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10月, 2017の投稿を表示しています

テストしてるん - 初めての自動テスト

『初めての自動テスト ―Webシステムのための自動テスト基礎』を読んだ。 『アジャイルサムライ』の著者が送る自動テスト指南書。 一口にテストと言っても、いろいろなテストレベルがあるけれど、本書ではユニットテストから統合テスト、UIテストまでカバーしている。『アジャイルサムライ』で「問答無用で実践すべき」と紹介されていたのはユニットテストだけだったけれど、テストをテーマに掲げた本書では統合テストもUIテストも扱っている。 広範なトピックをカバーしつつも、ポイントを絞って詳細には立ち入らないので、コンパクトにまとまっているのがありがたい。これだけ幅広く「初めて」の人向けの説明がまとまっているの、見た記憶がない。各テストのバランス――テストピラミッドの話とか、人に伝えるときの参考にしよう。 自分は「初めて」というわけじゃないけれど、狭く深く追いかける癖があるので、こういう本が顔を上げて辺りを見回すいい機会になる。 最後に余談。個人的な語感の話だけれど、よく聞く〈テスト自動化〉より〈自動テスト〉の方が好み。〈テスト自動化〉と言うと手動テストを代替するイメージ。〈自動テスト〉と言うと手動テストとは違うテストをするイメージ。手動テストでは実現できない速度と頻度が欲しいので、後者の表現の方が、それっぽい。

夜の花/街灯

撮った写真を見返していると、何かを追いかけていたつもりはなかったけれど、何か共通項が浮かび上がってくるような気がする。 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 例えばこんな風に暗闇に浮かぶもの。 自分はこんなものが好きだったんだな、と事後的に思ったり思わなかったり。

仏と刀 - 特別展「運慶」、常設展 at 東京国立博物館

東京国立博物館で 『特別展「運慶」』 を観てきた。実は、上野に行ったのはそのつもりではなかったのだけれど、これも何かの縁か(そう言えば「縁」も仏教用語だ)。 ◆ 表情やポーズが豊富で、意外と観ていて飽きない。リボルテックをはじめ仏像のフィギュアが発売されたりする理由が、少し分かった気がする。玉眼なんかドールっぽい。 特に運慶の作とされているものの造形は、存在感が抜群だった。無著菩薩立像・世親菩薩立像なんか、静かな雰囲気にも関わらず圧倒される。対称的なのが四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)。表情が豊かで動きもあり、きっと鮮やかであったであろう彩色が残っていた当時はさぞ美しかったのだろう、と想像する。 運慶の他にもその父や子の作品も展示されていて、その中では龍燈鬼と天燈鬼が印象的だった。ユーモラスな表情がかわいらしい。 見た目もさることながら、中に仏舎利や巻物が入っているというのも、好奇心を掻き立てられる。巻物は写経した経典だったりするんだろうか。 ◆ 同じチケットで 本館 も観られたので合わせて鑑賞。何が展示されているのか知らなかったけれど、特別展に合わせて 運慶の後継者たち―康円と善派を中心に という特集展示が組まれていたので、行ってみてよかった。 仏像の他にも、縄文時代のものから江戸時代のものまで多種多様な作品が2フロアに渡って展示されていて、見応え十二分。ロクに下調べもせずに行ったので時間の都合でゆっくり観られなかった。また何かの機会に行きたいところ。 時間が限られていたにも関わらず、足を止めてしまったのが 刀剣 。遠目には滑らかなのに、近くでよく見ると光の加減でテクスチャが見えるのがおもしろく、色んな角度から眺めていたらいつの間にか結構な時間が経っていた。 綺麗さのあまり感嘆の息が漏れそう。

性急/聖宮 - マギ36

『マギ 36』を読んだ。 裏表紙を見てモルさんの復活に期待したけれど……。 悪い意味で展開が目まぐるしいような印象を受ける。右往左往している感じ。 そんなわけで、次が最終巻だけれど、不安が期待よりも先に立つ。どうやって畳むんだ、これ(連載誌では完結済みだと知っているいるけれど、単行本派なのでまだ結末を知らない)。

Genreless - Mutemath/Play Dead

Muthemathの5thアルバム"Play Dead"を聴いている。 前作"Vitals"で、キラキラした感じになったなあと思っていたけれど、今作でそれにスケール感が加わった感じ。街灯から星明かりになったような、そんな印象。 浮遊感があるからからか、ちょっとシューゲイザーを連想するところもあったりする。そう思って、My Bloody Valentineの"Loveless"を聴き直したりもした。 でも、ギターが最前面というわけじゃなくて、"Vitals"からの流れでリズムがダンサブルだったり、変わった音も入っていたりで、一筋縄ではいかない。 聴けば聴くほど、おもしろいところが見つかって楽しい。

