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ヘッドホン交換 - ATH-WS770-BRD

家で使うためにATH-WS770-BRDを買った。これまで使っていた ATH-SJ11 のパッドがボロボロになっちゃったので。 家電量販店でいくつか試聴してみたところ、音と装着感と、あと値段のバランスが良かったのでこいつをチョイス。前任と同じaudio-technicaなのは偶然。 下位機種のWS-550は試聴してみたら音も装着感も合わなかったので早々に候補から外れて、上位機種のWS-1100とは迷ったけれどハイレゾ音源を持っていないから宝の持ち腐れになりそうで。 検索するとWS1100とWS770とで価格差以上に音が違うという感想も見つかるけれど、自分はよく分からなかったなぁ。家電量販店の騒音のせいか試聴に使った曲のせいか自分の耳のせいか。 気にし過ぎか。誰が何と言おうと自分で使った感覚以上に大事なものはないのに。重低音重視と謳っているだけあって、ベースやドラムの音が心地よい。

推薦以前 - 掟上今日子の推薦文

『掟上今日子の推薦文』を読んだ。 『掟上今日子の備忘録』 の続き。 このシリーズ、語り手は変わっていくのね。前の巻では隠館だった語り手が、この巻では親切という新キャラクタになっている。ホームズとワトソン形式かと思っていたので驚いた。 一度寝たら記憶がリセットされる掟上今日子の性質を考えると、こういう形式にしないと毎回同じような自己紹介が入ったりして煩わしくなるか。 このシリーズ、各話で提示される謎より掟上今日子の来歴の方が気になってしょうがない。『推薦文』でも『備忘録』に引き続き、最後に彼女の正体が示唆される。これはやっぱりそういうことなんだろうか?

千変万華 - fox capture plan/Butterfry

fox capture planの"Butterfry"を聴いている。 "UNDERGROUND" , "COVERMIND" に続く2015年3枚目のアルバム。 "the beginnin of..."で静かに始まってアッパーチューンの"supersonic"で終わるのが新鮮。 "WALL" では「疾走する閃光」、"UNDERGROUND"では"beyond the beyond"が冒頭にあったのとは対称的。 他の曲もそれぞれ色があって、聴いていて楽しい。分かりやすいところでは、4曲目の「混沌と創造の幾何学」では菊地成孔さんが参加してたり、クリスマスがテーマの"Christmas comes to our place"があったりする。 "Kaleidoscope"が印象的。柔らかくて、染みる。

リスを撮影する2

先月頭に、約半年ぶりにプレーリードッグを見に行ってきた ( 前回行ったときの記事 )。 寒いからか、巣穴の中からなかなか出てこなかったけれど、しばらく待っていたら、ついにふふわふさふさの冬毛姿でご登場。暖かそう。 正面から見たら、こんなまんまる。マリモみたい。 ところで、前回見かけた子供が見あたらなかったのは、出てこなかったからなのかな。それとも、もう大きくなったのか。小動物だから成長が速いだろうし。

叩くと音が鳴る - Stanton Moore/Conversations

Stanton Mooreの "Conversations" を聴いている。 ライブを観たら格好良かったので、物販でCDを買って帰ってしまった。 アルバムの名義 "Stanton Moore" はドラマーの名前。 打楽器(タンバリン)で打楽器(ドラム)を叩く のが面白い。最初は奇をてらっている印象を抱いたけれど、考えてみれば確実に同期して音を鳴らせるのだから合理的だ。 ドラマー名義だけれど、ベースもピアノも素敵だ。たとえばアルバム、1曲目"Lauren Z"の出だしのベースなんか堪まらない。 余談だけれど、実はこの人のドラムを聴いたことがあった。ロック/ラップアルバムの"Street Sweeper Social Club"のレコーディングに参加している。後で聴き比べてみよう。

量産型の予算 - HG グレイズ

「HG グレイズを作ったよ」 「『鉄血のオルフェンズ』の、いわゆるザクポジションのMSですね。カラーリングが踏襲されています」 「Yes. 最初はギラ・ドーガを作ろうかと思っていたのだけれど、他とサイズが違うから浮くのが嫌で」 「『逆襲のシャア』の時代のMSは大きいですからね」 「うん。設定上の全高がひとまわり違う。このグレイズや バルバトス 、 ヘイズル改 、 ケンプファー が約18mなんだけれど、ギラ・ドーガは20mある」 「そう言えば、 ヘイズル改とギラ・ドーガが並んだ写真を見つけたってツイート していましたっけ」 「こうして見ると高さ以上にボリュームに差が。割とボリューミーなヘイズル改と比べてこれかもんなぁ」 「細身のバルバトスやグレイズと並べると、さらに差が際立ちそうです」 「そうそう。カラーバリエーションとモノアイこそザクを踏襲しているけれど、シルエットが正反対。ザクは丸くてボリューミーだけれど、こちは直線的で細身」 「それでも一目でザクポジションと分かるのが面白いですよね」 「さて、プラモの話に戻ると、今回はデカールを貼るのに加えて、マスキングテープを使って左肩にナンバーを入れてみた。これくらの写真だと粗が目立たなくていいね」 「ブログにアップするときは、だいたい目立った傷や埃をレタッチしているじゃないですか……」 「多少はね。あ、ケンプファーの写真ではモノアイを光らせたけれど、この写真はそんな加工していないよ?」 「『この写真は』していないだけで、今度は GIFアニメ化にして光らせている の、知っていますからね?」

