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7月, 2015の投稿を表示しています

BSBを始めます - Rhymester/Bitter, Sweet & Beautiful

Rhymesterの"Bitter, Sweet & Beautiful"を聴いている。 まず1度。それから メンバーによる全曲解説 を読みながらもう1度。 前作 『ダーティー・サイエンス』 がノイジィで分かりやすくエキセントリックだったのに比べて、今作は分かりにくくエキセントリックだということがよく分かった。 一聴した時点だと、前々作 『POP LIFE』 に似た落ち着いた印象を受ける。それが、解説を読みながら聴くと、自分だけではまず気がつけないところが浮かび上がってくる。 もう何回もリピートしているけれど、まだまだ聴き込める。毎回、前回と違う展開が全開で限界が全然ない。 ヘイヘイヘーイ♪

晴れ時々サメ - シャークネード カテゴリー2

『シャークネード カテゴリー2』(原題 "Sharknado 2: The Second One")を観た。 前作に引き続き今回もB級映画の醍醐味が満載。満足満足。 今回もトルネードに乗って空からサメが襲ってくる。冒頭、主人公が飛行機に乗っているシーンで、窓をサメが横切った時点で完敗だ。初見に比べれば、さすがにインパクトが薄れたけれど、やっぱり笑ってしまう。 それにしても主人公の無敵っぷりよ。トルネードに巻き上げられたと思ったら、サメが飛び交う中をチェーンソーで道を切り開いていったりする。 清々しいほどのB級っぷり。

盾と鎧 - アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(原題 "Avengers: Age of Ultron")を観てきた。 面白かったか詰まらなかったかという面白かった。けれど、期待していたようなヒーローの爽快な活躍は見られなかったので、ちょっと面食らったのも事実。ちょっと消化不良気味。 うまく消化できなかった理由は、映像と脚本とでダブルバインドに似た状態に置かれたことだと思う。派手な戦闘シーンからは爽快なヒーローが活躍している印象を受けるのだけれど、ストーリィはひっきりなしにヒーローの存在意義を問い続けてくる。 振り返ってみると、冒頭のヒドラの研究所への突入シーンが、平和を守るヒーローらしさのピークだった。以降、映像的にはどんどん派手になっていくにも関わらず、彼らの存在意義がどんどん疑わしくなっていく。 思えば『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でS.H.I.E.L.D.があんなことになってしまったのが予兆だったんだろうなぁ。続編の『シビルウォー』はもっと大変なことになりそうだし。 アイアンマンことトニー・スタークのの尊大さというか自信家で楽天家なところが好きなのだけれど、どうなってしまうことやら(余談だけれど、『アイアンマン3』のラストと本作の間に何があって、あれだけスーツ拡張したんだろう)。

鳥・宝石・生肉 - シンドバッドの冒険7

『シンドバッドの冒険7』を読んだ。 今回はコミカルな部分に笑かしてもらえた。脱ぎたがりか、シンドバッドは。そう言えば本編では女好きに描かれているけれど、こちらではそういう素振りがまだあまり見えない。これからああなっていくのだろうか……。 でも、ドラクルの重たい話も。本編も随分とダークな展開になっているけれど、こちらもそうなっていくのだろうか。シンドバッドのしたたかさを考えるとそういう事件があってもおかしくなさそう

竜頭堕美 - マギ26

『マギ26』を読んだ。 アリババと白龍、アラジンとジュダルの対立が決定的に。魔装どうし魔法どうしの派手な戦いが繰り広げられる。 自分も紅炎と似た気持ちだった。白龍がこんな強大な敵となって立ちはだかることになるなんて。 まだ完全には決着していないけれど、ここまでやって大団円なんてことにはならないだろうなぁ……。 白龍どうなってしまうんだろう。

