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本文 - プロローグ

プロローグ (文春e-book)『プロローグ』を読んだ。ある本の序章を読んだという意味ではない。『プロローグ』というタイトルの本を読んだという意味。なお『エピローグ』はもう読んだ。連載は同時期だったらしいけれど、電子版が先に出ていたので。なお、『本文』と合わせて三部作だったりはしない[1]

「エピローグ」や「プロローグ」をタイトルにできるなら他にもあっていいと思って考えてみた結果、『あとがき』というタイトルの小説を銃器ブランドをペンネームの由来にしているライトノベル作家[2]が機会を虎視眈々と狙っているはずだという確信が得られた。ちょっと期待している。次に浮かんだのは『謝辞』というタイトル。J-RAPにあるんじゃ。ググったらすぐ見つかったよ、マジ感謝[3]

こうやって考えてみたけれど、『『AUTOMATICA』『円城塔』』というタイトルの短篇[4]を既に書いているくらいなので、『プロローグ』や『エピローグ』なんてジャブみたいなものなのかもしれない。註が本文を侵食している小説もあったりするから油断できない[5]。もう何がタイトルで何が著者名で何が本文か分からなくなってくる。

もしかしたら本文がちゃんとあるだけまだマシかもしれない。件名だけで終わるEメールや、クラシック音楽の独立した「前奏曲」のように、「まえがき」だけで終わる本があったらどうしてくれようか。なんてことを考えていたら、本文より著者一覧の方が長い論文がイグ・ノーベル賞を受賞していたことを思い出した[6]。「まえがき」だけで終わったとしても、文章があるだけ御の字なのかも知れない。

論文といえば、自動生成された論文がときおり論文誌に掲載されたりするようだ[7]。東ロボくんも模試で平均4点の論述問題で9点を獲得できたみたいだし[8]、本作で描かれる小説の自動生成が実現するのもそう遠くないのかも知れない。ハリウッド映画の制作では既にAIによるサジェストが、脚本や早い区に影響を与えているくらいだし[9]

自動生成と言えば、ちょっと前にネットで話題になって[10]、結局先日国会図書館が返却するに至った『亞書』[11]は、人手で即興的にギリシャ文字を打った[12]というのにがっかりした。もうちょっと気の利いたことをしていたら、面白いことになったかもしれないのに。未だに解読されない奇書『ヴォイニッチ手稿』[13]に比べてしまうと、いかにも呆気ない。こちらはは何百年も前に書かれたというのに、統計的には自然言語と同じ特徴を示しているらしい。

その点、本書はちゃんと読めるので安心してほしい。ただ読めるだけじゃなくて面白いよ?[14]

[1] 「本文」というタイトルが可笑しかったので、この記事のタイトルに採用してしまった。
[2] 『キノの旅』などを書かれている時雨沢恵一さんのこと。
[3] 「あるんじゃ」と「感謝」で韻を踏んでいる点に注目(しなくてよい)。
[4] 『バナナ剥きに最適な日々』に収録されている。長篇じゃなくて良かった。
[5] 『烏有此譚』のこと。*1
[6] 全部で1000人くらいの著者がいる。リストはImprobable Research
[7] SCIgenというWebサービスでこんな感じに生成できる。
[8]『津田大介の「メディアの現場」vol. 197』
[9] 『その数学が戦略を決める』
[10] 亞書 : 気になる事件
[11] 『亞書』解読不能な本を国会図書館が返却、136万円の返金請求へ
[12] 1冊6万円謎の本、国会図書館に 「代償」136万円:朝日新聞デジタル
[13] 未解読の奇書「ヴォイニッチ手稿」「コデックス・セラフィニアヌス」が無料でダウンロード可能に | BUZZAP!(バザップ!)で知って思わずDLしてしまった。まだ読んでいない(読めない)。
[14] こんな読めた物ではない文中で言われると、かえって不安がられやしないか少し心配。
*1 こんな風に註に註を付けてきたりもするから本当に油断も隙もない。

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