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孵り/囀り/羽撃き - テスタメントシュピーゲル3 下

『テスタメントシュピーゲル3下』を読んだ。

シュピーゲルシリーズ、これにて完結。見事なまでの大団円。

特攻 (トッコー) 児童達が接続官 (コーラス) 達のバックアップを得て、特攻 (トッコー) 猟兵 (りょうへい) 達と決着を付ける。そこからの落とし前の付け方も徹底的。直接対峙したリヒャルト・トラクル/リチャード・トーカーはもちろん、一連の事件の関係者=トリガーを引いた者/撃鉄を起こした者/銃を構えた者/そうさせた者まで根こそぎ――大人達=MPB/MSS/第二作戦部隊の仕事。

特攻児童=涼月 (スズツキ) 陽炎 (カゲロウ) 夕霧 (ユウギリ) (アゲハ) (ツバメ) (ヒビナ) 、接続官=吹雪 (フブキ) 水無月 (ミナヅキ) 、MSS解析課員=冬真 (トウマ) も皆が将来に向けて進み始めた。

特攻猟兵=白露 (シラツユ) 光葉 (ミツハ) 陸王 (リクオウ) ――安らぎあれ。

初代MSS要撃小隊= (スメラギ) (ホタル) ――救いあれ。

万感の思いがあるけれど、挙げ始めると切りがない。一番心配だった雛――幼さを最も濃く残しているのに、『テスタメントシュピーゲル2』で窮地に陥った/虎穴に飛び込んだせいで、目が離せなくなっていた。さらに、涼月や鳳のようにメインを貼っているわけでもない=メタ視点でも目が離せなかった。無事に収まるところに収まってほっと一息。

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『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

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