つるぎの回 - ジョジョリオン10

『ジョジョリオン10』を読んだ。 定助の出番がない!! 代わりに物語を牽引するのは、フルーツを追う康穂とつるぎ。 康穂は 9巻 で頼もしさが増してきていたけれど、この巻でも健在。ペイズリー・パークでもって、危機をくぐり抜けていく。 意外だったのが、この巻で見せたつるぎの強さ。まだ子供なのに。どれだけの精神力を備えているんだろう。この巻で新たに登場した大年寺山に、トドメを指したのは彼だった。 一方で、ディオや吉良あるいは大統領のような魅力的な敵が未だ見えないのが気になるところ。

i am a ai? - 人工知能は人間を超えるか

『人工知能は人間を超えるか~ディープラーニングの先にあるもの~』を読んだ。しっかりと地に足が着いている印象。それでいて、平易で分かりやすい。人工知能の発展の歴史と今後の可能性を概観できた。 ポイントはディープラーニング。最近よく見かけるし、気になって少し調べて見たし、 Rでサンプルを動かしてもみた くせに、それでもいまいち分からなくてモヤモヤしていたのが、この本を読んでようやく基本的なアイディアとその意義が理解できた(気がする)。 ディープラーニングの最大の意義は、特徴表現自体を学習できるようになったこと。おかげで、人間が与えないといけない情報が大幅に削減された上に、人間が手間暇掛けて特徴表現をチューニングするより遙かに高い性能の人工知能(画像分類プログラム)ができるようになった。 面白いのは、個々のアイディア自体は昔からあったこと。ざっくりいうと、ディープラーニングは非線形にした主成分分析を多段に組んだニューラルネットワークということらしい。頑健性(ロバストネス)を増すため、学習データにノイズを加えるアイディアもリサンプリング手法にあったはず(平滑化ブートストラップ?)。 先日読んだSF小説 『ゼンデギ』 でも人工知能を扱っているけれど、目指している方向が対称的。『ゼンデギ』ではあくまで人間を仮想化することをターゲットにしているから人間の認識の枠組み(≒特徴表現)を模しているのに対して、ディープラーニングでは人工知能自体が特徴表現を学習するので全くことなる認識をすることになる。それにまず受け取っている情報が違う。 そもそも、センサー(入力)のレベルで違っていたら、同じ「特徴量」になるはずがない。 ただ、これって異なる生物どうしや人間どうしでさえも起こっていること。 『波の手紙が響くとき』 に登場した全盲だけれど音の反射で周囲を認識していた人にも、実在のモデルがいる。 人工知能固有なのは、哲学・倫理の問題だと思う。これは『ゼンデギ』でも大きなテーマだった。できるからといってやっていいことにはならないけれど、新しいことができるようになったら試したくなるよなぁ。 心を持つ(あるいは一見すると心を持つように見える)人工知能をつくってよいかどうかというのは、大きな論点である。この点を考えておかないと、人工知能に恋愛感情を抱いてしまう、人工知能プログラムを

良い本を - 紙の動物園

『紙の動物園』を読んだ。この本は15篇からなる短篇集。 表題作を始め、ウェットでセンチメンタルな話が目立つ。それらはそれらで良かったんだけれど、自分の好みは「選抜宇宙種族の本づくり習性」と「良い狩りを」、それから「1ビットのエラー」 。 「選抜宇宙種族の本づくり習性」は色々な宇宙人の本――情報を伝承していく手段の話。本好きなので堪らない。一見カタログ的に書かれているように見えて、複数種族の話がうっすらと繋がっていてニヤリとさせられる。 「良い狩りを」はライトノベル的。漫画の読み切り作品っぽくもある。連載=長篇化したら楽しそう。途中まではよく見かける物語にしか思われないのだけれど、最後の急転直下から急上昇が燃える。マンガとかアニメにしても映えるだろうなぁ。 「1ビットのエラー」は テッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」 に強く影響を受けた作品とのこと。同じテーマを扱っているけれど、こちらはもう少しテクニカルでパーソナルな印象。 全体を振り返ると、バラエティに富んでいる上に、どれも完成度が高かったように思う。これで多作だっていうんだから、ビックリする。他の作品も翻訳されないかな。

