「『COURRiER Japon 2013年 04月号』を読んだよ。特集『世界の一流ビジネススクールでは「人生に必要なこと」をこう教える』が面白かったので、まとめてみよう」
「どうぞ」
「この特集を構成しているのは、次の5本の記事」
- 『「やればできる」という精神では、夢を実現するのは難しいのです』
- 『「正直」でなくてもいいですが、他人には「誠実」でありなさい』
- 『"甘い誘惑"に打ち克つために、あなたの筋肉は存在するのです』
- 『難しい選択を迫られたとき、直観や本能は頼りになりません』
- 『あなたが優秀だとしても、幸せになれるとは限りません』
「最初と最後は何となく似ていることを言っているように見えますね」
「最初の『「やればできる」という精神では、夢を実現するのは難しいのです』は、『戦略は直観に従う』の著者の記事。〈やればできる〉というモットーに端的に表れるステレオタイプな成功哲学を否定して、著者が〈戦略的直観〉と呼ぶ、現実に即しながら目標を達成していく態度の方が実用的だと言っている。『イノベーションの神話』や"Planned Happenstance"に通じるものがあるね」
①夢と努力を信じるのはやめよう
②具体的なチャンスを追いかけよう
③自己啓発にのめりこむのはやめよう
「ちょっと距離を置いて見ると、自己啓発は、〈やればできる〉と信じているけれど〈やれない〉〈できない〉人がお客さんですからね……」
「次の『「正直」でなくてもいいですが、他人には「誠実」でありなさい』は、『ウォートン流人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術』の著者の記事。著書のタイトル(原題は"Getting More")から受ける印象と、主張から受ける印象が逆なのが面白い。最初の記事で否定されていは自己啓発の一貫ではあるけれど、もう少しうまく交渉できるようになりたいと思っているところなので、真面目に読んでしまった」
①交渉とは他人の立場を慮ること
②交渉は練習することで上達する
③交渉に「勝ち負け」はない
「『"甘い誘惑"に打ち克つために、あなたの筋肉は存在するのです』は、笑えば楽しくなるともっと応用しようという話。メンタルが緊張すると筋肉も緊張する。逆に筋肉を緊張させれば意志が強くなるらしいよ。筋肉万能だなぁ。筋肉筋肉~♪」
「それはリトバスの真人さん」
「『難しい選択を迫られたとき、直観や本能は頼りになりません』は、『想定外』の著者の記事。字面の上では最初の記事では推している〈直観〉を否定しているように読めるけれど、中身は全然違うものを差しているように思う。むしろ、ここで紹介sれる〈回り道のアプローチ〉には〈目指す中で目的が明らかになると考える〉や〈意図と結果には明らかな繋がりがないと考える〉が含まれていたりと、〈戦略的直観〉と通底している気が」
「どちらも、予め明らかな目的あるいは夢を持っていてそれに向かう意図を持って努力すれば叶う、という認識は幻想だと言っていますね」
「最後の『あなたが優秀だとしても、幸せになれるとは限りません』は、『イノベーションのジレンマ』などの著者の記事。総論的な感じ。希さんの言ったように、最初のちょっと似ているかも。〈やればできる〉で夢は実現できないし、優秀で〈やってできた〉人でも幸せとは限らないなら、何をすればいいのか? ま、1日1日人事を尽くして、天命を待つかね。そんな大それた野望があるわけでもなし」
「毎日しっかり過ごすだけでも、簡単じゃないですよ」
「そだね。ところで、次の箇所なんかは『誘惑される意志』でモデル化されていたような」
自分の信念を100%守ることの方が、その98%を守ることよりたやすい
「そうだ。節酒したいとか言ってましたよね。むしろ禁酒したらどうですか?」
「えーと、いやそれは実は節酒じゃなくて摂取したいと言っていたんだ!!」
「しょうもない……」