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10月, 2015の投稿を表示しています

モノアイの嘆願- HGUC MS-18E ケンプファー

「HGUC MS-18Eケンプファーを作ったよ」 「バルバトス以来、堰を切ったように作り続けていますね」 「うん、作業自体が楽しくて楽しくて」 「2体続けてガンダムヘッドだからツインカメラでしたが、今回はモノアイなんですね」 「うん。モノアイもかっこいいよね。グリンと動いてカメラ目線になるシーンなんか最高だ。モノアイ目立たせたかったから、レタッチしてしまった」 「えー、ズルくないですか? ちゃんとプラモを改造してくださいよぉ」 「そうだよなぁ、LEDで光らせたりしたら楽しそうだよなぁ」

then... - 終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #03

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #03』を読んだ。 この世界の成り立ちがさらに明かされてきた。「あとがき」を読んで、ざっと拾い読みをしてみたら、色々と発見があって面白い。拾い読み自体は面白いのだけれど、そこから出てきた推測がなかなか……。 ここまで来ると、迂闊なことを書くとネタバレになってしまいそうなので、いろいろと自重。あ、この巻もクトリは素敵だよ? デウス・エクス・マキナでもいいから報われて欲しいなぁ。 それにしても、また、こんなところで終わるのか!! #04はまだなので首を長くして待つしかない。

and how? - 終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #02

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #02』を読んだ。 #02では、主人公ヴィレムが知らない歴史が徐々に明かされて、この世界の根幹に関わる謎が提示される。その提示のされ方も心憎かった。思えば、こういうハイ・ファンタジーを心を躍らせて読むの、久し振りな気がする。 それから、この巻も相変わらずクトリがかわいい。健気で、素直じゃなくて、でも時に真っ直ぐで素敵。そんな彼女の魂はアレ に由来しているのだろうけれど、それってどういうことだろう。そもそもアレがなんなのかさえ、まだほとんど語られていないから、想像もうつかない。 次巻あたりでこれらの謎が交錯するのだろうか? と気になって気になって、もう『#03』も読んでしまった。なので、そちらの感想も近々。 ところで、あとがきを読むと、こうして#03を読めているのは、作者だけじゃなくて#01, #02を買った読者のおかげでもあると強く意識させられる。売れないと続きも出せないってことを。 というわけで、未読の方はぜひ。今ならKindle版が半額でお買い得なので。!! まとめ買い で3冊を1クリックで‼ #03は電子特別版で短篇もついてるよ!?

who saves? - 終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #01

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #01』を読んだ。 とても丁寧に書かれていると思う。こんな風に長いタイトルのライトノベルには『俺妹』や『はがない』に続かんと粗製乱造された印象を持っていたけれど、読んでみてよかった。 まず、登場人物が多様なのがいい。さすがに、主人公とヒロインは、どちらも徴無し(シルシナシ)。主人公は人間族(エムネトワイト)のヴィレムで、ヒロインは黄金妖精族(レプラカーン)のクトリ。けれど、二人の脇を固めるのは美少女ばかりじゃない (多いは多いけれど)。二人の上司ライムスキンは戦士の誇りを重んじる爬虫族(レプトレイス)だ。それから、ヴィレムの友人グレッグはいわく「気の良い奴」の緑鬼族(ボーグル)だったりする。 登場する種族が豊富なだけじゃなくて、彼らが生きる世界もまた謎がたっぷりで魅力的。かつて〈聖剣(カリヨン)〉と呼ばれた武器が、オーパーツと化して遺跡兵器(ダグ・ウェポン)と呼ばれていたりして、設定好きには堪らない。さらに、無闇にもったいぶらずにテンポよく明かされつつも、謎がさらに謎を招いたりして物語を牽引していってくれる。だから、どんどん読み進めてしまう。 でも、それ以上にページを捲らせるのは、クトリの行く末。立場的にも種族的にもドン詰まりが見えていて、状況的にも(あとがきの言葉を借りると)ジリ貧。ちっとも光明が見えやしないけれど、幸せになって欲しいなぁ。あと、青髪なのもポイント高い (余計な情報)。 なのに#01がこんなところで終わるなんて!! いてもたってもいられなくて、もう『#02』も読んでしまった。というわけで、そちらの感想も近々。

