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フリーシナリオ - ブラック・ミラー バンダースナッチ

Netflixオリジナルドラマシリーズ『ブラック・ミラー』のエピソード『バンダースナッチ』を見た。『ブラック・ミラー』は1話完結なので、つまみ食いしても大丈夫。

ゲームブック[1]に感銘を受けた青年が、コマンド選択式アドベンチャーゲーム[2]の制作に没頭するあまり、現実と妄想の区別が曖昧になっていき――というのが本作の導入。

最大の特徴は、ゲームと同じように主人公の行動をその場で選択できる点。あるいはプレイアブル・ムービー[3]で構成されている点と言い換えることもできる。

とてもうまくできていて、セーブ&ロードの必要を感じさせない。どう選んでも物語は進んでいく。ゲームオーバーになれば自動的に別の物語を見るための選択からリスタートさせてくれる。間延びしないよう、一度見たシーンはごく短いカットをつないだダイジェスト(フラッシュバック)になる。

このダイジェストも、気持ちよいリズムでループミュージックに似た没入感を与えてくれる。浸されているうちに、物語を先に進める気持ちも溶けてなくなってしまいそう。危ない。

もっとも強く危険を感じたのは、主人公に過激な行動を取らせるのに、躊躇がなくなってきたのを自覚したとき。ループしているうちにどんどん刺激に慣れてきたのだと思うけれど、普段はゲームをしているときも、過激な選択肢は選ぶにしても最後にするのだけれど(コムルーン島は沈めない派[4])。

テーマ自体は目新しいものではないけれど、それをこういうで体験できたのはとても新鮮だった。主人公と一緒に混乱したり、主人公を操る神の視点を味わったり、「選ばされているのではないか?」とメタレベルで混乱したり、フラッシュバックがただ気持ち良かったり、と大いに翻弄された。

興味があるなら一気に見るのをお勧めしたい。前述の作りが本当に巧みで、予備知識無しで再生を始めても90〜120分くらいで収まるようになっている。先に進まなくてイライラと時間を費やすようなことはないのでご安心を。

[1] 前から順番に読んでいくのではなく、選択肢に対応するページにジャンプしながら読んでいく本。
[2] コマンド選択式が発明されるまでは、簡単なコマンドを英語で入力する方式だった。
[3] ゲームのムービーのうち、コマンドの入力を受け付けてその成否で進行が変わるもの。
[4] 『ロマンシング・サガ2』に登場する架空の島。冥術を取得するために沈める必要がある

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