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5月, 2010の投稿を表示しています

曲がる曲がるよ世界は曲がる

『零崎曲識の人間人間』 を読んだ。 本作は、 『零崎軋識の人間ノック』 ( 感想 )に続く人間シリーズの3冊目。 零崎曲識に対してこんな台詞が放たれる。 自分が断続的に考えているストーリィとロジックの対立に関する問題に対するアプローチになる気がする。 「相反するふたつを、同じくらいの練度で会得しているだなんて……百メートル走とフルマラソンを、両方極めているようなものじゃない……」 百メートルとフルマラソンは使う筋肉が異なるから、両方を極めるのは生物的に難しいと思う。 一方、思考ならそういう制限がない。 両方極めればいいのか、そういうことか。 データに基づいてロジックで推論される結論を、エモーショナルなストーリィに仕立てればいいのか。 こう書きながら難しいだろうな、と思っている自分がいる。 思考を何かが制限しているのだろうな、と思う。

もしもしドラッカー、ドラッカーよー

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 を読んだ。 読みやすい。自分は薄っぺらいと感じたけれど、本を読む習慣がない人にも読んで貰うにはこれくらいの薄さがいいのだろうな、と思う。 それから、元となったドラッカーの『マネジメント』を読んでみようという気にさせてくれる。

トラック!トラック!トラック!

『Trac入門』 を読んだ。 Tracはプロジェクト管理支援ツールのこと。 特に、ソフトウェア開発プロジェクトのバグ追跡を支援してくれる。 ツールを導入したからといって問題が解決するわけではないけれど、ツールが生まれた背景やツールの想定利用方法を知ると、問題をどう解決しようとしているかが見えてきて面白い。

本にまつわる小説

『ダンタリアンの書架4』 を読んだ。 話にもう少しダイナミックな動きが欲しい。 ちょっとずつ伏線は出てきているけれど、大きな山はないように感じる。 でも、断章「催眠の書」(短篇に挟まれた数ページの超短篇)が面白かったり、と予想外の楽しみがあるところは良い。 次の1冊が最新刊なので、もったいぶりたい。

DM

『戦略的データマネジメント』 を読んだ。 問題提起と解決に向けた取り組みのとっかかりまでが、主な内容。 まえがきによると、著者はテクニカルな話もできるそうなので、そちらの本も書いて欲しい、と思った。 "Garbage In Garbage Out" 元になるデータがゴミなら、それをどうこねくり回しても、ゴミしか出てこない。 ゴミに従った意志決定も、多分ゴミだ。 おまけにゴミを集めるコストもかかっている。 では元になるデータを綺麗しよう、というのがデータマネジメント。 本書では包括的に書いているけれど、面白かったのはデータ辞書作成の行(くだり)。 「顧客」のような基本的な用語ほどあちこちで様々な用途で使われているため、揉めるそうだ。 大企業ではデータ辞書を作るだけで数年がかりだったそう。 その間に市場が変わったりはしなかったのだろうか。

全然禅

『禅』 を読んだ。 禅の思想は、論理の外にあるみたい。 考えても埒が明かない。 例えば、次のような四句がある。 「A」ではない。 「非A」でもない。 「Aではないかつ非Aではない」でもない。 「Aかつ非A」でもない。 そう言えば、パラドックスに関する本で、本当のパラドックスは最初の3つを満たす問題だと読んだ記憶がある。 それも超えており、どう扱ったらいいか途方に暮れる。 これでもまだ分かりやすい方。 禅問答(正式には公案というらしい)では、弟子が師に問うたらいきなり叩かれたりするなど、言葉を使わないこともしばしばだそうだ。 それでも、同意した部分があった。 論理や言葉で捕らえられないものがある点だ。 言葉の解像度が認識の解像度だという人もいるけれど、全く説明できなくたって見えているものは見えているし、観察しようと思えばできる。 "タタター"に関する次の一文が、何か関係がありそうでひっかかっている。 木は、それが「木」という概念に包摂されるまでは、木ではない。“タタター”(如)こそ、 この概念に先んずるものである。それは、われわれが木であるとか、ないとか言う以前の消息である。 物理学の人間原理を思い出す。こちらは全く反対の考え方。 もうしばらくバックグラウンドで考え続けよう。