たまねぎ消し - Million Onion Hotel

iPadで 『Million Onion Hotel』 を遊んでみた。 Play Stationゲーム『moon』と同じ、木村祥朗さん ( @yoshiro_kimura ) がデザインしていて、『moon』発売20年の日にリリースされたということで話題になっていたので(少なくとも自分のタイムラインでは)。 あいにく自分は『moon』未プレイなので、この話題には乗り切れなかったけれど、買い切り\480円と手軽なお値段だったので購入。ドット絵がキモカワイイのも好みだったし。 相当の人数が買ったらしく、有料ゲームランキングであのMinecraftを抑え2日連続で1位を獲得したとのこと [1] [2] 。『moon』以来のファンが多いのか、自分のような本作で興味を持った人も多いのか。 🌱 ジャンルはパズルゲーム。ルールや雰囲気は、公式の紹介動画を見て貰った方が早いと思う。独特なので説明しづらい。 🌱 プレイしてみると、中毒性が高いにも関わらず、1プレーが意外と長い(20~30分)ので、あっと言う間に時間が経ってしまう。危ない。これを書いている今もまたやりたくなってきている。効果音とフィーバータイムが気持ちよくて。 ただ、難易度がやや高めでいわゆる救済措置がない。だから、詰む人は詰むことになると思う。世界観もおもしろいので、EDまではもう少し抑え目でも、と思わないでもない。自分もクリアはできたけれど、終盤は緊張しちゃって雰囲気を楽しむ余裕がなかったし。 ともあれ、ひとたびオニオンスープのマジックにハマってしまうと抜け出せない。ヤバい。ピースピース、いえーい。 [3] [1] ゲームキャストさんのツイート: "ミリオンオニオンホテル、有料ゲームのラスボスとも言われるマイクラ越え!有料ゲームランキング1位!おめでとうございます。 #MillionOnionHotel https://t.co/7Vysy1ws6b" [2] ゲームキャストさんのツイート: "Million onion hotel 2日連続首位。マイクラを2日連続で超えた有料ゲームは近年数えるほどしかない。これは本当にすごい。 #MillionOnionHotel https://t.co/M3W2rrs5Os" [2]

AR(T|CHIVE) - MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景

清澄白河でブラブラと 『MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景』 を眺めてきた。 『MOTサテライト』というのは、休館中の東京都現代美術館 (略称MOT) が街中のスペースを使って展示を行う企画。2月に開催された 『2017春 往来往来』 に引き続き2回目。 アート (芸術) とアーカイブ (記録) について、ぼんやりと考えたので、メモしておく。 『2017春』も『2017秋』も、下記引用のとおり町の歴史をテーマとして掲げている。従ってそれに沿った作品が出てくる。『2017秋』では、姿を消した日本家屋の記憶や、かつて木場だった歴史に着目した作品が展示されていた。 「MOTサテライト」とは、美術館からまちにでかけ、地域の様々な拠点と協力し、アーティストとともに、人の記憶や歴史と関わりながら、まちの魅力を掘り起こす試みです。 展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO 第2回目となる「MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景」では、このまちの多彩な営みにある背景や、まちが経てきた歴史的変化の軌跡をたどります。 展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO でも、これらの作品も『MOTサテライト』の終了と同時に、消えちゃうんだよね。移動可能な作品はまだ保存の可能性があるけれど、少なくともインスタレーションは間違いなく消えてしまう。 それでいいのかな? と思う。 一時的に展示されて訪れた人々の記憶に残ればいいのかな。大半の人はしばらくしたら忘れてしまうだろうし、そうじゃなくたって100年もすれば全員この世からいなくなってしまうのに。 参加しているのはアーキビスト [1] じゃなくてアーティストだから、そういう趣旨じゃないと言えばそうなのだけれど。 ということを考えていると、作品自体じゃなくて作品の素材はアーカイブしなくていいのか? 遠い未来に向けて今残しておくべき史料としては、そちらの方が役に立つんじゃないか? とさえ思う。先日『The Video Game With No Name』を読んだせいか、「Migration project Case:藤木淳『ゲームキョウカイ』」を見て、ゲームを使ったアートより遊べるゲームが残っていた方が嬉しいだろ

周回プレイニモマケズ - 我らひとしくギャルゲヒロイン

『我らひとしくギャルゲヒロイン』を読んだ。 おもしろいタイトルだと思ったら、「宮沢賢治の作品タイトルをもじる」というしばりを設けた結果こうなったらしい。元ネタは 〔われらひとしく丘に立ち〕 かな? ギャルゲーのヒロインが自分たちがそうだと自覚してしまうという設定なので、よくマッチしているように思う。買うきっかけとなった最初のトリガはKindle版のセールなんだけれど、p.16の「Comment by JUAMI」に挙げられている他のタイトルだったら、買わなかったかもしれない。 表紙から予想できるとおり、本作はギャグ漫画。ミステリィ小説だったら、メタミステリィあるいはアンチミステリィに分類されるような設定。ミステリィ以外でも、とあるSF小説を思い出すのだけれど、タイトル を挙げるとネタバレになるので止めておく。 全編メタものだけれど、気軽に笑えた。メタレベルが合っているのかな? メタものを読んでいると、否定しなくてもいいように思うところまで否定しているように見えて白けることがあるのだけれど、本作にはそれがなかった。メタギャルゲー的なポジションに、別ジャンルとして日常系がすでに存在しているからかも。 真面目に考えると、これはギャルゲーであると相対化した視点を持つには、ギャルゲー以外の視点が必要なんだけれど、それはギャルゲーの中にどうやってもたらされたのか? とか考えられもする。例えば、髪の毛の色が有り得ないと思うには、どんな色なら有り得るか知っていないといけないのだけれど、それをどうやって知ったのか? とか。 メタメタフィクションとして、もうどこかで考えられているか?