Where you AT? - 新世紀エヴァンゲリオン1~14

「『新世紀エヴァンゲリオン』のコミックス1-14をまとめて読んでしまった。安かったのでつい」 「Kindle版が1冊50円になっていましたね。今も価格こそ戻りましたがポイント還元で実質50円ですし」 「一体何があるんだろう。もしかして、新劇場版4作目『:||』 (正確には音楽の反復記号の右の|が太くなっている)の公開が近いんだろうか」 「今年でテレビ版第壱話放映から20年らしいですしね」 「エヴァ、コンテンツとしての寿命長いよなぁ」 「なかなかないですよね」 「うん。1990年代の漫画・アニメだとこれくらいじゃないかな。これだけ続くから面白いのかな、と思って『序』、『破』、『Q』を観てよく分からなくて、コミックスもこれを機会に読んでみたけれど」 「時機を逸しているのかもしれませんね」 「だとしたら、今は当時のファンが今も買い支えているもんなのかね。新規ファンを獲得しているのではなくて」 「ところで、『名探偵コナン』も去年連載開始20周年だったみたいです」 「あ、言われてみればコナンも長いな」

腹が減っては兵隊は - 戦場のコックたち

『戦場のコックたち』を読んだ。長篇だけれど、各章でオチがつくから短篇連作とよく似た読み心地。それでいてエピローグまで読ませてくれる。 舞台は第二次世界大戦さなかのヨーロッパ。主人公は米軍のコック・ティム。戦場が舞台だからもちろん戦う (衛生兵と同じ特技兵だけれど、コックは護身以外での武器の使用が、国際法で禁じられていないとのこと) けれど、彼の戦いは主軸ではない。丁寧に描かれているのは、彼一人ではどうしようもない戦争の奔流と、彼のコック仲間達。 料理にもあまりフォーカスが当たっていないのには、肩すかしを食らった感じを受けたけれど、これはこれでよかったように思い直している。料理でどんな問題でも解決されたりすると、興醒めしてしまいそう。戦時下の状況の丁寧な描写が作っている雰囲気が、ぶち壊しになる。 「ここがスゴイ!!」という分かりやすい特徴はないのだけれど、全体のバランスが絶妙。安心して楽しめた。特に、エピローグには染みるものが。

ガンプラの箱 - ガンプラEXPOワールドツアージャパン2015

「 ガンプラEXPO に行ってきたよ」 「先日秋葉原で開催されていましたね」 「PG ユニコーンガンダム (最終決戦Ver.)とかコンテスト作品とか、格好良かったなぁ。あんな風に作れるは全然しないけれど」 「HG グレイズでさえまだ完成させていませんしね」 「にも関わらず、イベント限定のG-3ガンダムとプチッガイ買っちゃった」 「ミーハーですか」 「それから、HG ガンダムグシオンを見てますます発売が楽しみに。もちろん注文済み」 「積みプラ状態じゃないですか」 「でもジムスナイパーK9も作りたい。ジムスナイパーIIより色が好みだ」 「好みと言っても色が偏り過ぎじゃないですか? グレイズもプッチガイもガンダムグシオンも緑系ですよ」

ミュートの音 - Mutemath/Vitals

Mutemathの"Vitals"を聴いている。 浮遊感のある曲が目立つ。緊張感が前面に出ていた前作"Odd Soul"とは対称的。ダンスロック色が濃くなって、どことなくFriendly Firesを彷彿とさせる。 これまでの作風とは違っていたので最初は面食らった。特にギターが目立たなくなったことへの違和感が強い。 けれど、繰り返し聴いていると次第に心地よさが増してくる。不思議。

追う廊下 - 愚物語

『愚物語』を読んだ。収録されているのは、次の3篇。 そだちフィアスコ するがボーンヘッド つきひアンドゥ 「そだちフィアスコ」で描かれる老倉育が我が子のようで、彼女の愚かさが我が事のようで、愛憎相半ばする。 我が子と思えば馬鹿な子ほど可愛いし、我が事と思えば心理学でいうシャドウなので認め難い。 どちらにせよ、キーセンテンスはこれ。 余計なことをするから、余計な目に遭う。 自分は、係数が低いなりに学習して余計なことはしないようにしている一方で、それでもやっぱり後先考えずに余計なことをしたいのだ。そう思い知らされた。 三つ子の魂百までとはよく言ったもので、学習したのは躊躇ばかりで、指向している先はちっとも変わっていない。余計なことをしたくなる傾向が抜けていない。 それでも育には幸せと思える境遇を得て欲しい。そう思うのは、余計なお世話か。

ドードードー - 実践ドメイン駆動設計

『実践ドメイン駆動設計』を2ヶ月ほどかけてちまちまと読み進めて、ようやく最後まで辿り着いた。 『エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計』 に比べれば分かりやすい。たとえば、ちゃんと基礎となる戦略的パターンから説明されている [1] 。 ただ、それでも理解できたのはほんの一部だけ。噛み砕けていない部分の方が多い。諦めて斜め読みで済ませることがしばしば。 それでも読んでよかった。 まず、きっとまた読むことになると予感できた。苦労して読んだがゆえのバイアスかもしれないけれど。だとしても、噛み砕けないなりに、部分部分で得るところがあった [2] 。 余談。「カウボーイの声」が分からん……。文化の違いだろうか……。 [1] ドメイン駆動設計の間違った方向性 によると、『エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計』では、基礎となる戦略的パターンが後半に書かれてしまっている。 [2] なるべくツイートするようにしていた。 『実践ドメイン駆動設計』を読んでいるときのツイート - Togetterまとめ に拾ってある。

ピンクドット - 葛西臨海水族園/ダイヤと花の大観覧車

「先日、葛西臨海水族園に行ったら、ジョジョっぽい魚がいた」 「 『ジョジョリオン4』 の表紙なんか、近い色が使われていますね。ピンクのドットがかわいいです」 「そして約束されたカエル枠は、シュレーゲルアオガエル」 「目がぱっちりしているところ撮れましたね」 「水族園を出た後に乗った観覧車。いい眺めだった」 「どこ見ているんですか」 「中心の方を向いたらいい感じの構造が見えたもので。観覧車から見えたものには違いないよ?」 「それはそうですが」 「あっという間に日が暮れて、観覧車から降りて帰るころには真っ暗に」 「観覧車が花火のよう」 「低くないですかね……」 「確かにこんな低さで爆発したら大惨事だな……」 「あ、なんかごめんなさい。綺麗に締めようとしているところに」 「もういいから、とっくに終わり時を見失っちゃってるから!!」

