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首輪をつけられているのは誰か? - ケルベロスの肖像

【映画化原作】ケルベロスの肖像 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)『ケルベロスの肖像』を読んだ。『チーム・バチスタの栄光』から始まった〈田口・白鳥シリーズ〉の第六作。そして、最終作。

田口が動かない。それが、この物語で田口に課せられた使命なんだろう(高階病院長との遣り取りで、明確に言い渡されている)。けれど、物語として読んでいて主人公が動かないのは、やはり物足りない。せめてもう一人の主人公・白鳥にはもっと場を引っかき回して欲しかった。

代わりに動いたのは、『アリアドネの弾丸』で登場が予告されていた東堂と、『螺鈿迷宮』で主人公を務めた天馬。その他にも多数のキャラクタが登場して、最終作らしくオールキャスト。なんだけれど、そのせいで集中がもたない。「あれ、これだれだっけ?」ってなってしまう。

物語にも、他シリーズ作品(特に『螺鈿迷宮』と『ブラックペアン1988』)を読んでいないと理解できない部分が多かったように思う。〈桜宮サーガ〉という枠ではありなのかもしれないけれど、〈田口・白鳥シリーズ〉としてまとめて欲しかったようにも思う。

ともあれ、最終作らしい締めなのは良かった。感慨に耽りたくなる。けれど、他シリーズへの参照をいちいち思い出さねばならない道中がもどかしかった。それは、田口の境遇でもあったから、意図的なものなのだろう。ただ、純粋にエンターテインメントとして読むにはちょっと辛かった。

最後に覚え書き。読み始めたシリーズで未読の作品は読みたいので、ここに列挙しておく。
  • 『輝天炎上』(『螺鈿迷宮』の続編)
  • 『極北ラプソディー』(『極北クレイマー』の続編)
  • 『ブレイズメス1990』(『ブラックペアン1988』の続編)
  • 『スリジエセンター1991』(『ブラックペアン1988』の続編)
って、調べていたら〈真の最終章〉なんて惹句が帯に踊る『カレイドスコープの箱庭』なんてのが!!


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