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王と剣と - キング・アーサー

『キング・アーサー』(原題 “King Arthur : Legend of the Sword”) を見た。

最初は邦題に「聖剣無双」という副題が付いていた。また変に煽る邦題を、と思ったけれど、監督が「シャーロック・ホームズ」シリーズを撮ったガイ・リッチーと知って、的外れでもないかもと考え直したころに、取り去られてしまった。批判が集中したか、「無双」シリーズと権利問題が発生したか [1]

結果はというと、無双というほど終始敵無しとまではいかないけれど、ひとたびエクスカリバーの力を制御し始めたら、一騎当千だった。まとめて薙ぎ払ったり、弓兵を剣圧で撃退したり、と浪漫のある戦闘シーンを見せてくれる。

アーサーが湖の乙女からエクスカリバーを授かるのと鏡写しのように、伯父ヴォーティガンが生贄と引き換えに地底湖の悪霊から魔術的な力を受け取るのもおもしろい。調べてみると、アーサー王伝説の湖の乙女も首を要求したらしいし、その相手として最愛の人を殺害する呪いの剣の関係者だし、このあたりの要素を再構成したのかな。

世に伝わるアーサー王伝説とはまったくと言っていいほど違うみたいだけれど、これはこれで。ただ、6部作の1作目として作られたらしいけれど、興行が振るわなかったので、続かなさそうなのが残念 (劇場に足を運ばず今頃見ておいてなんだけれど) [2][3]

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