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8月, 2017の投稿を表示しています

黄泉路の地べた - 姉なるもの2

『姉なるもの2』を読んだ。 しばらく夕と千夜の日常が続く。料理、洗濯、掃除、買い物。 と思ったら、終わりには始まったときから終わっていたとわかってしまう。先の無さが閉塞感をもたらしてくれる。 でも、3巻に続く。この息苦しさはまだ終わらない。このまま静かに息を引き取らせてくれるかな。

帽子の某シーン - とんがり帽子のアトリエ (2)

『とんがり帽子のアトリエ (2)』を読んだ。 ココの同門が目立つ2巻だった。アガット、テティア、リチェと協力して 巨鱗竜 ( ドラゴン ) から一緒に逃げ出したり、アガットが功を焦ったり。アガットは2巻の表紙を飾ってもいることだし、ココの親友になるのかな? 登場人物達の魅力が増す一方で、前巻で提示された謎については、ほとんど進展が見られない。ちょっと欲求不満。でも、地味な話が後に効いてくるかもしれない。 本巻の最後、辺りが砂になっているのは、小さな魔方陣が集まったがゆえの思わぬ副作用なのか、それともココの記憶を消すために仕掛けられた罠なのか。

影にめげないで、亀 - ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影

『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影』(原題 "Teenage Mutant Ninja Turtles: Out of the Shadows") を観た。 今回もミケランジェロがかわいい。粗野な印象のラファエロの、一人ビビりなシーンも好感度高い。ドナテロは今回も、天才振りを発揮してくれる。レオナルドは……もう少し肩の力を抜いた方がいいんじゃないかなー。もうちょっと可愛げが欲しいところ。 アクションは今回も秀逸。甲羅をボード代わりにするシーンが、タートルズならではでよい。あとは4人4色の特徴を活かしたアクションがもっとあったらよかったなぁ。遠目に似て見えるのは避けがたいので、動きで魅せる感じで。

住めば都のドラキュラ荘 - シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

『シエアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(原題 "What We Do in the Shadows")を読んだ。 邦題は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパロディか。原題はまったく違うけれど、おもしろい邦題。ヴァンパイアが出てくると分かるし、本作の状況を表しているし、コメディだろうという推測も立つ。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を未鑑賞だから分からないけれど、パロディシーンもあったのかな。 『亜人ちゃんは語りたい』 のように、伝承の存在が送る現代生活が描かれている。その生活が、吸血鬼だけのシェアハウス生活というのがおもしろい。最初はなんでやと思ったけれど、次第に合理的に思えてきた。生活のリズムが違う同居人がいると、事故で日光に当たって灰になる危険が高くなる。 笑いは、ブラックだったりシュールだったりする。主人公(多分)のヴィアゴによる吸血シーンなんか、かなり不謹慎(でも笑った)。そういうのが好きな人はぜひ。あと、おっさん(見た目は。実年齢は3桁~4桁だ)達が楽しそうにつるんでいるのもいい。ちょっと憧れる。Youtubeで初めて太陽の映像を観てはしゃぐシーンとか。 さっき名前を挙げたヴィアゴを演じるタイカ・ワイティティさんは、本作の脚本・監督も兼ねている。『モアナと伝説の海』の脚本、『マイティ・ソー バトルロイヤル』の監督を務める。『モアナと伝説の海』はタイミングが合わなくて映画館で観られなかったから、VODか何かで観ようかな。そして、『マイティ・ソー バトルロイヤル』を観る楽しみが一つ増えた。ロキの活躍が期待してよいのでないだろうか。

罪と積み木 - マギ シンドバッドの冒険 15

『マギ シンドバッドの冒険 15』を読んだ。 ついにセレンディーネがシンドリア紹介から離脱してしまった。 『マギ 35』 で彼女の最期にも言及されているのが辛い。 そして、バルバロッサの後押しで着々と進むシンドリア王国の建国。「積み木崩し」という言葉が脳裏をよぎる。

ルフの流布 - マギ 35

『マギ 35』を読んだよ。 ますます着地点が見えなくなった。 アラジンとシンドバッドが睨み合っているように見えるこの表紙にして、この展開かー。 34巻を読んで、このまま素直に進んだら間延びしそうと感じていた ので、嬉しい誤算。肩透かしと紙一重の感はあるけれど、嫌いじゃない。 もうここまで来たのだから、行くところまで行って欲しい。王道とかどうとか気にせず突き進んで欲しい。 あ、でもモルさんにもうちょっと日の目を……。