UpComing - ガンダムUC

9月頭に見てきた実物大ユニコーンガンダム の展示が、正式に始まったので見に行って来た。 目当てはユニコーンモードからデストロイモードへの変身。昼演出の17:00の回を見たのだけれど、幾重にも人だかりができていてビックリした。近ければよいというサイズでもないと思うけれど。前に人がいない方がいいという思いの方が強いということか。 ともあれ。 このサイズで、効果音とともに一本角がガンダムヘッドに変わるのを見ると、テンションが上がるなあ。いいものを見せて貰った。

廻る廻るよ - それでも町は廻っている 公式ガイドブック廻覧板

『それでも町は廻っている 公式ガイドブック廻覧板』を読んだ。 16巻 を買ったときは売り切れていたけれど、しばらくしたら無事に紙版を買うことができた。めでたしめでたし。 単行本に収録されていない4本が目当てだったのだけれど、設定画やプロモーション・イラストも充実しているので、眺めていて楽しい。カラーイラストがふんだんに収録されているのはガイドブックならでは。 嬉しい誤算だったのが解説。分かりやすく嬉しいのは、最終回についての解説。『それ町』は時系列がシャッフルされているので、最終巻の最終話が最終回ではないという話。解説があるのは最終回だけじゃない。全話にある。これが読み応え抜群で、1巻から順番に合わせて読み返し始めてしまったので、なかなか読み終わらない(まだ読み終わっていない)。

The Orange Army - ケロボーイ(オレンジ)

VAG第12弾からケロボーイ。ガチャガチャをたまたま見かけたので回してみた。 全5色のラインナップで、出てきたのはオレンジだった。背中には水色のドット。ビビッドだ。対称的に真っ黒な瞳がつぶらで愛らしい。 デザイナーさんがインタビューでコンセプトを明らかにしているので引用しておく。 ーー今回5色ありますが、色決めの基本コンセプトと、色バリエーションの理由を教えて下さい。 まずメインのミドリを決め、並べたときにカラフルに虹のように見えるよう工夫しました。瞳の形を違え、ひとつひとつに表情や、キャラクター付けをしました。細かい設定はありませんが、皆さんの中で物語が生まれるように考えてみました。 引用元: 2017年9月発売開始の[VAG]第12弾についてお聞きしました! 「ケロボーイ」について | sofvi.tokyo 言われてよく見てみると、確かにどれも瞳が違う。ミドリはアマガエルに忠実で、アオはネコメガエルの仲間かな。キイロのとぼけた表情も魅力的だ。ピンクはくわっと見開いていてちょっと恐い。 ところで、ちなみにカエルの瞳って本当に色々な形をしていて、十字型をしたのまでいる。ジュウジメドクアマガエルという種類。 By Crusier (Own work) [ GFDL or CC BY 3.0 ], via Wikimedia Commons ドクガエルというと、ヤドクガエルをはじめ極彩色のイメージだけれど、こういう淡い色をしているのもいたりする。

彩り色とりどり - Beck/Colors

Beckの"Colors"を聴いている。ポップでダンサブルでさらに遊び心もあって、とても楽しい1枚。聴いていて幸せ。 冒頭を飾るのは、タイトル曲の"Colors"。 とても色鮮やかで、この曲自体が楽しいのはもちろん、ここから楽しい曲が続くアルバムなんんだろうな、と予感させてくれる。 そして、当然のように期待に応えてくれる。楽しい時間が過ぎ去るのは速いもので、10曲40分 (ボーナストラック1曲を除く) というコンパクトさを差し引いても、あっと言う間に終わってしまう。 でも、これくらいが「あー楽しかった!!」と素直に思える、ちょうどいい長さかもしれない。

Stairs - Fate/stay night [Heaven's Feel] 5

『Fate/stay night [Heaven's Feel] 5』を読んだ。 表紙が桜なので、ついに出番が!! と思ったら、本巻の締めとなる#17での凛のインパクトが。そう言えば、原作はアダルトゲームでしたね、これ。 いや、#14はヒロインらしいシーン満載だったけれども。#15, #16は戦闘回だったので、しょうがないにしろ。 でも、あとがき見ると理由がありそうで気になるところ。未クリアなので調べないけれども。このシリーズが完結したら調べよう。 そうそう。そうこうしていたら、劇場版が公開されたけれど、観に行こうかどうしようか。

overline - 境界線上のホライゾンX〈上〉

「『境界線上のホライゾンX〈上〉』を読んだよ」 「本編は久し振りですね。 『IX〈下〉』 からだと1年4ヶ月振りです」 「間にサイドストーリーの 『GT 緑と花』 があったとは言え、そんなに空いていたのか。どうりで話を忘れているわけだ」 「それは双司君の記憶力の問題では」 「ともあれ、十本槍のうち出自が不明だった8人の正体が、ついに明らかになったよ」 「この8人ですね」 SPEER-01:福島・正則 SPEER-02:加藤・清正 SPEER-04:加藤・嘉明 SPEER-05:脇坂・安治 SPEER-06:平野・長泰 SPEER-07:蜂須賀・小六 SPEER-08:糟屋・武則 SPEER-10:片桐・且元 「そうそう。武蔵と対になっているから、どんな関係があるんだと思っていたら!!」 「そして、ついに直接対決ですねー」 「 電撃文庫公式サイト によると、次巻の発売は12月。待ち遠しい。可児がどんな役割と果たすのかも気になるし」

Game Boy as a Instrument - Pixel Art Park (2/2) 小林研究所

「 前回 に引き続き、『Pixel Art Park』の話」 「前回はアイロンビーズの話でしたね」 「今回はチップチューンの話」 「チップチューンというのは――」 Chiptuneとは、いわゆるファミコンチックなピコピコした音楽のジャンルである。 引用元: Chiptuneとは (チップチューンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科 「――だそうです」 「「ファミコンチック」とあるけれど、実機を使って作成することもあるみたい。CDを買ってきた小林研究所 ( @_kobaLab ) さんは、ゲームボーイ実機を使っていたよ」 「それでジャケット写真にゲームボーイが写っているんですね」 CHIPPARK by 小林研究所 「うん。この『CHIPPARK』の他に『CHIPVACATION』、『CHIPGIRL』も合わせて買ってきた。どれも楽しくてゴキゲンだ」 「楽しそうで何よりです」 「ただ、日程の都合で午前中しかいられなかったので、午後にあったライブを観られなかったのが残念」 「参加されていた方によると 「最高でした」 らしいですよ?」 「いいなあ」