奴隷raid - シンドバッドの冒険8

『シンドバッドの冒険8』を読んだ。 ようやくシンドバッドが窮地らしい窮地に陥った。陥ったと思ったら、切り抜けるのが極めて難しそうで、どう決着するのか心配になる。 窮地に陥っているところなので、物語的にはほとんど進んでいない。最近、迷宮を攻略していないのが意外。本編の八人衆はどんどん登場してきているのに。

分ける。バラす。整理する。 - 世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書

『世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書』を読んだ。 「世界を動かす」だなんて、大げさに感じていたけれど、実質的なターゲットは中小規模・受注型プロジェクトだった。それならちょうどいい。大規模・受注型でも、厳格なマネジメントがされていないなら、この辺りから始めることになるんじゃないだろうか。いきなりフルセットは導入できない。 コストやリスクのマネジメントも含め一通り触れられているけれど、関心を引かれたのは進捗のマネジメント。これまで何度も、それに今も問題になっているからだろうなあ。まともに進捗することの方が珍しいくらいで、溜め息が出る。 きっと後で見返すであろう、自分にとってのポイントは次の通り。これらが、進捗管理の基本的なフローを構成している。くわえて予実の乖離に対するリカバリが必要だけれど、その内容はケースバイケースになるだろう。 2-3 WBSを作る 抜けがないように、P-WBS (成果物スコープ) とF-WBS (仕事のプロセス) のマトリクスで洗い出す。プロジェクトマネジメントの作業も忘れない。 3-2 スケジュールを立案する 「いつ着手すべきか?」を「逆算」で考える。並行関係、依存関係を意識する。 4-1 進捗を正しくとらえる 「いつ終わるか」を予測するために、「仕事があとどれだけ残っているか?」でとらえる。 4-2 スケジュールをコントロールする 見込日(≠予定日)で追いかける。計画のベースラインはめったに変えない。 とにもかくにもWBS。これが 最大のポイント とかかれている。P-WBSとF-WBSのマトリクスを知った今振り返ると、自分はP-WBSの視点でばかり考えていた。F-WBSにも目を配るようにしよう。そして、作ったら WBS作成のポイント を使って見直そう。

missed promised - マギ27

『マギ27』を読んだ。 アラジン、アリババ、白龍、ジュダル、練紅炎。それぞれの思想が交錯する。シンドバッドが姿を見せないのが気になるところ。練紅玉を通して、状況は把握しているだろうけれど。 登場している中では、アラジンがアラジンとしてどう振る舞うようになるのか、この先が楽しみ。これまではソロモン王やウーゴくんが明に暗に示していた指針に従っていたけれど、ここにきてようやく自分がどうしたいか考え始めた。 それにしてもアリババの不遇なことよ……。ただ、だからこそ――勝利を約束された分かりやすい主人公じゃないからこそ、先が読めないおもしろさを感じられている気もする。

立体機動巨人 - HGUC ガンダム TR-1 [ヘイズル改]

HGUC ガンダム TR-1 [ヘイズル改]を作った。 ガンダム・バルバトス の完成後、何を作ろうかとガンプラ売り場をウロウロしていたら一目惚れ。オマケに1000円でお釣りが来る安さ‼ 次はガンダム以外のつもりだったのに、迷わず手に取っていた。 見たことがない機体だったので調べてみたら、登場したのは『Advance of Z ティターンズの旗のもとに』という『機動戦士Zガンダム』の外伝だった。こいつもティターンズ・カラーでこそないものの、ティターンズの機体。 ガンダムの名を冠する機体としては、質実剛健な印象。フルアーマーのような重武装ではないけれど、要所要所――頭と肩の間の補助アクチュエータ、腰左右のエネルギーパック、脚部のスラスター、ブースターポッドとシールドブースター――のボリュームから重厚さが感じられる。主要な色もグレーがかった白に濃紺と彩度が控えめなのがまた渋い。 バルバトスはスミ入れ+部分塗装だったけれど、今回はさらにコーナーをヤスリで処理してデカールを貼ってつや消しスプレーを吹いてみた。初めてのトライにしては上出来じゃなかろうか (写真にはコーナーの処理に失敗した箇所が写ったけれど、レタッチで隠したのは内緒だ) (もちろん写っていないけれどマークセッターを使わずにデカールを貼ったら何枚もはがれたのも内緒だ)。 これらの作業は、これまで面倒そうで敬遠していたけれど、やってみたら楽しかった。ヤスリをかけているときの没頭感とか、デカールを貼る場所を考えているときの空想とか、つや消しスプレーが乾いた後に組み立てるときの高揚感とか。 とにかく元のデザインがドストライクだし、価格はリーズナブルだし、プラモデル自体の完成度も高いし、初めての作業も自分なりにはうまくいったので、大満足。