お帰りお隣さん - スパイダーマン:ホームカミング

『スパイダーマン:ホームカミング』(原題 "Spider-Man: Homecoming")を観てきた。 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』 で既に登場してはいたけれど、本作でついにスパイダーマンがMCU (Marvel Cinematic Universe) に本格合流 [1] 。 だからと言って、これまでのMCUを観ていないと楽しめないなんてことは全然ないと思う。ロバート・ダウニー・Jr演じるトニー・スタークが巨大企業スタークインダストリーズの社長で、アイアンマンというヒーローでもあり『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスパイダーマンの力を借りたけれど、まだ実力を認めきっていないってくらい分かっていれば十分。いっそ予備知識ゼロで、ここから観始めてもいいんじゃないかな。 それくらいこの親愛なる隣人=スパイダーマンを応援したい。8/11公開からちょうど今日でちょうど2週間。上映枠が減り始めている頃だろうから、公開中にぜひ。 スパイディー (スパイダーマンの愛称) の魅力は本作で十二分に描かれている [2] 。というわけで、トニーについてちょっと補足。。本作でも重要な役回りを演じているものの、MCU第1弾 『アイアンマン』 に始まり、 『〃2』 、 『〃3』 、 『アヴェンジャーズ』 、 『アヴェンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』 、 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』 と出演を重ねてきた経緯があり、本作内では描かれていない部分が多いので。 本作をトニー (と彼をサポートするハッピー) の視点で捉えると、父親役を務めようとしているのだけれどコミュニケーション不調ですれ違っちゃって、一度は突き放すのだけれど、一人で立ち上がったスパイダーマン=ピーターをヒーロー・チーム「アヴェンジャーズ」の仲間に迎え入れようとして、親離れしたかのような返事をもらうまでが描かれている。 その結果、MCU第1弾として2008年に公開された『アイアンマン』から観ていると、元武器商人だわ、女遊びはしていたわ、酒にも溺れかけたわ、と酷い父親の要素を総ナメにしていた彼が、本作のラストで彼を支え続けるペッパーと身を固めることを公にする。それがとても感慨深い。完全に外堀を埋められた――ペッパーがいい機会だと思い立って、2008年から渡し損

独走読書 - 独創短編シリーズ 野崎まど劇場

『独創短編シリーズ 野崎まど劇場』を読んだ。 自由だ。自由過ぎだ。文字やページの枷から逃れようとしている。カバー裏や背表紙まで使う始末。これ【電子特別版】と銘打っているKindle版ではどうしているんだろ。再現するために固定レイアウトなんだろうか。特典としてプロパティに短篇が仕込まれていたりしないだろうか。そうだとしても驚かないくらい自由。 おもしろかったと言えばおもしろかった。でも、短編小説としてのおもしろさと言うよりも、短篇集という形式からの逸脱加減のおもしろさだったと思う。わからないのはさっぱりわからなかった。 そんな当たり外れの大きい本作だけれど、シリーズ続刊の 『独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑)』 が出ている(笑)。笑うしかない。またこういうのが読みたくなったときのためにとっておこう。 方向性としては、一部の円城塔作品――註がヒドいことになっている 『烏有此譚』 や、プログラムで生成した 『シャッフル航法』 ――に近いように思う(そう言えば『文字渦』や『誤字』読んでない)。 でも読んだ印象が全く異なるのは、巫山戯ている雰囲気の有無だろうか。「ほら吹き [1] 」は、真顔だろう。きっと(ツッコミ不在という見方もできる)。 [1] 『シャッフル航法』の出版社紹介文 より。

バッタの研究人間 - バッタを倒しにアフリカへ

『バッタを倒しにアフリカへ』を読んだ。 表紙はふざけているように見えるけれど、蝗害に立ち向かう真面目な研究者が研究生活について書いた本。あるいは研究者として生活するための奮闘記録。 じゃあ中身は硬いかというとそんなことはなくて、語り口はユーモアに溢れているし、研究生活の場はモーリタニアという異国だし、そこでのバッタを追いかけての日々も波瀾万丈だし、とてもおもしろく読ませてくれる。まさか、ゴミダマの雌雄判別方法やハリネズミの飼育日記を読むことになるとは思わなかったけれど。 まだ論文化はこれからということで、バッタについてどんな発見があったかあまり書かれていないのが、少しだけ欲求不満。続編を待ちたい。でも、その前に前著 『孤独なバッタが群れるとき』 を読めばいいのか。既に知られているバッタの生態について、何を知っているわけでもないし。