アイロンに異論 - Pixel Art Park (1/2) Pixel Pico

「『Pixel Art Park』に行ってきたよ」 「Twitterに写真を投稿していましたね」 「うん。 コレコレ 。オバケのドット絵がかわいい」 「展示はどうでした?」 「いろいろあって楽しかったよ。ピクセルアートそのもののドット絵から、原点のゲームはもちろん、ドット絵アプリやチップチューンまであった。あと、初めて知ったのがアイロンビーズ。何それ? って話は、出展されていたピクセルピコさんの アイロンビーズって いったいなぁに - ピクセルピコ を見て貰うとして――」 「投げた!!」 「――楽しそうだったので、買って帰ってさっそく作ってみたよ」 Pixel Ait ParKで買ってきたアイロンビーズで、このアイコンを16x16ピクセルっぽくして作ってみた。 pic.twitter.com/djEpSEnBOm — 鏡双司 (@SO_C) 2017年10月8日 アイロンビーズ16x24でヤドクガエル。 pic.twitter.com/QBHe3heV3W — 鏡双司 (@SO_C) 2017年10月9日 半蔵門線。4色しかない手持ちのアイロンビーズで作れることに気がついてしまったので作ってみた。 pic.twitter.com/HuIQyCzjr1 — 鏡双司 (@SO_C) 2017年10月12日 「なんですか最後」 「地下鉄に乗っていたら、マークが目に入ってな。もう1周り大きく作ってコースターにすればよかった」 「これでどれくらいのサイズなんですか?」 「今測ってみたら、実寸で直径4.2cmだった。直径2.6mmのミニフューズビーズを15粒並べてているから単純計算だと3.9cmだけれど、並べたときのわずかな隙間が累積しているんやろね」 「コースターの直径はだいたい9cmくらいなので、倍の30粒くらいにしたらよさそうですね」 「どれくらい並べることになるのか、どんぶり勘定でっと。32*32*3/4=768粒にもなるんか」 「直径を2倍にすると、面積は4倍になりますからね」 「ビーズ1袋1000粒入りだから、足りなくなりそうだな」 「1000粒って沢山入っているように聞こえますけれど、意外とすぐになくなっちゃいそうですね」 「他の色も欲しくなってきたし、7500粒入りランダムアソートも買っておけばよかったなあ」 「でも、全11

いーつーいーつーでーあーうー - 裏世界ピクニック ファイル8 箱の中の小鳥

『裏世界ピクニック ファイル8 箱の中の小鳥』を読んだ。 裏世界を研究する組織が出てきたりして、だんだんと舞台は広がっていくけれど、中心にあるのはやっぱり空魚と鳥子。そして、冴月。 空魚と鳥子の関係に和んだり、裏世界に背筋を凍らされたりと、アップダウンが激しい。今回は特に「ダウン」が底なし。 タイトルと表紙イラストから想像できるように、出てくるのは例の箱。自分はアニメの『Occultic;Nine』で知った口。あれは、心理的にも生理的にも来るものがある。 ところで、 『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』 のあとは電子書籍で短篇を1篇ずつ読んで来た本シリーズだけれど、この4篇が文庫にまとまって 『裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト』 になるみたい――だよな? 文庫特典でファイル8.5とかないよな? あったら、ファイル9から短篇を買い控えながら、先が気になる気持ちを抑え続けることになりそうで。それはちょっと嫌だ……。

親知らず子知らず人知れず - ゲンロン0 観光客の哲学

『ゲンロン0 観光客の哲学』を読んだ。 今年の4月に発売してすぐ読んだので、最初に一通り読んだのはもう半年も前のことになる。今頃になって感想を書いているのは、ようやく考えが落ち着いたからか、あるいは単に考えるのに疲れたからか。 ともあれ、トリガらしきものもあるにはあった。それは 東浩紀さん『ゲンロン0 観光客の哲学』ブクログ大賞受賞インタビュー 。特に、前編で触れられている「時間性」の話。これが第1部と第2部をつなぐミッシング・リンクらしい。 第1部「観光客の哲学」と、第2部「家族の哲学」っていうのが飛躍しているように見えるのは、それは錯覚でもなんでもなくて、あるべき章がないんです。「時間性」に関する章がない。 引用元: 「観光客」と「家族」を繋ぐはずだった「書かれざる章」とは―東浩紀さん『ゲンロン0 観光客の哲学』ブクログ大賞受賞インタビュー前編 | ブクログ通信 ここでの「時間性」は 「本当に重要なものは事後的にしか発見できない」 ということ。歴史の評価に任せられて、初めて本当に重要なものがなんだったのかわかるということか。 というわけで、この「時間性」を第2部のキーワードである「家族」や「親」、「子ども」と結びつけて考えてみる。 その前に、ここでいう「家族」や「親」、「子ども」について少し補足。文字通りの意味ではなくて、もっと拡大した意味で使われている。「家族」については、強制性と偶然性と拡張性に着目して議論が展開されていて、ペットの例が引き合いに出されている。「親」についてはあまり触れられていないけれど、本書の終盤でこんな風に書かれている。 子として死ぬだけではなく 、 親としても生きろ 。ひとことで言えば、これがぼくがこの第二部で言いたいことである。むろんここでの親は必ずしも生物学的な親を意味しない。象徴的あるいは文化的な親も存在するだろう。否、むしろそちらの親のほうこそが、ここでいう親の概念には近いのかもしれない。 引用元: ゲンロン0 観光客の哲学 「子ども」については、いろいろと書かれている。と言うか、第2部に書かれているのは、ほとんど子どものことばかりだ。 この第二部では、第一部の延長線上で、「不気味なもの」と「子ども」の概念を考えるふたつの考察を掲載する。 引用元: ゲンロン0 観光客の哲学 子どもとは不気味なもののことで

