「『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉 II』を読んだよ」
「『I』を読んでから、また随分と間を開けましたね。っと調べてみたら、約1年も開いているじゃないですか」
「『I』、全然分からなくて読むのが辛くてな。でも『生きることを学ぶ、終に』を読んで、やっぱりこれも読もうと思って」
「今度はどうでした?」
「やっぱり全然分からなかったよ」
「見事に玉砕ですか」
「言い回しの難しさに加えて、ハイコンテキストで。でも、大勢の人に読まれるのを承知で、相手に向けた言葉を送るこのスタイルは、哲学を実践しているんだろうなぁ」
「こうして多くの追悼文を送ったそのデリダさんも、亡くなってしまいましたね」
「うん。本書のタイトルを借りれば、その世界は終焉を迎えてしまっている」
「『I』で出てきた話ですね。その人がいなくなった世界は、いた世界とは違うという話でしたっけ」
「そう理解している。『生きることを学ぶ、終に』、もう一度読み返したくなってきた。〈生き残り〉について書いてあったことは覚えているのだけれど、どんな話だったっけかな」