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2月, 2014の投稿を表示しています

無限論の言論 - 無限論の教室

『無限論の教室』を読んだ。「無限とは何か?」という哲学的疑問について、講義形式で解説している。 『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を思い出した。対話を中心に進んでいくというスタイルの上でも、ゲーデルの不完全性定理を扱っているというテーマの上でも、よく似ている。 違いは、本書は無限を哲学の対象として扱っているところ。数学の対象ではない。可算無限とか不加算無限とか対角線論法とかゲーデルの不完全性定理とかの数学用語は出てくるけれど、数学的に厳密な定義や証明はなされない。示されているのは概要やアウトラインまで。 本書が問題にしているのは、無限の捉え方。数学の主流では〈実無限〉として捉えているが、そうではない〈可能無限〉という捉え方もあると言っている。それぞれこの本では次のように説明されている。それぞれ集合の内包的定義と帰納的定義のイメージだろうか。 実無限:無限のものがそこにあるのだという立場から捉えられた無限 可能無限:可能性としてのみ考えられるとされた無限(例として「線分から無限の点を切り取れる可能性があるだけで、無限個の点は存在しない」が挙げられている) 自分は、そんなに問題にすることかな? と思った。数学上は実無限の方が便利なのでそちらを使っているのだろう(後から可能無限も便利だと分かるかもしれないけれど、そうしたらその上に別の体系ができるはず)。実用上は、無限は扱わない(実無限はそもそも存在しないし、可能無限から切り出す要素も有限でしかない)。 数学的にはどうだったんだっけ? と気になって、『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を読み返したくなる。

パン焼き名人 - TS-D404W

「ポップアップトースターTS-D404Wを買ったよ」 「朝ご飯用ですね」 「うん。電子レンジのトースター機能で焼いていたのだけれど、時間がかかる上に上手に焼けなくて」 「コンロのグリルで焼こうともしていましたよね」 「うん、この時だね」 グリルでパンをトーストしてみよう。 posted at 09:04:12 ちょっと目を離したら焦げた。 posted at 09:05:19 強火で2〜3分とあるけれど、1分で焦げた。 www.kantan-grill.jp/speciality/ind… posted at 09:23:12 「ちゃんと見ていないと危ないですよ」 「全くだ。その後『Cooking for Geeks』でこの一節に出会って、耳が痛い思いをしたよ」 タイマーよりも、実際に起こっている反応に気を配ることのほうが大事 「『Cooking for Geeks』と言えば、メイラード反応の話もありましたよね」 「うん。最低でも155℃、上手に焼き上げるためには190℃必要らしいよ」 「それから熱伝導ですね」 「ゆっくり温度が上がると表面と内部の温度は近くなって、逆に素早く温度が上がると温度差が大きくなるってことだよね」 「ポップアップトースターだと短時間で焼けるから後者ですね」 「それで表面はカリッと中はしっとり焼けるんだろうなぁ」

