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とうはく - 刀剣博物館

刀剣博物館に行ってきた。沖田さんを描いたり、そのときに『図解 日本の刀剣』(ちなみにここの方が監修)を参照したり、そのそばにあった『日本刀の科学』を読んだりしているうちに、真剣を見たくなってきて。

以前、東京国立博物館で見たときにも感じたけれど、光の反射具合を含めて楽しめるのは実物ならでは。浮かび上がる刃文(はもん)とか鎬(しのぎ)を走る光の曲線とか。

今回は急場凌ぎとはいえ構造を頭に入れて臨んだので、正面だけでなく上下左右からも見てみたりもした。思えば、初めて刀身を意識的に立体としたかもしれない。

数十振り並んでいたので、反り・太さ・厚さの違いも比較できた。なんとなあく軽く反っていて、太さは鋒手前(横手筋)まで一定で、ごく薄いイメージだったけれど、反りの位置と程度、太さの変化、厚み、どれも時代や刀匠によってこんなに違うのね。でも刃文は解説読んでもやっぱりわからん。『日本刀の科学』の著者でさえ教科書的なもの以外は判別困難と書いていたので、致し方なし。

1Fでは素材や各工程での状態が展示されていて、本では省略されていたりした情報も補えたし(いきなり実物見ても情報量過多で漫然としただろうけれど)。玉鋼の状態でも。あれはあれでキレイなものだったのが印象的。

ただ、人に物見遊山として勧めるには割高感がある。展示スペースは広くない。刀好きならいいかもしれないけれど、さらっと眺めるだけならものの数分で終わるくらい。入門的な内容は簡単なパンフレットのみで解説は専門用語比率高いし(ちょっとワインっぽい)。企画展「特別重要刀剣等新指定展」だから玄人向けだったか?

ともあれ、沖田さんに持たせた刀を省みてみると、伏せごころ(鋒部分の下がり)が強過ぎだ、これ。時代を考えるとなくてもよかったか。反っているけれど直線的に見えるのがおもしろくて描いてみたけれど。

おもしろかったからいいか。

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