小川一水さんの短篇集『アリスマ王の愛した魔物』を読んだ。〈天冥の標〉シリーズがきっかけで他の作品にも手を出し始めたのだけれど、短篇もおもしろい。
収録されているのは次の5篇。バイクの話で始まって、自動車の話で終わる対称性が気持ちいい。
お気に入りは「星のみなとのオペレーター」。小さな宇宙港のオペレーター (管制官) を主人公に据えているところは、短篇ならではないだろうか。主人公すみれは、日々、さして多くない数の宇宙船を迎えたり見送ったりする平穏な日常を送っている。そこから、一気にスケールが拡大するスピード感が気持ちいい。
「リグ・ライト──機械が愛する権利について」も印象深い。自動車の自動運転AIがテーマ。物語としておもしろかったのはもちろん、読み終えて数日後にUberによる自動運転の公道テスト中に死亡事故が起きてしまった[1]ことも印象を強める要因。AIの主体性や責任能力が、物語のうちに留まらずだんだんと実務的な問題となりつつある。
ロボットがドローンを戦争に使うことの倫理的な問題や人間への影響は以前から指摘されている[2]けれど、この手の問題が平時の日常生活に影響するようになる日もそう遠くないのかな。
収録されているのは次の5篇。バイクの話で始まって、自動車の話で終わる対称性が気持ちいい。
- ろーどそうるず
- ゴールデンブレッド
- アリスマ王の愛した魔物
- 星のみなとのオペレーター
- リグ・ライト──機械が愛する権利について
お気に入りは「星のみなとのオペレーター」。小さな宇宙港のオペレーター (管制官) を主人公に据えているところは、短篇ならではないだろうか。主人公すみれは、日々、さして多くない数の宇宙船を迎えたり見送ったりする平穏な日常を送っている。そこから、一気にスケールが拡大するスピード感が気持ちいい。
「リグ・ライト──機械が愛する権利について」も印象深い。自動車の自動運転AIがテーマ。物語としておもしろかったのはもちろん、読み終えて数日後にUberによる自動運転の公道テスト中に死亡事故が起きてしまった[1]ことも印象を強める要因。AIの主体性や責任能力が、物語のうちに留まらずだんだんと実務的な問題となりつつある。
ロボットがドローンを戦争に使うことの倫理的な問題や人間への影響は以前から指摘されている[2]けれど、この手の問題が平時の日常生活に影響するようになる日もそう遠くないのかな。