「『虚構推理 鋼人七瀬』を読んだよ」
「第12回本格ミステリ大賞の小説部門受賞作品ですね」
「そうみたいだね。今さっき知ったよ」
「ミステリィ好きな割には疎いですね。で、どうでした?」
「面白かったよ。キャラクタや設定も面白いし、終盤の畳み掛けるような解決では盛り上がった」
「少し検索してみると、『本格ミステリらしくない』なんて感想もありますけれど」
「変化球ではある。ミステリ要素もあったけれど伝奇要素もあったし。そういう意味では、京極夏彦さんの『百鬼夜行』シリーズや『巷説百物語』シリーズを思い出す。『百鬼夜行』シリーズは〈憑物落とし〉で妖怪物語の虚構を暴き事実を晒し、『巷説百物語』シリーズでは〈仕掛け〉で事実を伏せて妖怪物語の虚構で上書きする。一方この『虚構推理』では――」
「それくらいにしておきましょうか」
「それもそうか。ま、あれだよ。『戦地調停士』シリーズとか『トリックスターズ』シリーズとか読んでいるとそんなに気にならないよ」
「魔法出てきますしね」
「ちゃんと制約は書かれているけれどね。この作品も一見トリッキーだけれど、パーツはちゃんと踏襲されていると思うよ。ところで、webメフィストのあとがきのあとがきによると、シリーズ化されそう。楽しみ」