セージュンの政治 - 境界線上のホライゾン ガールズトーク 祭と夢

「『境界線上のホライゾン ガールズトーク 祭と夢』を読んだよ」 「『ガールズトーク』2冊目ですね」 「1冊目の『狼と魂』の感想を書き忘れているね」 「そのことなら 『境界線上のホライゾン VIII〈上〉』 を読んだ後に話したじゃないですか」 「それさえ忘れてたよ……。また探してしまった……」 「大丈夫ですか、脳?」 「過去を改善したいところだ、このシリーズみたいに。その時はまだ気がついていなかったことにしよう」 「過去を回想しながら記録している体なのに、フリーダムですよね。現在目線でツッコミが入ったり」 「ちなみに今回はセージュンこと本多正純が武蔵に来る時の話だったよ」 「まだ戦争大好きじゃなかった頃の話ですね」 「うん。 『I〈下〉』 で吹っ切れる前のさらに前。ここから外道に適応していくんだから、大したものだよな」

my turn to internship - 僕のヒーローアカデミア6

『僕のヒーローアカデミア6』を読んだ。 早くも出久がパワーアップ。One for Allのこれまでとは違う使い方を見つけた。いいテンポだ。 今回の出色はグラントリノ。あのオールマイトを鍛えただけあって、おじいちゃんにもかかわらずなお健在。速い速い。出久のパワーアップのキッカケを生んだのも彼。これからもちょいちょい登場して欲しいなぁ。 どんどん伸びていく出久と対称的なのが飯田。さて、どちらに向かうのか。出久とは別ベクトルにまっすぐなのが麗日。「麗日さんの節約メシ! 入門編 (最終回)」の潔さ!!

言い得ぬ - 悲しみのイレーヌ

『悲しみのイレーヌ』を読んだ。 『その女アレックス』 と同じ作者の作品。原作の発表順と邦訳の出版順が前後していて、『その女アレックス』が『悲しみのイレーヌ』の続編にあたる。 『その女アレックス』は途中からおいてけぼりを食わされた気分になってしまったけれど、こちらは最後までついていけた。そして読み終えた今、2つの意味でこちらを先に読みたかったと思っている。 まず『悲しみのイレーヌ』の結末が、『その女アレックス』で描かれてしまっている。ちゃんと順番に出版して欲しかったと思う。けれど、『その女アレックス』がの販売があったおかげで『悲しみのイレーヌ』が出版されたのかもしれない。そして、逆だったらここまで話題にならず読むこともなかったかもしれない。 それからもう一つ。こちらは印象に過ぎないのだけれど、『悲しみのイレーヌ』を読んでから『その女アレックス』をもっとおもしろく読めたんじゃないかという気がしている。本作を踏まえてこその『その女アレックス』だったんじゃなかろうか。

Cheers! - 神酒クリニックで乾杯を

『神酒クリニックで乾杯を』を読んだ。 「天久鷹央の推理カルテ」 シリーズや 『改貌屋』 と同じ作者の作品。 タイトルに「クリニック」とあるし、主要な登場人物は医者なんだけれど、医療要素は薄め。鷹央や柊を超える天才というかもはや超人も出てきて、何でもあり感が否めない。「陽気なギャングが地球を回す」シリーズを連想したのは、先日たまたま数年振りの続編が出ているのは見かけたからだろうか。 正直な感想としては、本作を単品で見ると「天久鷹央の推理カルテ」シリーズや『改貌屋』に比べると魅力に欠ける。一応ミステリィと言えばミステリィなんだけれど、みんな超人医師だから緊迫感をなくて、どうにも盛り上がれない。普通のミステリィならダイイングメッセージを残すのがやっとの瀕死の被害者も、この面々ならその医療技術で救って犯人を聞き出しかねない。それはそれでアンチミステリィとして痛快な気もするが。 でも、本作は位置づけがおもしろいので、今後に期待。本作は、作品間をつなぐハブの位置にある。「天久鷹央の推理カルテ」シリーズと舞台が同じなのは明らかだし、『改貌屋』とのつながりも示唆されている。『改貌屋』も本作もシリーズ化して、つなげていくための布石だと思うと楽しみ。

masked - 改貌屋

『改貌屋』を読んだ。 シリーズの 『I』 、 『II』 が面白かったので、同作者のこちらも。 こちらも医療ミステリィの範疇。こちらの主人公は、サブタイトル「天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ」に書いてあるとおり、美容外科医。作中では、柊は「形成」外科医と名乗っている。「整形」外科医ではない。 こちらの方が〈天久鷹央の推理カルテ〉シリーズより好みだった。一番の理由は、柊というキャラクタの面白さ。(形成外科は自由診療だから規制する法はないのだけれど)法外な手術費をふっかけるけれど、腕は最高。まるでブラックジャックだ。 診療科が美容形成と、自分にとっては新鮮だったのもよかったのかもしれない。作中の蘊蓄も知らないことばかりだった。形成外科と整形外科の違いとか。 こちらも続いてシリーズ化するといいな。

鷹央の別の顔- 天久鷹央の推理カルテ II

『天久鷹央の推理カルテII―ファントムの病棟―』を読んだ。 前巻 と同じく短篇連作形式。収録されているのは次の3篇。 甘い毒 吸血鬼症候群 天使の舞い降りる夜 さらっと読める割には、最後にはずしりと重いからズルい。鷹央先生の脆さが描かれていたのが印象的。その天才ぶりで小鳥先生を振り回している普段の姿からは、想像もつかない姿だった。 この後は『III』、『スフィアの死天使』と続く。些細だけれど、『VI』相当から通し番号がなくなったのが、タイトルを忘れがちな自分には地味に辛い。

walk this way- 彼女は一人で歩くのか?

『彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?』を読んだ。 森博嗣の新シリーズ。シリーズ名は 浮遊工作室 (ミステリィ制作部) によると、Wシリーズ。walk-alone (ウォーカロン) の頭文字から取っているのかな? ウォーカロンといえば百年シリーズ。想像していたより、つながりが直接的だった。自分でもすぐに思い当たるくらい。いろいろと記憶がポンコツなので百年シリーズを読み返したくなる。その前に未読の『赤目姫の潮解』か。前2巻を文庫で買ったので、これも文庫で欲しいのだけれど、なかなか文庫化してくれない。だいたい2~3年後に文庫化されるようなので、2013年に単行本として出版された『赤目姫の潮解』が文庫化されるのは来年あたりだろうか。 本作は、SFエンターテインメントの形をしているけれど、作中で交わされる人間・思考・意識を巡る会話は思弁的。自分と他人とか、人間とそれ以外を区別しているのは、なんだろうか? そう考える一方で、それがなんであれ、社会的にどれくらい受け入れられるだろうか? とも想像する。AI効果という言葉があるくらいだから、大きな反発が生まれることが容易に想像できる。 でも、合理性や便利さに押し流されて、気がついたら引き返せないところまで行ってしまっている予感がする。強く反発する人に届くころには、大勢は決まってしまっている。

モノアイの嘆願- HGUC MS-18E ケンプファー

「HGUC MS-18Eケンプファーを作ったよ」 「バルバトス以来、堰を切ったように作り続けていますね」 「うん、作業自体が楽しくて楽しくて」 「2体続けてガンダムヘッドだからツインカメラでしたが、今回はモノアイなんですね」 「うん。モノアイもかっこいいよね。グリンと動いてカメラ目線になるシーンなんか最高だ。モノアイ目立たせたかったから、レタッチしてしまった」 「えー、ズルくないですか? ちゃんとプラモを改造してくださいよぉ」 「そうだよなぁ、LEDで光らせたりしたら楽しそうだよなぁ」

then... - 終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #03

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #03』を読んだ。 この世界の成り立ちがさらに明かされてきた。「あとがき」を読んで、ざっと拾い読みをしてみたら、色々と発見があって面白い。拾い読み自体は面白いのだけれど、そこから出てきた推測がなかなか……。 ここまで来ると、迂闊なことを書くとネタバレになってしまいそうなので、いろいろと自重。あ、この巻もクトリは素敵だよ? デウス・エクス・マキナでもいいから報われて欲しいなぁ。 それにしても、また、こんなところで終わるのか!! #04はまだなので首を長くして待つしかない。

and how? - 終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #02

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #02』を読んだ。 #02では、主人公ヴィレムが知らない歴史が徐々に明かされて、この世界の根幹に関わる謎が提示される。その提示のされ方も心憎かった。思えば、こういうハイ・ファンタジーを心を躍らせて読むの、久し振りな気がする。 それから、この巻も相変わらずクトリがかわいい。健気で、素直じゃなくて、でも時に真っ直ぐで素敵。そんな彼女の魂はアレ に由来しているのだろうけれど、それってどういうことだろう。そもそもアレがなんなのかさえ、まだほとんど語られていないから、想像もうつかない。 次巻あたりでこれらの謎が交錯するのだろうか? と気になって気になって、もう『#03』も読んでしまった。なので、そちらの感想も近々。 ところで、あとがきを読むと、こうして#03を読めているのは、作者だけじゃなくて#01, #02を買った読者のおかげでもあると強く意識させられる。売れないと続きも出せないってことを。 というわけで、未読の方はぜひ。今ならKindle版が半額でお買い得なので。!! まとめ買い で3冊を1クリックで‼ #03は電子特別版で短篇もついてるよ!?

who saves? - 終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #01

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? #01』を読んだ。 とても丁寧に書かれていると思う。こんな風に長いタイトルのライトノベルには『俺妹』や『はがない』に続かんと粗製乱造された印象を持っていたけれど、読んでみてよかった。 まず、登場人物が多様なのがいい。さすがに、主人公とヒロインは、どちらも徴無し(シルシナシ)。主人公は人間族(エムネトワイト)のヴィレムで、ヒロインは黄金妖精族(レプラカーン)のクトリ。けれど、二人の脇を固めるのは美少女ばかりじゃない (多いは多いけれど)。二人の上司ライムスキンは戦士の誇りを重んじる爬虫族(レプトレイス)だ。それから、ヴィレムの友人グレッグはいわく「気の良い奴」の緑鬼族(ボーグル)だったりする。 登場する種族が豊富なだけじゃなくて、彼らが生きる世界もまた謎がたっぷりで魅力的。かつて〈聖剣(カリヨン)〉と呼ばれた武器が、オーパーツと化して遺跡兵器(ダグ・ウェポン)と呼ばれていたりして、設定好きには堪らない。さらに、無闇にもったいぶらずにテンポよく明かされつつも、謎がさらに謎を招いたりして物語を牽引していってくれる。だから、どんどん読み進めてしまう。 でも、それ以上にページを捲らせるのは、クトリの行く末。立場的にも種族的にもドン詰まりが見えていて、状況的にも(あとがきの言葉を借りると)ジリ貧。ちっとも光明が見えやしないけれど、幸せになって欲しいなぁ。あと、青髪なのもポイント高い (余計な情報)。 なのに#01がこんなところで終わるなんて!! いてもたってもいられなくて、もう『#02』も読んでしまった。というわけで、そちらの感想も近々。

奴隷raid - シンドバッドの冒険8

『シンドバッドの冒険8』を読んだ。 ようやくシンドバッドが窮地らしい窮地に陥った。陥ったと思ったら、切り抜けるのが極めて難しそうで、どう決着するのか心配になる。 窮地に陥っているところなので、物語的にはほとんど進んでいない。最近、迷宮を攻略していないのが意外。本編の八人衆はどんどん登場してきているのに。