Dear Teardrops - fox capture plan/COVERMIND

fox capture planのカバーアルバム"COVERMIND"を聴いている。 自分がよく知っている曲がカバーされていて面白い。自分がよく知っているということは、ジャズじゃなくて、USロック (Red Hot Chili PeppersとかGreendayとか)、UKロック (RadioheadとかOasisとか) 、それからエレクトロニカ (Massive AttackとかUnderworldとか)。 初めて音源化されたのと再レコーディングされたのと過去の再録とが混ざっているのかな。Wikipediaのページ内検索という雑な確認だとRed Hot Chili Peppersの"Californication"は見つからなかった。ナタリーの記事によるとMassive Attackの"Teardrop"は再レコーディングされたみたいだ。わざわざ書いてないってことはRadioheadの"Paranoid Android"のカバーは "WALL" に収録されているのの再録かな? というメタデータはさておき、知っている曲がカバーされていると聴き比べるのが面白い。"Californication"はJohnの哀切のあるギターやAnthonyの歌声が印象的なのだけれど、ギターレスのインストゥルメンタルカバーだから全然印象が違って面白い。対称的にMassive Attackの"Teardrop"はあんまり印象が変わらない。でも、オリジナルの方を聴き返したら、微妙な差異が気がついたりしてそれもまた面白かったり。 以下は余談。"Teardrop"のカバーと言えば José Gonzálezのアコースティックカバー を思い出す。それから、 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 でも使われていたはず。クレジットにあった。でも全然気がつかなかった。どこで使われていたんだろう? [1] [1] 気になって調べて見たら海外のファンサイトでも同じ質問があって、 ある回答者いわくマックスの幻覚の中にMVが使われている とのこと。 Mad Max: Fury Road: Original Motion Pictu

pay per paper / 血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン

漫画『血界戦線』のノベライズ『血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン』を読んだ。 表紙を見てのとおり、ザップが主役を張っている。原作者のこのツイートがあったから不安はなかったけれど、それでも予想以上の精度で血界戦線だった。まさか本当にビックリさせられるとは。 ビックリする程精度の高い血界小説ぶりに相当綿密な打ち合わせが行われたのではと思われましょうが違います。 ノベライズというと、大なり小なり違和感を覚えるのが相場。漫画で出すには向かない側面を見られるから(いわゆるキャラ崩壊と感じなければ)それが味だと。でも、本作ではまったくと言って良いほど違和感がなかった。ザップはザップだったし、レオはレオだった。 ヘルサレムズ・ロットの世界でザップやレオが活躍する様を文章の形で満喫できて満足。ザップだけじゃなくて、他のキャラを中心にしたエピソードも書いて、シリーズ化されたらさらに嬉しい。

Hallo 波長 - 波の手紙が響くとき

『波の手紙が響くとき』を読んだ。次の4篇からなる連作短中篇集。最初の3作が短篇で、最後の表題作が中篇。この本の半分くらいを占めている。 エコーの中でもう一度 亡霊と天使のビート サイレンの呪文 波の手紙が響くとき 武佐音響研究所の面々が、その技術を活かして音響に関する手がかりをもとに事件を解決していくミステリィ――なのは、最初の3篇。これはこれで面白い。このままシリーズ化されていたらきっと読み続けていたと思う。 ところが、最後にセンスオブワンダーが爆発する。正直ちょっと戸惑ったけれど、この急変にも関わらず、最初の3篇からきっちり伏線が張り巡らされている構成の巧みさに、すぐにさもありなんと思わせられてしまった。そして、そう思った瞬間の震撼!! 聴覚ではなく、嗅覚で、SF的ではなく文学的にスケールしていた、 『香水―ある人殺しの物語』 (映画版のタイトルは 『パフューム ある人殺しの物語』 )をかすかに連想する。 ほとんど視覚で世界を認識しているけれど、その他の感覚がメインで認識している世界ってどんなんだろう。

