「昨日話した『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』では、推薦文によると〈悪いことをさせないためには情報の公開と厳重な罰則を科せばよい……という通念が覆される〉そうなんだけれど、この〈情報の公開と厳重な罰則〉って、隣に平積みされていた『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』がいうヤル気を保つ方法そのものなんだよね」
「これは『その数学が戦略を決める』の著者の最新作ですね。これは読んだんですか?」
「ううん。でも商品紹介を読んで、stickK.commの"How It Works"を見れば分かる」
「学校の成績があがったらお金を払う」「減量に失敗したら現金を払わなくてはいけない」「現金でなく旅行券をテストの賞品にする」……果たしてこれらの実験で、人は目標を達成できるのか、できないのか?「"How It Works"に紹介されている4つのステップを簡単に紹介してみると――」
『その数学が戦略を決める』でセンセーションを巻き起こしたイェール大教授の著者は、こうした「コミットメント」契約を提供するウェブ上の店舗「stickK.com」まで開設して、コミットメントの可能性を追究しています。
- Goal: 目標と達成までの期限を登録する
- Stakes: 達成できなかったときに、誰にいくら払うか設定する
- Refree: 第三者(多くは家族や友人)に達成できたかどうか判定してもらう
- Supporters: 第三者(他ユーザ)にサポータになってもらう
「本当だ、他の人に目標を公開して、罰金を設定していますね。やりたくないことのヤル気を保つ方法と、やってはいけないズルをやらないようにガマンする方法は、違うのかもしれませんね」
「〈そうだったよ〉ってことは、これも読んでないんですね」
「もちろん。都市の方が高効率なのは間違いないと思う。人が集中すれば移動距離や商品の輸送距離が減るから移動に費やしているエネルギーを減らせる。エネルギーも都市付近で作れば、伝送中のロストが抑えられる。都市だけを開発すれば良いから、環境への影響範囲も狭くなる。森博嗣さんの『百年シリーズ』が描く未来像がちょうどこんな感じ」
「既に『痛勤電車』なんて揶揄されているこの状況をさらに進めるのは、抵抗がありますけれど。パンクしちゃいませんか?」
「うーん、中途半端に遠いのがいけないのかな? 確かに交通機関に限らずケータイの電波とか、高密度だとピーク比率が上がるから、安全な設計が難しくなりそうだな。そうそう、『痛勤電車』といえば『[図解] 電車通勤の作法』なんて本があって、タイトルだけで笑ってしまった。サラリマンとは、現代のニンジャなのだ!! とかそういうノリだったらどうしよう」
「さすがにそこまではっちゃけてはいないでしょう……。ネオサイタマじゃあるまいし」
「ってネタにしている『ニンジャスレイヤー』も読んでないや。『サムライ・レンズマン』みたいで面白そうなのに」