分ける。バラす。整理する。 - 世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書

『世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書』を読んだ。 「世界を動かす」だなんて、大げさに感じていたけれど、実質的なターゲットは中小規模・受注型プロジェクトだった。それならちょうどいい。大規模・受注型でも、厳格なマネジメントがされていないなら、この辺りから始めることになるんじゃないだろうか。いきなりフルセットは導入できない。 コストやリスクのマネジメントも含め一通り触れられているけれど、関心を引かれたのは進捗のマネジメント。これまで何度も、それに今も問題になっているからだろうなあ。まともに進捗することの方が珍しいくらいで、溜め息が出る。 きっと後で見返すであろう、自分にとってのポイントは次の通り。これらが、進捗管理の基本的なフローを構成している。くわえて予実の乖離に対するリカバリが必要だけれど、その内容はケースバイケースになるだろう。 2-3 WBSを作る 抜けがないように、P-WBS (成果物スコープ) とF-WBS (仕事のプロセス) のマトリクスで洗い出す。プロジェクトマネジメントの作業も忘れない。 3-2 スケジュールを立案する 「いつ着手すべきか?」を「逆算」で考える。並行関係、依存関係を意識する。 4-1 進捗を正しくとらえる 「いつ終わるか」を予測するために、「仕事があとどれだけ残っているか?」でとらえる。 4-2 スケジュールをコントロールする 見込日(≠予定日)で追いかける。計画のベースラインはめったに変えない。 とにもかくにもWBS。これが 最大のポイント とかかれている。P-WBSとF-WBSのマトリクスを知った今振り返ると、自分はP-WBSの視点でばかり考えていた。F-WBSにも目を配るようにしよう。そして、作ったら WBS作成のポイント を使って見直そう。

missed promised - マギ27

『マギ27』を読んだ。 アラジン、アリババ、白龍、ジュダル、練紅炎。それぞれの思想が交錯する。シンドバッドが姿を見せないのが気になるところ。練紅玉を通して、状況は把握しているだろうけれど。 登場している中では、アラジンがアラジンとしてどう振る舞うようになるのか、この先が楽しみ。これまではソロモン王やウーゴくんが明に暗に示していた指針に従っていたけれど、ここにきてようやく自分がどうしたいか考え始めた。 それにしてもアリババの不遇なことよ……。ただ、だからこそ――勝利を約束された分かりやすい主人公じゃないからこそ、先が読めないおもしろさを感じられている気もする。

立体機動巨人 - HGUC ガンダム TR-1 [ヘイズル改]

HGUC ガンダム TR-1 [ヘイズル改]を作った。 ガンダム・バルバトス の完成後、何を作ろうかとガンプラ売り場をウロウロしていたら一目惚れ。オマケに1000円でお釣りが来る安さ‼ 次はガンダム以外のつもりだったのに、迷わず手に取っていた。 見たことがない機体だったので調べてみたら、登場したのは『Advance of Z ティターンズの旗のもとに』という『機動戦士Zガンダム』の外伝だった。こいつもティターンズ・カラーでこそないものの、ティターンズの機体。 ガンダムの名を冠する機体としては、質実剛健な印象。フルアーマーのような重武装ではないけれど、要所要所――頭と肩の間の補助アクチュエータ、腰左右のエネルギーパック、脚部のスラスター、ブースターポッドとシールドブースター――のボリュームから重厚さが感じられる。主要な色もグレーがかった白に濃紺と彩度が控えめなのがまた渋い。 バルバトスはスミ入れ+部分塗装だったけれど、今回はさらにコーナーをヤスリで処理してデカールを貼ってつや消しスプレーを吹いてみた。初めてのトライにしては上出来じゃなかろうか (写真にはコーナーの処理に失敗した箇所が写ったけれど、レタッチで隠したのは内緒だ) (もちろん写っていないけれどマークセッターを使わずにデカールを貼ったら何枚もはがれたのも内緒だ)。 これらの作業は、これまで面倒そうで敬遠していたけれど、やってみたら楽しかった。ヤスリをかけているときの没頭感とか、デカールを貼る場所を考えているときの空想とか、つや消しスプレーが乾いた後に組み立てるときの高揚感とか。 とにかく元のデザインがドストライクだし、価格はリーズナブルだし、プラモデル自体の完成度も高いし、初めての作業も自分なりにはうまくいったので、大満足。

狼煙と呪い - 絶深海のソラリス II

『絶深海のソラリス II』を読んだ。 『I』 とはまた違った落差があって、今回もスリリングだった。『I』で学習して素直な展開にはならないはずと構えていたので、結末はおおむね予感していたとおりだった。退屈だったという意味ではなくて、むしろ反対。的中したことが分かったときには、ニヤリとしてしまった。 きっと『II』は反撃の狼煙だったと思う。というわけで、『III』での反撃に期待している。でも、反撃されたら再び惨劇が繰り広げられるだろう。想像すると、戦々恐々とする。 『I』から引き続き登場の面々も、『II』で活躍開始の面々も、いいキャラばかりなので、余計に。

続々ゾクゾク - 絶深海のソラリス

『絶深海のソラリス』を読んだ。 タイトルから『ソラリスの陽のもとに』を連想したけれど、少なくとも1巻の時点では深い繋がりは読み取れなかった。でも、繋がるとしたらそこだろうと思っている謎が明かされているわけでもない。だから、期待は次巻以降に持ち越し。続きが楽しみだ。 続きも楽しみなのだけれど、この1冊だけでも十二分に楽しめた。特に、前半と後半の落差が凄まじかった。読み終えて数日経った今でも、思い出すと放心してしまいそう。何がどう凄まじかったのか書くと、ネタバレになるので割愛。 実はもう 『II』 も読んでしまっていて、『III』が待ち遠しい。『II』の感想はまた後日。

