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スマホの魔法 - スマホに満足してますか?

スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学 (光文社新書)『スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~』を読んだ。

タイトルや帯の惹句「みんなジョブズにダマされてる!?」は煽り文句。文体からも内容からも、こんな攻撃性は感じられない。輪郭もクリアじゃなくて、エッセイ集のような印象。もちろん主題はユーザインターフェース (UI
)なんだけれど、自分がUIと聞いた時に想像するよりずっと広い範囲のトピックを扱っている。

この本の主張は、『UNIXという考え方』で読んだ考え方とちょくちょく反対なのが面白い。例えば、〈受動的なインタフェース〉は、〈沈黙は金〉と対照的だ。他にも、この本には〈階層型ファイルシステムの憂鬱〉なんて節がある一方で、UNIXでは〈階層的に考える〉文化がある。

この違いはユーザとしてどんな人として想定しいるかの違いに由来するんだろう。自分の感覚でその違いを表すと、〈コンピュータに何かをして貰いたい人〉と〈コンピュータに何かをさせたい人〉。あるいは、コンピュータに対する期待値の違いかもしれない。やりたいことについて、コンピュータに「これくらい簡単にやってくれよ」と思うか、「あれとこれとそれを教えてあげないといけないな」と思うか。

別の切り口だと、キーボードショートカットでの操作はマウス操作より遅いという実験が紹介されていて[1]、驚いた。どんなユーザがどんなタスクをする時の操作なのか詳しく触れられていないので今のところは半信半疑だけれど、これも〈過度の対話的インタフェースを避ける〉UNIXの考え方とは相性が悪い。

でも、エンドユーザコンピューティングに話が移ると、ぐるっと一周して繋がりそう。〈例示プログラミング〉の節で紹介されているDynamic Macroって、レビューを読む限りではあるけれど『実践Vim』で強調されているらしい"."コマンドに繋がるんじゃないだろうか。Emacsもあるし、VimがUNIX文化を体現しているかどうか自信がないけれど。

いずれにせよ、余計な手間をかけないで、コンピュータの力を使ってハッピーになる方法を考えるのは面白い。うまく仕込めばワンクリックで終わらせることだってできる。まるで魔法。

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