スキップしてメイン コンテンツに移動

湧き上がる読欲

神林長平トリビュート (ハヤカワ文庫JA)『神林長平トリビュート』を読んだ。本書は下記8篇からなる短篇集。
  • 『狐と踊れ』
  • 『七胴落とし』
  • 『完璧な涙』
  • 『死して咲く花、実のある夢』
  • 『魂の駆動体』
  • 『敵は海賊』
  • 『我語りて世界あり』
  • 『言葉使い師』
色んな作家が神林長平作品から着想を得て短篇を寄せている。タイトルはいずれも元とした神林長平作品のものと同じ。

ここに上がっている作品は一つも読んだことがないけれど、作者に円城塔(『死して咲く花、実のある夢』)と虚淵玄(『敵は海賊』)の名前を見つけたので、衝動買いしてしまった。

ちなみに読んだことがある神林長平の作品は『戦闘妖精・雪風(改)』と『グッドラック―戦闘妖精・雪風』の2作品。

それでも先に挙げた二作品をはじめ、それぞれ楽しめた。でも、食い足りなさを感じて、色々と長編を読みたくなってくる。

虚淵玄が選んだ『敵は海賊』シリーズ、それから今アニメが放送中の『Fate/Zero』、円城塔の作品(『道化師の蝶』はまだ読んでいない。他に何をまだ読んでいなかったっけ?)、それから神林長平の『アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風』。

今まで知らなかった人では、桜坂洋(『狐と踊れ』)が面白かった。『よく分かる現代魔法』は、検索して表紙を見て思い出したけれど、アニメ化されていた。でも、読むなら、まずは1冊で完結している『All You Need is Kill』か『スラムオンライン』からにしよう。

このブログの人気の投稿

北へ - ゴールデンカムイ 16

『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

戦う泡沫 - 終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #06, #07

『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?』の#06, #07を読んだ。 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?』の#06と#07を読んだ。#06でフェオドールの物語がひとまずは決着して、#07から第二部開始といったところ。 これまでの彼の戦いが通過点のように見えてしまったのがちょっと悲しい。もしも#07がシリーズ3作目の#01になっていたら、もう少し違って見えたかもしれない。物語の外にある枠組みが与える影響は、決して小さくない。 一方で純粋に物語に抱く感情なんてあるんだろうか? とも思う。浮かび上がる感情には周辺情報が引き起こす雑念が内包されていて、やがて損なわれてしまうことになっているのかもしれない。黄金妖精 (レプラカーン) の人格が前世のそれに侵食されていくように。

リアル・シリアル・ソシアル - アイム・ノット・シリアルキラー

『アイム・ノット・シリアルキラー』(原題 "I Am Not a Serial Killer")を見た。 いい意味で期待を裏切ってくれて、悪くなかった。最初はちょっと反応に困るったけれど、それも含めて嫌いじゃない。傑作・良作の類いではないだろうけれど、主人公ジョンに味がある。 この期待の裏切り方に腹を立てる人もいるだろう。でも、万人受けするつもりがない作品が出てくるのって、豊かでいいよね(受け付けないときは本当に受け付けないけれど)。何が出てくるかわからない楽しみがある。