SF小説『時砂の王』を読んだ。いわゆるタイムトラベルもの。何かにつけてスケールが大きくて、圧倒される。以下、
ハヤカワ・オンラインの商品詳細くらいのあらすじプラスアルファに触れているので、それが嫌な人は閉じてください。触れずにちゃんと感想を書けなかった。
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まず、歴史をガンガン変えまくっていくのが、凄まじい。タイムトラベルものというと、登場人物は移動した先の歴史になるべく干渉しないように振る舞う作品が多いけれど、この作品はそうではない。そういう倫理観は持ち合わせているのだけれど、ある目的を最優先させているため、干渉を躊躇わない。
その目的は、人類を滅亡から救うこと。もう少し正確に言うと、人類が滅亡しない未来に至る世界を生み出すこと。つまり、本作で歴史改変すると、未来が変わるのではなく、別の未来への分岐が生まれる。いわゆる多世界解釈というやつだろうか。この歴史改変の性質上、繰り返し人類を滅亡させることになるのが悲劇的だ。
『フリーランチの時代』で先にスピンオフ作品「アルラワの潮の音」を読んだのがキッカケで読んでみたけれど、こっちのがずっと好みだ。こっちを読んでから、「アルラワの潮の音」を読んだら、きっとまた違った感想なのだろうけれど。
一言でいうと、メッセンジャー・Oがとても素敵だった。渋い。