探索的ゲーム - てさぐれ!ゲームもの

『てさぐれ!ゲームもの』を買った。iOS版をiPadで遊んだというか、オープニングムービーを観て笑わせて貰ったというか。 というのも、2017年10月12日現在時点の最新バージョン1.0.1では、まだミニゲームは1本もない。タイトルに「ゲーム」と入っている。カテゴリも「ゲーム」だ。 てさぐれ!ゲームもの | Media.Vision の説明文にも てさぐり部員たちが「てさぐり」で作ったミニゲームを攻略! とあるのに。 ダウンロードすると、まずオープニングムービーが始まる。アニメ「てさぐれ!部活もの」シリーズ本編そのままだ。さすが ステ全振りで贈るイベントパートはフルボイスの豪華仕様! というだけはある。 これだけでこのアプリをダウンロードした甲斐があったというものだ。というか、今のところほぼこれだけだ。 下のスクリーンショットを見ればわかるように、「あそぶ」のメニューがロックされている。 「活動日誌」を選ぶと、部員ごとの達成率が表示される。けれど、当然みんな0%でしかも上げる術はない。活動日誌画面に表示される「成績」ボタンも押せない。しかし、安心して欲しい。驚いたことに「歴史」ボタンは押せる。そこでは、表情とモーションとボイスを組み合わせて再生することができる [1] 。 これでバージョン1.0.1を余すところなく紹介できた。一言で表せば、 「新しい!!」 [2] きっとこのあとのバージョンで追加されるムービーでてさぐり部員の4人がゲームを作って、それから遊べるようになるのだろう。いや、正直な話、ゲームを作ろうとしたけれど挫折しちゃってゲームができなくたって構わない。部員のみんなががわいわいやってくれるムービーが観られたらもうそれでいいかなーって。 以下余談。 アニメ「てさぐれ!部活もの」シリーズを制作したのは、『けものフレンズ』と同じヤオヨロズ。アニメ終了後にリリースされたアプリ『けものフレンズあらーむ』も、タイトルに「アラーム」と入っているのにアラーム機能が実用的ではなくて、サーバルちゃんのボイスにステ全振りだったりする [3] 。こうなってくると、次の『けものフレンズPavilion』もどんなアプリが出てくるか予断が許されないのではないだろうか。 [1] 正確に言うと押せる「成績」ボタンは存在する。「歴史」画面で

No game, No Life - ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム

『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』を紙の本で読んだ。 どこかでタイトルを見かけて気になっているところに、円城塔さんの「傑作。なにかの到達点」 [1] 「ゼウスガーデン衰亡史以来の傑作かもしれない」 [2] というツイートがダメ押しになった。 タイトルからして題材はゲーム。そして 『ゼウスガーデン衰亡史』 [3] が挙がるということはきっと偽史物。これは読むしかない。 読み始めたら導入からもう楽しいこと。偽史を追体験するつもりでいたら、2115年に開設されたレトロゲームのレビューサイト――"The video game with no name"を通して未来を振り返ることになるとは。 2115年から振り返れば、今話題のVRもとうに過去の遺物。その視点で34年前の2081年に発売されたナノマシン付属ゲーム「そしてまた去り行くあなたへ」が、2017年視点だと1983年に発売されたファミコンのローンチタイトル『ドンキーコング』に該当する。そんな時間感覚にクラクラする。 なお、初出は 「カクヨム」の連載 。「<累計10,000HIT御礼>」までが書籍化されていて、まだ続いている。構想では前後編構成で、本書は前編に相当するとのこと [4] 。でも、これ1冊でも欲求不満に陥ったりはしないので安心して読んでほしい。実際、前後編構成と知らずに読んですっかり満足したので、「カクヨム」で続きを見つけて驚いている。 この成り立ちもメタい。最初に書いたとおり、この本は架空のレビューサイト"The video game with no name"に掲載されていたテキストの体裁を取っている。だから、自分が読んだのは実在のWebサイトに載っている架空のWebサイトのテキストが紙の本として出版されたものということになる。さらにその紙の本を底本として、電子書籍も出版されていたりして、ここまで来ると一周して元に戻ってきた感がある。 それにしたって、レビューサイトって。2017年現在でもあまり見かけないような(探し方が悪いだけ?)。あとまだ生きているのかwww [5] 。と思ったら、今とは違うデータを違うブラウザを通して閲覧しているのね。作中のURLを見るとcstp [9] なんていう存在しないプロトコルが使われている。 そろ

ミュージカロイド - Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP

Aphex Twinの"Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP"を聴いてみた。 タイトルの大意は「コンピュータ制御されたアコースティック楽器 パート2 EP」。 "pt2"とあるけれど"pt1"はリリースされていないみたい。そうとは知らずに探してしまった。未公開音源としては存在しているのか、Aphex Twinの頭の中だけに存在しているのか。 "Acoustic Instruments"とあるとおり、電子音は鳴っていない。ピアノの音が心地良い。音はピアノなんだけれど、変わった響きだと思ったらプリペアド・ピアノという使い方をしているみたい。それでもAphex Twinっぽいと感じられるのがおもしろい。先入観の仕業かもしれないけれど。 さらにおもしろいのが"Computer Controlled"とある理由。鳴っているのは生音だけれど、鳴らせているのはコンピュータ制御されたロボットらしい [1] [2] [3] .「HAT」や「Snar」という名前を手がかりに検索してみたら、開発元によるWebページが見つかった。 HAT: A Hit Any Thing robot designed for Aphex Twin by Godfried-Willem Raes Snar: An automated snare drum by Godfried-Willem Raes こんなロボットが演奏しているのならぜひ観てみたいなあ。 という背景はさておき。何も考えずに聴いていると、フワフワと浮遊した感じがあったり引き込まれるような深さを感じたり、と思ったら数秒で終わったり。何て言うんだろう? 遊び心? 実験? [1] Customer Review [2] life-4: Aphex Twin/Computer Controlled Acoustic Instruments Pt2 EP [3] ロボットによる演奏: ゆういちの音楽研究所

