『無限論の教室』を読んだ。「無限とは何か?」という哲学的疑問について、講義形式で解説している。 『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を思い出した。対話を中心に進んでいくというスタイルの上でも、ゲーデルの不完全性定理を扱っているというテーマの上でも、よく似ている。 違いは、本書は無限を哲学の対象として扱っているところ。数学の対象ではない。可算無限とか不加算無限とか対角線論法とかゲーデルの不完全性定理とかの数学用語は出てくるけれど、数学的に厳密な定義や証明はなされない。示されているのは概要やアウトラインまで。 本書が問題にしているのは、無限の捉え方。数学の主流では〈実無限〉として捉えているが、そうではない〈可能無限〉という捉え方もあると言っている。それぞれこの本では次のように説明されている。それぞれ集合の内包的定義と帰納的定義のイメージだろうか。 実無限:無限のものがそこにあるのだという立場から捉えられた無限 可能無限:可能性としてのみ考えられるとされた無限(例として「線分から無限の点を切り取れる可能性があるだけで、無限個の点は存在しない」が挙げられている) 自分は、そんなに問題にすることかな? と思った。数学上は実無限の方が便利なのでそちらを使っているのだろう(後から可能無限も便利だと分かるかもしれないけれど、そうしたらその上に別の体系ができるはず)。実用上は、無限は扱わない(実無限はそもそも存在しないし、可能無限から切り出す要素も有限でしかない)。 数学的にはどうだったんだっけ? と気になって、『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を読み返したくなる。