奮うBluetooth - TK-FBP043BK

Bluetoothキーボード"TK-FBP043BK"を買った。iPad Airでツイートしたりブログを下書きしたりするために使うつもり。このエントリィの下書きにも早速使っている。 キーボードを買うに至った経緯は、次の通り。 iPad1+Keyboard Dockも使っていた のだけれど、iPad1の性能不足で日本語入力がもたつくストレスが耐え難い。 iPad AirはコネクタがLightningに変わっているせいでKeyboard Dockに繋がらない。 コネクタの変換アダプタもあるにはあるけれど、それを挟んで繋いだところを想像するだに不安になる。キーを打つ震動で、良くて外れる、悪くしたら折れてしまいそう。 というわけで、どれを買うか色々悩んだ挙げ句、こいつを買ってみた。欲を言えば、もう少しキーピッチが大きい方が好みなのだけれど、そこまでこだわると選択肢が見当たらないので、そこは妥協している。選んだ際の主なポイントは次の3点。 Bluetoothだと、iPadだけ使ったりキーボードと併用したりするのが簡単。Keyboard Dockを使っていて、物理的に装着するタイプだと付け外しが意外と面倒だと思った。 サイズが小さい。PC用のキーボードとマウスを置いている横だと、これくらいかもう一回り大きいくらいが限界。Keyboard Dockは大き過ぎた。 Android (shl22) でも使えて嬉しい(滅多に使わないけれど)。 ちなみに検討過程で挙がった他の候補は次の3種類。購入に至らなかった理由も一言添えておく。 TK-FBP052BK はキーピッチこそ大きいもの、キー配置が変則的なのが許容できない。 AK-98ANSLM78-BTJA は打ち心地が好みじゃなかったのと、Enterの形に慣れなさそうだった。 Apple Wireless Keyboardは、Keyboard DockでApple純正品は潰しが効かない上に切り捨てられるということが分かったので、除外。

思いやり or 投げやり - Lunkhead/メメントモリ

Lunkheadの『メメントモリ』を聴いている。このアルバムは9枚目のフルアルバム。CDは昨年9月に発売されていたけれど、配信が始まったのは、今年の2月10日。先日それに気がついてようやく聴くことができた。 収録されているのは、次の12曲。これまでとは違ったことが色々と試みられていて新鮮。これまでで一番コンセプチュアルな印象。 メメント 閃光 アルピニスタ いきているから 月の城 明日死ぬぐらいの感じで 壊れてくれない raindrops 未来を願ってしまった 共犯 はるなつあきふゆはる 幻灯 まず、Intro的な曲 (1. メメント) が冒頭に置かれている。セルフライナーノーツでも、「1曲目、というよりは2曲目の閃光に向けた導入のつもり」と書かれている。けれど、前作『濃藍』にも前々作『AT0M』にも導入に相当する曲はないから、1曲目がこれで驚いた。これまで同様なら2. 閃光から始まっている方が自然なくらい。 それから、3. アルピニスタにコーラスが使われている。初めてじゃないかな。同じくセルフライナーノーツによると、「サビのメロディをメンバーもオーディエンスもみんなで大合唱しているライブのイメージ」が湧いてきて作ったとのこと。 最後に、IntroだけでなくInterlude的な曲 (8. raindrops) もある。コンセプチュアルに感じるのは、1. メメントとこの曲によるところが大きいように思う。 こんな風に変わったところはあるけれど、聴けばやっぱりLunkheadらしい [1] し、歌われている詞は変わらない。あるいは、変わりつつも「ぐるぐる [2] 」しているのかもしれない。インタビューの次の一節を読んでそう想像する。 30過ぎの男が歌うには青臭すぎると、今までは思っていたんですよ。だから「変わっていかなきゃな」と考えていたんですけど、自然とそういう曲が出てきた時に「別にこれでもいいのかな」と。 前向きなのか後ろ向きなのか。思いやりなのか投げやりなのか。よく分からない。けれど。それでも。 References 蔵出し配信シリーズ第1弾!!主要配信サイトにて最新AL「メメントモリ」とオマケ(「地図」完全再現LIVEの音源)配信スタート!!(14.02.10) | ランクヘッド LUNKHEAD | OFFICI