狼煙と呪い - 絶深海のソラリス II

『絶深海のソラリス II』を読んだ。 『I』 とはまた違った落差があって、今回もスリリングだった。『I』で学習して素直な展開にはならないはずと構えていたので、結末はおおむね予感していたとおりだった。退屈だったという意味ではなくて、むしろ反対。的中したことが分かったときには、ニヤリとしてしまった。 きっと『II』は反撃の狼煙だったと思う。というわけで、『III』での反撃に期待している。でも、反撃されたら再び惨劇が繰り広げられるだろう。想像すると、戦々恐々とする。 『I』から引き続き登場の面々も、『II』で活躍開始の面々も、いいキャラばかりなので、余計に。

続々ゾクゾク - 絶深海のソラリス

『絶深海のソラリス』を読んだ。 タイトルから『ソラリスの陽のもとに』を連想したけれど、少なくとも1巻の時点では深い繋がりは読み取れなかった。でも、繋がるとしたらそこだろうと思っている謎が明かされているわけでもない。だから、期待は次巻以降に持ち越し。続きが楽しみだ。 続きも楽しみなのだけれど、この1冊だけでも十二分に楽しめた。特に、前半と後半の落差が凄まじかった。読み終えて数日経った今でも、思い出すと放心してしまいそう。何がどう凄まじかったのか書くと、ネタバレになるので割愛。 実はもう 『II』 も読んでしまっていて、『III』が待ち遠しい。『II』の感想はまた後日。

過去と過誤と加護 - 暗殺教室16

『暗殺教室16』を読んだ。 この後、きっと終盤のクライマックスに入っていくんだろう。そう感じさせる1冊だった。ここまでの15冊では、ところどころに伏線を張りながらも、基本的に笑いを挟みつつ軽いノリでテンポ良く進んで来た。ところが、この16巻では、ほぼ丸々1冊が殺せんせーの回想に費やされる。 これまで散りばめられてきた伏線が、一気に収束するのが気持ちいい。ここまでの積み重ねが効いている。たまに見かける退屈な――伏線も前触れもロクにないけれど、やたら長くて早く次のシーンに移って欲しいと思うような――回想シーンではない。 E組卒業 = 殺せんせーの最期まで残すところ66日。どんなエンディングを迎えるのか、早く知りたいような、まだ知らないままでいたい = 終わって欲しくないような。 (これだけ本編はシリアスなのに、あの間の突発性4コマやカバー下はズルいよなぁ)

複製がHook - 複製された男

『複製された男』(原題 "Enemy")を観た。 複製ということはクローン。きっとSF映画だな。そう思って観てみたら全然違った。観念的な映画だった。 そう理解できたのも、 公式サイト に用意されていた、ネタバレ投稿レビュー専用ページのおかげ。そこに、監督や主演俳優のネタバレ有りインタビューが掲載されている。 観ている間は緊張感を保てたのだけれど、鑑賞後の満足感はいまいち。エンディングは投げっぱなしの感が否めなかった。伏線やら暗喩を丁寧に拾っていけば、必然的なエンディングなのかもしれない。けれど、ミスリードのためだのシーンもあるようで、フェアネスに欠ける気が。ミステリィじゃないのだから、気にし過ぎか。 なんだかんだこじつけているけれど、好きになれない最大の原因は、主人公の肩を全く持つ気になれないところにあるかも。