ひえぇー - 悲衛伝

『悲衛伝』を読んだ。 ちゃんと佳境を迎えていて驚く。 最初の 『悲鳴伝』 でこんなのどうやって決着させるんだと不安を覚え、続く『悲痛伝』から始まる四国編がなかなか終わる気配を見せず、6冊目の 『悲録伝』 でようやく決着し次の 『悲亡伝』 で本筋に戻ったと思ったら、何この急展開。 やってくれたと言うかやってしまったと言うか。次巻、『悲球伝』はどうなることやら。

鏖魔と逢瀬 - カプコンフィギュアビルダー モンスターハンター スタンダードモデル Plus Vol.8 鏖魔ディアブロス

「 『カプコンフィギュアビルダー モンスターハンター スタンダードモデル Plus Vol.8』 の鏖魔ディアブロスをゲットしたぜ」 「狂暴走状態じゃない方なんですね」 「うん。たまたまだけれど、フィギュアのできとしてはこちらの方が好みだったのでラッキーだった」 「鏖魔ディアブロスと言えば、 最後の超特殊許可クエス トでしたね」 「一撃死もあるけれど隙も多くて、狩り甲斐のあるモンスターだった。他にもいろいろと思い出すなあ。宝纏だけは許さん……」 「二つ名コンプリート記念に Togetterでまとめ 作っていましたね……。今は小冠集めでしたっけ」 「ぼちぼちなー。時間とモチベーションの問題でコンプリートまでは行かないかもだけれどゆるゆると楽しんでいるよ」

Fire Band - Summer Sonic 2017 8/19@東京

Summer Sonic 2017の8/19@東京に行ってきた。Kasabianが目当てで、他はほとんど知らないままに参加したけれど、満喫できた。 観てきたのは、観た順でこのアーティスト。 ミオヤマザキ@Rainbow Stage Kero Kero Bonito@Rainbow Stage Dua Lipa@Mountain Stage Honne@Beach Stage 5 Seconds of Summer@Marine Stage Phoenix (一部)@Mountain Stage Kasabian@Mountain Stage 物販でKasabianのTシャツを買って、ブースをブラブラ。思いがけず、Kero Kero Bonitoのラジオ収録が観られたのがラッキーだった。で、11時くらいから早めの昼食。本格的に混雑がする前だったからスムーズだった。 最初はRainbow Stageで「不倫は犯罪です」(これだけ覚えて帰ってくださいと言われた)もといミオヤマザキ。このヤンデレ感。調べてみたら『メンヘラ』という曲もあるし、『ノイズ』がアニメ『地獄少女 宵伽』のOPテーマだし、そういうバンドみたい。歌も歌詞も癖が強い。嫌いじゃない。楽曲もゴリゴリとしたベースが好み。 そのままRainbow StageでKero Kero Bonito。カエル枠。打って変わってかわいらしい。肩の力の抜けた日本語英語混じりのフィメールラップが、ゲームのSEがサンプリングされたトラックに乗っかってインターナショナル TANOSHII(キャッチコピー)。ボーカルはセーラはもちろん、ジェイミーとガスもほんと楽しそう。ジェイミーがライブ中にバナナを食べ始めたのには笑ってしまった。あと、ガスは鉄オタでこのあと名古屋に行くのにしんかんせんに乗るのが楽しみだったらしい。 次はMarine Stageに移動して、Charli XCXと思っていたのだけれど、直前でドクターストップ。お大事に。浮いた時間をどうしたものかとTwitterで検索したら、何人かDua Lipaを推している方が。というわけで彼女を観にMountain Stageへ。誤配の賜物か、とてもパワフルなステージで、初見なのに楽しませてもらえた。 このタイミングでメッセ側からマリン側へ。まずはBe