自他ともに

『新世紀メディア論』 を読んだ。 テーマと直接関係しないけれど、「儲かる」という言葉について考えてみた。 「儲かる」は自動詞だ。 自動詞なので、例えば「お湯が沸く」のように、主語はお金なんだろう。 でも、熱しなければ涌かないように、お金は自然には増えない。 つまり、うまくやれば勝手に「儲かる」ような旨い話はない。 お湯を「沸かす」必要があるように、お金は「儲ける」ものだ。 単に言い換えているだけだけれど、言葉の選択は選択者の意識を投影する。 儲けている人が「儲かっている」と言うのは謙虚だけれど、儲けていない人が「儲かりたい」と言うと「楽したい」という怠惰を感じてしまう。

焚書と火炙り

『ダンタリアンの書架2』 、 『ダンタリアンの書架3』 を読んだ。 ちょっとずつ展開がダイナミックになってきて、楽しくなってきた。 ところで、3巻第5話に出てくる次のセリフ。 見覚えがあると思ったら、先日読んだ 『古書の来歴』 ( 感想 )のエピグラフだった。 「だがな”本を焼くものは、やがて人間をも焼くようになる”……俺たちの国の詩人の言葉だ。覚えておけよ。てめえがただの殺人鬼に墜ちる日を、楽しみに……待ってる……ぜ」 エピグラフは、こうだ。 書物が焼かれるところでは最後には人も焼かれる ――ハインリッヒ・ハイネ 書物には、人の感情・思考を託せる。 だから、そうした書物を焼くことを延長すれば、人を焼くことに至るのだろうな、と思う。

本の痕跡

『古書の来歴』 を読んだ。 本書は実在の古書『サラエボ・ハダガー』を題材としたフィクション。 描かれているのは、実在の古書に対する仮説と、そこから広がる妄想だと思う。 それが小説として成立するよう、きちんと編集されている。 古書を鑑定している現在の章と古書に手が加えられた過去の章が交互に出てきて、不明点が順番に明らかになっていくようになっている。 自分としては、もう少し展開に縦糸が通っている方が好み。

話し合いを描く

『ファシリテーション・グラフィック』 を読んだ。 『問題解決ファシリテーター』 ( 感想 )、 『ファシリテーション入門』 ( 感想 )と同じ人の著作。 これまで読んだ2冊は一般論を示しているのに対して、議論の板書に特化している。 板書と言っても、文字に加えてイラストやデコレーションの使用を進めている。 すぐに参考にしたいと思ったのは、レイアウトの考え方の導入。 版面率、図版率、拘束率、ジャンプ率と、 『7日間でマスターするレイアウト基礎講座』 ( 感想 )で知った言葉が出てきている。 他にも色々と実践的なことが書いてあるので、手元に置いておこうかな。

スチーム・パンク+探偵物

ジャストボイルド・オ’クロック を読んだ。 『紫色のクオリア』 ( 感想 )が面白かったので、同じ著者の別の作品を、と思い手に取った。 『悪魔のミカタ』 の方が有名みたいだけれど、未完かつ既刊が19巻もあるので、今回はパス。 本作もSFだけれど、身近な「家電」という言葉を持ち込んでいるので、不思議な雰囲気。 人間は「珪素脳」を持ち、意識を持つ「家電」と共生しているらしい。 なんてエキセントリック。 随分昔に読んだ 『クロックワーク』 シリーズを思い出した。 こちらもSFというかファンタジーというか、不思議な雰囲気。 ゼンマイ動力が高度に発達した世界が舞台。 他にも主人公が探偵だという共通点もある(珍しくない)。 もう少しメジャーな漫画だと、『快傑蒸気探偵団』を思い出す。 タイトルにある通り、こちらはゼンマイではなく蒸気機関が高度に発達している世界が舞台。 これも主人公が探偵だ。 こういう作品が意外と多いのか、それとも自分が好きだからつい手に取るだけなのか。

3本ノック

『零崎軋識の人間ノック』 を読んだ。 本書は、2冊目の人間シリーズ。 ちなみに人間シリーズは、戯言シリーズに出てくる殺人鬼集団・零崎一賊が主人公の、いわゆるスピンオフ作品。 戯言シリーズの記憶がまだ鮮やかな内に読めば良かった。 人間シリーズ1冊目 『零崎双識の人間試験 』 は、そんなことなかったように記憶しているけれど、本書には戯言シリーズの登場人物がわんさと登場する。 エキセントリックな言い回しも、エキサイティングな展開もなかったので、少々拍子抜けした感じ。 登場人物に思い入れがあればまた違ったのかも知れないけれど、いかんせんもともと不確かな記憶が経年劣化している。 それでもこのまま続く 『零崎曲識の人間人間』 と 『零崎人識の人間関係』 (全4冊)の5冊は読むつもり。 ここまで来たら読破したい。