CtR - 増補改訂版 なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか

『増補改訂版 なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』を 読んだ。 ルールに対するスタンスを整理し、さらに見直す良い機会になった。まず、整理したスタンスについて書いて、そこからどこをどう見直したか文章にしてみる。それから、最後にルールを変えることについて考えてみる。 ルールに対するスタンス 自分はルール変えることに抵抗を覚える。ルールは安定しているからこそよく機能する。「朝令暮改」という故事成語が戒める通り、頻繁に変更されるようでは誰も守らなくなってしまう。ころころ言うことが変わる人が信用されないのと同じことだと思う。 一方で、ルールの中でなら際どいことをするのは、上手いと思う。ルールを守りながら「ズルい」とされることができるなら、そんなルールに問題があると考える。そして、そういう抜け道を見つける人は、どんな視点を持っているんだろう、と想像する。サッカーでいう「マリーシア」だと思うんだけれど、苦手だから参考にしたい。 見直した結果あるいは増えた見方 この本を読んで、ここまで考えていたならルールを変えるという発想の目前まで来ていたなじゃないか‼︎ と気がついた。だから、「見直した」というより、「見方が増えた」と言う方がが正確かもしれない。実は、上に書いたスタンスはほとんど変わっていない。 増えたのは、ルール変更への肯定的な評価。ルールの中で「ズルい」ことができるのはルールに問題があると考えるなら、手を入れるべきはルールだ。変更して、公正な状態を維持できるようにしないといけない。こんな当然の帰結を大して意識してなかったのは、自分もルールは与えられるものだと認識していたからだろうな。 思えば、この手のルール変更は、これまでに何度も見てきていた。サッカーにオフサイドが導入されたのは、ゴール前に張り付いた人にロングボールを送るだけの詰まらないゲームをさせないためだし、M:tG [1] で禁止カードやエラッタ [2] が出るのは、大会が特定のデッキに席巻されて実質的に先行後攻を決めるコイントスで勝負が決まってしまうのを避けるためだ。 Change the Rule! But How? と、ルール変更について肯定的になったと書いてきたけれど、ふと立ち止まって実際にルールを変える機会があるだろうか? と考えてみると、これが全くと言っていいほど思い浮かばない

Cook Cookbook- Cooking for Geeks

「『Cooking for Geeks』を読んだよ」 「最近、よく料理していますよね」 「うん。最初はインスタント食品をちょっとアレンジしていたくらいだったんだけれどそれも飽きてきて。で、始めてみたらだんだん楽しくなってきちゃって」 「この本からは何作るんですか?」 「ううん、レシピも載っていたけれど、こっからは作らないと思う」 「美味しそうなレシピなかったんですか?」 「いや、美味しそうなのあったよ。でも馴染みのある料理がなくて」 「元々はアメリカで出版された本ですもんね」 「食文化の違いを感じたわー。というわけでレシピは斜め読みしちゃってけれど、それ以外のところはとても面白かったよ。覚えておきたいと思ったのは次の5つ」 失敗したらピザを頼めばいい まずはレシピを全部読んで、出来上がりを思い浮かべるく 変数は1度に1つずつ変えていく タイマーよりも、実際に起こっている反応に気を配る 楽しむ 「ピザを食べたいからってわざと失敗しないでくださいよ」

ロッキロキにしてやんよ - マイティ・ソー/ダーク・ワールド

「『マイティ・ソー/ダーク・ワールド (原題 "Thor: The Dark World")』を観てきたよ」 「 『マイティ・ソー』 の続編ですね」 「うん。そして、〈マーヴル・シネマティック・ユニバース〉シリーズの1編でもある」 「ロキさんが幻術で見せた姿とは言え、 別のマーヴル・ヒーロー も出てきましたね」 「うん。そこに限らず、この映画はロキが出てきてからが本番」 「主人公のソーさんでなくて?」 「彼は彼で真っ直ぐなヒーローを全うしていてマッチョで魅力的ではあるけれど、屈折していてどこで裏切るとも知れないロキの方が目が離せなかった」 「ロキさんと言えば、 『アベンジャーズ』 でハルクさんにボコボコにされていたのが印象的です」 「あと、良かったのが最後のバトル。 『ジャンパー』 みたいなワープしながらの戦いで見応えのある映像だった」 「マレキスさんとの戦いですね」 「長距離をワープしながらの戦いの最中、地下鉄の駅に飛ばされて律儀に3駅移動するソーが、微妙に居心地が悪そうなところが何かかわいい。そのワープのせいでソーの元に戻ろうとして右往左往させられるミョルニル(ソーの持っているハンマー)が、からかわれている子犬のようでかわいい。しかも、ヒロインのジェーンが"ミョルニル"と言っているのが、"ミュウミュウ"に聞こえて仕方がなくてさらにかわいい。あと別のシーンで普通の手荷物のように、コート掛けにかけられるミョルニルもかわいい」 「そんなにミョルニルのかわいさアピールしてどうするんですか。ハンマーですよ?」 「無骨なイメージのハンマーが健気なところがいいんじゃないか」

