『MONUMENT あるいは自分自身の怪物』を読んだ。
ライトノベルのレーベル・ダッシュエックス文庫からの出版で、装丁もライトノベルに見える。物語の舞台も、「人類が火を熾すよりも先に、発火能力を魔術に目覚めた世界。(中略)不思議な力が存在しても、結局は似たような歴史を歩んできた世界」と、ライトノベルには珍しくない。
けれど、読み始めてみると、物語の幹はそうではないことが分かる。主人公ボリスの名前の由来は、1931年の映画『フランケンシュタイン』で怪物を演じた役者。職業は命じられるままに人を殺す暗殺者で、その技術を叩き込まれたのは1991年に崩壊したソ連の参謀本部情報総局(GRU)。性格も、他人を利用することを厭わない怠惰な利己主義者。どこをとっても、2015年に発売されたライトノベルの主人公らしさがない。
ライトノベルか否かという分類学はさておき、とても美しい作品だった。過不足がないあるいは必要十分と言い換えてもいい。無駄もなければ、冗長さもない。最終章でそこまでに散りばめられた断片が形をなし、スケールが爆発的に拡大する。あまりの速度に理解が追いつけず、一拍遅れて驚かされた。さらにその後、語り過ぎていないエピローグの余韻も、好ましい。
ライトノベルのレーベル・ダッシュエックス文庫からの出版で、装丁もライトノベルに見える。物語の舞台も、「人類が火を熾すよりも先に、発火能力を魔術に目覚めた世界。(中略)不思議な力が存在しても、結局は似たような歴史を歩んできた世界」と、ライトノベルには珍しくない。
けれど、読み始めてみると、物語の幹はそうではないことが分かる。主人公ボリスの名前の由来は、1931年の映画『フランケンシュタイン』で怪物を演じた役者。職業は命じられるままに人を殺す暗殺者で、その技術を叩き込まれたのは1991年に崩壊したソ連の参謀本部情報総局(GRU)。性格も、他人を利用することを厭わない怠惰な利己主義者。どこをとっても、2015年に発売されたライトノベルの主人公らしさがない。
ライトノベルか否かという分類学はさておき、とても美しい作品だった。過不足がないあるいは必要十分と言い換えてもいい。無駄もなければ、冗長さもない。最終章でそこまでに散りばめられた断片が形をなし、スケールが爆発的に拡大する。あまりの速度に理解が追いつけず、一拍遅れて驚かされた。さらにその後、語り過ぎていないエピローグの余韻も、好ましい。