過去と過誤と加護 - 暗殺教室16

『暗殺教室16』を読んだ。 この後、きっと終盤のクライマックスに入っていくんだろう。そう感じさせる1冊だった。ここまでの15冊では、ところどころに伏線を張りながらも、基本的に笑いを挟みつつ軽いノリでテンポ良く進んで来た。ところが、この16巻では、ほぼ丸々1冊が殺せんせーの回想に費やされる。 これまで散りばめられてきた伏線が、一気に収束するのが気持ちいい。ここまでの積み重ねが効いている。たまに見かける退屈な――伏線も前触れもロクにないけれど、やたら長くて早く次のシーンに移って欲しいと思うような――回想シーンではない。 E組卒業 = 殺せんせーの最期まで残すところ66日。どんなエンディングを迎えるのか、早く知りたいような、まだ知らないままでいたい = 終わって欲しくないような。 (これだけ本編はシリアスなのに、あの間の突発性4コマやカバー下はズルいよなぁ)

複製がHook - 複製された男

『複製された男』(原題 "Enemy")を観た。 複製ということはクローン。きっとSF映画だな。そう思って観てみたら全然違った。観念的な映画だった。 そう理解できたのも、 公式サイト に用意されていた、ネタバレ投稿レビュー専用ページのおかげ。そこに、監督や主演俳優のネタバレ有りインタビューが掲載されている。 観ている間は緊張感を保てたのだけれど、鑑賞後の満足感はいまいち。エンディングは投げっぱなしの感が否めなかった。伏線やら暗喩を丁寧に拾っていけば、必然的なエンディングなのかもしれない。けれど、ミスリードのためだのシーンもあるようで、フェアネスに欠ける気が。ミステリィじゃないのだから、気にし過ぎか。 なんだかんだこじつけているけれど、好きになれない最大の原因は、主人公の肩を全く持つ気になれないところにあるかも。

物語足る - エピローグ

円城塔の『エピローグ』を読んだ。 何が何だか分からない荒唐無稽な物語なんだけれど、面白かった。どう面白かったのか言葉にしがたいのだけれど、とにかく面白かった。 物語というか文章というか文というか文字列のシーケンス性が破壊されていて、色々と驚かされた。 『ゴーレム 100 』 が脳裏をかすめる。そう言えば、ベスターの名前も言及されていた。触れられていた作品は 『虎よ、虎よ!』 だったけれど。 シーケンス性が破壊されているのは、物語だけではない。登場人物の主幹時間が並列化されたりインターリーブされたりする。 『宇宙消失』 、 『紫色のクオリア』 、『順列都市』を思い出す。 視点を変えると、物語やそれを読む主観の可能性を追求しているように見えてくる。 という難しそうな話はさておいても、何が何だかよく分からないままでも、面白いから凄いよなぁ。

鉄血にして - HG ガンダムバルバトス

HG ガンダムバルバトスを作った。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の主役機。1話を観たら格好良かったので、その場で注文してしまった。 ユニコーンガンダム (ユニコーンモード) はそのまま組み立てただけだったけれど、今回はスミ入れと部分塗装もしてみた。写真に写っている範囲だと、肩と胸のピンクのライン、肩アーマーの黄色の部分、それからスカートのサイドの赤と黒。 あんまり綺麗にできなかったけれど、離れて眺める分にはそんなに気にならないからよしとしよう。スミ入れは、プラモデルという3次元に2次元的に影をつける作業だと分かって面白かったし。 全体的にはスマートなんだけれど、パイプやシリンダなどの内部構造も露出していて無骨さも感じられる。さらに、装備しているのが打撃武器のメイスというのがまた渋い。カチアゲとかホームランとかできそう (モンハン脳)。

象押し - ONE PIECE 79

『ONE PIECE 79』を読んだ。ようやくドレスローザ編が完結。長かった。 ルフィがレイリーの助言を全く聞いていないのが面白い。ただ、そのまま理由もなく勝ってしまうのには釈然としない思いもある。 一方で、理詰めなのもらしくないし、むしろ無理を通して道理を引っ込めるのがらしさのような気もしている。 それにしたって限度ってものがあるだろう、などとも。堂々巡りしている。考え過ぎか。

題なg - ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (2), (3) ―セカンド・スクワッド・ジャム (上), (下)―

『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (2) ―セカンド・スクワッド・ジャム (上)―』と『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (3) ―セカンド・スクワッド・ジャム (下)―』を読んだ。 1巻 に引き続き、今回もタイトルが長い (変わっていたら、シリーズだと認識できていないと思われる)。 今回も万単位の弾丸が飛び交う銃撃戦が繰り広げられる。いやー爽快だった。1巻では散々だったZEMAL<全日本マシンガンラバーズ>にも見せ場があった。きっとさぞかし弾丸を吐いてくれたことだろう。なぜか嬉しいので、実は愛着湧いていたのか。1巻ではなんとも思わなかったのに。 一方で、主人公レンとラスボス・ピトフーイは、銃以外での戦闘シーンが目立ったのが印象的だった。いいアクセントになっていた。銃以外の選択肢があると、展開が読みにくくなってワクワクできる。主力にはなり得ないだろうけれど。やり過ぎると、ガンゲイル・オンラインらしくないし、弾切れの緊張感が薄れてしまう。 レンの相棒・フカ二郎も良いキャラだった。今回が初参戦だけれど、活躍できる理由――ネトゲ廃人ゆえのプレイヤースキルと他ゲームから相対的な強さを引き継げるシステムによる高いステータスが合理的だったのが良かった。そして、まさかの二丁グレネードランチャー。ゲームならではの火力装備だ。リアル志向も渋くていいけれど、こういう弾けた装備にも心躍る。 スピンオフ元のSAOは劇場版を制作しているらしいけれど、こちらもアニメ化しないかしらん。

and ants - アントマン

映画『アントマン』(原題 "Ant-Man")を観てきた。 アントマンは、愛娘キャシーのために戦うパパだった。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で、アヴェンジャーズの主要メンバ――アイアンマン、ハルク、ソー、キャプテン・アメリカ――に家庭がいないことが強調されたのと対称的。 特にアイアンマンは、おっさんが科学の結晶たるスーツを着て強くなる点が共通しているから、ことさら対比が目立つ。その上、アントマンのスーツを開発したピム博士は、スターク博士 (トニー・スタークじゃなくて親の方) と確執がある。同じスクリーン上に登場する時が来るのが楽しみだ。『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』かな? シリーズの一作として気になるところも多いけれど、それを抜きにしても楽しかったと思う。わずか1.5cmに縮んでのシーンの、日常的感覚とのギャップが面白い。見慣れたものが巨大に見えるので、『借りぐらしのアリエッティ』を連想する。ジブリ作品と違って、(アントマンの視点では)派手な (でも通常の視点でみたら地味な) 戦闘シーンも面白い。機関車トーマスの扱いには笑ってしまった。 アントマンとしての続編を示唆するシーンもあったし、そちらも楽しみだ。

