『サイバークライム 悪意のファネル』を読んだ。『檻の中の少女』、『サイバーテロ漂流少女』に続く君島シリーズ3作品目。
本作は時系列上では、三作品中で最初に配置される。描かれているのは、君島がサイバーセキュリティコンサルタントとなるキッカケとなった事件。これまで何度か仄めかされていたと思う。ちなみに君島と和田との初対面もこの時期だったらしい。
タイトルにもなっている〈悪意のファネル〉という喩えが巧い。ネットは、アテンションをファネル(漏斗)のように特定の箇所に集中させる。その結果、活動が先鋭化する。事象全体はいわゆる〈炎上〉に相当するんだろうけれど、それを引き起こすネットの性質がこうして一言で表されている言葉はこれまで知らなかったし思いつかなかった。
一方でこのファネルが集めるのは悪意だけでもない。ファネルが水だろうが酒だろうが集めるのと一緒だ。クラウドファンディングや署名プラットフォームなどは、このファネルとしての性質を建設的に利用しているように思う。
ファネルが何を集めるかは、プラットフォーム・デザインによって粗方決まってくるように思う。そういう観点で考えると、〈ギデス〉がどう扱われていくかが気になるところ。後書きによると、あと2作品『絶望のトレジャー』、『掌の迷宮』と続く構想があるようなので、その中で描かれていると嬉しい。
本作は時系列上では、三作品中で最初に配置される。描かれているのは、君島がサイバーセキュリティコンサルタントとなるキッカケとなった事件。これまで何度か仄めかされていたと思う。ちなみに君島と和田との初対面もこの時期だったらしい。
タイトルにもなっている〈悪意のファネル〉という喩えが巧い。ネットは、アテンションをファネル(漏斗)のように特定の箇所に集中させる。その結果、活動が先鋭化する。事象全体はいわゆる〈炎上〉に相当するんだろうけれど、それを引き起こすネットの性質がこうして一言で表されている言葉はこれまで知らなかったし思いつかなかった。
一方でこのファネルが集めるのは悪意だけでもない。ファネルが水だろうが酒だろうが集めるのと一緒だ。クラウドファンディングや署名プラットフォームなどは、このファネルとしての性質を建設的に利用しているように思う。
ファネルが何を集めるかは、プラットフォーム・デザインによって粗方決まってくるように思う。そういう観点で考えると、〈ギデス〉がどう扱われていくかが気になるところ。後書きによると、あと2作品『絶望のトレジャー』、『掌の迷宮』と続く構想があるようなので、その中で描かれていると嬉しい。