蛙蛙蛙 - トノサマガエルとシュレーゲルアオガエルとアマガエル

トノサマガエルとシュレーゲルアオガエルとアマガエル をゲット。 というわけで記念撮影。全6種類全部ゲットして、どれもかわいいけれど特にお気に入りをピックアップ。 壁にペタリと貼り付いているのは、ニホンアマガエル(黄緑)。そう言えばどんな仕組みなんだろう。ヤモリは分子間力だというニュースを見かけた記憶があるけれど。ちなみにこれは磁力。 続いてニホンアマガエル(鳴嚢)。膨らんだ鳴嚢の色が薄くなっているところ、芸が細かい。突いたら破裂しそうでドキドキする。

球と線 - ジャコメッティ展

国立新美術館に行って、『ジャコメッティ展』を観てきた。 一番惹き付けられたのは『3人の男のグループⅠ』(下記ツイートの写真参照)。すれ違う距離の狭さに周囲の雑踏を思い浮かべたり、ちょっとした肩の傾きに『地下室の手記』の肩がぶつからないように避けるだの避けないだのといったエピソードを思い出したり、くるくる周囲を回りながら眺めているうちに3人の歩行者が三角錐に見えてきたりして、どこからどう見ても楽しい。 もう行きましたか? 没後半世紀の大回顧展「ジャコメッティ展」。挑み続けた表現への情熱が満ちる空間は必見です! https://t.co/v5zGt82byV pic.twitter.com/StXLb5cYee — Pen Magazine (@Pen_magazine) 2017年6月30日 ところで、いくつか眺めていたら、どうして彫刻なのだろう? という疑問が湧いてきた。原因はボリュームのなさ。歩いている人は棒みたいだし、立っている人は板みたいだし、猫は針金細工みたいだ。 その「猫」、ボリュームがあるのは頭だけであとはほぼ線。丸い頭に細長い胴に手足が、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のジャックみたいでかわいい。こうなっているのは、いつも正面から見ていたからというような解説だった。 今日は夜間開館で20時まで開いています。19時半までに入って下さい。私も待っています。 #ジャコメッティ展 #猫 #国立新美術館 pic.twitter.com/rRgM7lMWsD — ジャコメッティ展公式 (@giacometti2017) 2017年7月29日 こんなに細くても猫。もしアトリエが火事になったらどの作品を持ち出すか?という質問にジャコメッティはディエゴの「猫」、と答えました。2人のアトリエを往き来していた猫は愛されていたのですね。会場内にあるシャイデッガーの撮影した写真にはイーゼルの下に佇む猫が!ぜひ見つけて下さいね。 #猫 pic.twitter.com/OdrWDe8OKt — ジャコメッティ展公式 (@giacometti2017) 2017年6月17日 「見たものを見えたままに表現する」ことを目指していたらしいので、真っ先に見えたであろう顔が強調されるのは素直だ。見えたまま=視覚を通して認識した結果が、見たものそのものじゃ

記憶の細道 - 進撃の巨人 23

『進撃の巨人 23』を読んだ。 この巻は前巻の引きを受けて、まるまる1冊マーレ編。もう少し続きそう。 うーん、この手の展開は苦手だ。鳥頭なので、エレン達の視点に戻った時に話を忘れていそう。 実はここは壁に囲まれていて、記憶改竄されているのでは。

クリーチャーモグモグ食っちゃ-潜りー - ダンジョン飯 5

『ダンジョン飯5』を読んだ。 4巻 でようやくファリンを助けたと思ったら、またしても離れ離れに。味方も敵も増えてますます先が読めなくなってきた。 そんな先行きの不透明さとは裏腹に、この巻では何回も笑わせて貰った。とくにマルシル。特に第34話「コカトリス」はズルい。表情豊かなのと相まって、顔芸人の域に達している。「学園始まって以来の才女マルシル」(既読者に思い出し笑いをさせようという魂胆)。 ともあれ、4巻からの流れでシリアス一辺倒に舵が切られたりしなくて、ちょっとだけ安心した。それだけ唯一にして最大の不安――ファリンが一掃気掛かりになるのだけれど。いったい彼女はどういう形で生き返ったのだろうか?