時を飛ばす - 僕だけがいない街6

「『僕だけがいない街6』を読んだよ。先がまったく読めなくてスリリングだ」 「次巻が楽しみですね」 「あの年であんな状態で悟が目覚めたのは、リバイバルの効果であり副作用なのかね」 「あの年に目覚めたのは、そこまではリバイバルに成功したということ、ですよね。きっと」 「うん。あんな状態だったのは、副作用なんじゃないかなぁ。記憶上の経過時間と肉体上の経過時間とに大きなギャップができたからそれを埋め合わせるために、ああなったんじゃないかと。それか、単にノベルゲームによくある既読スキップって気もするけれど」 「それは見も蓋もなさ過ぎじゃ……」

It won't Be long 2 till you Belong 2 them - 血界戦線10

「『結界戦線10』が来た読んだ買った(順不同)」 「順不同じゃないですよ。順番ぐちゃぐちゃじゃないですか。ちゃんと買ってから読んでください」 「ついにミシェーラ登場したよ。良い子だなぁ」 「レオさんの話から、静かだけれど芯が強いタイプの方を想像していたのですけれど、良い意味で裏切られました」 「ジョークのセンスが……」 「ええ、なかなかアクが強かったですね」 「ともあれ、これにて1st Season完結!!」 「2ndシリーズは一週間後に創刊の『ジャンプSQ.CROWN』で始まるみたいですね」 「タイトルは『血界戦線 Back 2 Back』になるらしいね。単行本になってさらにKindle版が配信されるのはいつ頃かなぁ。楽しみだ」 「それまでには延期になったアニメの最終回も放映されているでしょうし、『オンリー・ア・ペイパームーン』もまだ読んでないじゃないですか」 「そうだった。楽しみが尽きないなぁ」

殺せんせー路線 - 暗殺教室15

『暗殺教室15』を読んだ。 理事長との戦いが存外あっさりと終わってしまって、ちょっと拍子抜け。テンポがよくて読みやすいけれど、ちょっとあっさりし過ぎていて物足りない感じもする。 と思っていたら、その次の展開に驚愕。呆気にとられて、何が起こったか一瞬分からなかったくらい。 そこからは怒濤の展開。ついに殺せんせーの過去が、まだまだ一端に過ぎないとはいえ、明かされた。 この後、また引っ張るのか、それともここから一気に畳み掛けるのか。展開的にはついにラスボスが本性を現したように見えるけれども。

LONG TIME - ONE PIECE 78

『ONE PIECE 78』長い長いドレスローザ編にも、ようやく決着の兆しが見えてきた。つまり、まだ決着がつかない。 とは言え、ディアマンテをキュロスが、トレーボルをローが、ピーカをゾロが、それぞれ倒すなど、戦いは着実に終局に向かいつつある。 やっとここまで来たか、という思いが先行してしまう。しばらく間を開けてドレスローザ編、読み返そうかな。

NO TIME - マッドマックス 怒りのデス・ロード

「『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(原題 "Mad Max: Fury Road")を観てきよ」 「過去3作品、1本も観てないですよね?」 「うん。でも全然問題なかった。メインはアクションシーンだし、そもそも台詞少ないし」 「なら安心ですね」 「観ている間はハラハラしっぱなしだよー。緊張がずっと途切れない」 「疲れちゃいそう……」 「うん、密度がすごいから一瞬たりとも目が離せない。とくにすごいと思ったのが、みんなの躊躇いのなさ」 「どういうことですか?」 「お互い信用しきっていなくても、共通の敵が出れば瞬時に連携したりする」 「そうしないと全滅の憂き目に遭うからですね」 「頭ではそう理解していても、なかなか行動には移せないよなぁ。気絶から醒めたニュークスが躊躇無くマックスに加勢するところとか、痺れる」

