スキップしてメイン コンテンツに移動

バッツ・バットマン - ニンジャバットマン

映画『ニンジャバットマン』を見てきた。いやあ最高だった。大満足。なのにもっと見たい。ぜひ続いてほしい。

パンフレットの『PRODUCTION NOTES』の「90秒と90分の区別がついていない」が言い得て妙。たまに見終わったときに「CMでも使われた映像が一番の見せ場だったな」と欲求不満になる映画もあるけれど、そんな心配は皆無なので気になる人はぜひ見に行ってほしい。

脚本が『天眼突破グレンラガン』や『キルラキル』の中島かずきさんで、アニメ制作が『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのOPの神風動画ということで見に行ったけれど、正解だった。ここまでやってくれるとは。ニンジャヘッズも「ワザマエ!」と叫びそう。古橋秀之さんの作品(中でも〈ケイオス・ヘキサ〉三部作と『サムライ・レンズマン』)好きにも見て欲しい。あとゲームのゴエモンシリーズ(とくに『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』あたり)のようなノリが好きな人もぜひ。

最初からテンションマックスで最後まで青天井に上がり続ける。それどころか最初以前、入場者プレゼント「ニンジャバットマン 富士地獄ヶ原の乱戦A3ポスター」からもう笑ってしまった。始まったと思ったら、開幕から子安さんの叫びが響き渡る。演じるのはゴリラ・グロッド。イケメンゴリラが本当にイケメン。子安さん演じるゴリラ……『トランスフォーマー ビースト・ウォーズ』!! 第六天魔王ジョーカーに魔小姓ハーレイ・クイン!? ヴィラン大名!! バットモービル、バットウィング、バットポッドさらに(以下自粛)。サイドキックが大五郎、仮面の忍者にこ、虚無僧!? 飛騨忍軍も渋いなあ。突如始まる絵巻物パート、かぐや姫パート。『ポプテピピック』コラボはこれの伏線だったか。そして満を持して登場する戦国バットマン。馬に乗って突撃。って平安時代の一ノ谷かここは。ヴィラン達が城に乗っている……。ロボット要素に特撮要素――よくこれOK出たな。ついにCMでも使われているバットマンとジョーカーの殺陣、こんなかっこいいの見たことないぞ(クレジットに殺陣監修がいらしてなるほどと思っていたら、あのシーンは実際の殺陣を撮影してそれを元に作られたとのこと)と思っていら、追い詰められたバットマンが(やっぱり自粛)。やっぱおめえは最高だよ、バットマン!!

濃密過ぎてまだまだ言いたいこともあるけれど、これくらいにして少し落ち着いて(少ししか落ち着けないが)振り返ると、ポスターがネタではなくガチだったことがわかる。すっかり気に入ってしまって、折れないように持って帰ってポスターフレームに入れて飾っている。

もう少しだけ落ち着くと、自分は好きで堪らないけれど、こういうのに拒絶反応を示す人がいるだろうとも思う。是非もない。監督もパンフレット掲載のインタビューで「評価が真っ二つに分かれる」ことを想定していると語っている。そういう反応はこれから増えてくるだろうとも予測できる。正直に言えばきっと水を差された気持ちにはなるだろうけれど、監督インタビューの「どこかふさわしいところででもいいから(アメコミヒーローを日本で扱うことが)続いていくことが大事」という言葉もあって「日本でアニメ化するならそうじゃなくてこうだろ」という批判は見てみたいとも思う。

このブログの人気の投稿

北へ - ゴールデンカムイ 16

『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

Memory Free - 楽園追放 2.0 楽園残響 -Goodspeed You-

『楽園追放 2.0 楽園残響 -Goodspeed You-』を読んだ。映画 『楽園追放 -Expelled from Paradise-』 の後日譚にあたる。 前日譚にあたる『楽園追放 mission.0』も読んでおいた方がいい。結末に言及されているので、こちらを先に読んでしまって後悔している。ちなみに、帯には「すべての外伝の総決算」という惹句が踊っているけれど、本作の他の外伝はこれだけ [1] 。 舞台は本編と同じでディーヴァと地球だけれど、遥か遠く外宇宙に飛び立ってしまったフロンティアセッターも〈複製体〉という形で登場する。フロンティアセッター好きなのでたまらない。もし、フロンティアセッターが登場していなかったら、本作を読まなかったんじゃないだろうか [2] 。 フロンティアセッターのだけでなくアンジェラの複製体も登場するのだけれど、物語を牽引するのはそのどちらでもない。3人の学生ユーリ、ライカ、ヒルヴァーだ。彼らの視点で描かれる、普通の (メモリ割り当てが限られている) ディーヴァ市民の不自由さは、本編をよく補完してくれている [3] 。また、この不自由さはアンジェラの上昇志向にもつながっていて、キャラクタの掘り下げにも一役買っていると思う。アンジェラについては前日譚である『mission.0』の方が詳しいだろうけれど。 この3人の学生と、フロンティアセッターとの会話を読んでいると、フロンティアセッターがフロンティアセッターしていて思わず笑みがこぼれてしまう。そうして、エンディングに辿りついたとき、その笑みが顔全体に広がるのを抑えるのに難儀した。 おめでとう、フロンティアセッター。 最後に蛇足。関連ツイートを 『楽園残響 -Goodspeed You-』読書中の自分のツイート - Togetterまとめ にまとめた。 [1] 『楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選』は『楽園追放』と直接の関係はない。映画の脚本担当・虚淵玄さんが影響を受けたSF作品を集めた短編集。 [2] フロンティアセッターは登場しないと思って『mission.0』を読んでいない。 [3] 本編では、保安局高官の理不尽さを通して不自由さこそ描かれてはいたものの、日常的な不自由は描かれていなかったように思う。アンジェラも凍結される前は豊富なメ

報復前進

『完全なる報復 (原題: Law Abiding Citizen)』 を観た。 本作では、家族を押し入り強盗に殺された男クライドが、その優れた知能と技術でもって犯人に報復する。 ここまでで半分も来ていない。本番はここから。 クライドの報復はまだまだ続く。 一見不可能な状態からでも確実に報復を続けるクライドが、冷静なのか暴走しているのか分からず、 緊張感をもって観ていられた。 欲を言えば、結末にもう一捻りあると嬉しかった。 ちょっとあっさりし過ぎだと感じてしまった。