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the end of the restart

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)
「『魔法少女育成計画 restart (前・後)』を読んだよ」

「何だか疲れて見えますけれど、大丈夫ですか?」

「うん、精神的にも体力的にもダメージが」

「精神ダメージは内容のせいですね。前作同様に酷い話ですか?」

「単純に比べられるものではないけれど、やっぱり今作も楽しい話ではない。多少は心の準備がでているとは言え」

「それで体力へのダメージは何があったんですか? 腕が疲れるような重さでもないですし。仰向けに寝ながら読んでいたら、角から顔に落ちてきたとか?」

「あ、それハードカバーでやるとめっさ痛いよね。泣ける。が、そうではなくて」

「分かりました、年で目が疲れやすくなった!!」

「いや、目が疲れているのはほとんどいつものことだけれども」

「今度こそ、寝不足ですね!!」

「いや、そうじゃないこともなくて、あ、その通りだ。正解です。おめでとうっ!!」

「あれ、もう少しひねりが効いているはずだと思って、気を遣って当てないようにしたんですけれど。どうしてくれるんですか、この気遣い」

「あっれ。なんで怒られた。ともあれ、寝る前に少しだけのつもりが、つい先が気になって」

「よくそこまでして読みますね」

「そういう魔力がある本が、たまにあるんだよ。きっと」

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