腹目覚し時計 - 睡眠の科学

『睡眠の科学』を読んだ。 『時間の分子生物学』 が面白かったので、睡眠に関するポピュラーサイエンスをもう1冊。 『時間の分子生物学』 [1] がタイトル通り分子生物学にフォーカスしていたのと対称的に、こちらは睡眠全般を扱っているように見える。加えて、睡眠以外の脳の機能についても、コラム [2] に紹介されている。 面白かったのが〈腹時計〉が実在するという話。毎日決まった時間に食事を摂ると、その時間が近づくと空腹を感じるようになり、覚醒レベルが上がるとのこと。一見、当たり前に思うかも知れないけれど、面白いのは前に食べてからの経過時間に加えて、このリズムで空腹感が発生すること。「さっき食べたばかりなのにもうお腹が空いてくる」ことがあるのは、このリズムのせいかもしれない。 ということは、朝食を毎朝摂るようにすれば、その時間が近づくと覚醒レベルが上がり、スッキリ起きられるんじゃないだろうか? 実際、最近、朝食を摂るようになって、目覚めが少しよくなった気がする [3] 。 [1] 『時間の分子生物学』も参考文献に挙がっている。 [2] 余談と言うか愚痴。編集の問題でコラムが読みにくい。本文は縦書きなのにコラムは横書きだし、本文の流れを絶ってしまっている。 [3] あるいは、単に食べるのが楽しみなだけ。

Memento Masse - 境界線上のホライゾンVII〈上〉

『境界線上のホライゾンVII〈上〉』を読んだ。『I』と繋がった一方で、新しい世代が舞台に上がってきた巻だった。 ホライゾンが三河のことを思い出していたのが印象的。彼女があんなリアクション をするのは珍しい――もしかして初めて? 新しい世代も舞台に上がりつつある。表紙を飾る里見・義康は以前からだけれど、ここに来てまた新しい登場人物達が!!  こんなに増やして大丈夫なんだろうか。 ところで、彼ら若い世代は、近づきつつある〈末世〉をどう思っているんだろう? 今の流れは歴史再現がメインだから、末世対策とも言える〈創世計画〉・〈大罪武装〉についての言及が少ない。だから、末世についてどう感じているか、よく分からない。 あるいは、考えないようにしているのかもしれない。「死」について普段考えないように。

二つの重力に引かれる場所 - アップサイドダウン 重力の恋人

「『アップサイドダウン 重力の恋人 (原題: "Upside Down")』を観たよ」 「 『サカサマのパテマ』 、『ゼロ・グラビティ』に続いて、重力もの第3弾ですね」 「特に『サカサマのパテマ』は、思い出さずにはいられなかった。重力ものなんてジャンルは初めて聞いたけれど」 「〈正反対の重力が存在して、差別の根になっているけれど、主人公とヒロインがそれを乗り越える〉というレベルでは同じ話ですもんね。私も〈重力もの〉なんて初めて言いました」 「思いつきかよ!!」 「ええ、つい思いつくままに」 「まあ、いいや。話を戻そう。この映画の見所は、ボブだよ!!」 「主人公でもヒロインでもないんですね」 「彼が一番輝いていたよ。主人公アダムよりよっぽど」