ゆーゆー自適 - ゆゆ式 6, 7

「1~5巻のKindle版をまとめ買いしてはや6ヶ月。ようやく6巻がKindle化されたと思ったら、同時に7巻もKindle化されたよ!!」 「ずいぶんと首を長くして待っていましたよね」 「Amazonを開く度にチェックしていた気さえするよ」 「また盛ってきましたね……」 「まあ気持ちとしてはそれくらいってことで。実際、二桁回数くらいはチェックしているんじゃないかなぁ。Kindle化リクエストボタンも何回押したことか」 「同じアカウントで何回も押すの、意味があるのか疑問です」 「疑問です?」 「疑問です」 「『疑問です』という平叙文≠疑問文。ともあれ、この巻も平常運転で良かった。目立った事件もないし、目新しくもないけれど、やっぱり面白い。いい空気だなー」 「みなさん、ほんと仲が良いですよね」

渦中・火中 - 火星の人

『火星の人』を読んだ。事故で火星に一人取り残された宇宙飛行士マークが、置き去りにされたわずかな物資と火星の資源と科学知識とユーモアで、何とか生き延びようと(基本的には)孤軍奮闘する話。 『ゼロ・グラビティ』 と同じように、事態は(少なくとも自分のような素人目には)現実的な推移を見せる。つまり、およそ文明的なんて形容とはかけ離れた好戦的な宇宙人か地球の文明水準を遙かに凌駕した兵器を携えて襲ってきたり、宇宙の真理を究めた現(宇宙)人神みたいな種族がデウス・エクス・マキナとして降臨したりしない。 つまり、酸素と水素の混合気体に火が着けば爆発するとか、そうしたら水ができるとか、酸素が薄過ぎても二酸化炭素が濃過ぎても死ぬとか、水も食べ物もなければ餓死するとか、電気がなければ電子機器が動かないとか、過電流が流れれば電子機器が壊れるとか、そういう極めて現実的な問題でマークは死の危機に瀕する。そして、一度発生した危機が自然に解決したりはしないし、悩めるマークにどこからともなく救いの手がさしのべられたりもしない。なんたって、火星と呼ばれる惑星にいるのはマークただ一人だ。 そういう状況にも関わらず(あるいはだからこそ)、マークはユーモアを忘れない。そんなマークが魅力的で、読んでいる間、気分はすっかり(十二分遅れの映像を)見守る他ない地球のみんなの一人だった。登場人物が大量に死ぬ作品(ミステリィとかホラーとかB級パニックとか 西尾維新 とか)はちょくちょく読んだり観たりしていて、特にB級パニック映画なんか 『あずまんが大王』 のゆかり先生みたいなノリで楽しむくらいの趣味の悪さなんだけれど、この作品ではマークには生き延びて欲しいと願いながら読んでいた。 いやぁ、本当に良かった。マークに乾杯!!

土の下 - fox capture plan/UNDERGROUND

fox capture planのEP "UNDERGROUND"を聴いている。 "WALL" に続きこれも格好いいなぁ。 収録されているのはこの5曲で、収録時間は約26分。 beyond the beyond 地下の世界に流れる時間 Adam's Apple Time to think Tonight Tonight 最近はミニアルバムもミニアルバムの良さがあるように思えてきた。シングルでもフルアルバムでもないミニアルバムは、帯に短したすきに長しの中途半端なパッケージだと思っていたこともあるけれど、これくらいの時間がしっくり来ることもある。 そう言えば昨日感想を描いた Trickfinger も8曲38分とコンパクトだ。

