「以上『ゆゆ式 (5)』より」
「どうしたんですか、突然?」
「まさか、ざるそば (魔法少女) がざるそば (魔法) でざるそば (食事) を出す小説が出版されることになろうとは、誰が予想できただろうか!? というわけで『ざるそば (かわいい)』を読んだよ」
「おうどんではないんですね」
「あとがきで作者いわく」
テーマは美少女のざるそば化。ただでさえかわいい美少女がざるそば化により更にかわいくなったとしたら、それは、ざるそばがかわいい証明になるはずです。
「擬人化でさえない……」
「しかし、こんなことにも、先人はあられるようで」
つちせ八十八『ざるそば(かわいい)』(MF文庫J)。これはハチャハチャSFである。作者がヨコジュンを意識していたかどうかは不明だが、その精神はハチャハチャSFに通底するものがある。横断歩道の代わりにざるそばが来たようなものだ。
「〈ハチャハチャSF〉なんて言葉があるんですね」
「気になって"ハチャハチャSF 横断歩道"でググってみたりしたけれど、ヨコジュン = 横田順彌というSF作家ということは分かったのだけれど、どの作品のことを言っているかまでは特定できず。無念」
「Webが広がる前の作品だからでしょうかね」
「昔の作品の感想はそもそもWeb上に少ないだろうしなぁ」
「もったいない話です」
「ところで、食べ物の活躍と言えば、『徒然草』の大根を毎日食べていたら、敵に襲われたときに見知らぬ兵が助けてくれてその正体は大根だった、って話を思い出す」
「ありましたね、そんな話」
「しかし一体全体、毎日食べていた大根とその兵とはどういう関係なんだろう。食べてしまった大根の霊だろうか。だとしたら、いつ食べた特定の大根の霊なのか大根の霊の集合体なのか。それともまだ畑に生えている他の大根が人の形になったものなんだろうか。こっちだとしたらそれはそれで、一体どうやって大根を毎日食べている人を特定したのか、集合的無意識でもあるのか。それとも、大根の評判を高めるために大根を装った八百屋か」
「今なら兵じゃなくてゆるキャラになりそうですね」
「深谷ねぎを生やしたふっかちゃんみたいなものか」
「って何の話ですか」
「えーっと、ざるそば (おうどん) だったけ」
神奈川県の、なんの変哲もない住宅街の一角。一本の麺の片側はうどん、もう片側は、そばの「そどん」なる食べ物を出す店があるという。
うどんとそばが一つになった「そどん」を出す店 - デイリーポータルZ:@nifty
「混ざってる!?」
「作れるらしいよ?」
どうにか食べられないものかと考えていたが、意外に作れるのではないかと気がついた。と、いうことで作ってみよう。
そばとうどんが一つになった「そどん」を作りたい - デイリーポータルZ:@nifty
「作れよ」