浅き夢見し - ブレード・ランナー 2022, 2036, 2048

10/27に公開予定の『ブレード・ランナー2049』(原題 "Blade Runner 2049")が待ち遠しい。期待半分不安半分の宙ぶらりんで地に足が着かない。何も手に付かないとまではいかないけれど。 期待しているのは前作『ブレードランナー』の高評価と監督。 前作『ブレードランナー』の評価はあちこちで聞く。1982年公開の映画にも関わらず Amazon.co.jpの『ブレードランナー ファイナル・カット [Blu-ray]』 に300件以上のレビューが投稿されている。 監督は前作から変わっている。リドリー・スコット監督は、『2049』では制作・総指揮に。代わりを務めるのは、ドゥニ・ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。テッド・チャンのSF小説 『あなたの人生の物語』 を映画化した 『メッセージ』 がとても印象深かったので期待している。 不安要素は2つ。前作とその原作に対する印象。 前作『ブレードランナー』について全く思い出せないこと。いつか観ていると思うんだけれど、あんまり印象に残らなかったんだろうか? とは言え、こちらはもう一度観れば済む話。すっかり忘れているので、新鮮な気持ちで楽しめそう。 もう一つは原作 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 に対する印象。これも名作として名高いし、大きな影響を与えていることも想像に難くない。 たとえば、愛読しているWシリーズの第1作 『彼女は一人で歩くのか?』 の各章冒頭で引用されている。タイトルが疑問文なのも意識しているかもしれない。もちろんテーマも引き継いでいる。主人公ハギリの研究テーマはアンドロイド (本シリーズではウォーカロン) と人間との識別。問題設定がフォークト=カンプフ検査法と同じ。 でも『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』自体はさして好きじゃなかったりする。そう言えば、同じくフィリップ・K・ディックの『調査班』が原作の映画 『アジャストメント』 も、いまいちのめり込めなかった。そのため、『ブレードランナー』を見返したら、期待値が下がったりするんじゃないかと、危惧している。 なんて考えていたけれど、『ブレード・ランナー2049』はフィリップ・K・ディック原作じゃないんだよね。そもそも『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に続編ないし。 それにどうせもう観に行か

線なきこと - Q15

BluetoothイヤホンのQ15を買って3~4ヶ月ほど経ったので、使用感を書いておく。 この製品というよりはBluetoothイヤホン全般に対する印象になったけれど。 きんどう (@zoknd) さんが配布していたクーポンに釣られて、初めてBluetoothイヤホンを買った程度のライトユーザなので。 ま、いいか。Q30とか後継機と思しき機種がもう発売されていて、Amazonでは在庫切れになっているし。今思えば在庫一掃セールだったか。 そのうえ、そんなに使い倒しているわけでもない。iPad Airとペアリングして家の中で使っていることが一番多い。スマホとペアリングして、使いながら散歩したこともあるけれど、それはほんの数回。 評価軸と使い方を説明したところで、そろそろ使用感の話に入ろう。まずは簡単に総評を。 良コストパフォーマンス。ちょいちょい夜に家で使っている。ペアリング先はiPad。radikoを聴いているときにちょっと飲み物を取りに行けたりとかするのが便利。いちいち一時停止しなくてよい。 あとは、良いところとイマイチなところを簡単に箇条書きで。 良いのは、付けていて煩わしさがないところ。 ワイヤレス: 何を今更という気もするけれど、長いケーブルがストレッサーだったことを思い知らされる。ひっかかったり からまったり、ロクなことがない。 軽量: 軽い。わずか12.7g。 フィット感: カナル型の変型で、イヤーピースだけでなくフックもあるので、ピタリと落ち着く。フックもポースもそれぞれ何種類が同梱されているので、合う組み合わせを探せるのも好印象。 次にイマイチだと感じたところ。ランプと音量の仕様は違うのがよかったなあ。 インジケータランプ: 電源が入っていると点滅、充電中は点灯する。使用中に点滅し続けるのは止めてほしかった。鳴っているか鳴っていないかで十分だから、消えていて欲しい。視界の端でチカチカするのがストレス。特に暗いところで使っているときに顕著。 音声フィードバックの音量: 大きい。"Power On"など操作結果を音声で教えてくれるのだけれど、それがちょっとうるさい。しかも音量に関わらずその大きさなのが辛い。特に"Battery Low"は充電するまで一定間隔で鳴るので「もう分か