そのツイート、あなたの言葉じゃない - 山月記

『山月記』を読んだ。キッカケはこの画像。高校生の時分に国語の授業で読んだことと、男が虎になったことを思い出して、そう言えばどんな話だったっけ? と気になって。 何故こんなコラを作ったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判わからぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。  #動物はあなたのごはんじゃない pic.twitter.com/5oonMdTZCN — さかいれぼ@下書き20/4xページ目 (@sakaiRevo) 2014, 2月 2 今読むと「名を成そう」なんて名誉欲に捕われるから辛くなるんじゃないかな? と思う。詩は趣味として楽しみながら、下吏として生活すればいいのに、と思う。 気軽にそう思えるのは、今は状況が大きく異なるからかもしれない。まず、ここでいう「名を成す」難易度が格段に上がっていて、諦めをつけやすい。いわゆるヒットが出にくく、しかも出たとしてもその寿命は短くなっている。加えて、インターネットのおかげでこれまで無名だった個人の何かが、多数の人に拡散される可能性が開かれた。例えば、上のツイートは20000RT、10000favされている。 とは言え、じゃあ何でも拡散されるか、というとそんなワケもなく、実際に拡散されるのは一握り。裾野が広がった分、下手したら競争率は上がっているんじゃないか、という気さえする。 だから「ちょっと拡散されたい」なんてRT欲に捕われて、「うまいこと言ってやろう」と狙い出すと、それもやっぱり辛くなるんだろうなぁ、と思う。でも、そうしたくなる人は少なくなさそう。行き着く先は〈虎〉じゃなくて〈パクリBot〉になりそうだけれど。 なんでこんな辛くて面倒なことをしたくなるんだろう? 久闊を叙する時なんかは、ありふれた話題を繰り返しても楽しいのに。

Mirror, mirror in Warhol - ウォーホルの芸術~20世紀を映した鏡~

『ウォーホルの芸術~20世紀を映した鏡~』を読んだ。 今週末に行く予定の『アンディ・ウォーホル展:永遠の15分』の予習のようであり、半年ほど前に行った 『アメリカン・ポップ・アート展』 の復習のようでもある。というのは後付けで、Kindleストアの新書ランキングで見かけて、『アンディ・ウォーホル展』に行く予定だったことを思い出しただけだったりする。 基本的には『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』で書かれているように、見た人が感じたことが作品が伝えたかったことなのかもしれない、と思っている。作者の人生とか専門家の見解とかはうっちゃっておいても大丈夫だろう。わざわざ勉強しないと見に行けないんじゃ、窮屈過ぎる。そんな説明が必要不可欠なら、作者がメディアを間違えているんじゃないか、とさえ思う。 そんな風に思っているのに、見かけたくらいでこの本を読んだのは、既に『アメリカン・ポップアート展』で一度見ているから。今のまま再度見ても同じようなことを思ってお終いになってしまいそうだ、と予感して。そういう意味では、ウォーホル自身にも興味はあったけれど、それ以上にウォーホル作品を見る他の視点に興味があったのかもしれない。 で、読んでみたら、ぐるっと一周して元いた場所に戻ってきてしまった。「近づく者全てを反射してしまう鏡のようなアーティスト」 [1] だとか「作品は芸術家の個性が作ったから価値があるというより、誰が作ったとも知れず、天与のもののように存在すべきであり、全て受け取る側次第である」とかとか「芸術家が内面的な霊感に従って制作するという芸術家信仰やオリジナリティ崇拝を否定しようとする態度」なんて書かれていて、こんな言葉が引用されている。 もっと多くの人がシルクスクリーンをやるようになって、ぼくの絵が自分のものなのか誰かのものなのかわからなくなったら、とってもすてきだと思う。 そんな人の個展が開かれるのだから、皮肉な話のようでもあり、芸術家信仰やオリジナリティ崇拝が反射されただけのことのようでもある。 と、結果だけを振り返ると移動していないけれど、それでも『アンディ・ウォーホル展』がますます楽しみになった。道程が面白かったからだと思う、きっと。 [1] ダニエル・キイスの 『心の鏡』 を思い出す。

