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ラジーらしい - キング・オブ・エジプト

『キング・オブ・エジプト』(原題 "Gods of Egypt") を見た。中東ファンタジーのアメリカ作品ということで、『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』が脳裏をよぎる。

クライマックスを飾るホルスとセトの戦いは、〈牙狼〉シリーズを彷彿とさせる甲冑を身に纏っていて、なかなか好みだった。けれどそこまでがなかなか。退屈してしまって、かなりの尺をながら見してしまった。とびとびにしか見ていなくても大して困らないからBGVにいいかもしれない。あと、家電量販店でとりあえず流しておくとか。

ちょっと調べてみたら、ホワイトウォッシュだと批判されたり、時代考証がなっていなかったりとか、そもそもエジプト神話と展開が違い過ぎるとか、いろいろとツッコミが入っているし、ラジー賞[1]にも受賞こそ逃した者の五部門にノミネートされているし、槍玉に挙がってしまっていたみたい。

時代考証や神話との違いはファンタジーだからいいんじゃないかな、と自分は思う。気になった (というか気が逸れてしかたなかった) のは脚本。最初にどうにも白けてしまい、そこから引き戻されないままだった。

でも、Amazon.co.jpのレビューを見ると好きな人もいて、十人十色だな、と。

[1] ゴールデンラズベリー賞の略。ひどかった作品に贈られるジョーク賞。鳴り物入りで公開された大作が中身でガッカリさせてしまうと、ノミネートされる傾向がある。話題にすらならないような作品は挙がってこない (ジョークにならないからか)。

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