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Looks of Unread Books (1)

「この間、久し振りに紀伊國屋で長時間過ごしたよ」

「本を読む割には、あまり本屋さん行きませんよね」

「読みたい本が決まっているときは、AmazonはじめWebで検索してそのまま買えちゃうからね。しかも、Amazonのリコメンドやブログ、ツイートを見ていると、読みたい本がどんどん増えていく」

「ものの見事にWebだけで完結していますね」

「それでも、本屋に行くと全然知らない本が一杯あって、目移りしちゃうね。3~4時間もうろついちゃったよ」

「リコメンドも巡回しているブログも、フォローしている方も、双司君と嗜好がある程度近いからでしょうね。直交した嗜好の方が読むような本は、出てこないはずです」

「多少はバラツキが大きくなるように気をつけているつもりなんだけれどね」

「どれだけバラツキを大きくしたって、ネットで情報収集している限り、あまりネットを使わない人の情報は入って来ませんよ」

「ごもっとも」

「それで知らなかったけれど、良い本は見つかったんですか?」

「うん。1冊面白そうなのがあったから買ってきたよ。後、欲しかった本や、ブログやツイートで感想を読んで気になっていた本も」

「結局、Webで知った本も買っているんですね」

「その感想だけでは買う踏ん切りがつかなかったんだけれど、実際にものを見てみたら欲しくなっちゃって」

「それ、行動経済学の双曲割引ですね」
例えば1年後のダイエットの成果より、目の前のケーキの誘惑に負けたり、1年後のローンの負担より今のキャッシングの買い物が嬉しいということである。
双曲割引 - Wikipedia
「あぁ、言われてみれば。その場ですぐ持って帰れると思うとガマンするの難しいよね。Webで注文して2日後に手に入るようだと、明日の心変わりを心配したりしてガマンしやすいけれど。
そうそう、行動経済学と言えば、『予想どおりに不合理』の著者の新しい本が出ていたよ。今度は『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』ってタイトル」

「どうしてズルいことをする人が後を絶たないんでしょうね」

「ときどきタイムラインにRTされてくる盗用ツイートとかね。双曲割引でも説明できそうだけれど」

「いつか分からない将来バレたときのダメージを低く、目のためのfavやRTを高く評価していると考えればそうですね」

「でもそうじゃないみたいって結論なんだろうね。それだと合理的だ。多分、不合理な理由が明かされるんじゃないかな、前著からの流れがあるだろうから。
いずれにせよ、対策はどんなが良いんだろうね。推薦文にはこんなことが書いてあるけれど」
悪いことをさせないためには情報の公開と厳重な罰則を科せばよい……という通念が覆される
「って何で推測や推薦文なんですか。読んだらいいじゃないですか」

「あ、これは買ってない。今日は読んでない方法について堂々と語ろうと思って」

そんな本読んでましたね。でも、長くなったので今日はこのあたりで」

「あ、もうこんなに話しこんでいたのか」

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