Working With - 100,000年後の安全

『100,000年後の安全 (原題: Into Eternity)』を観た。期間限定でのYouTube無料配信 [1] が直接のキッカケ。無料配信に至った経緯は、配給しているアップリンクの社長が 脱原発に導く映画『100,000年後の安全』を無料配信する に綴っている。 この映画は放射性廃棄物の最終処分施設「オンカロ」についてのドキュメンタリー。放射性廃棄物という人体に害を与える物を100,000年後まで隔離し続けられるか? という話。全体的に抑制の効いたトーンなのが好印象。やろうと思えばいくらでも扇動的にできただろうに。 自分は技術を希望の対象だと思っている。その使われ方についてもどちらかというと楽観的だ。例えば、レアメタルの人工作成に成功したニュース [2] を見て問題が解決に近付いたと思うし、ほとんどの技術はそれそのものよりそれを運用する人間の方が危険だと思う。もちろん、危険な運用はされにくい(理想的にはできない)ように技術を設計することも必要だけれど。 こういう考えに立っていると、100,000年後なんてそんな未来になる前にベターな処理方法が開発されそうな気がする。まず100,000年という想像を絶するタイムスパンはどうにかされようとしていないのかな? と検索してみたら、核変換技術についての研究 [3] が始まるというニュースが見つかった。半減期が長く害の大きい原子について、自然崩壊による半減を待つのではなく、核分裂させて半減期が短く害が小さい原子に変えようという技術みたい。 原発推進にしろ脱原発にしろ、既に放射性廃棄物が出てしまっている以上、関連技術の開発は必要だよなぁ、と今更ながらに思う。 [1] 映画『100,000年後の安全』本編をYOUTUBE無料配信 - 2014年1月22日(水)正午12時~2月10日(月)正午12時 [2] レアメタル“錬金術” 京大教授ら人工ロジウム作製、実用化へ : 京都新聞 [3] 高レベル廃棄物対策の切り札 放射能減らす「核変換」本格研究へ (産経新聞) - Yahoo!ニュース

Be Traced - BEATLESS

『BEATLESS』を読んだ。SF設定の読み応えもあるのだけれど物語の構成も上手くて、読み始めたらのめり込んでしまった。下巻を1日で読みきる始末。 テーマは人とモノ――主人公アラトとアンドロイド (作中の用語ではhEI: humanoid Interface Elements) のレイシアの関係だった。もう少し抽象化すると、人と人と区別がつかないモノとの関係について。 「区別が付かない」まではいかない現在では、下手に似ているとかえって反発を招くことが、不気味の谷として知られている。 建物と結婚する人のニュース のことを考えると、人とは異なる外見の方が受け入れられやすいんじゃないか、とさえ思う。 あるいは、自分が欲望しない相手から欲望の対象にされていると思うと、嫌悪感が発生するからかもしれない。最近だと『人工知能学会誌 Vol.29』の表紙イラストが問題になった。人間どうしでもセクシャル・マイノリティの問題があるし、個人レベルでは「虫ずが走る」思いをすることもあるだろう。 人とロボットの関係という意味で 『アイの物語』 を思い出したけれど、オーナーであるアラトと自律しているように見えながらも使われるものであるレイシアの関係は 『ヘルシング』 の人間インテグラと吸血鬼アーカードの関係に近い。オーナーと道具として考えると、自由意志の所在が問題になる。「ハンマーを持つ人には、すべてが釘に見える」なんて警句が示すように、道具は思考を方向付ける。それに加え、hEIはアナログハック (人間の感情を引き出すことが) できる。 なんて難しいことも考えられるけれど、単純に高校生とロボット少女(バトルヒロイン)のボーイ・ミーツ・ガールものとしてもエンターテインしているので、肩肘張らず読めた。面白かったー。