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伝説と経験 - 悲終伝

『悲終伝』を読み終えた。10冊目の本巻にて〈伝説〉シリーズ終結。

最初の『悲鳴伝』を読んだときは、続くかどうか、続いても終わるかどうか知れなかった。続く四国編は、5冊 (『悲痛伝』『悲惨伝』『悲報伝』『悲業伝』『悲録伝』) も続いて、7冊目『悲亡伝』でも終わりが見えなくて、それが次の『悲衛伝』でクライマックスに差し掛かったと思ったら、続く『悲球伝』そしてこの『悲終伝』で見事に着地を成し遂げた。

綺麗な着地とは言えない。救助船〈リーダーシップ〉で何が起こったのかもう少し読みたいし、〈人間王国〉の乗鞍ぺがさ&馬車馬ゆに子にも活躍の場が欲しかった。ソフトランディングでさえない。ハードランディングでさえないかもしれない。タッチアンドゴーの感さえある。

それでも、終わってよかったと思う。よい終わりだったと思う。主人公・空々空 (そらから・くう)が、〈英雄〉と呼ばれた少年が、変化してよかったと思う。育まれたと見る人も衰えたと見る人もいそうだけれど、自分はよかったと思っている。

『悲鳴伝』と同じように『悲終伝』も読み進めるにつれて『少女不十分』のイメージが浮かび上がってきた。『悲痛伝』から『悲球伝』にかけてすっかり薄れていたイメージが、輪郭を取り戻し、彩りに満たされた。

よかった。よい話だった。地濃鑿 (ちのう・のみ) もいいキャラしてた。その地濃様が初めて登場する四国編が長過ぎただなんて、これっぽっちも思っていませんよ、ええ。

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『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

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