ハーコー&ホープ - 筺底のエルピス -絶滅前線-

『筺底のエルピス -絶滅前線-』を読んだ。メインタイトルの読みは「はこぞこのえるぴす」。ずっと「きょうていのえるぴす」だと思っていた。 同じ作者の 『波の手紙が響くとき』 がおもしろかったので、気にはなっていたのだけれど、シリーズ物に手を出す踏ん切りが付いていなかった。それが、最新5巻の推薦文についての 著者 と 推薦者 のツイートに押されて、ついに手に取ってしまった。 読み始めてみたら、密度の高さに驚く。一人一人固有の能力――停時フィールド。それを操る棺使いを擁するのは機密機関――門部。相手取るは鬼――殺戮因果連鎖憑依体。ある鬼を巡ってのヨーロッパに拠点を構える棺使いとの戦い。そして明かされる鬼が人類の歴史に与える/与えた影響。この密度が5巻まで保つのか2巻も読まないうちから心配になる。4巻でいいところで終わっていたから、5巻を待ち望んでいたという感想も見かけたので、きっと杞憂なんだろう。 というわけで、2巻も読もう。楽しみだ。

だけが知っている - 貴族探偵

『貴族探偵』を読んだ。 キッカケはTwitterのタイムライン。「こうもり」のドラマ放送前後にいくつかツイートを見かけて気になって。 読んで納得。「こんなんどうやって映像化するんだ?」って思うわ、これ。小説ならではのトリックが仕掛けられている。ちなみに、記憶力が鳥頭なので、ドラマを観ていたにも関わらずものの見事に騙されて「え、え!?」ってなった。 この1冊だと貴族探偵自身への謎にはさっぱり触れられないのがちょっと物足りない。 『貴族探偵対女探偵』 まで読むとわかるのかな。

孵り/囀り/羽撃き - テスタメントシュピーゲル3 下

『テスタメントシュピーゲル3下』を読んだ。 シュピーゲルシリーズ、これにて完結。見事なまでの大団円。 特攻 ( トッコー ) 児童達が 接続官 ( コーラス ) 達のバックアップを得て、 特攻 ( トッコー ) 猟兵 ( りょうへい ) 達と決着を付ける。そこからの落とし前の付け方も徹底的。直接対峙したリヒャルト・トラクル/リチャード・トーカーはもちろん、一連の事件の関係者=トリガーを引いた者/撃鉄を起こした者/銃を構えた者/そうさせた者まで根こそぎ――大人達=MPB/MSS/第二作戦部隊の仕事。 特攻児童= 涼月 ( スズツキ ) / 陽炎 ( カゲロウ ) / 夕霧 ( ユウギリ ) / 鳳 ( アゲハ ) / 乙 ( ツバメ ) / 雛 ( ヒビナ ) 、接続官= 吹雪 ( フブキ ) / 水無月 ( ミナヅキ ) 、MSS解析課員= 冬真 ( トウマ ) も皆が将来に向けて進み始めた。 特攻猟兵= 白露 ( シラツユ ) / 光葉 ( ミツハ ) / 陸王 ( リクオウ ) ――安らぎあれ。 初代MSS要撃小隊= 皇 ( スメラギ ) / 蛍 ( ホタル ) ――救いあれ。 万感の思いがあるけれど、挙げ始めると切りがない。一番心配だった雛――幼さを最も濃く残しているのに、 『テスタメントシュピーゲル2』 で窮地に陥った/虎穴に飛び込んだせいで、目が離せなくなっていた。さらに、涼月や鳳のようにメインを貼っているわけでもない=メタ視点でも目が離せなかった。無事に収まるところに収まってほっと一息。

町は狭いな小さいな - 龍宮町は海の底

『竜宮町は海の底 1』『〃 2』を読んだ。これで完結。打ち切りというわけではなく、きちんと幕が引かれている。 1巻セールに釣られた勢いで2冊まとめて買って正解だった。1巻表紙の二人の距離感もいいし、彼女達が暮らす竜宮町が海の底にある秘密も気になるし、グイグイと引っ張られる。 理由は伏せるけれど、本作は電子書籍版の方がよさそう。

