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禁忌の菌子 - FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー

『FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー』を読んだ。菌類という切り口の物珍しさにつられた。一口に菌類と言ってもいろいろあるけれど、主に扱われているのはキノコ

収録されているのは11作品。ちなみに8番目に収録されている「屍口と胞子鼻」の作者は、『全滅領域』のジェフ・ヴァンダミア。
  • 「菌糸」
  • 「白い手」
  • 「甘きトリュフの娘」
  • 「咲き残りのサルビア」
  • 「パルテンの巡礼者」
  • 「真夜中のマッシュランプ」
  • 「ラウル・クム(知られざる恐怖)」
  • 「屍口と胞子鼻」
  • 「山羊嫁」
  • 「タビー・マクマンガス、真菌デブっちょ」
  • 「野生のキノコ」

ホラーありファンタジーありアクションありと、様々なキノコ小説を味わえる。風変わりなところでは、「白い手」が断片的な偽史を書き連ねていくスタイルだった。進み方は淡々としているけれど、背後の歴史を想像させてくれる。

これらの作品を読んで感じたのは、菌類によるボディ・ホラー (身体の変容を扱うホラー作品) が引き起こす空恐ろしさ。総毛立つものがある。生き物に寄生する菌類が実在するから、そこから人間に寄生する可能性に現実味を感じてしまう。狂牛病や鳥インフルエンザが人に感染するように、ガの幼虫に生える冬虫夏草やセミの幼虫に生えるセミタケがヒトを菌床とする可能性に。あんな風に生えたりはしないけれど、真菌症はあるわけだし。

余談だけれど、表紙がヒエロニムス・ボスの「樹木人間」を彷彿とさせる。

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