Trick Track - Trickfinger/Trickfinger

Trickfingerのセルフタイトルアルバムを聴いている。TrickfingerはJohn Fruscianteのソロ・プロジェクト。John FruscianteとしてプロデュースしたBlack Knightsの"The Almighty"でも、6曲目"Roundtable Discussion"ではTrickfinger名義参加している。 音とタイミングがとても気持ちいい。ジャンル的にはアシッド・ハウスと呼ばれるエレクトロニカの一種らしい。 発売時期が"Enclosure"に近かったから最近の作品はどんどんエレクトロニカに寄っていっているなぁと思って聴いていたのだけれど、 interview with trickfinger (John Frusciante) - マシンより完全に | ele-king を読んでビックリ。全然順番が違った。このアルバムに集力されている曲は"The Empyrean"と同時期に制作していた上に、もともとリリースしないつもりで作ったトラックだったらしい。 ロックからエレクトロニカに近づいていったんじゃなくて、ロックがあってエレクトロニカやヒップホップがあって、"Letur-Lefr"以降のソロ作品やBlack Knightsのプロデュースなんかに繋がっていったってことなのか。

Protection from White - Black Knights/The Almighty

Black Knightsの2ndアルバム"The Almighty"を聴いている。 プロデュースは元Red Hot Chili PeppersのJohn Fruscianteだけどギターサウンドは目立たない。ロックでさえないヒップホップアルバム。 John Frusciante名義の EP"Letur-Lefr" でBlack Knightsのラップが目立っていたのには違和感を覚えたけれど、彼らのアルバムとしてこうして聴いてみると良い感じ。ゴリゴリした感じじゃないけれど、テンションが保たれている。ラップも格好良い。客演も豪華でWu-Tang Clanファミリーが参加している。

D&B - Royal Blood/Royal Blood

Royal Bloodの"Royal Blood"を聴いている。 ベースとドラムの2ピースバンド。Death above from 1979と同じ。けれど、印象はギターとドラムのThe White Stripesに近い。 格好いいなぁ。

Rereadable - ゼンデギ

グレッグ・イーガンの『ゼンデギ』を読んだ。 これまで読んできた長篇 [1] と違って、近未来の話。2015年の延長線上、きっとそう遠くない未来、人間の心/気持ち/思考/感情/人格のデジタル化に、まさに踏み出そうとしている人たちが描かれている。 心のデジタル化を扱う作品は珍しくない。だから、最初は肩透かしを食ったし、正直に言うと読み終わるまでその気分は抜けなかった。それは、これまで読んだ長篇のような、突き抜けたSFを期待していたからだと思う。特に第一部なんてとても地味だ [2] 。 でも、訳者あとがきの次の一文に促されて第一章を読み返して、本書全体の見え方が一気に変わった。 じつは第一章には本書のアイデアやテーマに関する重要な議論が先取りされているので、本書読了後に第一章をざっと眺めると膝を打つ部分があると思います。 この本の面白さは、これまでのような派手なSF設定ではなくて、細部にある。最初の一線を越えようとしているまさにその瞬間を、最初の一線を越えるための技術的課題の回避方法と、一線を越えようとしているマーティンと一線を越えさせようとしているナシムの双方の視点が描かれている。現在のアナログデータをデジタルデータに変換するときの技術を踏まえた、その過程が細かなステップを踏んで描写されている。 遠くない将来、実際にこういうアプローチを経て、こんな葛藤を抱える人が出てきてもおかしくないと思わせられる。マーティンやナシムをとりまく人々と同じような反応をする人たちもきっと出てくるだろう。そのとき、自分はどう反応/思考するのか。 [1] 『順列都市』とか『ディアスポラ』とか『万物理論』とか 『宇宙消失』 とか 『白熱光』 とか。 [2] 奇想天外なSFを期待して読んだからこんな感想を持ったけれど、地に足着けて考えると、2009年に原著が描かれ、その翌年から現在〈アラブの春〉と呼ばれるSNSが一翼を担ったと呼ばれる革命が始まったことを考えると、展望の精度に驚く。