集団ならではの問題設定が新鮮だった。チート能力を持っていることと、それを適切に運用できるかどうかはまた別問題だという切り口だとか、能力の誤解による防げたはずの被害とか。
どちらかというと、1巻の方が楽しめた。続けて読んだので、刺激に慣れただけかもしれない。たとえば、2巻の食糧問題を解決する能力は、進行に必要なので取ってつけたように感じられてしまった。
おもしろいのは、ジャーナリストによる出版物という体裁で書かれていること。カポーティが『冷血』で実行した〈モキュメンタリー〉を思い出す。後知恵バイアスとマスコミに対する反感がちょっとくどいけれど、こういう試みは好きなので次巻の書きっぷりに期待。
作者のツイートによると、3巻で完結でいろいろ仕込まれている模様。読んだら2巻の位置付けも変わってくるかも。なので2月に出る3巻も読むつもり。