物語足る - エピローグ

円城塔の『エピローグ』を読んだ。 何が何だか分からない荒唐無稽な物語なんだけれど、面白かった。どう面白かったのか言葉にしがたいのだけれど、とにかく面白かった。 物語というか文章というか文というか文字列のシーケンス性が破壊されていて、色々と驚かされた。 『ゴーレム 100 』 が脳裏をかすめる。そう言えば、ベスターの名前も言及されていた。触れられていた作品は 『虎よ、虎よ!』 だったけれど。 シーケンス性が破壊されているのは、物語だけではない。登場人物の主幹時間が並列化されたりインターリーブされたりする。 『宇宙消失』 、 『紫色のクオリア』 、『順列都市』を思い出す。 視点を変えると、物語やそれを読む主観の可能性を追求しているように見えてくる。 という難しそうな話はさておいても、何が何だかよく分からないままでも、面白いから凄いよなぁ。

鉄血にして - HG ガンダムバルバトス

HG ガンダムバルバトスを作った。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の主役機。1話を観たら格好良かったので、その場で注文してしまった。 ユニコーンガンダム (ユニコーンモード) はそのまま組み立てただけだったけれど、今回はスミ入れと部分塗装もしてみた。写真に写っている範囲だと、肩と胸のピンクのライン、肩アーマーの黄色の部分、それからスカートのサイドの赤と黒。 あんまり綺麗にできなかったけれど、離れて眺める分にはそんなに気にならないからよしとしよう。スミ入れは、プラモデルという3次元に2次元的に影をつける作業だと分かって面白かったし。 全体的にはスマートなんだけれど、パイプやシリンダなどの内部構造も露出していて無骨さも感じられる。さらに、装備しているのが打撃武器のメイスというのがまた渋い。カチアゲとかホームランとかできそう (モンハン脳)。

象押し - ONE PIECE 79

『ONE PIECE 79』を読んだ。ようやくドレスローザ編が完結。長かった。 ルフィがレイリーの助言を全く聞いていないのが面白い。ただ、そのまま理由もなく勝ってしまうのには釈然としない思いもある。 一方で、理詰めなのもらしくないし、むしろ無理を通して道理を引っ込めるのがらしさのような気もしている。 それにしたって限度ってものがあるだろう、などとも。堂々巡りしている。考え過ぎか。

題なg - ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (2), (3) ―セカンド・スクワッド・ジャム (上), (下)―

『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (2) ―セカンド・スクワッド・ジャム (上)―』と『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (3) ―セカンド・スクワッド・ジャム (下)―』を読んだ。 1巻 に引き続き、今回もタイトルが長い (変わっていたら、シリーズだと認識できていないと思われる)。 今回も万単位の弾丸が飛び交う銃撃戦が繰り広げられる。いやー爽快だった。1巻では散々だったZEMAL<全日本マシンガンラバーズ>にも見せ場があった。きっとさぞかし弾丸を吐いてくれたことだろう。なぜか嬉しいので、実は愛着湧いていたのか。1巻ではなんとも思わなかったのに。 一方で、主人公レンとラスボス・ピトフーイは、銃以外での戦闘シーンが目立ったのが印象的だった。いいアクセントになっていた。銃以外の選択肢があると、展開が読みにくくなってワクワクできる。主力にはなり得ないだろうけれど。やり過ぎると、ガンゲイル・オンラインらしくないし、弾切れの緊張感が薄れてしまう。 レンの相棒・フカ二郎も良いキャラだった。今回が初参戦だけれど、活躍できる理由――ネトゲ廃人ゆえのプレイヤースキルと他ゲームから相対的な強さを引き継げるシステムによる高いステータスが合理的だったのが良かった。そして、まさかの二丁グレネードランチャー。ゲームならではの火力装備だ。リアル志向も渋くていいけれど、こういう弾けた装備にも心躍る。 スピンオフ元のSAOは劇場版を制作しているらしいけれど、こちらもアニメ化しないかしらん。