ヴァーサスナイト- 貴族探偵対女探偵

『貴族探偵対女探偵』を読んだ。 『貴族探偵』 がおもしろかったので続編も。 いきなり脇道にそれるけれど、『貴族探偵』も『貴族探偵対女探偵』もジュブナイル版があるのね。表紙もレーベルも見ずにタイトルだけで判断して間違えかけた。どちらも収録されているのが一部だけなので、お間違いなきよう。 ジュブナイル版の紹介文には、 小学上級・中学から とあるけれど、小学生・中学生にそれを守る義務はないわけで。ジュブナイル版じゃない版に、年齢制限があるわけでなし。出版社に務めている人が、仕事として出版するためには教育的配慮とか避けがたいだろうけれど。 本シリーズについての話に戻ろう。 『貴族探偵』、『貴族探偵対女探偵』と読むと、ドラマはよく咀嚼されていたんだろうな、と思う。『貴族探偵』に収録されているエピソードが、『貴族探偵対女探偵』と同じシチュエーションに落とし込まれている。そのうえ、『貴族探偵対女探偵』を読んでもよく分からなかった女探偵の〈師匠〉について、ドラマでは着地点が用意されている。 あれ、ドラマの話になってしまった。 本シリーズについての話に戻ろう(2回目)。 本シリーズの魅力は、このような繰り返しにある。〈大いなるマンネリ〉とでも形容すればいいのだろうか。お笑いでいうと天丼? お約束? 解説では「シチュエーション・コメディ」と言っている。 ともあれ。前作に引き続き、貴族探偵本人は、事件解決に向けて何の直接的関与もしない。すごいんだかすごくないんだかわからない。もう少し正確に言うと、すごいはずなんだけれど、その由来がさっぱり分からない。誰かに何かさせるって、それもたまたま遭遇した事件の推理をさせるだなんて、ムチャクチャだ。それをさせる貴族探偵は何かがすごいはずなんだけれど、そこにはさっぱり触れられない。 安楽椅子探偵どころではない。強いて言えば玉座探偵か。金持ちって、よくて鷹揚、だいたいが傲慢に描かれることが多いけれど、

devide boot - エイリアン:コヴェナント

『エイリアン:コヴェナント』(原題 "Alien: Covenant") を観てきた。 『プロメテウス』 の続編。いまいちよく分かっていないのだけれど、やっぱり〈エイリアン〉シリーズの前日譚という位置付けみたい。 映像――アナトミカル・ヴィーナスが引き合いに出される「美しいグチョグチョ」 [1] は期待に叶っていた。ほとんどそのもののようなイメージもあったけれど、それだけに留まらなかった。 登場人物の行動は『プロメテウス』のときから相変わらず。ホラー映画のお約束と言えばお約束だけれど、もうちょっと冷静で慎重に行動してくれても、と思う。そこはパニック状態の人間だから目をつぶるとしても、未来の宇宙船なんだからシステム的にはもうちょっとフールプルーフな作りになっていて欲しかった。 そんな人間達がエイリアンに食い荒らされていくのとは対称的に、2体のアンドロイドが重要な役回りを演じている。冒頭から『ブレード・ランナー』を思わせるアンドロイドの瞳のアップ。本編上映前の『ブレード・ランナー2049』予告編でも瞳のアップが映ったので、露骨ささえ。 『ブレード・ランナー2049』にエイリアン出てこないよな!?(そんなわけはない) [1] 町山智浩 『エイリアン: コヴェナント』を語る

時流・自由・理由 - ダンケルク

『ダンケルク』(原題 "DUNKIRK") を観てきた。 事前知識として知っていたのは、監督がクリストファー・ノーランで、第二次世界大戦におけるダンケルクからの撤退作戦という史実をもとにしているということくらい。 『インセプション』 のような作品を撮ったクリストファー・ノーラン監督だけれど、史実に基づいた話であんな込み入ったことはしないだろうと思って観ていたら、かなり混乱した。 今になって思えば、オフィシャルサイトの紹介文くらい読んでおけばよかったと思う。 陸海空それぞれ異なる時間軸の出来事が、一つの物語として同時進行。 About The Movie | 映画『ダンケルク』オフィシャルサイト 「異なる時間軸」とあるけれど、作中の時間軸は一つで時間はそのうえを一方向に流れていく。この映画は時間SFじゃない。 でも、観客の視点では、異なる時間軸の出来事が同時進行していくように構成されている。もう少しスッキリするために、絵に描いてみた。上が作中の時間軸で、下が観客が観る時間軸。 この構成がハンス・ジマーの音楽と相まって、緊迫感をもたらしてくれる。特に終盤。目まぐるしい画面転換で、次から次へと異なる緊張に晒されるのは、逃げ出したくなるくらいだった。でも、こういう構成にする必然性あったかなあ? という疑問も。『インセプション』では、フィクションの設定として違う速さで流れる時間軸が存在したけれど。 構成と音楽が凝っているのとは対照的に、映像や脚本は抑えが効いていた。戦争映画と聞いて真っ先に思い浮かべるようなシーンは出てこない。戦争の悲惨さを見せつけるような残虐な映像もなければ、戦友の死に悲嘆に暮れるような悲哀を切り取った映像もない。もっともドラマチックに描かれる死は、戦死ではない。 鑑賞後に残り続けているのは、後者だったりする。そういう狙いだったのかなあ。

