「『連射王〈上〉』を読んだよ」
「〈境界線上のホライゾン〉シリーズの川上稔さんの作品ですね」
「うん。5年くらい前にハードカバーで発売された作品。未読だったので、文庫版が出たのを機に読んでみた」
「シューティングゲームの話なんですよね?」
「うん。縦スクロールタイプの話。自分は遊んだことはあるけれど、ハマったことはない程度。でも、だからこそ、かな? シューティングゲームを触り始めた主人公・高村の気持ちがよく分かる」
「双司君は格闘ゲームの方が好きですよね。ゲームセンターにあるジャンルだと」
「うん。シューティングゲームはもっぱら家庭用で遊んでいた。縦スクロールだと、『ツインビー』、横スクロールだと『グラディウス』や『パロディウス』。ゲーセンで一番遊んだのは、『ティンクルスタースプライツ』のような気がする」
「最後のは、シューティングゲームの皮を被った対戦型パズルゲームのような」
「そう言えば、『東方花映塚』も面白かったなぁ。Windows 7でも動くんだろうか?」
「もしもーし」
「あ、話が逸れてきた。ともあれ、ゲームにしろ何にしろ〈本気〉とは何なのか? というのが、この本のテーマだと思う」
「先日読んだ『勝ち続ける意志力』は、格闘ゲームに本気であり続ける人の本ですよね」
「うん。何であれ、躊躇いなく全力で本気になれる、って結構すごいことだと思うんだよね」
「双司君は、だいたいいつもやる気なさげですからねぇ……」
「見えないだけで、内からは溢れ出んばかりだよ? 溢れてないから見えないけれど」
「悪魔の証明に持ち込もうとしていませんか?」
「ま、実際、あるのかないのか分からない。あったとしても出るのか出ないのか分からない。そんな力なんて、実力に含まれないよね」
「そうですね」
「やればできると思うだけだと、個人の意識の中で完結してしまう。ここから、『やった』、『できた』には大きな隔たりがあるよなぁ。それこそ、本気を出さないと超えられないような隔たりがあることも」