I am... - トランスフォーマー/最後の騎士王

『トランスフォーマー/最後の騎士王』(原題 "Transformers: The Last Knight") を観た。 150分の長尺。でも、ぎゅうぎゅうに話が詰め込まれていて息つく暇も無い。それなのにトランスフォーマー成分がもっと欲しい思ってしまう。人間が中心のシーンが多いからか。 シュールな笑いを誘うシーンも多い。例のごとく地球が滅びかける深刻な事態ではあるんだけれど。中でもオプティマス・プライムの"I am Optimus Prime."のゴリ押し。もはや天丼の域に達している。Twitterで見つけた、 「わしが江田島平八である」並みのセリフになってきた。 という指摘は、的を射ていると思う。 トランスフォーマーの質感は相変わらず見事だったけれど、鑑賞後に 超大画面で観るべき映画、3つの資質:『トランスフォーマー/最後の騎士王』 in IMAX|WIRED.jp を読んで、大画面のIMAXで観たらもっとすごかったのかな、と少しだけ後悔。 というわけで、大満足という気分ではないけれど、見所もたくさんあったので不満でもない。相変わらずバンブルビーがナイスだったし。 そうそうバンブルビーと言えば、彼が主役のスピンオフも公開が決まっている [1] 。こちらも楽しみ。 [1] 『トランスフォーマー』スピンオフ『バンブルビー』激戦区の2018年12月に全米公開へ!主な出演者・スタッフも決定 | ORIVERcinema

げんしのちから - 原始乙女と神の塔

『原始乙女と神の塔』を読んだ。 同じ世界を舞台にした短中篇集。次の3篇が収録されている。 希望のオタカラ編(前・後) 約束のオタカラ編 幸運のオタカラ編(前・後) どの話もキレイにまとまっていて、安心して楽しめた。絵柄も魅力的。特に動きの大きさ。原始っぽくてよい。巧いなあ。 ただ、最初の「希望のオタカラ編」で「神の塔」の秘密が明かされてしまい、尻すぼみに感じられるのが残念。欲を言えば、3篇通しての起伏があればなお良しだった。 あるいはもっと長く続いていたら、大いなるマンネリに化けたか?

マストバイはどれ? - ベストセラーコード

『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』を読んだ。 本書は「この本は売れるか?」を予測する統計モデルについて書かれた本。その統計モデルに基づいて、ベストセラーが備える特徴が分析されている。念のため言っておくと、「こう書けば売れる」というノウハウが書かれたハウツー本ではない。 その統計モデルは、そっくりそのまま日本で流通している本にも当てはまるわけではなさそう。分析対象がアメリカで流通している本で、売れた本としてニューヨークタイムズでベストセラー入りした本を使っている。たとえば、ベストセラー入りしやすいページ数は、日本では違う結果が出そう。アメリカでベストセラー入りしやすい本は300ページ前後だと言っているけれど、言葉や組版の違いで1ページあたりの情報量が違う [1] 。 でも、言語に非依存で、普遍的に当てはまる特徴も多いように思う。ページ数のような物理的な制約はともかく、人間が受け止めやすい情報量には大差はないだろう。トピックの数が多過ぎず、メイントピックに紙幅の1/3充てられているだとか、そのトピックは多くの読者にとって身近なものであるだとかは、古今東西を問わないんじゃないだろうか。どんなトピックが身近かは、市場によって変わるにしろ。なかでもが好奇心がそそられたのは、ベストセラーに見られるプロットのパターン。大別するとたった7つに収まるらしい。世界各地で独立に語り継がれたであろう神話に類型があるという説とも符合する(誰か検証していたりするんだろうか)。 こうしてベストセラー入りした本とそれらが備えている特徴を眺めていると、ベストセラーの中にも自分が好きな本と読みそうにない本が入り交じっていることに気がつく。例えば、 〈ミレニアム〉シリーズ は寝る間も惜しんで読み進めるくらいだったけれど、ジョン・グリシャムの著作にはどうも食指が動かない(よく目立つ場所に置いてあるので名前だけは知っているけれど)。読んだらハマッタリするんだろうか。 各章の末尾でその章で論じられたベストセラーの特徴を備える本がランキング形式で挙げられているので、読書ガイドとして読んでも有用。パーソナライズこそされていないものの、自分が好きなベストセラーと同じ特徴を持つベストセラーがリコメンデーションされたリストとして使うことができる。自分が、未読で邦訳が

