『アリアドネの弾丸』を読んだ。『チーム・バチスタの栄光』から始まった〈田口・白鳥シリーズ〉の第五作。
大筋は変わっていない。病院内で起きた殺人事件に田口が巻き込まれ、そこに白鳥が現れ、Ai(オートプシー・イメージング)[1]の力を借りながら事件を解決するという流れになっている。
大筋だけ見るとミステリィのようだし、実際ミステリィ色も濃いのだけれど、並行して繰り広げられる司法と医療の駆け引きも負けず劣らずスリリング。後半、田口達が厳しい時間的制約の中、警察の強制捜査およびその報道を阻止しようとし始めたら先が気になって一気に読んでしまった。
報道の恐ろしさは、この台詞に象徴されている。警察の見解に引きずられる田口に告げられる、白鳥の言葉だ。
フィクションだと『ゴールデンスランバー』、ノンフィクションだと『戦争広告代理店』や『こうして世界は誤解する』を思い出す。どれも「いつの間にか何となくそう思われてしまっている」ことの危うさが描かれている。
大筋は変わっていない。病院内で起きた殺人事件に田口が巻き込まれ、そこに白鳥が現れ、Ai(オートプシー・イメージング)[1]の力を借りながら事件を解決するという流れになっている。
大筋だけ見るとミステリィのようだし、実際ミステリィ色も濃いのだけれど、並行して繰り広げられる司法と医療の駆け引きも負けず劣らずスリリング。後半、田口達が厳しい時間的制約の中、警察の強制捜査およびその報道を阻止しようとし始めたら先が気になって一気に読んでしまった。
報道の恐ろしさは、この台詞に象徴されている。警察の見解に引きずられる田口に告げられる、白鳥の言葉だ。
「いいかい、これこそヤツらのやり口なんだ。単調に、圧倒的な物量戦で、あたかも事実であるかのように偏向された情報が、無批判に垂れ流される。それは“操作”ですらない。ただ膨大な情報の海で溺れさせ、人々の判断力や感覚を狂わせてしまう。そんなもので、自分を見失ってどうするのさ、田口センセ」
フィクションだと『ゴールデンスランバー』、ノンフィクションだと『戦争広告代理店』や『こうして世界は誤解する』を思い出す。どれも「いつの間にか何となくそう思われてしまっている」ことの危うさが描かれている。