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過大な課題? - 角川インターネット講座10 第三の工業革命

【全15巻合本版】角川インターネット講座<角川インターネット講座> (角川学芸出版全集)『【全15巻合本版】角川インターネット講座』、『1 インターネットの基礎 (の第2部)』の次に読んだのは、『10 第三の産業革命』。監修は山形浩生さん。この方の訳書はどれも刺激的 (『1』の感想で言及した『CODE 2.0』もこの人が翻訳)。

全10章の話題は多岐に渡っているけれど、序章にあるとおり1冊の本としては一つの仮説として編まれている。

自分の理解では、イントロt+3層レイヤ+Future worksという構成になっている。本書が意図が反映されているであろう部の構成とはズレるけれど、自分としては以下の構成に分けた方が、予備知識と噛み合う。

イントロに相当するのが序章と第2章。全体の要約あるいはアウトラインが示されている。第1章と第3章が1層目=論理モデルの話。経済的な原則の話。第4章から第6章が2層目。モデルに対する実装に相当する産業の話。第7章から第9章が3層目。モデルを支えるリソース = ヒトやカネの話。そして、最後の第10章がFuture Works。つまり未来の話。

第1章がインターネット以前から観察できた原則 = ネットワーク外部性がインターネットでも観察できるという話。第2章は「過剰への適応」である贈与経済の話。「贈与」というキーワードから哲学のコンテキスト = 『贈与論』やそれに端を発した「構造主義」を連想するのだけれど、これらの関係についてもう論じられていたりしないのだろうか(なまぐさなので大して調べていない)。

第4章から第6章は、メディアの話とメイカー (Maker) の話だった。第一次産業 (農業とか漁業とか) の話が抜け落ちていているように見えるのが気になるところ。生きていくためには必須なので気になるところではあるけれど、同時に語るには振れ幅が広すぎるから省かれたということだろうか。

第7章から第9章は、人と都市それから金融の話。人と都市の話は切っても切り離せないと思う。クラウドソーシングという分散の話と、クラウドソーシングでは賄えない太いコミュニケーション帯域を必要とするがゆえの都市への集中の話。テレワーキングだノマドワーキングだと言いながらも、(少なくとも現時点では)ノンバーバルのメッセージ(身振りとか声のトーンとか表情とか)も含めると対面コミュニケーションじゃないと伝わりきらないと思う。金融はホントよく分からない。これで世の中が回っているのが不思議。ともあれ、一個人としてブロックチェーンはもうちょっと知っておきたいところ。

最後の第10章は、今後の課題。と言っても「今後」の時間軸上のレンジは広い。ここで描かれている以上に素敵な未来になるといいな、と思う。

そのためにできることは、多くはないのかもしれないけれど。せいぜいが市場に対して望まない未来を招きそうな商品やサービスにお金を払わないというくらいというささやかな抵抗くらいなのかもしれないけれど。

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