流通網の箱 - コンテナ物語

『コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった』を読んだ。 タイトルの方が的を射ていて、サブタイトルの方が蛇足。珍しいように思う。タイトルはフックになるよう正確性を犠牲にして、サブタイトルで内容を示すタイトルの方が多い気が。 本書のテーマは「「箱」の発明」ではない。言うまでも無く、「コンテナ」が存在する前から「箱」は存在しているし、コンテナの起源として「箱」まで遡ったりしない。それから「「コンテナ」の発明」でもない。「コンテナ」が発明されても、世界は変わったりしない。 本書が描くのは、「コンテナ」が発明され、流通を席巻するまでの物語。アイディアを思いついてコンテナを作っても、それだけじゃ広まらない。多くの利害関係者ーー港で働く労働者、競合となる海運、設備投資が必要となる港、連携相手である陸運、それから顧客である荷主などなどーーとのやりとりを経て、ついに世界中を駆け巡るまでが描かれる。言い換えれば、コンテナを軸とした流通システムが、国際社会に構築された過程とも言える。 さらにはこのシステム、工業製品の製造プロセスまで変えてしまう。物を移動させるコストが低下したことで、原材料と製品だけでなく中間部品まで行き交うようになる。つまり、いわゆるグローバルサプライチェーンの構成を可能にしたのだ。 読む前にはコンテナなんて脇役に過ぎないと思っていて、まさか経済活動の形を変えるのに一役担うまでに至るとは、想像だにしなかった。 でも、思えばGoogleも同じだ。物と情報という違いはあれど、ひたすら移動を効率化することで、一見何も作っていないように見えるけれど、新しい経済活動の形を作ってしまった。 余談。コンテナつながりで 『コンテナを追え』 もおもしろそうなのだけれど、絶版になってしまっているようで、Amazonの中古価格は高騰しているし、ざっ見た感じ中古書店では在庫切れだし、近所の図書館には置いていない。残念。

ずっとぞっと - 裏世界ピクニック ファイル6 果ての浜辺のリゾートナイト

『裏世界ピクニック ファイル6 果ての浜辺のリゾートナイト』を読んだ。 『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』(ファイル1~4収録)、『ファイル5 きさらぎ駅米軍救出作戦』 の続き。 長めの短篇くらいの長さ。紙媒体での販売はないけれど、Amazonの書誌情報によると「紙の本の長さ:59ページ」(1ページ何文字換算なんだろう?)。 水着回だ。なんだけれど……。二人だけの世界というか、「人間は」二人だけの世界というか……。つまりあれだ裏世界バカンスだ。余人の立ち入る隙がない。隙あらば、空魚と鳥子と言えど死にかねない。大丈夫か。 ダメだった。やっぱりネットロアに襲われる。裏世界は人が悠々と羽を伸ばしていられるような世界じゃない。 じゃあ、果たして裏世界は誰の世界なのか。辛うじて脱出したところで、空魚が目にしたものを思うと、そんな疑問が浮かぶ。

アサガオやシジミチョウや - 向島百花園

「向島百花園に朝顔を観に行ってきたよ」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「大輪に水滴」 「ほんのり紅を差しているような色ですね」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「この子はこれから」 「ところで、朝顔って英語だとmorning gloryっていうんですね」 「おお、かっこいい」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「かぼす? すだち?」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「中身が元気に鳴いていましたね」 「中身て」 This work by SO_C is licensed under a CC BY-SA 4.0 . 「シジミチョウ。かわいい」 「大きさが名前の由来でしょうか」 「ルリシジミかな、きっと」

花火

「花火を観てきたよ」 「夏ですねー」 「夏だなー」 「散歩がてらと思って歩いていったら、存外と時間がかかったうえに、手前のコンビニで飲み物を買おうとしたら、長蛇の列だったから危なかった」 「余裕を持って出かけてください」 「ギリギリに着いたわりにはわりかしキレイに見えてよかったよかった」 「それは何より」 「なお帰りも歩道が大渋滞で行きより30分くらい余分にかかってぐったりでぐっすりだった」 「よく寝られてよかったじゃないですか」

still falling - Lana Del Rey/Lust for Life

Lana Del Reyの5枚目のアルバム"Lust for Life"を聴いている。 本作も暗く美しい。華々しくないのはもちろんのこと、穏やかでもない。冷たくしっとりとしている。 それが16曲72分。CD1枚ほぼ目一杯にひしめいている。ずっと耳を傾けていると、気持ちが滑り落ちていく。 ジャケット写真の笑顔もそこはかとなく不吉。じっと目を向けていると、不安になる。 アルバムタイトルにもなっている"Lust for Life"はThe Weekendとのコラボ曲。そう言えばコラボ曲が収録されるの初めてのような。 タイトルを直訳すると「生への切望」と前向きなのだけれど、先入観のせいか、足下を見ないための前向きさなのではないかとか思ってしまう。リード・シングルも"Love"だし、先入観に囚われてしまっている気もするけれど。