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流れよ我が声、と声優は言った - 暗黒声優

短篇集『最後にして最初のアイドル』の「暗黒声優」を読んだ。

他2作の収録作品「最後にして最初のアイドル」「エヴォリューションがーるず」は、短篇版で読んだので割愛。

アイドル、ソシャゲと来て次は声優。繰り広げられるのはやはり超展開。最後に配置されているからか、最初からフルスロットル。グロテスクなのは変わりないけれど、ここでは最初からそういうものなので、ノンブレーキで突き進んでいく。主人公と後輩の性格のおかげで、軽快ですらある。ただし、やっていることは酷い。女性声優2人で、宇宙を股に掛けて、ボニー&クライド。雰囲気を一言で表すとこんな感じ。

自分のお気に入りは「エボリューションがーるず」。元ネタへの親しみ度合いが大きいのもあるかもしれないけれど、SF要素に対して妄想がもっともはかどったのが、これだった。

ところで、なんでも長篇の構想もあるとか。短篇でこれなのに長篇になったら一体どうなってしまうんだろう。期待と不安というより恐怖感が入り交じる。もはや恐い物見たさ。

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