『デッドプール2』(原題 “Deadpool 2”) を見た。
前作を楽しめたのなら、今作も間違いなく楽しめる。前作では物足りなかった人でも満足できそう。それくらいパワーアップ。
オープニングからクレジットまでやりたい放題。下ネタもグロも戦闘もメタネタも(そしてきっと予算も)出血大サービスと言わんばかりのてんこ盛り。X-MENシリーズはもちろん、多数の他作品も明に暗に参照する。
ここから先はネタバレあり。本作およびウルヴァリン三部作、それから本作が参照していそうな映画についても書いているので、そういうの読んでも見に行くという人だけどうぞ。これが原因で観客数が減ろうものなら、彼が始末に来そうなので、よろしくお願いします。
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なにはともあれウルヴァリン三部作への参照がうまい。笑いどころにも深読みしどころにもなっている。冒頭、デッドプールが爆発四散するシーンで、「最後に死んでハードル上げやがって」という趣旨のセリフを吐く。これは、
『LOGAN/ローガン』(以降『ローガン』)の結末のこと。もうここで笑ってしまうし、他にも何シーンかあるのだけれど、ストーリー全体もウルヴァリンと対比的に描かれている。
ウルヴァリンは
『ウルヴァリン: サムライ』(以降『サムライ』で死を求め、『ローガン』で子供達を守るために命を掛けた最期を迎える。一方、デッドプールは冒頭で彼の死に言及したうえで、最愛のヴァネッサと子供を作ろうとした矢先に彼女を失ったことが原因で、自殺を試みるがやはり再生してしまい失敗する。この死を求めるが死にきれないところは『サムライ』をなぞっている。しかし、そのあと擁護施設の子供ラッセルを守るために一度は命を失うものの、ある人物(後述)に救われる。迎えるエンディングは『ローガン』とは対照的になっている。
死の淵に瀕したときのヴァネッサとの会話シーンは見た目も内容も
『インターステラー』だし、孤独なヒーローが仲間と(血のつながりこそないが)子供を得る展開は、
『レゴバットマン ザ・ムービー』を彷彿とさせる(メタネタも共通している。映画の始まり方に言及するところなんか特に)。
彼の命救ったのがケーブルというのがまた染みるものがある。『E.T.』を思い出させるポスター(直接的にはミケランジェロのフレスコ画『アダムの創造』だろうけれど)を見て、「おまえら心を通わせるのかよ!」と笑い跳ばしていただけに、ケーブルの選択――あと1度しか使えないタイムトラベル装置をデッドプールを助けるために使ってしまう――には重みを感じた。
なのに、あっさり修理されてデッドプールがご都合主義的に使い倒して、台無しにしてくれる。笑うしかない。とくに、『ZERO』で出てきた不評の方のデッドプールを亡き者にしてしまったのには爆笑 (嫌う人もいると聞くが、抑えきれず笑ってしまう)。
余談。ケーブルは作中でも言及されている通り、いかにもターミネーターなんだけれど、彼の視点で見ると大筋は
『LOOPER/ルーパー』ほぼそのまま。
さらに余談。向こうが意識したかどうか不明だけれど、
『HK/変態仮面』の必殺技・♂地獄のジェット・トレイン♂も炸裂するぞ!!
というわけで、終始デッドプールらしくも、(広い意味で)家族という普遍的なテーマを描いたファミリー映画だった。PG15+だけど。