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知のカット - 知能化都市

『知能化都市』を、読めなかった

頭に入ってこなくて読めなかったのでも、積読中に興味を失ったのでもない。読み始めたら、言葉遣いにもものの見方にも強い抵抗があって、ストレスになりそうだったので、意図的に読むのを止めてしまった。知っている場所の設計に関わったらしいので読み始めたけれど、そこまでページを捲る気にさえなれなかったくらい。

まず言葉遣いへの違和感で引っかかる。「ウォッチイング」や「パッサージュ」という自分にはあまり馴染みのない音写。「トレンディースポット」や「イケてる(カッコイイ)」という時代がかった表現。これらのせいでテンポよく読み進められない。

言葉遣いは慣れの問題もあるだろうけれど、ものの見方も相容れないと感じたのが決定的。ファーストフード店や量販店が並んでいるのを「退廃的」と評したり、秋葉原について記述する中で「マイノリティ(オタク)」を主語に据えたりしていて、もう耐えられなかった。出版年(2010年)を差し引いても、2010年までには、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『けいおん!』、『らき☆すた』が放送されていて、町おこしなんかに使われ始めるくらいに存在感あったのだけれどなあ。

あと付随的ではあるけれど、たまたま註にWikipediaからのコピペがあったのに気付いたのも、気力を削いでくれた。たまたま参考文献が同じだったのかもしれないけれど。なお、気になってWikipediaの履歴を見たら、2007年5月時点で該当する記述があったのでWikipediaが本書を参照した可能性はなさそう。

というわけで、趣味の読書なのにストレスを感じることもあるまいと考え撤退。

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