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Slap Clap Scrap - パシフィック・リム:アップライジング

『パシフィック・リム:アップライジング』 (原題 "Pacific Rim: Uprising")を見た。

前作のイェーガー (巨大ロボット) はどれも無骨なところがあってスーパー系の色が濃かった。大活躍したとは言えないけれど、チェルノ・アルファのフォルムなんか好みだ。一方で、今作のは全体的にスマート。リアル系の色が濃い。というか、有機的な要素があるのもいたりして、有り体に言えばエヴァっぽい。1機くらい前作テイストのがいて欲しかった。

物語も見所はあったけれど、詰め込み過ぎなのか、どうも締まらない印象。前作からの登場人物に加えて今作からの登場人物も多くて、個々人の影が薄い。それにつられて各イェーガーのインパクトも弱くなる。一番強い印象を残したのが、パイロットではなくシャオ産業社長のリーウェン・シャオだったくらい。

そしてなにより、怪獣から圧倒的な迫力が感じられなかったのが残念。技術開発にどれくらい力が入れられていたかチグハグしているせいか、脅威の大きさにピンと来ない。放置イェーガーが盗掘されるくらいだから人類は安心しきっているかと思えば、今作のイェーガーはどれも新機体。少数精鋭になったと思えばいいのかな。

派手な次作が控えているような終わり方だったけれど、どうなることやら。期待三分不安七分(つまり不安)。少しTwitterを検索したら、監督がオミットさせられたいくつもの場面について、質問に答える形で説明してくれていた (のを訳して紹介してくれている人がいた)。上映時間や撮影期間・予算、マーケティング上の要望などいくつもの事情でこうせざるを得なかったことに対するもどかしさみたいなものが感じられるのは、気のせいか。

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