and ants - アントマン

映画『アントマン』(原題 "Ant-Man")を観てきた。 アントマンは、愛娘キャシーのために戦うパパだった。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で、アヴェンジャーズの主要メンバ――アイアンマン、ハルク、ソー、キャプテン・アメリカ――に家庭がいないことが強調されたのと対称的。 特にアイアンマンは、おっさんが科学の結晶たるスーツを着て強くなる点が共通しているから、ことさら対比が目立つ。その上、アントマンのスーツを開発したピム博士は、スターク博士 (トニー・スタークじゃなくて親の方) と確執がある。同じスクリーン上に登場する時が来るのが楽しみだ。『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』かな? シリーズの一作として気になるところも多いけれど、それを抜きにしても楽しかったと思う。わずか1.5cmに縮んでのシーンの、日常的感覚とのギャップが面白い。見慣れたものが巨大に見えるので、『借りぐらしのアリエッティ』を連想する。ジブリ作品と違って、(アントマンの視点では)派手な (でも通常の視点でみたら地味な) 戦闘シーンも面白い。機関車トーマスの扱いには笑ってしまった。 アントマンとしての続編を示唆するシーンもあったし、そちらも楽しみだ。

育つ・巣立つ・到達 - 実践テスト駆動開発

『実践テスト駆動開発 テストに導かれてオブジェクト指向ソフトウェアを育てる』を読んだ。2年前にテスト駆動開発について勉強しようと思った時には、まだハードルが高そうだったので見送った1冊 (ちなみにその時は 『JUnit実践入門』 で勉強した)。 読みながら考えたことをtogetterに集めた っきりにしていたのを、改めて振り返って整理してみようと思う。 この本の主題は、タイトルの〈テスト駆動開発〉ではなくて、サブタイトルの〈オブジェクト指向〉だと思う。原著のタイトル "Growing Object-Oriented Software Guided by Tests" に対応しているのも、サブタイトルの方。 次のエピグラフが、オブジェクト指向設計とテスト駆動開発の関係を端的に表している。 何かを設計するときには、常にもうひとまわり大きなコンテキストの中で考えること。椅子ならば部屋の中にあることを考える。部屋なら家の中、家なら環境の中、環境なら都市計画の中。 エリエル・サーリネン ここでいう「もうひとまわり大きなコンテキスト」がテストに対応する。 この比喩が示すように、ソフトウェアをエンドツーエンドで設計するために、動くスケルトンを作る。つまり、ユーザにどう使われて外部システムどうインタラクションするかを考える。加えて、開発側が行うプロセスもエンドツーエンドで通してみる。つまり、コンパイルだけでなくデプロイまでどうするか考える。 テストを書くことのメリットは、「Note インターフェイスとプロトコル」でいうところのプロトコル――インターフェースどうしの関係やメソッドどうしの関係をどうしたって考えることだと思う。テストなしだと各メソッドのシグネチャに指向リソースが奪われてしまう。 複雑な依存をコツコツ調べて引数無しコンストラクタでインスタンスを生成して、適切な順と適切な値の組み合わせでSetterを呼んで状態を調整して、ようやく呼び出せるメソッドのいかに使い辛いことか。そう言えば、 『レガシーコード改善ガイド』 にもこんな章があった。 このクラスをテストハーネスに入れることができません このメソッドをテストハーネスで動かすことができません これをうまくやるには、要件の理解とその分割が必要になる。必要なスキルセッ

