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蜂退治 - ヴィジランテ4

『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- 4』を読んだ。

ポップがデパート屋上で華やかなライブを繰り広げるのと並行し、ナックルダスターは路地裏でついに蜂須賀と対峙。1巻ラストで蜂須賀に連れていかれたポップの追っかけ――テルオ君も再登場。そしてクロウラーは影が薄い。この巻に限ればテルオ君より薄い。主人公らしくはないけれど、彼らしくはある。

巻が進むにつれ、ポップがどんどん可愛く見えてくる。ゲリラライブを繰り返すくらいだから、度胸があって歌がうまいものだと思い込んでいたら、舞台裏では気弱な面があったり歌が「相変わらずヘタクソだし」と言われたり(「なのに…可愛くてズルい」と続くのだけれど)と、アイドルしている。

しかし、今回ばかりはナックルダスターが主役と言っても過言ではない(本当に)。「ただの頑丈なオッサン」じゃなかった! 2巻のスタンダール戦で「一線を踏み越え」たのが、蜂須賀との対峙でも利いてくる。熱い。

クロウラーが自警団 (ヴィジランテ) になったのは、ナックルダスターに脅され――もとい促されてのことだけれど、彼の目的が達成されたように見える。自警団活動はどうなるんだろう。次はいよいよ蜂須賀をバイト (ヴィラン) として遣っていた黒幕が登場しそうなのだけれど。今後、どう展開するか妄想が膨らむ。ナックルダスターがこれで活動を止めて、ポップはライブがきっかけでブレイクして活動する暇がなくなって、クロウラーが孤軍奮闘することになったりしたりして。で、ピンチに二人が駆けつけてくれる、と。ベタだけどそんな展開も燃える。

気になるのは、その黒幕。もしかして、本編開始時点で引退していた彼? 彼には薬物トリガーをばらまく動機がある。その個性も、ナックルダスターとの戦闘で見せた蜂須賀の能力と類似している。何より、この巻の最後に蜂を回収した男の台詞! もう彼だとしか考えられない。続きがますます楽しみだ。

ところで、これだけ本編と絡むなら、本編はこちらに絡まないのだろうか。トリガーなんか壊理の個性と対照的な効果だし、ミリオのカムバックの助けになったりしないかな。

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