20ツイート・ブログ - 『津田大介の「メディアの現場」』 vol.271~274

『津田大介の「メディアの現場」』のvol.271~274を読んだ。「メディア/イベントプレイバック」を続けて読んでいたら、メディアとかメディアリテラシーについて薄ぼんやりと思いが湧いてきたので書いてみよう。 と思って、数ツイート連投しようくらいの気持ちで書き始めたのだけれど、気がつけば10連投を越えてしまっていた。500文字ツイートできても、4ツイートもいる。というわけでこの通りブログのエントリィにした。途中からツイートするつもりはなくなったのに、全段落140字以下なのは、趣味。 10連しても奇蹟的におもしろい話が出てきたりしないのが、我ながら残念である。確定最高レアなんてなかった(サルがシェイクスピア作品をタイプするよりは高い確率でおもしろい話が出てくるといいのだけれど)。 ともあれ、まずは「メディア/イベントプレイバック」の話。 vol.271はフェイクニュースの話。いろいろと堪える。事実を確認できる話でも事実かどうかは問題ではなくて信じるかどうかが問題になっているという話とか、ヘイトやフェイクがリスクもコストも低いという話とか。 vol.272は安倍総理の改憲構想の話。こう言っているけれど、それはどういうことなのか? という話なわけで、ナイーヴに文字通り受け止めるのではなくて、他と照らし合わせたりしてどういう意味を持つか考えたりするわけで、面倒と言えば面倒な話。腹の探り合いは苦手だ。 vol.273は北朝鮮情勢の解説。これは言葉ではなくて、行動がどういう意図で行われたのか? という話。こちらの方がシンプルと言えばシンプル。言うだけならどうとでも言えるけれど、行動はどうとでもいうわけにはいかない。できないことはできない。できることしかできない。 vol.274はメディアというか読売新聞の話。「新聞の底が抜けた」とか言われている。vol.271で、メディアリテラシーは複数のメディアをチェックして、それが真実かどうか判断する能力というような話があるけれど、どのメディアも……みたいな気分になる。目的語が大き過ぎだが。 ここからは柔らかい話。 時事から離れるけれど、自分にとってタイムリィだったのがvol.273の映画についてのコーナー「最後にはだれかをブチのめすために」。最近観た映画『ベイビードライバー』、『ダンケルク』、『メッセージ

face look - 鑑定士と顔のない依頼人

『鑑定士と顔のない依頼人』(英題 "The Best Offer", 原題 "La migliore offerta") を観た。 幾通りも解釈ができる映画なので、感想を探して読むのがおもしろい。自分も幾つか考えてみた。 終盤でどんな映像が流れて、そこからどんな解釈を引き出せるか書くので、未鑑賞の方には非推奨。 続きを読む 映画の最後、主人公ヴァージルはプラハのカフェ「Night and Day」を訪れて、連れを待つ。映像はそこまでで、連れが来たのかどうかも来たとしても誰が来たのかも描かれない。 このシーンを起点にして、3つの解釈を考えてみる。最後のシーンを起点にするのは、自分の関心が「どう解釈すると、よい映画だったかと思えるか」にあるから。なので、こじつけに思える解釈もしている。 もう一つ解釈するうえで重視しているのが、「偽りの中にも真実がある」という言葉。繰り返されるこの言葉が、幾重もの意味で使われているはずだと信じることにする。その方がおもしろいので。 最後にもう一つ。救いのない結末だったという解釈はしない。監督がこう言っているから、これは偽りじゃないとする。 わたし自身、この映画の結末は、非常にポジティブなものだと思っています。愛を信じる人たちには勝利ですが、愛を信じない人には暗いエンディングに思えることでしょう [1] 前置きはこれくらいにして解釈に入る。考えているのはこの3つ。エレナと名乗る女性が二人いるのがややこしいので、ヴィラにいた方をエレナ(ヴィラ)、ヴィラの向かいのカフェにいた方をエレナ(カフェ)と書くことにする。 誰も来ない エレナ(ヴィラ)が来る エレナ(カフェ)が来る では、それぞれどう解釈した結果か書いてみる。 1. 誰も来ない 最初は誰も来ないだろうと思った。見たまま。誰か来たシーンがないのだから、誰も来なかったというシンプルな解釈。 一見悲劇的だけれど、これはこれで悪くないと思っている。ヴァージルは、人生で初めて女性=エレナ(ヴィラ)を愛して、それを美しい思い出として余生を送るという結末。授業料が法外なものだったが、そもそも違法な手段で手に入れた財産だったし、あれ以外の財産もあっただろうし(そう言えば、オートマタは手元に残っている)。 エレナ(ヴィラ)

Oh! Super Baby Chan - ベイビードライバー

「『Baby Driver』を観てきたよ」 「その顔を見ると、とてもよかったみたいですね」 「うん、この冒頭6分の映像がMVみたいで気持ち良かったので観に行って正解だった。約2時間、終始この調子」 「「カーチェイス版『La La Land』」なんて言われているとか」 「観ていないから比べられないけれど、いわゆるミュージカルみたいに登場人物が急に歌って踊り始めたりはしないよ? それより 『Guardians of the Galaxy: Vol 2』 を連想した。どちらもポータブルオーディオがキーアイテムだし」 「監督どうし友達で、同じアーティストがサウンドトラックに入らないようにTwitterのDMでやりとりしていたみたいですよ」 [1] 「ホントだ。重なってない。あとは 『Shoot 'Em Up』 か。『Baby Driver』にはカーチェイスだけじゃなくて銃撃戦のシーンもあるんだけど、そこもやっぱりBGMとピッタリでさ。Motorheadの"Ace of Spades"に合わせたシーン思い出した。あれもフルレングスでノリノリだったなあ」 「音と映像がシンクロしていると盛り上がりますよね」 「そうそう。 OK GOのMV なんか、どれも凝っていて楽しいよね。これなんか大好き」 「体を張っているところがかわいいです。ルーブ・ゴールドバーグ・マシンもいいですけれど」 「ただ、問題が一つあってな」 「なんですか?」 「映画館だから大人しく座って観ていないといけない。こんなにリズミカルなのに」 「マナーは守ってくださいね」 「思わずサントラ買っちゃったよ!! やっぱりBeckいいなあ」 「 "Midnight Valtures" に収録されている"Debora"が使われていますね。双司君が音源を持っているのはそれくらいですか?」 「うん。曲じゃなくてアーティストで探すと、T. RexやQueen、Danger Mouseなんかはあるけれど。Danger Mouseはプロデュースまで広げれば Gorillazの"Damon Days" , Beckの"Modern Guilt" , Adeleの"25" ,