育つ・巣立つ・到達 - 実践テスト駆動開発

『実践テスト駆動開発 テストに導かれてオブジェクト指向ソフトウェアを育てる』を読んだ。2年前にテスト駆動開発について勉強しようと思った時には、まだハードルが高そうだったので見送った1冊 (ちなみにその時は 『JUnit実践入門』 で勉強した)。 読みながら考えたことをtogetterに集めた っきりにしていたのを、改めて振り返って整理してみようと思う。 この本の主題は、タイトルの〈テスト駆動開発〉ではなくて、サブタイトルの〈オブジェクト指向〉だと思う。原著のタイトル "Growing Object-Oriented Software Guided by Tests" に対応しているのも、サブタイトルの方。 次のエピグラフが、オブジェクト指向設計とテスト駆動開発の関係を端的に表している。 何かを設計するときには、常にもうひとまわり大きなコンテキストの中で考えること。椅子ならば部屋の中にあることを考える。部屋なら家の中、家なら環境の中、環境なら都市計画の中。 エリエル・サーリネン ここでいう「もうひとまわり大きなコンテキスト」がテストに対応する。 この比喩が示すように、ソフトウェアをエンドツーエンドで設計するために、動くスケルトンを作る。つまり、ユーザにどう使われて外部システムどうインタラクションするかを考える。加えて、開発側が行うプロセスもエンドツーエンドで通してみる。つまり、コンパイルだけでなくデプロイまでどうするか考える。 テストを書くことのメリットは、「Note インターフェイスとプロトコル」でいうところのプロトコル――インターフェースどうしの関係やメソッドどうしの関係をどうしたって考えることだと思う。テストなしだと各メソッドのシグネチャに指向リソースが奪われてしまう。 複雑な依存をコツコツ調べて引数無しコンストラクタでインスタンスを生成して、適切な順と適切な値の組み合わせでSetterを呼んで状態を調整して、ようやく呼び出せるメソッドのいかに使い辛いことか。そう言えば、 『レガシーコード改善ガイド』 にもこんな章があった。 このクラスをテストハーネスに入れることができません このメソッドをテストハーネスで動かすことができません これをうまくやるには、要件の理解とその分割が必要になる。必要なスキルセッ

メタテスト・テストデータ - Selenium デザインパターン & ベストプラクティス

『Selenium デザインパターン & ベストプラクティス』を読んだ。読み進めていくと、Seleniumを使ってテストを書き始め、それを成長させながらパターンを入していくシナリオを追うことになる。ストーリィのあるシナリオに沿って読み進めていけるので、パターンカタログより入りやすい。そう言えば『実践テスト駆動開発』もこの書き方だった。 最近、テストコードよりテストデータに関心が向いているので、「4章 データ駆動テスト」はちょっとスピードを落としてじっくり読んでいたように思う。特に、Default Valuesパターンとfakerライブラリに関する記載を、読んでは悩み読んでは悩みを繰り返している。 Default Patternsパターンでは、テストの関心でないデータにはデフォルト値を使う。 "xUnit Test Patterns" でいうところの Dummy Objectパターン に近いと思う。その利点と欠点は次のとおり。欠点1は比較的軽いと思う。テストヘルパに寄せたり、許容できるレベルまで軽減できる。より深刻なのは、欠点2の方だ。バグを見つけられないリスクが高くなる。 利点 知る必要があるものだけに知らせる テストがシンプルになる 焦点を絞れる 重要な値だけを上書きする 欠点 上書きを実装する必要がある データが均一になる そのデフォルト値として実際に入力されそうなデータを使いたい、というのがfakerライブラリのモチベーションのようだ。ここはnullも候補になるDummy Objectパターンとは大きく違う。テストレベルの違いが出ている。 どんなテストであっても、できるだけ実際のシナリオに近い入力データを目指すべきです。 テストの関心ではないからテスト設計はしないにしろ、確かにあまりにも非現実的なデータだと、サービス開始直後に足下を掬われるかもしれない。デザインの文脈でいうところの "Lorem Ipsum" のようなものだろう。 本書では触れられていないけれど、fakerライブラリで実際に入力されそうなデータを作る代わりに、実際に入力されたデータ(いわゆる移行データ)を使う選択肢もあると思う。そもそも存在しないとかセキュリティ制約にひっかかるとか、使えない場合も多いだろう

魔法の国のお国柄 - 魔法少女育成計画 aces

『魔法少女育成計画 aces』を読んだ。無印、restart、limited、jokersに続く長篇5作目。 読み終えた時の関心が、シリーズ通しての縦糸に持っていかれてしまっていて、本作としての印象がいまいち残っていない。というわけで次巻が待ち遠しい。 まだまだ話が畳まれない。むしろ広がりを見せる。そしてようやくスノーホワイトとリップルが。