メタテスト・テストデータ - Selenium デザインパターン & ベストプラクティス

『Selenium デザインパターン & ベストプラクティス』を読んだ。読み進めていくと、Seleniumを使ってテストを書き始め、それを成長させながらパターンを入していくシナリオを追うことになる。ストーリィのあるシナリオに沿って読み進めていけるので、パターンカタログより入りやすい。そう言えば『実践テスト駆動開発』もこの書き方だった。 最近、テストコードよりテストデータに関心が向いているので、「4章 データ駆動テスト」はちょっとスピードを落としてじっくり読んでいたように思う。特に、Default Valuesパターンとfakerライブラリに関する記載を、読んでは悩み読んでは悩みを繰り返している。 Default Patternsパターンでは、テストの関心でないデータにはデフォルト値を使う。 "xUnit Test Patterns" でいうところの Dummy Objectパターン に近いと思う。その利点と欠点は次のとおり。欠点1は比較的軽いと思う。テストヘルパに寄せたり、許容できるレベルまで軽減できる。より深刻なのは、欠点2の方だ。バグを見つけられないリスクが高くなる。 利点 知る必要があるものだけに知らせる テストがシンプルになる 焦点を絞れる 重要な値だけを上書きする 欠点 上書きを実装する必要がある データが均一になる そのデフォルト値として実際に入力されそうなデータを使いたい、というのがfakerライブラリのモチベーションのようだ。ここはnullも候補になるDummy Objectパターンとは大きく違う。テストレベルの違いが出ている。 どんなテストであっても、できるだけ実際のシナリオに近い入力データを目指すべきです。 テストの関心ではないからテスト設計はしないにしろ、確かにあまりにも非現実的なデータだと、サービス開始直後に足下を掬われるかもしれない。デザインの文脈でいうところの "Lorem Ipsum" のようなものだろう。 本書では触れられていないけれど、fakerライブラリで実際に入力されそうなデータを作る代わりに、実際に入力されたデータ(いわゆる移行データ)を使う選択肢もあると思う。そもそも存在しないとかセキュリティ制約にひっかかるとか、使えない場合も多いだろう

魔法の国のお国柄 - 魔法少女育成計画 aces

『魔法少女育成計画 aces』を読んだ。無印、restart、limited、jokersに続く長篇5作目。 読み終えた時の関心が、シリーズ通しての縦糸に持っていかれてしまっていて、本作としての印象がいまいち残っていない。というわけで次巻が待ち遠しい。 まだまだ話が畳まれない。むしろ広がりを見せる。そしてようやくスノーホワイトとリップルが。

u shel ff - シャッフル航法

『シャッフル航法』を読んだ。次の10篇からなる短篇集。 内在天文学 イグノラムス・イグノラビムス シャッフル航法 Φ つじつま 犀が通る Beaver Weaver (Atlas) 3 リスを実装する Printable 既読だったのは「内在天文学」、「シャッフル航法」、 「リスを実装する」 の3篇。これらは初出時に読んでいた。 この中だと「シャッフル航法」の出自が面白い。SFとは縁遠そうな、『現代詩手帳』の2015年5月号が初出。その時は「詩を題材にしたSF」ではなく「詩」だと思った。初出時のコンテキストを知らないままに、今回初めて読んでいたら違った感想を持っていたかもしれない。 その「シャッフル航法」の次に配置される「Φ」も、形式がテーマに直結していて面白かった。版面率というか版面の形から、清涼院流水の作品を連想する。でも、内容から受ける印象は正反対。清涼院流水の作品では虐殺のスケールが馬鹿げていて現実味がないのだけれど、「Φ」では分かっているけれど止められない破滅の進行に胃がキリキリする。 基本的には各篇は独立しているのだけれど、「内在天文学」で描かれている世界と「犀が通る」に出てくる星図は関係していそう。「犀が通る」の星図を天球に持つ世界が「内在天文学」で描かれていたら、ロマンチックだな、と思う。それから、翻訳を扱っている「Printable」と 『道化師の蝶』 所収の「松の枝の記」が関係していいそう。テーマが通底しているだけかな? 最も印象深かったのは、「イグノラムス・イグノラビムス」。意識の連続性について、色々と想像が膨らむ。寝たりしたら途絶えるのに、意識が連続しているように思えるの、どうしてだろう。

怒りの篩 - fury

映画『フューリー』(原題 "Fury")を観た。撮影に本物のティーガーを使ったのが話題になった、ブラッド・ピット出演の戦争映画。ブラッド・ピットがリーダー・ウォーダディーを演じているので、 『イングロリアス・バスターズ』 を思い出す。 主人公は青年兵ノーマン。ロクに訓練されないまま配属されて、ウォーダディーに生き残るために殺すことを叩き込まれる。クライマックスでは敵の進軍を食い止めるため、ウォーダディーはじめ乗員と一体となって目覚ましい戦果を上げる。 のだけれど、エンディングには無常感が漂う。 ただ、詳しい人には、ツッコミどころが多かったみたい。対して詳しいわけでもない自分でもいくつか気になったくらいだから、詳しい人にとったら相当だったんだろう。