるのかな」 「この作者さんなら先までやってくれそうな気がします」 「ともあれ、上下合わせると普通の文庫1冊分くらいの分量があるのに、物足りなさを感じるのは……」 「本編の厚さのせいでしょうね」