u shel ff - シャッフル航法

『シャッフル航法』を読んだ。次の10篇からなる短篇集。 内在天文学 イグノラムス・イグノラビムス シャッフル航法 Φ つじつま 犀が通る Beaver Weaver (Atlas) 3 リスを実装する Printable 既読だったのは「内在天文学」、「シャッフル航法」、 「リスを実装する」 の3篇。これらは初出時に読んでいた。 この中だと「シャッフル航法」の出自が面白い。SFとは縁遠そうな、『現代詩手帳』の2015年5月号が初出。その時は「詩を題材にしたSF」ではなく「詩」だと思った。初出時のコンテキストを知らないままに、今回初めて読んでいたら違った感想を持っていたかもしれない。 その「シャッフル航法」の次に配置される「Φ」も、形式がテーマに直結していて面白かった。版面率というか版面の形から、清涼院流水の作品を連想する。でも、内容から受ける印象は正反対。清涼院流水の作品では虐殺のスケールが馬鹿げていて現実味がないのだけれど、「Φ」では分かっているけれど止められない破滅の進行に胃がキリキリする。 基本的には各篇は独立しているのだけれど、「内在天文学」で描かれている世界と「犀が通る」に出てくる星図は関係していそう。「犀が通る」の星図を天球に持つ世界が「内在天文学」で描かれていたら、ロマンチックだな、と思う。それから、翻訳を扱っている「Printable」と 『道化師の蝶』 所収の「松の枝の記」が関係していいそう。テーマが通底しているだけかな? 最も印象深かったのは、「イグノラムス・イグノラビムス」。意識の連続性について、色々と想像が膨らむ。寝たりしたら途絶えるのに、意識が連続しているように思えるの、どうしてだろう。

怒りの篩 - fury

映画『フューリー』(原題 "Fury")を観た。撮影に本物のティーガーを使ったのが話題になった、ブラッド・ピット出演の戦争映画。ブラッド・ピットがリーダー・ウォーダディーを演じているので、 『イングロリアス・バスターズ』 を思い出す。 主人公は青年兵ノーマン。ロクに訓練されないまま配属されて、ウォーダディーに生き残るために殺すことを叩き込まれる。クライマックスでは敵の進軍を食い止めるため、ウォーダディーはじめ乗員と一体となって目覚ましい戦果を上げる。 のだけれど、エンディングには無常感が漂う。 ただ、詳しい人には、ツッコミどころが多かったみたい。対して詳しいわけでもない自分でもいくつか気になったくらいだから、詳しい人にとったら相当だったんだろう。

孤児選曲 - AFX/orphaned deejay selek 2006-2008

AFX (Aphex Twinの別名義) の"orphaned deejay selek 2006-2008"を聴いている。 本作は "Syro" の次の次のアルバム (次のアルバム"Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP"は、視聴したところ自分には難しかったので購入には至っていない)。 今年2015年に発売されたけれど"2006-2008"とあるので、制作はその時期だろうか (そう言えばTrickfinger (John Fruscianteの別名義) "Trickfinger" も同時期に制作されていた発売は今年だ。しかもジャンルも多分同じアシッド・ハウスで、 インタビュー でも言言及している。偶然だとしたら面白い)。 再生すると変な音がループする。"Syro"より無機質な音色。どんな機材をどう使ってこういう音を出しているか Columns AFX──『サイロ』から3作目の正直 - 対談:佐々木渉 × 野田努 | ele-king で話題になっていて面白い (一個も分からないけれど)。 単調と言えば単調なんだけれど単調が故に、心を空っぽにできるというか無心になれるというか、そういう類いの心地よさがある。ところどろ (6曲目の"midi pipe1c sds3time cube/klonedrm"とか) に遊び心みたいなものも感じられるのも、楽しい。

チェロが弾けたら宇宙ですよ - 2Cellos/Celloverse

2CellosのChelloverseを聴いている。 1曲目の"Trooper (Overture)"が【第15回MMD杯本選】チェロ弾きのとぅるーぱー!【演奏動画】の元ネタ。『ウィリアム・テル序曲』自体もいいし、そこからのメタル (Iron Madenの"The Trooper") はさらにテンションが上がる。ヒャッハーさんがノリノリなのも納得。 今回もキャッチーなことにMichael Jacksonの"They don't care about us"をしている。"Smooth Criminal"のカバーにに負けず劣らず素敵。他にもAC/DCの"Thundertrucks"や映画『Inception』の楽曲"Mombasa"のカバーもある。 あとは、全然チェロっぽくない音が聞こえてくる"Wake me up"が面白い。アコギっぽい音が聞こえてくる。 YoutubeでOfficial Video を観ると、弓ではなくて手で引いていたり、胴をタップしたりしていたり。色々とやり方があるものだなぁ、と。 というテクニカルな話題もさることながら、聴いていて気持ちが良いというのが重要で、そこにハズレがないから繰り返し聴いてしまう。

ジェントル・マナー - キングスマン

『キングスマン』(原題 "Kingsman: The Secret Service")を観てきた。眼鏡でスーツのジェントルマンがスパイで、スマートでヴァイオレントだった。そしてシリアスでシニカル。紳士的なシーンと暴力的なシーンとのギャップとか、暴力的なシーンの容赦なさが、タランティーノ作品に似た雰囲気。 大筋としては、貧困に苦しむ青年エグジーが、〈キングスマン〉の一員ハリーにスカウトされて、最後には世界を救うというよくある流れ。よく言えば王道。悪く言えばありきたり。 流れが分かっていても、最初はブルゾンにキャップでうだつの上がらないエグジーが、最後にはスーツを着こなすスパイに成長していく過程には、引き込まれる。そして、それを裏で支えるハリーが紳士。 この映画が成長譚であることは、冒頭でハリーからエグジーに投げかけられるメッセージが象徴している。 「マナーが紳士を作るんだ」/ "Manner maketh man." このメッセージは形を変えて繰り返し現れる。『マイ・フェア・レディ』や『プリティ・ウーマン』のタイトルが出てきたときには笑ってしまった。 と、ここまでなら、非常にジェントルな話なのだけれど、アクションシーンはヴァイオレント。クライマックスでは、大乱闘というか大量虐殺まである始末。死に方も大仰で、音楽と相まってシニカルなジョークという感さえある。前半とは打って変わったブラックさが爽快だった。 ハリー、格好良かったなぁ。 最後にメモ。原作者あるいは監督が同じ作品。 Wanted: 原作者が同じ Kick-Ass : 原作者・監督が同じ Kick-Ass 2 : 原作者が同じ X-Men: First Class : 監督が同じ